電脳千句第五 賦青何連歌百韻 三折表 2014.6.25―
醍醐なる仏の教へ清明に 梯
遙か御空にあふぐ塔(あららぎ) 月
さびしさに呼べどつれなきみやこどり 草
にほひゆかしくひらく巻紙 風
逢ふことも今はかなはぬ君をこそ 舎
声をちこちに忘れやはする 香
睦言のよみがへりくるしののめに 歳
うつろふことを知らす冬霧 花
神無月つはもの一人逸れしむ 衣
国の境を越えて帰らず 梯
横笛の幽かにむせぶ築地うち 月
ししかくまかと老のしはぶき 草
しぐるれば如何にと翌のもみぢ狩 風
寝覚めがちなる奥山の秋 歳
電脳千句第五 賦青何連歌百韻 二折裏 2014.6.25-
絶え絶えに野寺の鐘のとほき道 舎
転ぶ小石のいつか止まりて 香
うつせみの浮名のはてのこけの塚 歳
京の出会ひを思ひ出づる日 花
ほとゝぎす夢のつづきの有りや無し 衣
文目もわかぬ雨のみぞ降る 梯
塞の神置かれし岸に波寄せて 如月
うかれめの手のいと細げなる 草
琵琶に依り睡れることのあまたたび 風
鄙にも月はしろう光りて 舎
蟋蟀のゑんりょながらにかはす声 香
よしなしごとを秋のつれづれ 歳
のどらかに頤の鬚すこし伸び 花
形見なるらむかの桜狩り 衣
電脳千句第五 賦青何連歌百韻 二折表 2014.6.25-
永らふる命の涯の物狂ひ 衣
問へど応へぬ鳥ぞ悲しき 梯
しみじみと山家に弦の響く夜 歳
梓弓はるもののふの影 草
流されし身にいくたびの雪ぞ降る 風
隠岐の水草を枯らすよこかぜ 舎
冬ごもりするものありや岩のうろ 香
訳さまざまに奥駈道を 歳
脚萎えの人に連れそふ童子ゐて 花
御衣の薫りゆかしくもあり 衣
訶梨勒のひも鮮かに真木柱 梯
しづのをだまきめぐりくる秋 歳
ため息に露けき袖を後の月 草
戻らぬ猫を思ふやや寒 風
電脳千句第五 賦青何連歌百韻 初折裏 2014.6.25-
ふりむけば佛さやかに立ちたまふ 風
おん手の魚篭にいをのいろいろ 草
水の音たどる歩みのほそぼそと 香
我が恋ふるひと小野のわたりに 舎
ひつそりときぬぎぬすぎて眉を刷く 路花
結べど消ゆる庭の初霜 歳
冬の蝶物思ふがに静もれる 梯
みやび忘れし鄙のいくとせ 羽衣
ゆくすゑもすぎにしかたも水のごと 草
起き直る日の山の紫 風
月をたゞ花のあはひに眺めんと 舎
里の宴に香る白酒 香
のどけくも民のかまどはけぶり立ち 歳
歌よみの文枕辺におき 花
電脳千句第五 賦青何連歌百韻 初折表 2014.6.25-
篳篥のゆらぐ音色や梅雨に入る 夢梯
泉殿にはあはき人かげ 楽歳
集ふともなくかたがたの集ひ来て 千草
籠に鳴かせる鳥のめづらか 梢風
けふが日も森から森へたそがれぬ 蘭舎
ひとり静かに茶をたててゐる 遊香
雲はらふ風のまのまの月の影 歳
閉せる門に荻のささやき 梯
電脳千句 第四 連歌賦何木百韻 2012.4.21-2014.3.30
001 待つほどに深山も花のさかりかな 楽歳
002 霞をわけて春の旅人 千草
003 かたらひの長閑になれる船路に 梢風
007 風のすがたの見ゆる川上 蘭舎
005 月影を砕くさゞ波音もなく 夢梯
006 すすきの露をこぼすまつむし 歳
007 やや寒に炊ぎの煙ほの青く 草
008 子の声さはに山裾の秋 風
一裏
009 ひのくれは里のけはひもやはらかく 舎
010 途切れがちなる木魚漏れくる 梯
011 五月雨の堂降り籠むる平泉 歳
012 はなたちばなの香るたまづさ 草
013 忘らるること忘れ得ぬもの千々に 風
014 またねの枕なほも恨みつ 舎
015 生き霊となりて繋がむこの先は 梯
016 こがね争ひおくれとりたり 歳
017 つぎなるはかの燕の子安貝 草
018 霞より生れいづる白船 風
019 むかしはといふ身の春の暮れそめて 舎
020 さしかけられし傘のうれしさ 梯
021 月今宵あひみる人の美しき 草
022 かひなにつつむ手枕の秋 歳
二表
023 携へて辿る野末の露しとど 梯
024 こゆべき山に鹿ぞ鳴くなる 舎
025 しづのをの学ぶこころの尊けれ 風
026 ふでかみすずり墨の清らか 草
027 ゆゑありて船を送るとふみの来て 歳
028 つはものつかさ額をあつめる 梯
029 吹きむすぶ月影しろき枯野中 舎
030 風におされて鷹のあゆめる 風
031 うたびとの心ほがらにありぬべし 草
032 のどけき空のまためぐり来ぬ 歳
033 何処へか雲間をよぎり竜の影 梯
034 国の蛙は戦はじむる 舎
035 盗まれてぬすみ返せし花の池 風
036 たはむれに画を描く僧正 草
二裏
037 経読むは歌も連歌もあきたゆゑ 歳
038 気儘な旅に立出づる夢 梯
039 朝焼に遠きみやこをまた思ふ 舎
040 水の匂ひの夏をのせくる 風
041 行く川のわが笹舟のあやふげに 草
042 きみぞたよりと離さじの袖 梯
043 恋はみな峰にさかるるちぎれ雲 歳
044 奥のしぐれを何と見るらむ 風
045 関の戸は尋ねまほしき白河の 舎
046 牧はおぼろにをちこちの駒 草
047 ふはふはと絮を飛ばして鼓草 梯
048 筆はすすまず永き日も暮れ 歳
049 たたなづく霞の中にうかぶ月 風
050 たゞほのかなる空木(うつほぎ)の影 舎
三表
051 鐘の音数ふるうちのうたた寝に 草
052 心の緒ろのやがて解けゆく 梯
053 ひさびさに山のいで湯のほととぎす 歳
054 ひと雨あれば田を植うる日に 風
055 物縫ひて結び忘れし糸の尻 舎
056 やごとなき名をいただきし猫 草
057 たまゆらの出会ひに胸の高鳴りて 梯
058 やがて二道かくる今様 歳
059 言の葉に吹く風裏と表見せ 風
060 よきもあしきも霧にまぎれて 舎
061 真葛原うねりの果に灯の幽か 梯
062 月と鼓とこころ一つに 風
063 古の聖をしのぶ柱にも 草
064 我にかへれば霜のおとなひ 舎
三裏
065 明くる夜の鶏の凍れる声をきく 歳
066 茜の空に何を祈らむ 梯
067 きたへたる玉の鋼を研ぎあげて 風
068 ふつのみたまの太刀ぞ畏し 草
069 富士に添ふ浦はいづれもかたちよく 舎
070 松の緑に煙ひとすじ 歳
071 野点する釣釜の声風の声 梯
072 いらへのどかに尼たちのゑみ 風
073 近衛には八重に七重に花車 草
074 にほひいたらぬ里はあらじと 舎
075 秋しぐれ丘の錦をかけおりる 歳
076 日々細りゆく蟋蟀のこゑ 梯
077 満ち欠けの不思議を月に問ふてをり 風
078 父母知らず十七となり 草
名表
079 常夏のはつかに匂ふ比翼塚 舎
080 ひとへぎぬにも移り香のこく 歳
081 声低きものをこはがること久し 風
082 とぼそを叩くかぜの暮れ方 歳
083 旅立ちの訳を猫にもねんごろに 草
084 けふはきのふのあだし身にして 舎
085 流れゆき変りゆく世々飛鳥川 梯
086 いを捕りながら後生いのらめ 風
087 夕霧のはれゆく彼方月ありて 歳
088 願ひの糸の紅のひとすぢ 草
089 逢ひ見てののちのまことか思ひ草 舎
090 茶の香残れるをだまきの盌 梯
091 鳥声に似たる翁のうとまれて 風
092 枯れた泥田で蓮根掘る日々 歳
名裏
093 曼荼羅のかたじけなさを伏し拝み 草
094 しきみの枝の香にむせびつゝ 舎
095 ひとつ鐘峡にひびかせ彼岸へと 梯
096 水の清らを映す朝日に 風
097 泉よりせせらぎ早瀬やがて海 歳
098 たなごころより飛びたてるてふ 草
099 ふり返り見れば一村花の雪 舎
100 ただ吹き透る春惜しむ風 梯
賦何木連歌百韻(電脳網千句第四番) 名残裏
曼荼羅のかたじけなさを伏し拝み 千草
しきみの枝の香にむせびつゝ 蘭舎
ひとつ鐘峡にひびかせ彼岸へと 夢梯
水の清らを映す朝日に 梢風
泉よりせせらぎ早瀬やがて海 楽歳
たなごころより飛びたてるてふ 千草
ふり返り見れば一村花の雪 蘭舎
吹き抜けるのみ春惜しむ風 夢梯
賦何木連歌百韻(電脳網千句第四番) 四折表
常夏のはつかに匂ふ比翼塚 蘭舎
ひとへぎぬにも移り香のこく 楽歳
声低きものをこはがること久し 梢風
とぼそを叩くかぜの暮れ方 楽歳
旅立ちの訳を猫にもねんごろに 千草
けふはきのふのあだし身にして 蘭舎
流れゆき変りゆく世々飛鳥川 夢梯
いを捕りながら後生いのらめ 梢風
夕霧のはれゆく彼方月ありて 楽歳
願ひの糸の紅のひとすぢ 千草
逢ひ見てののちのまことか思ひ草 蘭舎
茶の香残れるをだまきの盌 夢梯
鳥声に似たる翁のうとまれて 梢風
枯れた泥田で蓮根掘る日々 楽歳
賦何木連歌百韻(電脳網千句第四番) 三折裏
明くる夜の鶏の凍れる声をきく 楽歳
茜の空に何を祈らむ 夢梯
きたへたる玉の鋼を研ぎあげて 梢風
ふつのみたまの太刀ぞ畏し 千草
富士に添ふ浦はいづれもかたちよく 蘭舎
松の緑に煙ひとすじ 楽歳
野点する釣釜の声風の声 夢梯
いらへのどかに尼たちのゑみ 梢風
近衛には八重に七重に花車 千草
にほひいたらぬ里はあらじと 蘭舎
秋しぐれ丘の錦をかけおりる 楽歳
日々細りゆく蟋蟀のこゑ 夢梯
満ち欠けの不思議を月に問ふてをり 梢風
父母知らず十七となり 千草
賦何木連歌百韻(電脳網千句第四番) 三折表
鐘の音数ふるうちのうたた寝に 千草
心の緒ろのやがて解けゆく 夢梯
ひさびさに山のいで湯のほととぎす 楽歳
ひと雨あれば田を植うる日に 梢風
物縫ひて結び忘れし糸の尻 蘭舎
やごとなき名をいただきし猫 千草
たまゆらの出会ひに胸の高鳴りて 夢梯
やがて二道かくる今様 楽歳
言の葉に吹く風裏と表見せ 梢風
よきもあしきも霧にまぎれて 蘭舎
真葛原うねりの果に灯の幽か 夢梯
月と鼓とこころ一つに 梢風
古の聖をしのぶ柱にも 千草
我にかへれば霜のおとなひ 蘭舎