電脳千句第六 賦御何百韻 四折表 2015.7.24~
そねみとふ悲しきこころ雪解川 花
陽炎揺れて消ゆる幻 月
このあたり破れたる笠の捨て処 舎
手づから植うる一本の苗 衣
目つむればいつしか母に抱かるる 草
ふと先の世の繰り言をきき 香
ほとびたる乾飯のみの朝餉にて 風
夏行の僧のよろよろと立つ 梯
人はみな己のうちに木下闇 歳
夕立つ雲のすこし遠のき 花
国引の丘より望む海凪ぎて 月
月に浮かぶは浦のとも舟 舎
焦がれしをいなおほせ鳥つかはされ 衣
忘れ扇を美濃の国まで 草
電脳千句第六 賦御何百韻 三折裏 2015.7.24~
餞にますらをぶりの涙ぐみ 草
音に聞きしは大地(おほつち)の破れ 香
よにふれば心のひだも衣がへ 歳
力草こそ今は頼りと 梯
わざをぎのわざもむなしきことと知り 風
戯れ遊び野に寝ねしとは 花
真清水のいのちあらたに流れ出で 月
富士の根語るこゑも懐かし 舎
神の如いでまし鬼の如かくれ 衣
冬めく空をまらうとの月 草
木枯しにものや思ふと問はれしか 香
すぎゆくものはかくも美し 風
この花に古人の声をきく 梯
その折々の春やさまざま 歳
電脳千句第六 賦御何百韻 三折表 2015.7.24~
ふり返ることのみ多き秋の道 歳
あはれ優しき文でありしに 花
魂のあくがれ歩(あり)く地の極(はたて) 月
蜘蛛の巣こぼれのこりたる館(たち) 舎
枢(とぼそ)落ちまばゆき光り差し込みぬ 衣
鳥船絵巻ひもとかれゆき 草
空言(むなこと)をふはり飛ばせしあまり風 香
きこしめしては泳ぎ出す君 風
身をまかせ流るゝままに雲に問ふ 梯
はやも日は暮れ鐘もかすみて 歳
わび住まい貌よ鳥など啼くを待ち 花
八重山吹にしのぶ歌びと 月
蛙にもたはぶれせむとや蓑かさむ 舎
翌なき春をてらす月の出 衣
電脳千句第六 賦御何百韻 二折裏 2015.7.24~
とてもたつうき名をあだにかへもせで 衣
久しかりつるささがにの卜( うら) 草
さざれみづいつか早瀬にあふものを 香
ひとくひとくと鳴くものを見に 風
白梅の香のみ残せる空屋敷 梯
西へ送らん花のたよりを 歳
夕星(ゆふづつ)の野火の烟のあはいより 花
連なる嶺のむらさきに溶け 月
老いぬれば道をいづくとわかねども 舎
笈に秘めたるみほとけの笑み 衣
白雲のいくつ鏡のうみに浮き 草
あこやの珠の聞きし波音 香
寝ねおつるしじまを抜けてゆきし月 風
棉吹く畑のしるきあけがた 梯
電脳千句第六 賦御何百韻 二折表 2015.7.24~
病む雁の落ちゆく涯を思ひみる 梯
何を求めて出でしふるさと 歳
夢なれや吾を愛子(まなこ)と呼びし声 花
蓬が島に亀憩ふとか 月
はるかなる雲にたゆたふ宝船 舎
小松引きたる宴(うたげ)なつかし 衣
衣手に触るれば消ゆる春の雪 草
野にも人にもあへしらふ朝 香
萱葺くもゆひの力のまざまざと 風
稲穂の波の黄金かがやく 梯
ざざめきて鄙も都も秋の月 歳
けふの円居(まとゐ)の幸(さ)くあれかしと 花
笠のままよどみなく詠む連ね歌 月
風に染まなむ恋ざめの酒 舎
電脳千句第六 賦御何百韻 初折裏 2015.7.24~
まなかひに和ぎてしづもる鳰の湖 蘭舎
忘れ形見を山へあづけて 衣
ひとかひの後ついてゆく市女笠 草
わざうたとほく雪まぜに聞き 香
銀(しろがね)のちろりに酒を調へて 風
襲(かさね)の色のすみれ匂やか 梯
春の野に立つ吾妹子のなまめける 歳
時へだつればうつろへる花 花
釣釜に松の韻(おと)きく夕まぐれ 月
風吹きあへぬ寂しさの果て 舎
手習ひの筆の遊(すさ)びのうたなれば 衣
壽(いのちなが)くと選ぶ言の葉 草
まろらかな月に誘はれたもとほる 香
すなどる村は秋の眠りに 風
電脳千句第六 賦御何百韻 初折表 2015.7.24~
空蝉の見果てぬ夢や明けの空 羽衣
けふ咲き初めし垣のうの花 千草
水ぎはに誘はれのんど潤して 遊香
風の降り来る石山のかげ 梢風
白き径照らして早も月上る 夢梯
やがてむら雲遠く稲妻 楽歳
烏瓜賎が家に灯をともすごと 路花
もの炊ぐ香の厨口より 如月
電脳千句第五 賦青何連歌百韻 四折裏 2014.6.25―2015.8.16
奥処(おくか)よりながれ落ちたる花の波 月
舟人(ふなびと)去りし櫓にとまる蝶 衣
かげろふを追ひて夢へと誘はれ 草馬
戦なき星祈る月影 梯
故里は色鳥わたるころならん 舎
急ぐ旅路のこの秋の暮 歳
われも又をのこのすなるつらね歌 風
茶を点て語るほがらかなこゑ 香
電脳千句第五 賦青何連歌百韻 四折表 2014.6.25―
徒臥の髪つくよみにかがよへり 月
真葛が原の風しのびやか 草
いつよりか社に赤き領巾の鳴る 風
そばへに濡るゝ市のひとむら 舎
盃をさしあふ人のさらぬかほ 香
凪ぐる海路に夏の日は落ち 歳
舳にていづこ眺むる白き鳥 花
生き死にあまた見やり過ぐして 衣
蓮の骨うつろふ時世かなしとぞ 梯
しぐれ心地にあはき墨の香 月
しのばるるあまつをとめの駿河舞 草
挿頭(かざし)は風のたはむれを知り 風
かけはしの上なる雲のたちはなれ 舎
山なみだけは昨夜(きぞ)のごとくに 香
電脳千句第五 賦青何連歌百韻 三折裏 2014.6.25―
事なしぶ髪をけづりて朝月夜 香
恋に浮かるるころは過ぎても 歳
鄙なれば手向けの花も探しかね 花
首途をかざる鶯の声 衣
たび人も愁ひも春の風のなか 梯
いにしへ偲びめぐる八橋 月
さらはれていくかに空の白雲の 草
牛も来て飲むつくばひの水 風
あな尊とひかりこぼせる柿若葉 舎
絵扇ごしに影をうかがひ 香
殿ばらが裾ひるがへす鞠の庭 歳
三人集へばはしたなき声 花
思ふとも思ひのほかの通せん坊 衣
頼みをかくるかささぎの羽 梯