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電脳千句第五 賦青何連歌百韻 三折裏  2014.6.25―

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     事なしぶ髪をけづりて朝月夜             香

      恋に浮かるるころは過ぎても            歳

     鄙なれば手向けの花も探しかね           花

      首途をかざる鶯の声                 衣

   たび人も愁ひも春の風のなか        梯

     いにしへ偲びめぐる八橋         月

   さらはれていくかに空の白雲の       草

    牛も来て飲むつくばひの水        風

   あな尊とひかりこぼせる柿若葉       舎

    絵扇ごしに影をうかがひ         香

   殿ばらが裾ひるがへす鞠の庭        歳

    三人集へばはしたなき声         花

   思ふとも思ひのほかの通せん坊       衣

    頼みをかくるかささぎの羽        梯
     

       
 

       

  

                                    <進行表はこちら>


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連歌楽歳

 なつかしき影を宿して月のかほ  遊香
秋 月 光物 夜分 後に「かほ」があるので、この懐かしき影は「おもかげ」で、恋の句、同時に懐旧

ほれほれとかたぶく月をながめおり
秋 月 光物 夜分 「ほれほれと」は放心状態でということだが、隣の人の存在すら忘れて月を眺めている姿が彷彿とし、恋の句

事なしぶ髪をけづりて朝月夜
秋 月 朝月夜や夜分 髪は身体 朝月夜の時間帯に髪に櫛を入れて何事もない風情は、ベテラン遊女か、ひとり寝の女房か。いずれにせよ、一ひねりした恋の句。

by 連歌楽歳 (2015-04-02 20:51) 

連歌楽歳

<3折裏1>に

事なしぶ髪をけづりて朝月夜     遊香

を頂き、

<3折裏2>付け
 
 恋に浮かるるころは過ぎても      楽歳
 さだめなき世のつれづれの恋
 殿ばら好みは井出の下帯

     *
 恋に浮かるるころは過ぎても      楽歳
雑 恋 

 さだめなき世のつれづれの恋
雑 恋 世は5句もの(只1、浮世・世の中の間に1、恋の世1、前世1、後世1)

 殿ばら好みは井出の下帯
雑 恋(出手の下帯の逸話) 人倫 出手は地名(国郡) 下帯は衣裳

by 連歌楽歳 (2015-04-03 21:20) 

路花

昨夜の冷たい雨に桜が散ってしまいました。
楽歳さまの
 恋に浮かるるころは過ぎても
をいただきます。
三折裏4です。

帯といて己がやつれの愛おしく
日暮るるに手向け花など探しかね
昂ぶりて鶸色の帯選ぶ日も

いつもながら気持ちばかり動いているのに、それが、全く句になりません。どうぞご指導くださいませ。

by 路花 (2015-04-05 15:48) 

連歌楽歳

花に雨、ですか。

花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞふる  式子内親王

日本の詩歌は、岡本太郎風の「歓喜の爆発」がなく、どうも水っぽいですね。

     *

 帯といて己がやつれの愛おしく
雑 人倫 恋離れの句でしょうね

 日暮るるに手向け花など探しかね
? 「手向け花」は正花になりうるか、「桜花」の同類か? 季はどうなるのか、作者およびみなさまのご見解をお示しください。日暮れは時分、朝月夜=夜分と打越につき、日暮るるに→この庭に、でいかがでしょうか、路花さま。

昂ぶりて鶸(ひは)色の帯選ぶ日も
雑 帯は衣類 日次の日

by 連歌楽歳 (2015-04-05 22:55) 

路花

楽歳様
ありがとうございます。桜の満開ももちろん華やかで美しいのですが、昨朝、水たまりに散り敷いた桜もとても美しかったです。桜に春雨は似合うのですね。

恋から離れていいのか、もう一つ恋がいいのか迷っていました。
「手向け花」は、本当は「餞の」程度の意味に使いたかったのです、恋の相手に、恋にときめくことができた若い自分に、「餞」をしたいけれど、なかなかできない思いを詠えたらと思ったのですが、句としても舌足らずですね、しかも、調べたら、この「花」も桜なのですね。不勉強申し訳ありませんでした。
でも、「この庭に」になると、立派な花でなく、小さなささやかな手向けのようになって、ここで使えないとしても、ダメな句に命が入った気がします、ありがとうございました。
by 路花 (2015-04-06 10:35) 

連歌楽歳

さて、宿題になっている「手向け花」です。

 日暮るる(この庭)に手向け花など探しかね

岩波古語辞典をめくると、「手向け草」(手向けする物)、「手向け花」(神仏や死者の霊に手向ける花――「手向け花とて、咲遅れし桜を一本持たせけるに」西鶴・五人女)が載っています。

いつもお世話になっている国際日本文化研究センターの連歌データベースで、「手向け花」をあたってみると使用例はありませんでした。そこで念のため「手向けの花」であたると、4本出てきました。

①はるのみつ たむけのはなに むすひあけ
②ほとけにも たむけのはなと うつしおき
③たむけのはなは くさのひともと
④わたつみの たむけのはなか なみのゆき

④は独立の発句、①②③が百韻中の句ですが、(復刻版がないので、データベースのひらがな表記のまま解読すると、どうやら)前後の配置から正花の扱いです。

「手向けの花」が正花であれば「手向け花」も正花としてあつかえるか、問題になります。「花野」は連歌・俳諧とも正花になりませんが、「野の花」は秋の正花としてつかわれた例があります(枯野の花ぞひとりのこれる 宗祇・三島千句第6-10)

「草なる花のころとこそなれ」――二条良基は文和千句第2で草の花を秋の正花として使っていますが、「草花」となると、連歌・俳諧の季語としては登場してきません。このあたり、「夜の界の鐘の音」のように、いったい夜なのか、朝なのか、判断に迷うところです。

そういうわけですか、作者から正花を意図したとお知らせを頂きましたので、これ以上の議論のぐるぐるまわりはやめて、「手向けの花」をつかって、春の正花といたしましょう。ついでに「わが庭に」ではなく、「鄙なれば」ではいかがでしょう?

 鄙なれば手向けの花も探しかね
春 花 鄙は地儀 手向けは神祇・釈教


by 連歌楽歳 (2015-04-06 22:16) 

羽衣

宗匠さま
愈々花も名残の雨 もののあわれも一入です。
扨、手向けの花 春の正花ということで 

  鄙なれば手向けの花も探しかね         路花さま

       付け

    不意を衝かれし春の言の葉
    風の便りも絶えていという(糸遊)
    あやしき風の散らす糸遊
    首途(門出)をかざる鶯の声()
    猫のおくび(又はあくび)を誘うやは東風
    いづくをはか(墓)と呼子鳥啼く

 初中末春 まぜこぜにて粗製濫造、よろしくご指導くださいませ

花疲れ 花冷え 皆さまにはお身体おいとい遊ばされますよう~
by 羽衣 (2015-04-07 12:27) 

連歌楽歳

    不意を衝かれし春の言の葉
春 言の葉は2句もの(言の葉と言いて1、詞と言いて1、言の葉の道はこのほかにあるべし)

    風の便りも絶えていとゆふいう(糸遊)
春 糸遊 いとゆふ(糸遊)は聳物 風は吹物だが「風の便り」(風聞・手紙)となれば別物
 
    あやしき風の散らす糸遊
春 風は吹物 糸遊は聳物。陽炎は空気と光が作り出す現象ですから、風が吹けばはかなく消えます。

    首途(門出)をかざる鶯の声
春 鶯は鳥類 首途は「しゅと」だと漢語読みになるので、「かどで・かどいで」とよみます。旅 「かどでをかざる」「かどいでかざる」、作者はどちらがお好みでしょうか?

    猫のおくび(又はあくび)を誘うやは東風
春 東風は吹物 猫は獣類(5句前にシシ・クマがいます。獣と獣は5句) 連歌はちょっと気取った風雅をむねとする遊びですから「おくび・あくび」の類はご使用をお控えください。

    いづくをはか(墓)と呼子鳥啼く
春 呼子鳥は万葉集のころから歌に出てくる鳥ですが、見た人はいませんし、はっきりと鳴き声を聞いた人もいません。「人もなき深山のおくのよふこ鳥いく声なかは誰かこたへん」(前大納言尊氏・風雅和歌集)。ですが、なぜか連歌も俳諧も春の季語として引きずって来ています。ところで、「いづくをはかと」の意味を教えてください。



by 連歌楽歳 (2015-04-08 00:29) 

羽衣

宗匠さま
早速に恐縮です。
本日(このところ連日ですが)急ぎ出かける用があり慌ててご送信
申し上げ大変失礼致しました。
誠にみやび心乏しく 反省しきりです。
何卒しばらくご寛容のほど
まづ第一に もののあはれ  と訂正申し上げたく 他にも仮名遣いの
不備あり失礼致しました。
不意は 漢語?と思いましたが電子辞書(拙の一番のたよりと致す処の)
の用例に源氏がございましたので使わせて頂きました。
首途は かどでをかざる でよろしければお願い致します。
いづくをはかは いづこをはかと と打ったつもりでしたが失礼致しました。これは雅語・歌語五七語辞典 の墓のところで見つけたものですが
どうも墓ではなく 計とか捗とかのはかの様です。
どこをめあてにして という意味で 後せん和歌集(せんの字が出せません)何処をはかと君がとはまし・・・もうよろしゅうございましょう(笑い)
何卒およろしき様にお導きいただきますようお願い申し上げます。
また明日(もう今日かしら)もみやびに遠きところに出かけますので
失礼の段おゆるしください~有り難うございました。

 
by 羽衣 (2015-04-08 02:45) 

連歌楽歳

羽衣さま
寒い中、お仕事ご苦労様です。
「はか」は墓ではなくて、はかどるの方でしたか。説明ありがとうございました。
by 連歌楽歳 (2015-04-08 13:14) 

羽衣

恐れ入ります。有り難うございました。 
誠に本日は 花冷えどころか花果ての雪 フロントガラスに受けつつ
関越道をよろよろと行って参りました。

  遠山は俄に春の雪化粧花の名残りの吉野かと見ゆ

せめてものみやび心でした~吉野にあくがれつつ~

by 羽衣 (2015-04-09 01:41) 

連歌楽歳

夢梯さまから付け句を頂きました。

 <3折裏4治定>
 首途をかざる鶯の声     羽衣

 <3折裏5付け>
 吾が宿の小さく霞む峠路        夢梯
 春風に愁ひを包み遊子ゆく
 春の雲流るゝ方へ歩み去る
 還る日のありやなしやと春の野へ
 裏腹な思ひを秘めて春惜しむ

    *
 吾が宿の小さく霞む峠路    夢梯
春 旅 霞は聳物、峠は山類・路は地儀 吾宿は居所・人倫。5句前に山類(奥山)があり、ギリギリのところで障ります。とりあえず「吾が宿の小さく霞むつづら折れ」としておきます。

 春風に愁ひを包み遊子ゆく
春 旅 風は吹物 遊子は漢音なので、類語の旅人に代えましょう。 
春風に愁ひを包み旅の人、では「遊子」が消えて少々ニュアンスに乏しいので、
「たび人も愁ひも春の風のなか」あたりでいかがでしょうか?
(春 旅 人倫 風、春風は2句もの、春風1、春の風1) 

 春の雲流るゝ方へ歩み去る
春 旅 雲は聳物 

 還る日のありやなしやと春の野へ
春 旅 日次の日 野は地儀

 裏腹な思ひを秘めて春惜しむ
春 この「思ひ」は恋の思いではなく、腹に一物の方の思いでしょう。

by 連歌楽歳 (2015-04-15 14:47) 

連歌楽歳

夢梯さまから修正のはがきを頂きました。

  裏腹な思ひを秘めて春惜しむ

修正後

  裏腹な思ひを秘めし春惜しむ

「て」を「し」にかわりました。
by 連歌楽歳 (2015-04-16 20:03) 

如月

楽歳宗匠様、ご連衆の皆様
いっこうにお天気が安定いたしませんが、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。長らくお待たせいたしまして、申し訳ございませんでした。
まず、夢梯さまのお句は、
 たび人も愁ひも春の風のなか  を頂戴いたしたいと存じます。

それに以下のように拙句を付けさせていただきたく存じます。
   雲の行方を映す渓川  
   とうとうたらり流れゆく水
   奥義への道狭く険しく
   身を尽してぞ叶ふものあれ
   箙の緒には乳母のてすさび
   いにしへ想ひめぐる八橋

宗匠様、一直よろしくお願い申し上げます。
                     如月
   
     








by 如月 (2015-04-23 00:11) 

連歌楽歳

けさは久しぶりの晴天です。太平洋側は冬の乾季が終わり、春雨、五月雨、夕立、秋雨と長い雨季に入ります。湿っぽいのはイヤですねえ。

   
 雲の行方を映す渓川
雑 雲(聳物) 渓川は「たにがわ」と読むのでしょうか。その場合、「渓=谷」が山類、川が水辺体
  
  とうとうたらり流れゆく水
雑 水辺用(水) 「とうとうたらり」は辞書によると能の冒頭の呪文のようなもの

  奥義への道狭く険しく
雑 「奥義」は漢音のなので
  道の極めは狭く厳しく
としませんか?

  身を尽してぞ叶ふものあれ
雑 身は身体 ところで係り結びの助詞「ぞ」は、「かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」のように連体形で受けるのでは?
  身を尽してぞ叶ふものある
としておきます。

  箙の緒には乳母のてすさび
雑 人倫(乳母) 

  いにしへ想ひめぐる八橋
雑 いにしへ(古)は1句もの 述懐・懐旧 八橋は業平ゆかりの三河の名所、水辺用(橋は5句もの、只1、御階1、梯1、名所1、浮橋1 ここの橋は名所) 


by 連歌楽歳 (2015-04-23 11:40) 

如月

楽歳宗匠さま
ご丁寧なる解説ならびにお手直し、まことにありがとうございました。
文法知識の曖昧さには、お恥ずかしい限りです。また、奥義⇒道の極め のご一直、ありがとうございます。了解いたしました。

千草さま
治定よろしくお願い申し上げます。

皆さま
いよいよゴールデンウイークが近づいてまいりました。気温が高くなるようですね。よいお時間をお過ごしくださいませ。


by 如月 (2015-04-23 23:22) 

千草

如月様

  いにしへ想ひめぐる八橋  如月

こちらを頂戴いたします。

付け
ふるさとは沢辺の草もなつかしく   千草
ひとふしの東下りを口遊び
をさな日のきさいのみやの物語
さらはれていくかに空の白雲の

楽歳様
よろしくお願いいたします。


by 千草 (2015-04-27 07:02) 

連歌楽歳

外出しましたが、暑い一日でした。

     *
 ふるさとは沢辺の草もなつかしく   千草
雑 故郷は2句もの(只1、旅1。打越に「たび人」がいるので、ここは只の故郷)居所 沢は 水辺体 草類 「故郷」と「古」は打越を嫌いますが、付け句については『連歌新式』に記載がありません。

 ひとふしの東下りを口遊び
雑 数詞 「東くだり」は「旅」を思わせますが、前句の八橋を受けて『伊勢物語』の「東下り」を引き出し、物語の「ひとふし」を「くちあそび」することで旅体から離れます。
 
 をさな日のきさいのみやの物語
雑 懐旧(おさな日) 「きさいのみや」は后宮=后なら人倫、后の館なら人倫+居所
 
 さらはれていくかに空の白雲の
雑 天象 聳物

by 連歌楽歳 (2015-04-27 20:28) 

如月

千草様
治定、ありがとうございました。

ところで、拙句を読み返しましたところ、
いにしへ想ひ・・・ではなく、
いにしへ偲び・・・のほうが語呂がいいかとも思えてきました。
いかがでしょうか。
千草様と宗匠様のお二方にお尋ねさせていただく次第です。
後からこんなことを言いまして、申し訳ございません。



by 如月 (2015-04-28 10:33) 

連歌楽歳

はい、了解。
「いにしへ思ひ→いにしへ偲び」
の件、治定なさった千草さまのご諒解があれば、
直しましょう。千草さまからのの連絡をお持ちしています。
by 連歌楽歳 (2015-04-28 12:09) 

千草

如月様
楽歳様

ごめんください。
想ひから偲びへのご一直につきまして
付け句は「想ひ」につけたのでございましたが
楽歳様の御了解もすでにございますので
意味のニュアンスは変わりますが
作者のお考えの通りでよろしいかと存じます。
小旅行に出ておりましてお返事おそくなりまして
失礼いたしました。


by 千草 (2015-04-29 23:44) 

梢風


さらはれていくかに空の白雲の    千草

   付

 よしなし事を書き留める日々     梢風
 畏れを知らぬ頃のすさびに       〃
 牛も来て飲むつくばひの水       〃

四国遍路と松山での連句大会に出て昨日戻りました。楽歳様よろしくお願い致します。
by 梢風 (2015-05-01 09:01) 

連歌楽歳

遍路はるばるご帰還すぐに、付け句ありがとうございます。

        *

 よしなし事を書き留める日々       梢風
雑 日次の日

 畏れを知らぬ頃のすさびに
雑 懐旧・述懐
       
 牛も来て飲むつくばひの水
雑 獣類 つくばひ・水ともに水辺用 つくばひは茶庭の手水鉢で、ここに生きた牛が現れる風景は超現実的俳諧

by 連歌楽歳 (2015-05-01 14:11) 

如月

楽歳様 
千草様

 いにしへ偲び・・・への再治定、ありがとうございました。
お騒がせして申し訳ありませんでした。お礼を申し上げるのが遅れておりますうちに、はやくもさらに新しい舞台がひらけています。今後の展開が楽しみです。


梢風様

お遍路の旅を無事に終えられ、また俵口連句大会のお仕事を済まされてのご帰京、お疲れ様でした。
「超現実的俳諧」思い浮かべるだに愉快な景です。
どうか、ゆっくりと旅のお疲れを癒してください。

by 如月 (2015-05-01 22:35) 

蘭舎

若葉の目に染むころと相なり、こころも浮き立ちます。

お遍路よりお戻りの、梢風さまのシュールな「超現実的俳諧」をいただきまして、

牛も来て飲むつくばひの水 梢風
付け
あな尊(とう)とひかりこぼせる柿若葉  蘭舎
かまおとに耳傾けてひとりすむ
こがれてぞ散る松の葉のおともなし
ちさきひとちさきいほりの葉隠れに
うらやまの無心所着に分け入れば

 うらやま、うらは、浦が障れば裏でも。
 まったくもって無心所着な付けにこそ・・・。
 楽歳さま、なにとぞよしなにご吟味くださいませ。  蘭舎拝     
by 蘭舎 (2015-05-04 12:57) 

連歌楽歳

蘭舎さま治定の「牛も来て飲むつくばひの水 梢風」は、第6句「八橋」と水辺用の打越とあいなります。しかしながら、蕉風俳諧でいえば「異水辺越を嫌わず」程度の水辺打越ですし、「鹿も来て飲むつくばひの水」なら下手な連歌になりえますが、これが牛ではいまさらもうどうにもなりません。記念にこのままの形で残しておきましょう。

<3折卯9付け>

 あな尊(とう)とひかりこぼせる柿若葉      蘭舎
夏 柿の若葉は木の若葉で、連歌では夏、木類 「ひかり」は日の光のことで光物 「とうと」は「たふと」 芭蕉句の本歌取り

 かまおとに耳傾けてひとりすむ
雑 「かまおと」は「釜音」か「窯音」か「鎌音」か。いずれにせよ、かそけき音が心にに染みるような独り暮らしの日々。一人は数詞、人倫

 こがれてぞ散る松の葉のおともなし
夏 茶色になって散る松の落ち葉の季節は夏 松は木類 恋の句と解釈することもできるが、つくばいの牛に恋の句がつけば、それは面白すぎというもの

 ちさきひとちさきいほりの葉隠れに
雑 人倫 居所(いほり) 「葉隠に散りとどまれる花のみぞ忍びし人にあふ心地する 西行」の類なので、ここの葉は木類

 うらやまの無心所着に分け入れば
雑 「うらやま」を「浦山」と解するためには第6句の「八橋」が非水辺であるという了解が必要になります(水辺と水辺は5句隔てる)ので「裏山」と解釈しましょう。無心所着は漢語で、和語では「ざれごと」。「鯨とるさかしき海の底までも君だにすまば波路しのがん」。判断は次の詠み手にお任せしましょう。

by 連歌楽歳 (2015-05-04 17:29) 

遊香

連休が終わり、日常がことのほか静かに感じられます。
外の新緑に誘われて、蘭舎さまの夏の句をいただきました。

あな尊とひかりこぼせる柿若葉

付け

薄物まとひ足のかろらか  遊香
絵扇ごしに影をうかがひ
ちさき息吹に扇かざせり
天道虫の映るさみどり

楽歳さま よろしくお手直しくださいませ!


by 遊香 (2015-05-07 10:46) 

連歌楽歳

 薄物まとひ足のかろらか  遊香
夏 薄物は俳諧では夏、連歌の頃は無季、衣類。足は人体

 絵扇ごしに影をうかがひ
夏 絵扇は俳諧では夏の季語ですが、連歌では夏の季語としての使用例は、調べた範囲では見当たりませんでした。

 ちさき息吹に扇かざせり
夏 扇かざす 

 天道虫の映るさみどり
夏 天道虫は虫類で俳諧では夏の季語 古典連歌では使用例みあたらず、漢字臭を消すために「てんたう虫」の表記でいかが? さみどりは無季の語

       *
皆様の連休はいかがでしたか? 

by 連歌楽歳 (2015-05-07 19:41) 

遊香

楽歳さま

夏の季語を「連句・俳句辞典」に探し、
連歌には例のない表現が多くなってしまいました。
表記の件、「天道虫」を「てんたう虫」に、どうぞよろしくお願いいたします。


by 遊香 (2015-05-07 22:22) 

遊香

追伸
トップの写真は、何かの「目」でしょうか。
ブログを開けて、今までで一番びっくりしました!
鯉のぼりにしては、目が地味で小さいし…
いったい何でしょう???
by 遊香 (2015-05-07 22:30) 

連歌楽歳

3折裏10に、

 絵扇ごしに影をうかがひ  遊香

をいただき、

<3折裏11付け>
 殿ばらが裾ひるがへす鞠の庭
 遥かなる野末に消ゆる旅衣
 人知れずわがまなざしの色めきて

     *
 殿ばらが裾ひるがへす鞠の庭
雑 人倫(殿ばら) 裾(衣類) 蹴鞠を楽しむ場所を鞠の庭と言います。競技場なのか居所の庭なのかよくわかりませんが、庭の字があるので居所にしておきます。

 遥かなる野末に消ゆる旅衣
雑 旅 地儀(野) 衣類(衣)第5句に「たび人」がありますが、かろうじて5句をクリアしています。

 人知れずわがまなざしの色めきて
雑  前句との続きだと、恋の句でしょうか 人倫(人、わが)


by 連歌楽歳 (2015-05-11 12:18) 

遊香

楽歳さま
写真のタネ明かしを、ありがとうございました。
なるほど、ドコモダケの目でしたか!
「まなざしの…」の付句を併せ読み、頬がゆるみました(笑)。

by 遊香 (2015-05-11 18:14) 

路花

楽歳様
台風は、大きな被害を残さず去ったようでいいお天気です。それにしても箱根がどうなるのか、ネパールも再度の地震、岩手も・・何だか地球が怒っているような気がしてなりません。

楽歳様の
  殿ばらが裾ひうるがえす毬の庭
をいただきます。以前、埼玉の博物館で蹴鞠保存会の方と一緒に試みたことがありました。実は、全くボールに触れられなかったのですが。

けふ履き初めのやはらかき沓
三人集へばはしたなき声
匠の技にけふは見えず

相変わらずの拙い句で申し訳ありません。
どうぞよろしくご指導くださいませ。
by 路花 (2015-05-13 16:05) 

連歌楽歳

 <3折裏12付け>

 けふ履き初めのやはらかき沓
雑 けふ(今日)は一座2句もの)沓は履き物

 三人集へばはしたなき声
雑 人倫 数詞 

 匠の技にけふは見えず
雑 人倫 けふは2句もの 下7「けふは見えず」は1音足りないようです。何かぬけてませんか?

by 連歌楽歳 (2015-05-13 21:40) 

路花

楽歳様

付け句の三番目、「けふは見えず」は「まみえず」と読んでいただきたいと思ったのですが。
三句ともすべて蹴鞠からの連想で、蛇足を申し上げてしまえば、「今のサッカーとは違って、蹴鞠には騒がしい応援などはないのですが、それでも、女御や侍女らの中には、お目当ての殿御もいて・・・」という説明を、保存会の方から聞いたのです。また、その時は、失礼ながらあまりお上手でなく、毬があらぬ方向に飛んだりしたのですが、「今日はエースが欠席で」と。
by 路花 (2015-05-14 07:18) 

連歌楽歳

路花さま
失礼しました。辞書を開くと、「見え=まみえ」とありました。
楽歳
by 連歌楽歳 (2015-05-14 10:52) 

羽衣

宗匠さま
いよいよ風鈴の季節ですね。
昨夜など プレ熱帯夜のおもむき 寒さにも暑さにも潮垂れ勝ちの
不甲斐なきわが身なりけり でございました。
いつもながらの楽しいお写真 有り難うございました。

扨 折端になりましょうか?

   三人集へばはしたなき声   路花さま を頂こうと存じますが

折端振りなるものがございますでしょうか? 万が一の場合

   けふ履き初めのやはらかき沓   路花さま  にてお願い致します

         付け

   ものがたり(物語)(もの語る)さても雨夜の品定め
   しら峯の祟りかいたう(いたく)渇きたる
   思ふとも思いのほかの通せんぼ(通せん坊)(知らぬふり)
   くはだての源辿るたふのみね(多武峰)
   みやこをばあらぬ噂の風たちて(嵐たち)

愛犬の調子わるく明るい転じになりません。
何卒よろしくお導きください。

今日も暑くなりそう~ 皆さまお大切に~


by 羽衣 (2015-05-15 13:49) 

連歌楽歳

お犬様もお大事に。

 ものがたり(物語)(もの語る)さても雨夜の品定め
雑 夜分 降物(ただ雨とすれば一座一句物で、すでに2折裏第6で出ていますが、「雨夜」という熟語は別の一座一句物に指定されています) 本説・源氏物語 「ものがたり」がよろしいかと存じます。「ものがたりさても雨夜の品定め」

 しら峯の祟りかいたう(いたく)渇きたる
雑 「しら峯」は崇徳院のお墓がある香川の白峯寺か、崇徳院ゆかりの京都の白峯神社かの何れかでしょう。怨念の強さは同じでしょうが、釈教と神祇の違いが出てきます。京都の神社は蹴鞠や各種球技の守護神とされていますので、打越の「鞠の庭」と気分的に障ります。四国の寺ということにしましょう。釈教。崇徳院のたたりという落語風の因果話が匂いますので、硬さの残る「いたく」より「いたう」の方がよろしいかと思います。「しら峯の祟りかいたう渇きたる」

 思ふとも思いのほかの通せんぼ(通せん坊)(知らぬふり)
雑 思ふは恋の常套語で句意も恋模様 「通せん坊」は民話風に人倫とし恋の邪魔者と解した方が楽しそうですね。「思ふとも思ひのほかの通せん坊」

 くはだての源辿るたふのみね(多武峰)
雑 名所 山類 本説・大化改新 ちょうど今頃、多武峰・談山神社あたりは緑のきれいなころでしょう。漢字で多武峰がよろしいかと存じます

 みやこをばあらぬ噂の風たちて(嵐たち)
雑 みやこは三句もの(只1、名所1、旅1)で国郡 風は吹物、嵐なら吹物で一座一句物 風評ということで風にしましょう。恋の風評ということで、付け句によっては恋の句。「みやこをばあらぬ噂の風たちて」


by 連歌楽歳 (2015-05-15 20:52) 

連歌楽歳

訂正
先の句材分析で「通せん坊」を民話風の人倫ととる提案をしましたが、2句前の「殿ばら」と人倫打越になります。「障害物」と受け取ることにしましょう。
by 連歌楽歳 (2015-05-15 21:18) 

羽衣

宗匠さま
明快なご教示 有り難うござました。 
只今 大変な思い違いに気づきました。まだ折端ではなかった様で
誠に失礼致しました。旧仮名もひとつ直し忘れ(思ひ)
いつもながらのおっちょこちょい どうしようもないようで。(がっくり!)
ご寛容のほど 誠に恐縮致しおります。


by 羽衣 (2015-05-15 22:29) 

連歌楽歳

夢梯さまから、次の3折裏13治定、同14付け句をいただきました。

     *

 行く手遮るからたちの棘       夢梯
 頼みををかくるかささぎの羽
 河波暗く渡る瀬もなき
 渡らふ鳥を羨ましとぞ見る
 せめてわたらむ夢の浮橋
 涙の川に浮き沈みして

    *
 行く手遮るからたちの棘       夢梯
雑 「うきひとを枳殻垣より…」という恋の句なのでしょうが、残念、からたちの5句前に柿若葉があります(木と木は5句隔てる)

 頼みをかくるかささぎの羽
秋 鳥類(かささぎは俳諧で秋) かささぎは七夕のデートのおぜんだて役。恋の句

 河波暗く渡る瀬もなき
雑 水辺体・用 鳥類 「ちはやぶる」の暗い方の連想で、恋の難局。次に完成型の恋の句が出れば、「思ふとも…」「…わたる瀬も無き」も恋の句として同時成立

 渡らふ鳥を羨ましとぞ見る
雑 鳥類 前句との関係で、双方弱い恋の句となる

 せめてわたらむ夢の浮橋
雑 橋は5句もの(只1、御階1、梯1、名所1、浮橋1) 夢は夜分 夢は恋の連想「恋ひわびてうち寝るなかに行きかよふ夢の直路はうつゝならなむ 藤原敏行・古今集」

 涙の川に浮き沈みして
雑 涙の川は非水辺 涙は連歌では恋の句の常套句

by 連歌楽歳 (2015-05-22 23:44) 

連歌楽歳

おやまあ、夢梯さま治定の羽衣様の句を書き忘れていました。

 思ふとも思ひのほかの通せん坊   羽衣

たいへん失礼いたしました。お詫び申し上げます。

楽歳拝
by 連歌楽歳 (2015-05-23 01:48) 

如月

宗匠様、夢梯様、ご連衆の皆様

聖母月・聖五月と讃えられ、新樹や麦畑や薔薇苑を渡る爽やかな風が心地よい……筈の五月ですのに、真夏日がつづく異常な事態になっております。
ご無沙汰をいたしておりましたが、皆様、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
夢梯さまのお句から

   頼みをかくるかささぎの羽 

を頂戴いたしまして、遅くなりましたが、以下、拙付をお送りさせていただきます。

  臥待にあだなき髪の耀ひて
  徒臥の髪つくよみに耀へり 
   (つくよみは月読。漢字が続くので仮名にしました。)
  星合の閨にただよふ残り香の
  手弱女の水茎美しき梶の葉に
  今はただ簾名残のおもかげに
  
千草様、宗匠様、ご一直のほど、よろしくお願い申し上げます。
                           如月
  
by 如月 (2015-05-28 23:47) 

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