杜若咲く八橋のさと 宗砌
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2折表14から転載 ころも擣つ袖の雫を(露をば)はらひつつ秋 檮衣 袖で衣類 袖の雫、袖の露(降物にこれを嫌わずと『連歌新式』)。選択は付け句作者のお好みのままに。「檮衣」は『毛吹草』で中秋、「ころも檮つ袖の露」は暮秋。そこまで気にすることはないと思います。袖の雫・露=涙、句の雰囲気から恋の句 色かへぬ松としきかば帰り来む秋 「色かへぬ松」は『毛吹草』に秋 木類 百人一首「たち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む」をふまえ、色かへぬ松=いつまでも若々しい人、松=待つの掛詞もあって、恋の句として読むことも可能 袖の露いつきの宮のおん別れ秋 衣類 斎宮はこの句の場合、伊勢神宮あるいは伊勢神宮や賀茂神社に奉仕する斎宮女の居所 神祇 涙+別れ、で恋 秋いそぐこゝろかなしも宮こ人(袖の露)秋 宮こ人は人倫、国郡 「宮こ人」「袖の露」の選択は付け句作者に。袖の露とすれば恋の句の味わい つまもまた衣うつ音きくならん秋 衣うつ音 つまは人倫、男女不明だが、連歌の世界では砧打つのは女でその声を聞くのは男と相場が決まっていた。李白の子夜呉歌を連想させて、夫が遠征から帰る日を待つを待つ妻、恋の句。現代では砧うちは民芸工房あたりでしか見られないが、この場合は男の職人が砧打ちをすることが少なくない。 君(つま)もまた誰が衣うつ音(ね)に覚むや(寝ねず)秋 衣うつ 衣類 つま・誰で人倫 「誰が衣うつ」は「たがころもうつ」「たれがきぬうつ」の二通りのよみ方が可能。これも恋の句ととってよさそう。「覚む」「寝ねず」が夜分をおもわせ、第9句の星(夜分)と障る可能性があるものの、そこまで細かく踏み込む必要性はなさそう。 ◇① カット写真は奥多摩の若葉。撮影した植物にうとい私は何の木か知りません。② 「荻」と「末枯」の季節のずれの件。『至宝抄』に初秋と晩秋に分けていますが、この使い分けは発句で当季をピンポイントで定める場合の使い分け。発句以外では区分は緩やかでした。 宮島千句第8(16世紀半ば)に、 ①ゆふへより夜寒もしるし荻の声 ②野は末枯に露おつるころ ③牡鹿ふすかの岡越えの秋更けて ④有明がたのをちの山風発句と脇で「夜寒」「荻の声」「末枯」が入り乱れています。夜寒は『毛吹草』で暮秋。③酔芙蓉は同じ花が朝昼夕で色を変えるそうですが、木槿は白からピンク、濃い赤まで個体によって花の色のグラデーションが多彩です。 by 連歌楽歳 (2018-05-08 22:32)
宗匠さま みなさま本日も 花前に戻った様な 冷たい雨の一日でした。何卒 ご体調にはお気をつけ遊ばされますよう~扨、早速のお捌きとご教示 誠に有り難うございました。中でも 宮島千句第八 の ご例示 誠に細密画を拝見致すようで実に精巧な織物のようでございます。以前にも ご教示賜わりましたやもしれませんが 本日あらためて 宮島(天満宮毎月連歌会の図)心に留めました。この調子で千句!とても読み切れるものではございませんがご例示頂きました四句だけで充分胸が一杯です。季節の初・仲‣晩(暮) の区別は発句の為のものなど沢山のお導き あらためて有り難うございました。 (それと たんぽぽの絮 のズームアップ いいね!いいね!です)では 梢風さま よろしくお願い致します。 by 羽衣 (2018-05-09 00:55)
つまもまた衣うつ音きくならん 羽衣 付 旅にあらねど旅のこころを 梢風 いくさに飽きてをりし宮人 〃 いにしへはなき川の流れも 〃○楽歳様よろしくお願い致します。もう暫くしましたら四国遍路に出かけます。25日に戻る予定です。 by 梢風 (2018-05-09 11:18)
旅にあらねど旅のこころを 梢風雑 旅 いくさに飽きてをりし宮人雑 「宮人」が宮仕えする人(宮廷官僚)であれば人倫、神官を意味すれば神祇・人倫 いにしへはなき川の流れも雑 述懐(古=いにしへ) 水辺体 ◇梢風さま道中お気をつけてお巡りください。 by 連歌楽歳 (2018-05-09 15:18)
楽歳様、皆様GW中の暑さが嘘のようなここ数日の寒さです。さて旅に出られる梢風様の 旅にあらねど旅のこころををいただきました。付 争ひを厭ひ眺むる杉木立 朝姫 写し絵の荒ぶる濤を見てゐたり うつせみの世を渡りゆく人はみな楽歳様、ご指導宜しくお願い致します。 by 朝姫 (2018-05-10 23:47)
争ひを厭ひ眺むる杉木立 朝姫雑 木類 写し絵の荒ぶる濤を見てゐたり雑 「写し絵」が写生画であれ、幻灯であれ、濤は水辺用 うつせみの世を渡りゆく人はみな雑 述懐 「うつせみの」は世にかかる枕詞、世は5句物(只1、浮世・世間の間に1、恋の世1、前世1、後世1) 人倫 第1句の「つま」と人倫打越になっていますので、ご工夫をお願いします。 by 連歌楽歳 (2018-05-11 12:45)
楽歳様早速のご指導ありがとうございます。人倫の打越、うっかりしておりました。以下のように変更お願い致します。 うつせみの世を渡りゆく人はみな ↓ 棹さしてうつせみの世を渡りゆく宜しくお願い致します。 by 朝姫 (2018-05-12 13:15)
朝姫さまはい、了解です。 by 連歌楽歳 (2018-05-12 14:32)
路花さまはこの6月に熊谷で開く『テレジン収容所の幼い画家たち展』の準備のため、このところ東奔西の毎日です。時間がないので展覧会終了まで、一時リタイアさせてくださいとご連絡をいただきました。そこで、楽歳が代打に立ち、やり句でつなぎます。 ◇●2折裏3に、 棹さしてうつせみの世を渡りゆく 朝姫をいただいて、●2折裏4付け 苦も無くつもるわが笠の雪 楽歳 ときに早瀬の浮きつ沈みつ 浦の波間に朽木漂ふ ◇ 苦も無くつもるわが笠の雪冬 雪は降物 ときに早瀬の浮きつ沈みつ雑 早瀬は水辺体 浦の波間に朽木漂ふ雑 浦と波で水辺体・用 木類 by 連歌楽歳 (2018-05-21 13:02)
先に送った苦も無くつもるわが笠の雪は、7句前に「霜」があって、冬季7去りにさわります。 しぶきも楽し保津川下り雑 水辺体 名所と変更します。 by 連歌楽歳 (2018-05-21 13:36)
路花さまどうかお心やすんじられますように。宗匠様が「代打」のお役でバッターボックス(大和ことばでは、何と申せばよろしいやら)にお立ちになられましたのでひとまず歩み始めさせていただきますが急ぐ旅ではない連歌、お帰りをいつでもお待ちいたしております。 (そういえば、打棒の遊戯にぶりぶりぎっちょうとやらがありますが、バッターボックスには、それを使うことができるかもしれません)路花さま展覧会のご盛況を祈念申し上げます。お大切にあそばしてくださいませ。 それでは ときに早瀬の浮きつ沈みつ 楽歳こちらをいただきます。付け 都歌思ひいづれば涙して めづらかに触れてもみたきさざれ石 言の葉のことなる端のをもしろく おもはむ子いといとほしくはぐくみて ひと昔その面影のをちの水どうぞよろしくお捌きください。思いつくままの付け、例によって式目は宗匠様頼みをお許しください。千草 by 千草 (2018-05-21 22:27)
都歌思ひいづれば涙して雑 思い出して涙、というのだから恋の述懐、都は国郡 めづらかに触れてもみたきさざれ石雑 土・砂・石は地儀、砂と石の中間の細石も地儀 言の葉のことなる端のをもしろく雑 言の葉に歌は付け打越ともに嫌う。 Whisky とwhiskey、 「揚げ豆腐」と”I get off.” おもはむ子いといとほしくはぐくみて雑 人倫 ひと昔その面影のをちの水雑 述懐 「昔」は1句物 「面影」は2句物(只1、花月などに1)で恋の常套語、くわえて「をち水」は神話時代の若返りの水(水辺用。北欧の酒・アクアヴィットは命の水で、日本の酒を般若湯ともいうので、水辺でない可能性もあり)。恋の句でしょう。 by 連歌楽歳 (2018-05-22 11:41)
宗匠様ごめんください。をもしろく、は、おもしろくでございました。猫の尻尾の様で失礼いたしました。揚げ豆腐、いとをかし。楽しい空耳でございます。 by 千草 (2018-05-22 12:53)
宗匠さま、皆さま、たいへんお待たせいたしました。千草さまのお句言の葉のことなる端のおもしろくを頂戴いたしまして、拙付、童たらしの風車売り雪垣解けば童いさかひ相撲取草引きて戯れ / 菫草引き戯るる児ら午のまつりに舞へるわざをぎをろがみいのる声いづくよりかぎろふ辺り馬を追ひつつ遊びやせむと生れにしものに以上です。ご指導よろしくお願い申し上げます。 by 如月 (2018-05-28 11:59)
童たらしの風車売り春 風車売りは俳諧春の季語 人倫 雪垣解けば童いさかひ春 雪垣(雪囲い)は俳諧冬の季語、それを解けば春 人倫 垣は居所用 相撲取草引きて戯れ / 菫草引き戯るる児ら春 相撲取草が菫草の異名の場合は俳諧春の季語(「をひしば」の異名の場合は、秋の季語) 草類 児は人倫 午のまつりに舞へるわざをぎ「午のまつり」は大津・日吉神社の祭礼・「うまの神事」別名「山王祭」の事でしょうか。俳諧季語で春(東京・日枝神社の場合は夏の季語、と歳時記に) 神祇 人倫 をろがみいのる声いづくより雑 神祇とも釈教ともキリスト教とも、判別不明 かぎろふ辺り馬を追ひつつ春 陽炎(この現象を連歌でどの範疇に入れるか?) 獣類 遊びやせむと生れにしものに雑 by 連歌楽歳 (2018-05-28 17:48)
宗匠さま、ご指導有難うございました。「決定不能」の個所などにつきまして、補足させていただいても、よろしいでしょうか。・「童いさかひ」は、子ども同士の喧嘩という名詞として考えました。可能なら、そのように取ってくださいませ。・「相撲取草」は、春の季語、菫の異名として考えました。あの可憐な菫がこともあろうに相撲取とは!「あんまりな」と思いますが、この植物は見掛けによらず頑丈な野草のようで、茎の曲がった所を引っ掻けて、引っ張り合って遊ぶのが、異名の由来のようですね。・「午のまつり」は、春の季語として考えました。大津・日吉神社の山王祭でも、伏見や王子のお稲荷さんの初午・二の午でも、春の祭であれば何と取っていただいても構いません。私の地元の王子稲荷では、昔は初午祭の夜にお神楽などあって、賑やかでした。・「をろがみいのる声」は、実は当初はオラショが念頭にありましたが、どの宗教と取っていただいても構いません。なお、以下の句も作っていましたので、もし問題なければ、追加させていただけますでしょうか?額づきをろがむ異邦(とつくに)の主(かみ)長たらしく書きまして、失礼いたしました。宗匠さま、宜しくお願い申し上げます。夢梯さま、お捌きよろしくお願い申し上げます。皆さま、今週末はもう六月。梅雨入も遠くないような蒸し暑さですね。どうか御身御大切にお過ごしくださいませ。 by 如月 (2018-05-28 22:29)
如月さま解説有難うございました。 ◇ 額づきをろがむ異邦(とつくに)の主(かみ)雑 額づくの「ヌカ」は人体ととるのが自然でしょう。異邦(とつくに)の読みは許容範囲かどうか。夢梯さまのご判断にゆだねます。主(かみ)は漢字辞典に「古訓」として〔字鏡集〕に「キミ・ヌシ・カミ・マホル・ウソフク・ツカサドル・アヅカル・アルジ・タモツ・ハルカ・セム・サス」とありました。とつくには国郡 主は長(おさ)に似たような者で人倫 by 連歌楽歳 (2018-05-29 00:18)
宗匠さま、さらにお手を煩わせてしまいました。ご指導ありがとうございました。「主」は、信者が「我が主イエス」をおろがむという意味で使ったのでした。息子イエスは父なる神と一体化されていますので、かみとルビを振ったのでした。面倒な書き方をしたために、ご迷惑をお掛けいたしました。でも、おっしゃるように、動作の主体として「主長がおろがむ」と解釈してくださって、全くかまいません。もし、文法的に目的語として取るのが難しい場合は、捨ててくださいませ。お手数をお掛け致しましたことお詫びしまして、改めてお礼申し上げます。 by 如月 (2018-05-29 18:01)
夢梯さまから次のような治定と付け句をいただきました。 ◇2折裏6に かぎろふ辺り馬を追ひつつ 如月をいただきまして、2折裏7付け、 はろばろと清き風吹く若草に 夢梯 里人の早や耕しを始めゐて けふこそは筑波越えむと暮の春 思ふどち春の山辺に(永きひと日を)遊び慰(な)ぐ 仔馬らは親の帰りを待つならむ ◇はろばろと清き風吹く若草に 夢梯春 若草は草類 吹物 里人の早や耕しを始めゐて春 「耕し」は俳句春の季語、連歌の「はた打つ・小田返す」にあたる 人倫 けふこそは筑波越えむと暮の春春 けふは2句物(折を替える) 筑波は国郡、山類の可能性もあり、名所 「筑波越えむと」で旅の雰囲気。5句前の2折裏2の「旅にあらねど旅のこころを」と障る感じがかすかにあります。ですが、「旅にあらぬ心の旅」と「筑波越え」は双方あまり強くない旅の気配ということで中4句でOKとしましょう。、 思ふどち春の山辺に(永きひと日を)遊び慰ぐ春 「思うどち」は気のあった仲間、「思う仲」なら恋人同士、この句は恋の句ではないということで。人倫 山類(永き日で春、ひと日で数字) 辞書にあたりましたが「慰(な)ぐ」という用例は見当たりませんでした。当て字として許容するかどうか、付け句作者がご判断下さい。 仔馬らは親の帰りを待つならむ書き忘れておりましたが「馬」は1句ものです。この句あずかり。 ◇なお、2折裏は「花」を出す面です。次の第8句、9句で花の句をお願いします。 by 連歌楽歳 (2018-06-02 21:40)
追伸夢梯さまから直しの連絡をいただきました。 はろばろと清き風吹く若草に 夢梯 ↓ はろばろと清らなる風若草に by 連歌楽歳 (2018-06-05 17:44)
皆様 関東地方も梅雨入りと聞きますが、今日は青い空です。お待たせいたしました。月、火と百韻合宿(連句)に出かけておりました。俳諧から連歌モードに切り替えるのに暇取ってしまいました。おゆるしください。夢梯さまの御句、思ふどち永きひと日を遊び慰ぐとしていただきまして、拙次、花を案じました。うすべに(くれなゐ)の花さかづきに受け 蘭舎蝶舞ふ里に花も舞ひ初め風に枝垂るる花の艶にてたそがれ時は花も香を増しはるかに偲ぶみちのくの花楽歳さま、お次の梢風さま、よろしくお願い申し上げます。PS 写真はかわいらしい実梅ですね。 by 蘭舎 (2018-06-07 13:43)
うすべに(くれなゐ)の花さかづきに受け 蘭舎春 花 木類 飲酒 蝶舞ふ里に花も舞ひ初め春 花 木類 虫類(『連歌新式』には蝶について説明をしていませんが、後世の『産衣』は1句物としています。新式に従って2句を認めますが、産衣に敬意を表して2句どまりとしましょう。1裏11に蝶既出) 居所 風に枝垂るる花の艶にて春 花 木類 吹物 「花の艶」を「はなのエン」と読むと字音、「はなのツヤ」だとちょと舌足らず。「花の艶(つや/あで)やか」と直球でいかがでしょうか? たそがれ時は花も香を増し春 花 木類 時分(夕) はるかに偲ぶみちのくの花春 花 木類 述懐(5句前に述懐句あり、「偲ぶ」なんとかなりませんか?) 国郡 ◇申し遅れましたが2裏7の「永きひと日」は「永き日」と同類であり、「永き日」「遅き日」は合わせて一句物でした。 by 連歌楽歳 (2018-06-07 18:01)
楽歳さまいつもながら、早速のご吟味ありがとうございます。「蝶」、二句でも差しつかえなければ、おゆるし下さい。「艶(あで)」は、ひらいて、清音で「あてやか」または、「あてなり(なる)」 風にしだるる花のあてやか(あてなり あてなる) としてみましょう。「しだるる」も清音「したるる」とできるのであれば、と思いますが、わかりませんので、そのままにしておきます。「偲ぶ」→「したふ」に。それでも述懐になりましょうか?? その場合は、ばっさりと、お捨て下さい。ことば、漢字の意味、用例、時代による変化、すこし調べはじめただけでも、あまりに広大な混沌たる海に投げ出されている気分になります。お手数おかけ致します。よろしく御願いいたします。 蘭舎拝 by 蘭舎 (2018-06-08 03:53)
蝶舞ふ里に花も舞ひ初め 蘭舎 付旗の音混じりて風のおぼろなる 梢風村々は蚕を飼ふ声のせはしげに 〃どこやらに騒ぐ声ある田螺採り 〃うららかにみ寺を巡るうれしさよ 〃○梅雨入りながらじりじりと朝から照りつける日差しです。元気に乗りきりましょう。楽歳様ご吟味よろしくお願い致します。 by 梢風 (2018-06-08 08:29)
旗の音混じりて風のおぼろなる 梢風春 風(吹物) 旗(幟)が音を立てるほどの風でありながら、“連歌では春は風もおぼろ”としたものです。勝利の見通しの定かではない戦国武将の出陣風景のようにもみえます。あるいは、シンガポールに向かうキム・トランプ両氏の心象風景でしょうか。 村々は蚕を飼ふ声のせはしげに春 蚕は虫類(蝶に蚕はいわゆるすり付け) 村は国郡 どこやらに騒ぐ声ある田螺採り春 田螺は『連珠合璧集』によると「貝類」。桜貝、アワビ、鳥貝、変わったところでは「亀」も。「春雨の柳は全体連歌也。田にし取る烏は全く俳諧也」と『三冊子』。水辺体用外(5句前に「早瀬」があるが、重複感が無いので無視) うららかにみ寺を巡るうれしさよ春 麗日は万葉以来の春の定番 釈教 遍路の楽しみ。 ◇今日あたりはまだ日影では風が心地よいのですが、まもなく降り始めるとうっとうしいことです。 by 連歌楽歳 (2018-06-08 12:35)
宗匠さま みなさま本日も いと真夏なる梅雨の晴れ間 天はさすがに天邪鬼のご様子にて せいぜい物干しにはげみませう。扨、二折九句目 旗の音混じりて風のおぼろなる 梢風さま 頂きます。 付け 偏に辿るみほとけの道 そはいにしへのいくさ語らひ ふいを討たれし(衝かれし)若きつはもの 御(み)しるしなきも弔ひの寺(とぶらひて候) あはれかばねをこえてこの道 みぐしおろせばみほとけの笑む思いつくまま 雑いくつか (一度画面がすっかり消えてしまい 頭も真っ白になり果て)よろしくお導き頂きますよう お願い申し上げます。 by 羽衣 (2018-06-09 14:18)
宗匠さまパソコン不具合にて いつ消えてもおかしくないので 取り急ぎの拙付け 失礼致しました。人倫など お差しさわりございましたら ご遠慮なく没、またはご一直頂けましたら幸いです。 by 羽衣 (2018-06-09 14:36)
<2折裏10付け> 偏に辿るみほとけの道 羽衣雑 釈教 そはいにしへのいくさ語らひ雑 古は1句物 ふいを討たれし(衝かれし)若きつはもの雑 人倫 御(み)しるしなきも弔ひの寺(とぶらひて候)雑 釈教(哀傷) 「みしるし」は付け句の流れからすると「首級」で人体か? あはれかばねをこえてこの道雑 哀傷 屍も人倫のうち みぐしおろせばみほとけの笑む雑 釈教 人体 ◇羽衣さまのパソコンも夏バテでしょうか。私の機械も先ほど暴走しました。windows7なので来年でマイクロソフトがサポートを打ち切ります。使えるのはあと1年。windows は変更のたびに無用な機能ばかり飾り立てて、読み・書き・そろばんだけの利用者にとっては使いにくくなります。 by 連歌楽歳 (2018-06-09 21:33)
宗匠さま恐れ入ります。やはり夏バテでしょうか?東芝のダイナブックで Windows vista という代物なので致し方ないかと観念致しております。ご迷惑さまです。連歌入門 と同時に パソコンデビュー、千草さまに大変お世話になりました。ようやく慣れて参りましたのに~平仮名表記でないとだめなので 兎に角これを騙しだまし行くしかなく 失礼の段ご寛容の程よろしくお願い申し上げます。お後の展開も 何卒よしなにお願い申し上げます。お導き頂き 誠に有り難うございました。 (ぽつねんと傾ぐオブジェや青嵐 なにかほっといたします)皆さまにも 台風の影響(天邪鬼)にはご注意遊ばされますよう~ by 羽衣 (2018-06-09 23:58)
あ!!!羽衣さま、windows vista は去年サポートが切れ、いまは無防備です。このままインターネットで使うのは、プロテクターなしでアメフト、防具なしで竹刀を振り回すのと同じ。危ないですよ。夏バテとばかり思っていたら、ウイルス感染だったりしますから。楽歳 by 連歌楽歳 (2018-06-10 00:15)
2折裏10に みしるしなきもとぶらひて候 羽衣をいただいて、●2折裏11付け 僧ひとり荒野の冬の月の道 楽歳 月さえて夜目にもしるき塚ひとつ 晴れ時雨れ雪の間合いに昼の月 ◇僧ひとり荒野の冬の月の道冬 月 光物 人倫 数字 地儀 月さえて夜目にもしるき塚ひとつ冬 月(冴ゆ) 光物 夜分 数字 晴れ時雨雪の間合いに昼の月冬 月 光物 時雨は2句物(秋と冬に各1) 時雨雪とも冬「しるし」には「墓標」の意味があるそうで「暫く、これなるしるしにむかひ、回向をなしておん通り候へ」の例文が電子辞書にありました。物騒な「しるし=首級」よりこちらの方が穏当ですね。 by 連歌楽歳 (2018-06-10 22:23)
楽歳様、皆様昨日は台風、今日はにわか雨と梅雨らしい日々です。この時期、乾燥機のありがたみを噛みしめています。楽歳様の 僧ひとり荒野の冬の月の道をいただきまして、付は以下の通りです。 そらんじたる名も今は何処へ 朝姫 打ち棄てし名を懐かしむ夜 影従えて遠去かる背 またまみえんと祈るはらからご指導宜しくお願い致します。 by 朝姫 (2018-06-12 22:40)
そらんじたる名も今は何処へ 朝姫雑 打ち棄てし名を懐かしむ夜雑 夜分 影従えて遠去かる背雑 この場合「背」は人体か?人倫か? またまみえんと祈るはらから雑 人倫 by 連歌楽歳 (2018-06-12 23:15)
遅くなりましてすみません。朝姫様の打ち棄てし名を懐かしむ夜いただきまして、付け白湯そそぐ器に深き藍のいろ 遊香かそけきは篠笛なりやひゅるひゅるとほころびを繕わんとて急ぐ針毬を蹴るまねごと足の勇み出しお手直し、よろしくお願いいたします。 by 遊香 (2018-06-16 10:22)
打ち棄てし名を懐かしむ夜 朝姫打越句(第11句)に「とぶらひ」という述懐(哀傷・懐旧も述懐のうち)があり、この句の「懐かしむ」(述懐・懐旧)が障りますので、「名を懐かしむ夜」を「名の口惜しき夜」と変えさせていただきます。朝姫さま、ご了解ください。 僧ひとり荒野の冬の月の道 打ち棄てし名の口惜しき夜何となく、物語はつながっていますので。●2折裏13付 白湯そそぐ器に深き藍のいろ 遊香雑 「閼伽結ぶ」が水辺用なので「白湯そそぐ」も水辺用になるか、といえば、そうはならないでしょう。 かそけきは篠笛なりやひゅるひゅると雑 「ひゅるひゅる」といった擬声語は連歌ではあまり使われてきませんでした。かそけき→篠笛→ひゅるひゅる、で気分重複ぎみなので、 かそけきは篠笛なりや草の原 (草類 地儀)と場所を示してはいかが? ほころびを繕わんとて急ぐ針雑 「墨染衣」「苔衣」は連歌で、そのやぶれをつろう作業となれば、俳諧ですが、俳諧句としてこのまま。 毬を蹴るまねごと足の勇み出し雑 足は人体 これも俳諧ですね。蹴鞠のスタートは上鞠から。 柳の枝の高き上鞠という句が残っていて、それを参考に、前句の気分を受けて、 上鞠の軒に届かぬ年を恥じ (軒は2句もの、居所体)でいかがでしょうか? by 連歌楽歳 (2018-06-16 14:22)
楽斎さまお手直し、ありがとうございます。了解です。ひゅるひゅると 確かに重複もしておりますね。蹴毬はサッカーW杯の影響でした。どうもすぐに俳諧になってしまいますね(笑)どうぞよろしくお願いいたします。遊香 by 遊香 (2018-06-16 15:29)
楽歳様お手直しありがとうございました。打越の「とぶらひ」が「哀傷・懐旧も述懐のうち」とは全く気付かず、失礼致しました。遊香様の付けには篠笛や綻び、上鞠などが出てきてどう展開するのかとても楽しみです。蹴鞠と言えば、本当にW杯は最高峰の技ばかりで迫力が違いますね。スペインーポルトガル戦を観ていたら、日本はまだまだと思ってしまいました。 by 朝姫 (2018-06-18 23:20)
大阪北部震源の地震災害、お見舞い申し上げます。おりしも千草日記には、七年前の出来事を書きましたところにてかくも、なゐの嘆きの続くことに心痛みます。さて付けをいたします前にお訊ね、確かめいたしたきことひとつふたつしたためますこと、お許しくださいませ。枕草子の作者にかぶれて、きつい書き様になりませぬよう心しつつ。宗匠様ご一直の 打ち棄てし名の口惜しき夜 朝姫さま (6月14日)の元のお句は 打ち棄てし名を懐かしむ夜 朝姫さま (6月12日)でございましたが、遊香さまはこの元句に 付けをお出しになりました。(時系列が示しております)。「口惜しき夜」と「懐かしむ夜」がほぼ同義であればこまごま申し上げることではございませんが「口惜しき」は古語辞典によれば、残念だ。がっかりする。不本意だ。はがゆい。不満だ。惜しい。情けない。つまらない。感心しない。の意でありまするゆえ、しょうしょう意味が分かりにくく思われるのでございますが。羽衣さまの「とぶらひて候」のお句を無常とおとりになられましても、やはり懐旧と障りますかどうか、末席よりのお尋ねなにとぞお許しくださいませ。さらに(清少納言のナギコさんもあきれる出過ぎようではございますが) 毬を蹴るまねごと足の勇み出し 遊香さまさすが!川柳子!時宜にかなってぜひこちらを頂戴したいお句!!宗匠様ご一直の「年を恥じ」となさいますと、述懐となるように思われます。つつく句数としてはよいのであろうとは思いますが。「まねごと」の箇所のみやや俳諧と拝しております。宗匠様なにとぞご寛恕もちましてよろしうお願い申しあげます。そのむかし、初見参の仏国まではるばる応援にでかけたものとしては今夜の日本、応援しないわけにはいきません。 by 千草 (2018-06-19 17:31)
17日の日曜日から長崎に出かけていました。雨の日が続く中、1日だけ曇りの日があり、運よく長崎沖の軍艦島こと端島炭鉱跡に上陸、見学できました。最盛期は人口5000の島も今は廃墟の無人島。炭鉱労働者はいずこともなく消え去りましたが、炭鉱を経営していた三菱は明治から現代までしたたかに生き延びて、儚い労働の対極にある資本の永続性を謳歌しています。無常の風景でした。21日帰宅しました。連歌練習帖を開くと、「述懐」をめぐって炭塵爆発が起きておりました。以下、その初期消火作業です。①「述懐」「懐旧」「無常」「哀傷」について 『連歌新式』は「昔・古・老・生死・世・親子・苔衣・墨染衣・隠家・捨身・憂身・命」の12語を述懐の用語に指定しました。さらに『無言抄』は「白髪」「我齢ひのたけゆく」「古の道」「鏡の影のかはる」「つみとが」を述懐用語に追加しています。やっかいなのはこれらの語の使用法です。「親子と言わず、親、あるいは子と単独に使っても述懐になる。句には述懐の意図はあるが、『柴の庵』『侘びしき』など、12の述懐用語をきちんと使っていない句は、述懐の句とみなさない」(『連歌新式心前注』)との厳格な説があります。一方で「墨染衣」は使い方次第で釈教となる、生死の『生』だけでは述懐にならない(連歌新式肖柏注)という説もあります。さらに実際の句づくりでは、述懐12語を使わなくても述懐句とみなされる比較的幅広い述懐の判定がありました。 世にこそ道はあらまほしけり 宗祇 何をかは苔のたもとにうらみまし 肖柏 すめば山がつ人もたづぬな 宗長 (湯山三吟1折裏4-6)宗祇は定石通り「世」を、肖柏は「苔のたもと=苔衣」を使って述懐句をよんでいますが、宗長は「隠家」の意を込めて「すめば山がつ」としています。注釈書では宗長句も述懐としています。句意によって述懐が成り立つという解釈をとったのでしょう。したがって、述懐句とは①述懐の指定用語12語をはっきりと使って心の内を吐露した句②述懐の指定用語は使っていないが、その周辺の語を使って述懐の気分を述べた句ということになります。②の場合、述懐句であるかどうかの判定は、人により異なってきます。なお、「懐旧」は「わすれはてねばうきも思ひ出」(恵覚 至徳2年石山百韻)のような句。「哀傷」は古今和歌集や新古今和歌集に「哀傷歌」として分類されている人の死を悼む挽歌の伝統を引く用語。「無常」については、仏教用語では「万象ことごとく生滅してとどまることなく移り変わること」ですが、『平家物語』以降、無常は死の同義語・比喩的表現としてつかわれた、と『岩波仏教辞典』が説明しています。「哀傷」という連歌用語が「無常」という言い方に変わって行きました。このように「述懐」は述懐用語12語を使ったオリジナル「述懐」とその周辺にある句意による拡張「述懐」、「懐旧」と人の死に関係する「哀傷―無常」で構成されています。連歌新式では述懐・懐旧・無常・哀傷をひっくるめて「述懐」グループに入れ、3句まで続き5句隔てるものと定めています。②「みしるしなきもとぶらひて候」はお弔いの句ですから、連歌の伝統に従って「哀傷」(無常)の句、すなわち「述懐」のジャンルに入ります。③「打ち棄てし名を懐かしむ夜」はバッチリ懐旧の句で、これも「述懐」の大枠に入ります。「打ち棄てし名の口惜しき夜」は懐かしむ気分が消え「その夜のいらだち」の意味が前面に出ますが、「打ち棄てし名」と絡んで「懐旧」を感じる人もいるでしょう。④「懐かしむ夜」と「口惜しき夜」ですが、<接続法1> 僧ひとり荒野の冬の月の道 打ち棄てし名を懐かしむ夜付け 白湯そそぐ器に深き藍のいろ かそけきは篠笛なりや草の原 ほころびを繕わんとて急ぐ針 毬を蹴るまねごと足の勇み出し (上鞠の軒に届かぬ年を恥じ)<接続法2> 僧ひとり荒野の冬の月の道 打ち棄てし名の口惜しき夜付け 白湯そそぐ器に深き藍のいろ かそけきは篠笛なりや草の原 ほころびを繕わんとて急ぐ針 毬を蹴るまねごと足の勇み出し (上鞠の軒に届かぬ年を恥じ)<接続法1>も<接続法2>もスムーズに句が流れているように見えます。付句を式目に従って整頓する作業を担当する楽歳の仕事は、式目違反の疑いのある句の救出です。その副作用として「懐かしむ」を「口惜し」に変えるような作者個人のオリジナリティーに反する提案をすることがあります。「懐かしむ」はプラスの思い、「口惜し」マイナスの思いになります。間をとって「打ち棄てし名にもの思ふ夜」とすれば、懐旧の匂いが強まります。この原句のニュアンスを保持しつつ懐旧の句でないようにする方法は楽歳の手に余りました。良い案をお持ちの方はご教示ください。最善の方法はこの句をボツにして、2折裏12からやり直すことですが、そこまでやる必要のあることがらではないでしょう。⑤「年を恥じ」が述懐どうかについては①をお読みください。「ある」と「ない」の2つの立場があります。「『夜さむ』は秋だが、『夜をさむみ』とすると冬(『無言抄』)」になる連歌のトリビュアリズムを考えると、「老を恥じ」「齢恥じ」「年を恥じ」をめぐって議論は尽きないことでしょうね。千草さまが述懐であるとご判断なさる場合は、えいやっと、原句 毬を蹴るまねごと足の勇み出しを生かして付け句をお考えになるのも自由です。以前も申し上げましたように、式目運用についても最終判断は治定をなさる付け句作者にあるとするのが連歌練習帖の進め方です。 by 連歌楽歳 (2018-06-21 20:54)
長崎のご旅行から帰宅なさってお疲れのところ、たくさんご解説をいただいて恐れ入ります。述懐に大きく包含される懐旧・無常・哀傷などの分類を復習していただき限定する用語17語について、また句数についての3~5句についてお教えいただきありがとうございました。 御(み)しるしなきもとぶらひて候 衣 僧ひとり荒野の冬の月の道 歳 打ち棄てし名の口惜しき夜 姫この三句の渡りの第三句、元の「懐かしむ」が打越の障りとされたことは仮に、第二句の「僧ひとり」のお句に述懐を限定する用語が一語あれば述懐三句で解決したと考えることもできるのではないかと思ったりしたのは自分にとっての連歌練習帖でございました。進行を遅らせましたこと、失礼しました。また、遊香さまの蹴鞠の御つけにはうれしくなって、すでにご一直のご了解済みであるのにかかわらず、それこそ勇み足いたしましたのは、わがとがと心得ております。遊香さま、お許しを。遅くなりましたが 白湯そそぐ器に深き藍のいろ 遊香こちらを頂戴いたします。付け こころ足らひてかなの手習 千草 もの言はずとも思ひ叶へば まつさととあるしもうさの邑 夢のつづきにかぞへうたしてよろしくお願いいたします。 by 千草 (2018-06-22 20:49)
こころ足らひてかなの手習 千草雑 もの言はずとも思ひ叶へば雑 恋 「思ふ」は恋の常套語。「いかでかは思ひありとはしらすべき室の八島の煙ならでは」(藤原実方 詞花和歌集) まつさととあるしもうさの邑雑 「まつさと」は「松(待つ)里」、「しもうさ」は「下総」、「邑」の読みは「むら」「さと」のどちらでしょうか? お尋ねします。 夢のつづきにかぞへうたして雑 「かぞへうた」が古今集仮名序のかぞへ歌であれ、室町歌謡のかぞへ歌であれ、ここの「夢」は文脈からして夜分の夢。2句前に「口惜しき夜」があります(夜分と夜分は5句)。ご再考下さい。 by 連歌楽歳 (2018-06-23 12:08)
吟味いただきましてありがとうございました。お尋ねの「邑」は「むら」とお読みいただければと思います。また、夜分に障りました「夢のつづきに」は 知らず知らずにかぞへうたしてとしてはいかがでしょうか。 by 千草 (2018-06-23 13:30)
千草さま 即答多謝 知らず知らずにかぞへうたして 雑 まつさととあるしもうさの邑(むら)雑 更級日記を下敷きにしているとすれば、「まつさと」は下総と武蔵の境にあった「松里」のこと。「しもうさ」は「下総」で、更級日記の時代には「しもつさ」、のちに「しもふさ」、現代では「しもうさ」。時代によってかな表記は変わりますが、どれでもよろしいでしょう。地名 国郡、居所 by 連歌楽歳 (2018-06-23 14:15)
みなさま2折裏はこれでおしまい。3折表に移ります。 by 連歌楽歳 (2018-06-23 14:27)
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2折表14から転載
ころも擣つ袖の雫を(露をば)はらひつつ
秋 檮衣 袖で衣類 袖の雫、袖の露(降物にこれを嫌わずと『連歌新式』)。選択は付け句作者のお好みのままに。「檮衣」は『毛吹草』で中秋、「ころも檮つ袖の露」は暮秋。そこまで気にすることはないと思います。袖の雫・露=涙、句の雰囲気から恋の句
色かへぬ松としきかば帰り来む
秋 「色かへぬ松」は『毛吹草』に秋 木類 百人一首「たち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む」をふまえ、色かへぬ松=いつまでも若々しい人、松=待つの掛詞もあって、恋の句として読むことも可能
袖の露いつきの宮のおん別れ
秋 衣類 斎宮はこの句の場合、伊勢神宮あるいは伊勢神宮や賀茂神社に奉仕する斎宮女の居所 神祇 涙+別れ、で恋
秋いそぐこゝろかなしも宮こ人(袖の露)
秋 宮こ人は人倫、国郡 「宮こ人」「袖の露」の選択は付け句作者に。袖の露とすれば恋の句の味わい
つまもまた衣うつ音きくならん
秋 衣うつ音 つまは人倫、男女不明だが、連歌の世界では砧打つのは女でその声を聞くのは男と相場が決まっていた。李白の子夜呉歌を連想させて、夫が遠征から帰る日を待つを待つ妻、恋の句。現代では砧うちは民芸工房あたりでしか見られないが、この場合は男の職人が砧打ちをすることが少なくない。
君(つま)もまた誰が衣うつ音(ね)に覚むや(寝ねず)
秋 衣うつ 衣類 つま・誰で人倫 「誰が衣うつ」は「たがころもうつ」「たれがきぬうつ」の二通りのよみ方が可能。これも恋の句ととってよさそう。「覚む」「寝ねず」が夜分をおもわせ、第9句の星(夜分)と障る可能性があるものの、そこまで細かく踏み込む必要性はなさそう。
◇
① カット写真は奥多摩の若葉。撮影した植物にうとい私は何の木か知りません。
② 「荻」と「末枯」の季節のずれの件。『至宝抄』に初秋と晩秋に分けていますが、この使い分けは発句で当季をピンポイントで定める場合の使い分け。発句以外では区分は緩やかでした。
宮島千句第8(16世紀半ば)に、
①ゆふへより夜寒もしるし荻の声
②野は末枯に露おつるころ
③牡鹿ふすかの岡越えの秋更けて
④有明がたのをちの山風
発句と脇で「夜寒」「荻の声」「末枯」が入り乱れています。夜寒は『毛吹草』で暮秋。
③酔芙蓉は同じ花が朝昼夕で色を変えるそうですが、木槿は白からピンク、濃い赤まで個体によって花の色のグラデーションが多彩です。
by 連歌楽歳 (2018-05-08 22:32)
宗匠さま みなさま
本日も 花前に戻った様な 冷たい雨の一日でした。
何卒 ご体調にはお気をつけ遊ばされますよう~
扨、早速のお捌きとご教示 誠に有り難うございました。
中でも 宮島千句第八 の ご例示 誠に細密画を拝見致す
ようで実に精巧な織物のようでございます。
以前にも ご教示賜わりましたやもしれませんが 本日
あらためて 宮島(天満宮毎月連歌会の図)心に留めました。
この調子で千句!とても読み切れるものではございませんが
ご例示頂きました四句だけで充分胸が一杯です。
季節の初・仲‣晩(暮) の区別は発句の為のものなど沢山の
お導き あらためて有り難うございました。
(それと たんぽぽの絮 のズームアップ いいね!いいね!です)
では 梢風さま よろしくお願い致します。
by 羽衣 (2018-05-09 00:55)
つまもまた衣うつ音きくならん 羽衣
付
旅にあらねど旅のこころを 梢風
いくさに飽きてをりし宮人 〃
いにしへはなき川の流れも 〃
○楽歳様よろしくお願い致します。
もう暫くしましたら四国遍路に出かけます。25日に戻る予定です。
by 梢風 (2018-05-09 11:18)
旅にあらねど旅のこころを 梢風
雑 旅
いくさに飽きてをりし宮人
雑 「宮人」が宮仕えする人(宮廷官僚)であれば人倫、神官を意味すれば神祇・人倫
いにしへはなき川の流れも
雑 述懐(古=いにしへ) 水辺体
◇
梢風さま
道中お気をつけてお巡りください。
by 連歌楽歳 (2018-05-09 15:18)
楽歳様、皆様
GW中の暑さが嘘のようなここ数日の寒さです。
さて旅に出られる梢風様の
旅にあらねど旅のこころを
をいただきました。
付
争ひを厭ひ眺むる杉木立 朝姫
写し絵の荒ぶる濤を見てゐたり
うつせみの世を渡りゆく人はみな
楽歳様、ご指導宜しくお願い致します。
by 朝姫 (2018-05-10 23:47)
争ひを厭ひ眺むる杉木立 朝姫
雑 木類
写し絵の荒ぶる濤を見てゐたり
雑 「写し絵」が写生画であれ、幻灯であれ、濤は水辺用
うつせみの世を渡りゆく人はみな
雑 述懐 「うつせみの」は世にかかる枕詞、世は5句物(只1、浮世・世間の間に1、恋の世1、前世1、後世1) 人倫 第1句の「つま」と人倫打越になっていますので、ご工夫をお願いします。
by 連歌楽歳 (2018-05-11 12:45)
楽歳様
早速のご指導ありがとうございます。
人倫の打越、うっかりしておりました。
以下のように変更お願い致します。
うつせみの世を渡りゆく人はみな
↓
棹さしてうつせみの世を渡りゆく
宜しくお願い致します。
by 朝姫 (2018-05-12 13:15)
朝姫さま
はい、了解です。
by 連歌楽歳 (2018-05-12 14:32)
路花さまはこの6月に熊谷で開く『テレジン収容所の幼い画家たち展』の準備のため、このところ東奔西の毎日です。時間がないので展覧会終了まで、一時リタイアさせてくださいとご連絡をいただきました。
そこで、楽歳が代打に立ち、やり句でつなぎます。
◇
●2折裏3に、
棹さしてうつせみの世を渡りゆく 朝姫
をいただいて、
●2折裏4付け
苦も無くつもるわが笠の雪 楽歳
ときに早瀬の浮きつ沈みつ
浦の波間に朽木漂ふ
◇
苦も無くつもるわが笠の雪
冬 雪は降物
ときに早瀬の浮きつ沈みつ
雑 早瀬は水辺体
浦の波間に朽木漂ふ
雑 浦と波で水辺体・用 木類
by 連歌楽歳 (2018-05-21 13:02)
先に送った
苦も無くつもるわが笠の雪
は、7句前に「霜」があって、冬季7去りにさわります。
しぶきも楽し保津川下り
雑 水辺体 名所
と変更します。
by 連歌楽歳 (2018-05-21 13:36)
路花さま
どうかお心やすんじられますように。
宗匠様が「代打」のお役でバッターボックス(大和ことばでは、何と申せばよろしいやら)にお立ちになられましたのでひとまず歩み始めさせていただきますが
急ぐ旅ではない連歌、お帰りをいつでもお待ちいたしております。
(そういえば、打棒の遊戯にぶりぶりぎっちょうとやらがありますが、
バッターボックスには、それを使うことができるかもしれません)
路花さま
展覧会のご盛況を祈念申し上げます。お大切にあそばしてくださいませ。
それでは
ときに早瀬の浮きつ沈みつ 楽歳
こちらをいただきます。
付け
都歌思ひいづれば涙して
めづらかに触れてもみたきさざれ石
言の葉のことなる端のをもしろく
おもはむ子いといとほしくはぐくみて
ひと昔その面影のをちの水
どうぞよろしくお捌きください。
思いつくままの付け、例によって式目は宗匠様頼みをお許しください。千草
by 千草 (2018-05-21 22:27)
都歌思ひいづれば涙して
雑 思い出して涙、というのだから恋の述懐、都は国郡
めづらかに触れてもみたきさざれ石
雑 土・砂・石は地儀、砂と石の中間の細石も地儀
言の葉のことなる端のをもしろく
雑 言の葉に歌は付け打越ともに嫌う。 Whisky とwhiskey、 「揚げ豆腐」と”I get off.”
おもはむ子いといとほしくはぐくみて
雑 人倫
ひと昔その面影のをちの水
雑 述懐 「昔」は1句物 「面影」は2句物(只1、花月などに1)で恋の常套語、くわえて「をち水」は神話時代の若返りの水(水辺用。北欧の酒・アクアヴィットは命の水で、日本の酒を般若湯ともいうので、水辺でない可能性もあり)。恋の句でしょう。
by 連歌楽歳 (2018-05-22 11:41)
宗匠様
ごめんください。
をもしろく、は、おもしろく
でございました。
猫の尻尾の様で失礼いたしました。
揚げ豆腐、いとをかし。楽しい空耳でございます。
by 千草 (2018-05-22 12:53)
宗匠さま、皆さま、
たいへんお待たせいたしました。
千草さまのお句
言の葉のことなる端のおもしろく
を頂戴いたしまして、
拙付、
童たらしの風車売り
雪垣解けば童いさかひ
相撲取草引きて戯れ / 菫草引き戯るる児ら
午のまつりに舞へるわざをぎ
をろがみいのる声いづくより
かぎろふ辺り馬を追ひつつ
遊びやせむと生れにしものに
以上です。
ご指導よろしくお願い申し上げます。
by 如月 (2018-05-28 11:59)
童たらしの風車売り
春 風車売りは俳諧春の季語 人倫
雪垣解けば童いさかひ
春 雪垣(雪囲い)は俳諧冬の季語、それを解けば春 人倫 垣は居所用
相撲取草引きて戯れ / 菫草引き戯るる児ら
春 相撲取草が菫草の異名の場合は俳諧春の季語(「をひしば」の異名の場合は、秋の季語) 草類 児は人倫
午のまつりに舞へるわざをぎ
「午のまつり」は大津・日吉神社の祭礼・「うまの神事」別名「山王祭」の事でしょうか。俳諧季語で春(東京・日枝神社の場合は夏の季語、と歳時記に) 神祇 人倫
をろがみいのる声いづくより
雑 神祇とも釈教ともキリスト教とも、判別不明
かぎろふ辺り馬を追ひつつ
春 陽炎(この現象を連歌でどの範疇に入れるか?) 獣類
遊びやせむと生れにしものに
雑
by 連歌楽歳 (2018-05-28 17:48)
宗匠さま、
ご指導有難うございました。
「決定不能」の個所などにつきまして、補足させていただいても、よろしいでしょうか。
・「童いさかひ」は、子ども同士の喧嘩という名詞として考えました。可能なら、そのように取ってくださいませ。
・「相撲取草」は、春の季語、菫の異名として考えました。あの可憐な菫がこともあろうに相撲取とは!
「あんまりな」と思いますが、この植物は見掛けによらず頑丈な野草のようで、茎の曲がった所を引っ掻けて、引っ張り合って遊ぶのが、異名の由来のようですね。
・「午のまつり」は、春の季語として考えました。大津・日吉神社の山王祭でも、伏見や王子のお稲荷さんの初午・二の午でも、春の祭であれば何と取っていただいても構いません。
私の地元の王子稲荷では、昔は初午祭の夜にお神楽などあって、賑やかでした。
・「をろがみいのる声」は、実は当初はオラショが念頭にありましたが、どの宗教と取っていただいても構いません。
なお、以下の句も作っていましたので、もし問題なければ、追加させていただけますでしょうか?
額づきをろがむ異邦(とつくに)の主(かみ)
長たらしく書きまして、失礼いたしました。
宗匠さま、
宜しくお願い申し上げます。
夢梯さま、
お捌きよろしくお願い申し上げます。
皆さま、
今週末はもう六月。梅雨入も遠くないような蒸し暑さですね。
どうか御身御大切にお過ごしくださいませ。
by 如月 (2018-05-28 22:29)
如月さま
解説有難うございました。
◇
額づきをろがむ異邦(とつくに)の主(かみ)
雑 額づくの「ヌカ」は人体ととるのが自然でしょう。異邦(とつくに)の読みは許容範囲かどうか。夢梯さまのご判断にゆだねます。主(かみ)は漢字辞典に「古訓」として〔字鏡集〕に「キミ・ヌシ・カミ・マホル・ウソフク・ツカサドル・アヅカル・アルジ・タモツ・ハルカ・セム・サス」とありました。とつくには国郡 主は長(おさ)に似たような者で人倫
by 連歌楽歳 (2018-05-29 00:18)
宗匠さま、
さらにお手を煩わせてしまいました。ご指導ありがとうございました。
「主」は、信者が「我が主イエス」をおろがむという意味で使ったのでした。
息子イエスは父なる神と一体化されていますので、かみとルビを振ったのでした。
面倒な書き方をしたために、ご迷惑をお掛けいたしました。
でも、おっしゃるように、動作の主体として「主長がおろがむ」と解釈してくださって、全くかまいません。
もし、文法的に目的語として取るのが難しい場合は、捨ててくださいませ。
お手数をお掛け致しましたことお詫びしまして、改めてお礼申し上げます。
by 如月 (2018-05-29 18:01)
夢梯さまから次のような治定と付け句をいただきました。
◇
2折裏6に
かぎろふ辺り馬を追ひつつ 如月
をいただきまして、
2折裏7付け、
はろばろと清き風吹く若草に 夢梯
里人の早や耕しを始めゐて
けふこそは筑波越えむと暮の春
思ふどち春の山辺に(永きひと日を)遊び慰(な)ぐ
仔馬らは親の帰りを待つならむ
◇
はろばろと清き風吹く若草に 夢梯
春 若草は草類 吹物
里人の早や耕しを始めゐて
春 「耕し」は俳句春の季語、連歌の「はた打つ・小田返す」にあたる 人倫
けふこそは筑波越えむと暮の春
春 けふは2句物(折を替える) 筑波は国郡、山類の可能性もあり、名所 「筑波越えむと」で旅の雰囲気。5句前の2折裏2の「旅にあらねど旅のこころを」と障る感じがかすかにあります。ですが、「旅にあらぬ心の旅」と「筑波越え」は双方あまり強くない旅の気配ということで中4句でOKとしましょう。、
思ふどち春の山辺に(永きひと日を)遊び慰ぐ
春 「思うどち」は気のあった仲間、「思う仲」なら恋人同士、この句は恋の句ではないということで。人倫 山類(永き日で春、ひと日で数字) 辞書にあたりましたが「慰(な)ぐ」という用例は見当たりませんでした。当て字として許容するかどうか、付け句作者がご判断下さい。
仔馬らは親の帰りを待つならむ
書き忘れておりましたが「馬」は1句ものです。この句あずかり。
◇
なお、2折裏は「花」を出す面です。次の第8句、9句で花の句をお願いします。
by 連歌楽歳 (2018-06-02 21:40)
追伸
夢梯さまから直しの連絡をいただきました。
はろばろと清き風吹く若草に 夢梯
↓
はろばろと清らなる風若草に
by 連歌楽歳 (2018-06-05 17:44)
皆様 関東地方も梅雨入りと聞きますが、今日は青い空です。
お待たせいたしました。月、火と百韻合宿(連句)に出かけておりました。
俳諧から連歌モードに切り替えるのに暇取ってしまいました。
おゆるしください。
夢梯さまの御句、
思ふどち永きひと日を遊び慰ぐ
としていただきまして、拙次、花を案じました。
うすべに(くれなゐ)の花さかづきに受け 蘭舎
蝶舞ふ里に花も舞ひ初め
風に枝垂るる花の艶にて
たそがれ時は花も香を増し
はるかに偲ぶみちのくの花
楽歳さま、お次の梢風さま、よろしくお願い申し上げます。
PS 写真はかわいらしい実梅ですね。
by 蘭舎 (2018-06-07 13:43)
うすべに(くれなゐ)の花さかづきに受け 蘭舎
春 花 木類 飲酒
蝶舞ふ里に花も舞ひ初め
春 花 木類 虫類(『連歌新式』には蝶について説明をしていませんが、後世の『産衣』は1句物としています。新式に従って2句を認めますが、産衣に敬意を表して2句どまりとしましょう。1裏11に蝶既出) 居所
風に枝垂るる花の艶にて
春 花 木類 吹物 「花の艶」を「はなのエン」と読むと字音、「はなのツヤ」だとちょと舌足らず。「花の艶(つや/あで)やか」と直球でいかがでしょうか?
たそがれ時は花も香を増し
春 花 木類 時分(夕)
はるかに偲ぶみちのくの花
春 花 木類 述懐(5句前に述懐句あり、「偲ぶ」なんとかなりませんか?) 国郡
◇
申し遅れましたが2裏7の「永きひと日」は「永き日」と同類であり、「永き日」「遅き日」は合わせて一句物でした。
by 連歌楽歳 (2018-06-07 18:01)
楽歳さま
いつもながら、早速のご吟味ありがとうございます。
「蝶」、二句でも差しつかえなければ、おゆるし下さい。
「艶(あで)」は、ひらいて、清音で「あてやか」または、「あてなり(なる)」
風にしだるる花のあてやか(あてなり あてなる)
としてみましょう。
「しだるる」も清音「したるる」とできるのであれば、と思いますが、わかりませんので、そのままにしておきます。
「偲ぶ」→「したふ」に。それでも述懐になりましょうか??
その場合は、ばっさりと、お捨て下さい。
ことば、漢字の意味、用例、時代による変化、すこし調べはじめただけでも、あまりに広大な混沌たる海に投げ出されている気分になります。
お手数おかけ致します。よろしく御願いいたします。 蘭舎拝
by 蘭舎 (2018-06-08 03:53)
蝶舞ふ里に花も舞ひ初め 蘭舎
付
旗の音混じりて風のおぼろなる 梢風
村々は蚕を飼ふ声のせはしげに 〃
どこやらに騒ぐ声ある田螺採り 〃
うららかにみ寺を巡るうれしさよ 〃
○梅雨入りながらじりじりと朝から照りつける日差しです。元気に乗りきりましょう。楽歳様ご吟味よろしくお願い致します。
by 梢風 (2018-06-08 08:29)
旗の音混じりて風のおぼろなる 梢風
春 風(吹物) 旗(幟)が音を立てるほどの風でありながら、“連歌では春は風もおぼろ”としたものです。勝利の見通しの定かではない戦国武将の出陣風景のようにもみえます。あるいは、シンガポールに向かうキム・トランプ両氏の心象風景でしょうか。
村々は蚕を飼ふ声のせはしげに
春 蚕は虫類(蝶に蚕はいわゆるすり付け) 村は国郡
どこやらに騒ぐ声ある田螺採り
春 田螺は『連珠合璧集』によると「貝類」。桜貝、アワビ、鳥貝、変わったところでは「亀」も。「春雨の柳は全体連歌也。田にし取る烏は全く俳諧也」と『三冊子』。水辺体用外(5句前に「早瀬」があるが、重複感が無いので無視)
うららかにみ寺を巡るうれしさよ
春 麗日は万葉以来の春の定番 釈教 遍路の楽しみ。
◇
今日あたりはまだ日影では風が心地よいのですが、まもなく降り始めるとうっとうしいことです。
by 連歌楽歳 (2018-06-08 12:35)
宗匠さま みなさま
本日も いと真夏なる梅雨の晴れ間 天はさすがに天邪鬼のご様子
にて せいぜい物干しにはげみませう。
扨、二折九句目
旗の音混じりて風のおぼろなる 梢風さま 頂きます。
付け
偏に辿るみほとけの道
そはいにしへのいくさ語らひ
ふいを討たれし(衝かれし)若きつはもの
御(み)しるしなきも弔ひの寺(とぶらひて候)
あはれかばねをこえてこの道
みぐしおろせばみほとけの笑む
思いつくまま 雑いくつか (一度画面がすっかり消えてしまい 頭も
真っ白になり果て)よろしくお導き頂きますよう お願い申し上げます。
by 羽衣 (2018-06-09 14:18)
宗匠さま
パソコン不具合にて いつ消えてもおかしくないので 取り急ぎの
拙付け 失礼致しました。
人倫など お差しさわりございましたら ご遠慮なく没、または
ご一直頂けましたら幸いです。
by 羽衣 (2018-06-09 14:36)
<2折裏10付け>
偏に辿るみほとけの道 羽衣
雑 釈教
そはいにしへのいくさ語らひ
雑 古は1句物
ふいを討たれし(衝かれし)若きつはもの
雑 人倫
御(み)しるしなきも弔ひの寺(とぶらひて候)
雑 釈教(哀傷) 「みしるし」は付け句の流れからすると「首級」で人体か?
あはれかばねをこえてこの道
雑 哀傷 屍も人倫のうち
みぐしおろせばみほとけの笑む
雑 釈教 人体
◇
羽衣さまのパソコンも夏バテでしょうか。
私の機械も先ほど暴走しました。windows7なので来年でマイクロソフトがサポートを打ち切ります。使えるのはあと1年。windows は変更のたびに無用な機能ばかり飾り立てて、読み・書き・そろばんだけの利用者にとっては使いにくくなります。
by 連歌楽歳 (2018-06-09 21:33)
宗匠さま
恐れ入ります。やはり夏バテでしょうか?
東芝のダイナブックで Windows vista という代物なので
致し方ないかと観念致しております。ご迷惑さまです。
連歌入門 と同時に パソコンデビュー、千草さまに大変
お世話になりました。ようやく慣れて参りましたのに~
平仮名表記でないとだめなので 兎に角これを騙しだまし
行くしかなく 失礼の段ご寛容の程よろしくお願い申し上げます。
お後の展開も 何卒よしなにお願い申し上げます。
お導き頂き 誠に有り難うございました。
(ぽつねんと傾ぐオブジェや青嵐 なにかほっといたします)
皆さまにも 台風の影響(天邪鬼)にはご注意遊ばされますよう~
by 羽衣 (2018-06-09 23:58)
あ!!!
羽衣さま、windows vista は去年サポートが切れ、いまは無防備です。このままインターネットで使うのは、プロテクターなしでアメフト、防具なしで竹刀を振り回すのと同じ。危ないですよ。夏バテとばかり思っていたら、ウイルス感染だったりしますから。
楽歳
by 連歌楽歳 (2018-06-10 00:15)
2折裏10に
みしるしなきもとぶらひて候 羽衣
をいただいて、
●2折裏11付け
僧ひとり荒野の冬の月の道 楽歳
月さえて夜目にもしるき塚ひとつ
晴れ時雨れ雪の間合いに昼の月
◇
僧ひとり荒野の冬の月の道
冬 月 光物 人倫 数字 地儀
月さえて夜目にもしるき塚ひとつ
冬 月(冴ゆ) 光物 夜分 数字
晴れ時雨雪の間合いに昼の月
冬 月 光物 時雨は2句物(秋と冬に各1) 時雨雪とも冬
「しるし」には「墓標」の意味があるそうで「暫く、これなるしるしにむかひ、回向をなしておん通り候へ」の例文が電子辞書にありました。物騒な「しるし=首級」よりこちらの方が穏当ですね。
by 連歌楽歳 (2018-06-10 22:23)
楽歳様、皆様
昨日は台風、今日はにわか雨と梅雨らしい日々です。
この時期、乾燥機のありがたみを噛みしめています。
楽歳様の
僧ひとり荒野の冬の月の道
をいただきまして、付は以下の通りです。
そらんじたる名も今は何処へ 朝姫
打ち棄てし名を懐かしむ夜
影従えて遠去かる背
またまみえんと祈るはらから
ご指導宜しくお願い致します。
by 朝姫 (2018-06-12 22:40)
そらんじたる名も今は何処へ 朝姫
雑
打ち棄てし名を懐かしむ夜
雑 夜分
影従えて遠去かる背
雑 この場合「背」は人体か?人倫か?
またまみえんと祈るはらから
雑 人倫
by 連歌楽歳 (2018-06-12 23:15)
遅くなりましてすみません。
朝姫様の
打ち棄てし名を懐かしむ夜
いただきまして、
付け
白湯そそぐ器に深き藍のいろ 遊香
かそけきは篠笛なりやひゅるひゅると
ほころびを繕わんとて急ぐ針
毬を蹴るまねごと足の勇み出し
お手直し、よろしくお願いいたします。
by 遊香 (2018-06-16 10:22)
打ち棄てし名を懐かしむ夜 朝姫
打越句(第11句)に「とぶらひ」という述懐(哀傷・懐旧も述懐のうち)があり、この句の「懐かしむ」(述懐・懐旧)が障りますので、「名を懐かしむ夜」を「名の口惜しき夜」と変えさせていただきます。朝姫さま、ご了解ください。
僧ひとり荒野の冬の月の道
打ち棄てし名の口惜しき夜
何となく、物語はつながっていますので。
●2折裏13付
白湯そそぐ器に深き藍のいろ 遊香
雑 「閼伽結ぶ」が水辺用なので「白湯そそぐ」も水辺用になるか、といえば、そうはならないでしょう。
かそけきは篠笛なりやひゅるひゅると
雑 「ひゅるひゅる」といった擬声語は連歌ではあまり使われてきませんでした。かそけき→篠笛→ひゅるひゅる、で気分重複ぎみなので、
かそけきは篠笛なりや草の原
(草類 地儀)
と場所を示してはいかが?
ほころびを繕わんとて急ぐ針
雑 「墨染衣」「苔衣」は連歌で、そのやぶれをつろう作業となれば、俳諧ですが、俳諧句としてこのまま。
毬を蹴るまねごと足の勇み出し
雑 足は人体 これも俳諧ですね。蹴鞠のスタートは上鞠から。
柳の枝の高き上鞠
という句が残っていて、それを参考に、前句の気分を受けて、
上鞠の軒に届かぬ年を恥じ
(軒は2句もの、居所体)
でいかがでしょうか?
by 連歌楽歳 (2018-06-16 14:22)
楽斎さま
お手直し、ありがとうございます。了解です。
ひゅるひゅると 確かに重複もしておりますね。
蹴毬はサッカーW杯の影響でした。
どうもすぐに俳諧になってしまいますね(笑)
どうぞよろしくお願いいたします。遊香
by 遊香 (2018-06-16 15:29)
楽歳様
お手直しありがとうございました。
打越の「とぶらひ」が「哀傷・懐旧も述懐のうち」とは全く気付かず、失礼致しました。
遊香様の付けには篠笛や綻び、上鞠などが出てきてどう展開するのかとても楽しみです。
蹴鞠と言えば、本当にW杯は最高峰の技ばかりで迫力が違いますね。
スペインーポルトガル戦を観ていたら、日本はまだまだと思ってしまいました。
by 朝姫 (2018-06-18 23:20)
大阪北部震源の地震災害、お見舞い申し上げます。
おりしも千草日記には、七年前の出来事を書きましたところにて
かくも、なゐの嘆きの続くことに心痛みます。
さて
付けをいたします前にお訊ね、確かめいたしたきことひとつふたつ
したためますこと、お許しくださいませ。
枕草子の作者にかぶれて、きつい書き様になりませぬよう心しつつ。
宗匠様ご一直の
打ち棄てし名の口惜しき夜 朝姫さま (6月14日)
の元のお句は
打ち棄てし名を懐かしむ夜 朝姫さま (6月12日)
でございましたが、遊香さまは
この元句に
付けをお出しになりました。(時系列が示しております)。
「口惜しき夜」と「懐かしむ夜」がほぼ同義であればこまごま申し上げることではございませんが
「口惜しき」は古語辞典によれば、残念だ。がっかりする。不本意だ。はがゆい。不満だ。惜しい。情けない。つまらない。感心しない。の意でありまするゆえ、しょうしょう意味が分かりにくく思われるのでございますが。
羽衣さまの「とぶらひて候」のお句を無常とおとりになられましても、やはり懐旧と障りますかどうか、末席よりのお尋ねなにとぞお許しくださいませ。
さらに
(清少納言のナギコさんもあきれる出過ぎようではございますが)
毬を蹴るまねごと足の勇み出し 遊香さま
さすが!川柳子!時宜にかなってぜひこちらを頂戴したいお句!!
宗匠様ご一直の「年を恥じ」となさいますと、述懐となるように思われます。つつく句数としてはよいのであろうとは思いますが。
「まねごと」の箇所のみやや俳諧と拝しております。
宗匠様
なにとぞご寛恕もちましてよろしうお願い申しあげます。
そのむかし、初見参の仏国まではるばる応援にでかけたものとしては
今夜の日本、応援しないわけにはいきません。
by 千草 (2018-06-19 17:31)
17日の日曜日から長崎に出かけていました。雨の日が続く中、1日だけ曇りの日があり、運よく長崎沖の軍艦島こと端島炭鉱跡に上陸、見学できました。最盛期は人口5000の島も今は廃墟の無人島。炭鉱労働者はいずこともなく消え去りましたが、炭鉱を経営していた三菱は明治から現代までしたたかに生き延びて、儚い労働の対極にある資本の永続性を謳歌しています。無常の風景でした。
21日帰宅しました。連歌練習帖を開くと、「述懐」をめぐって炭塵爆発が起きておりました。以下、その初期消火作業です。
①「述懐」「懐旧」「無常」「哀傷」について
『連歌新式』は「昔・古・老・生死・世・親子・苔衣・墨染衣・隠家・捨身・憂身・命」の12語を述懐の用語に指定しました。さらに『無言抄』は「白髪」「我齢ひのたけゆく」「古の道」「鏡の影のかはる」「つみとが」を述懐用語に追加しています。
やっかいなのはこれらの語の使用法です。「親子と言わず、親、あるいは子と単独に使っても述懐になる。句には述懐の意図はあるが、『柴の庵』『侘びしき』など、12の述懐用語をきちんと使っていない句は、述懐の句とみなさない」(『連歌新式心前注』)との厳格な説があります。一方で「墨染衣」は使い方次第で釈教となる、生死の『生』だけでは述懐にならない(連歌新式肖柏注)という説もあります。さらに実際の句づくりでは、述懐12語を使わなくても述懐句とみなされる比較的幅広い述懐の判定がありました。
世にこそ道はあらまほしけり 宗祇
何をかは苔のたもとにうらみまし 肖柏
すめば山がつ人もたづぬな 宗長
(湯山三吟1折裏4-6)
宗祇は定石通り「世」を、肖柏は「苔のたもと=苔衣」を使って述懐句をよんでいますが、宗長は「隠家」の意を込めて「すめば山がつ」としています。注釈書では宗長句も述懐としています。句意によって述懐が成り立つという解釈をとったのでしょう。
したがって、述懐句とは①述懐の指定用語12語をはっきりと使って心の内を吐露した句②述懐の指定用語は使っていないが、その周辺の語を使って述懐の気分を述べた句ということになります。②の場合、述懐句であるかどうかの判定は、人により異なってきます。
なお、「懐旧」は「わすれはてねばうきも思ひ出」(恵覚 至徳2年石山百韻)のような句。「哀傷」は古今和歌集や新古今和歌集に「哀傷歌」として分類されている人の死を悼む挽歌の伝統を引く用語。「無常」については、仏教用語では「万象ことごとく生滅してとどまることなく移り変わること」ですが、『平家物語』以降、無常は死の同義語・比喩的表現としてつかわれた、と『岩波仏教辞典』が説明しています。「哀傷」という連歌用語が「無常」という言い方に変わって行きました。
このように「述懐」は述懐用語12語を使ったオリジナル「述懐」とその周辺にある句意による拡張「述懐」、「懐旧」と人の死に関係する「哀傷―無常」で構成されています。連歌新式では述懐・懐旧・無常・哀傷をひっくるめて「述懐」グループに入れ、3句まで続き5句隔てるものと定めています。
②「みしるしなきもとぶらひて候」はお弔いの句ですから、連歌の伝統に従って「哀傷」(無常)の句、すなわち「述懐」のジャンルに入ります。
③「打ち棄てし名を懐かしむ夜」はバッチリ懐旧の句で、これも「述懐」の大枠に入ります。「打ち棄てし名の口惜しき夜」は懐かしむ気分が消え「その夜のいらだち」の意味が前面に出ますが、「打ち棄てし名」と絡んで「懐旧」を感じる人もいるでしょう。
④「懐かしむ夜」と「口惜しき夜」ですが、
<接続法1>
僧ひとり荒野の冬の月の道
打ち棄てし名を懐かしむ夜
付け
白湯そそぐ器に深き藍のいろ
かそけきは篠笛なりや草の原
ほころびを繕わんとて急ぐ針
毬を蹴るまねごと足の勇み出し
(上鞠の軒に届かぬ年を恥じ)
<接続法2>
僧ひとり荒野の冬の月の道
打ち棄てし名の口惜しき夜
付け
白湯そそぐ器に深き藍のいろ
かそけきは篠笛なりや草の原
ほころびを繕わんとて急ぐ針
毬を蹴るまねごと足の勇み出し
(上鞠の軒に届かぬ年を恥じ)
<接続法1>も<接続法2>もスムーズに句が流れているように見えます。付句を式目に従って整頓する作業を担当する楽歳の仕事は、式目違反の疑いのある句の救出です。その副作用として「懐かしむ」を「口惜し」に変えるような作者個人のオリジナリティーに反する提案をすることがあります。「懐かしむ」はプラスの思い、「口惜し」マイナスの思いになります。間をとって「打ち棄てし名にもの思ふ夜」とすれば、懐旧の匂いが強まります。この原句のニュアンスを保持しつつ懐旧の句でないようにする方法は楽歳の手に余りました。良い案をお持ちの方はご教示ください。最善の方法はこの句をボツにして、2折裏12からやり直すことですが、そこまでやる必要のあることがらではないでしょう。
⑤「年を恥じ」が述懐どうかについては①をお読みください。「ある」と「ない」の2つの立場があります。「『夜さむ』は秋だが、『夜をさむみ』とすると冬(『無言抄』)」になる連歌のトリビュアリズムを考えると、「老を恥じ」「齢恥じ」「年を恥じ」をめぐって議論は尽きないことでしょうね。千草さまが述懐であるとご判断なさる場合は、えいやっと、原句
毬を蹴るまねごと足の勇み出し
を生かして付け句をお考えになるのも自由です。
以前も申し上げましたように、式目運用についても最終判断は治定をなさる付け句作者にあるとするのが連歌練習帖の進め方です。
by 連歌楽歳 (2018-06-21 20:54)
長崎のご旅行から帰宅なさって
お疲れのところ、たくさんご解説をいただいて恐れ入ります。
述懐に大きく包含される懐旧・無常・哀傷などの分類を復習していただき限定する用語17語について、また句数についての3~5句について
お教えいただきありがとうございました。
御(み)しるしなきもとぶらひて候 衣
僧ひとり荒野の冬の月の道 歳
打ち棄てし名の口惜しき夜 姫
この三句の渡りの第三句、元の「懐かしむ」が打越の障りとされたことは
仮に、第二句の「僧ひとり」のお句に述懐を限定する用語が一語あれば
述懐三句で解決したと考えることもできるのではないかと思ったりしたのは自分にとっての連歌練習帖でございました。
進行を遅らせましたこと、失礼しました。
また、
遊香さまの蹴鞠の御つけにはうれしくなって、すでにご一直のご了解済みであるのにかかわらず、それこそ勇み足いたしましたのは、わがとがと心得ております。遊香さま、お許しを。
遅くなりましたが
白湯そそぐ器に深き藍のいろ 遊香
こちらを頂戴いたします。
付け
こころ足らひてかなの手習 千草
もの言はずとも思ひ叶へば
まつさととあるしもうさの邑
夢のつづきにかぞへうたして
よろしくお願いいたします。
by 千草 (2018-06-22 20:49)
こころ足らひてかなの手習 千草
雑
もの言はずとも思ひ叶へば
雑 恋 「思ふ」は恋の常套語。「いかでかは思ひありとはしらすべき室の八島の煙ならでは」(藤原実方 詞花和歌集)
まつさととあるしもうさの邑
雑 「まつさと」は「松(待つ)里」、「しもうさ」は「下総」、「邑」の読みは「むら」「さと」のどちらでしょうか? お尋ねします。
夢のつづきにかぞへうたして
雑 「かぞへうた」が古今集仮名序のかぞへ歌であれ、室町歌謡のかぞへ歌であれ、ここの「夢」は文脈からして夜分の夢。2句前に「口惜しき夜」があります(夜分と夜分は5句)。ご再考下さい。
by 連歌楽歳 (2018-06-23 12:08)
吟味いただきましてありがとうございました。
お尋ねの「邑」は「むら」とお読みいただければと思います。
また、夜分に障りました「夢のつづきに」は
知らず知らずにかぞへうたして
としてはいかがでしょうか。
by 千草 (2018-06-23 13:30)
千草さま 即答多謝
知らず知らずにかぞへうたして
雑
まつさととあるしもうさの邑(むら)
雑 更級日記を下敷きにしているとすれば、「まつさと」は下総と武蔵の境にあった「松里」のこと。「しもうさ」は「下総」で、更級日記の時代には「しもつさ」、のちに「しもふさ」、現代では「しもうさ」。時代によってかな表記は変わりますが、どれでもよろしいでしょう。地名 国郡、居所
by 連歌楽歳 (2018-06-23 14:15)
みなさま
2折裏はこれでおしまい。3折表に移ります。
by 連歌楽歳 (2018-06-23 14:27)