SSブログ

電脳千句第六  賦御何百韻  初折裏  2015.7.24~

 stage.jpg        

     まなかひに和ぎてしづもる鳰の湖        蘭舎

     忘れ形見を山へあづけて            衣

    ひとかひの後ついてゆく市女笠         草

     わざうたとほく雪まぜに聞き           香

    銀(しろがね)のちろりに酒を調へて       風

     襲(かさね)の色のすみれ匂やか       梯

    春の野に立つ吾妹子のなまめける        歳

     時へだつればうつろへる花           花

    釣釜に松の韻(おと)きく夕まぐれ         月

     風吹きあへぬ寂しさの果て            舎

    手習ひの筆の遊(すさ)びのうたなれば      衣

     壽(いのちなが)くと選ぶ言の葉          草

    まろらかな月に誘はれたもとほる          香

     すなどる村は秋の眠りに              風
      



  


           


      

       

      

                      

          <進行表はこちら>


コメント(52) 

コメント 52

蘭舎

みなさま、暑さもすこしおさまり、よべは虫の声も。

如月さまの

もの炊ぐ香の厨口より

をいただき、案じてみました。

まなかひに和ぎてしづもる鳰の湖      蘭舎
やとせごの書(ふみ)読む声のおぼつかな
降り積もる雪のあしたを起きいでて
飲むべくもあるらしをのこどち集ひ
いづくよりとぎれとぎれののりのこゑ

楽歳さま、そしてお次の羽衣さま、よろしくご吟味のほど
よろしくお願いいたします。

by 蘭舎 (2015-08-21 07:49) 

連歌楽歳

つくつく法師の声が聞こえるようになりました。


  まなかひに和ぎてしづもる鳰の湖         蘭舎
雑 まなかひは目のあたりですから人体でしょう。 「鳰の海」は琵琶湖(水辺体、名所=名所と名所は3句隔てる)の別名ですが、細かく分類すると鳰は水鳥なので鳥類・水辺用 湖は水辺体。ちなみに、鳰(にほ=かいつぶり)は冬の季語、鳰の浮巣な夏の季語とする説もありますが、この連歌ブログがルールブックとしている『連歌新式』では、鳰も鳰の浮巣も雑です。

  やとせごの書(ふみ)読む声のおぼつかな
雑 やとせご(八歳児・幼い子ども)は人倫(人倫と人倫は打越を嫌う) 数詞 このとしごろの皇族の子どもが初めて書物を読むのを書始という。書は文とは別のもの。

  降り積もる雪のあしたを起きいでて
冬 雪は降物 あしたは時分、時分と時分は打越を嫌う 

  飲むべくもあるらしをのこどち集ひ
雑 人倫

  いづくよりとぎれとぎれののりのこゑ
雑 のりのこゑは「宣りの声」でこの時期でいえば「終戦の詔勅」もこれにあたる。


by 連歌楽歳 (2015-08-21 13:08) 

連歌楽歳

みなさま。

ご無沙汰いたしておりました。旅行から帰ってまいりました。連歌を再開しましょう。
by 連歌楽歳 (2015-09-17 17:36) 

羽衣

宗匠さま
 
 無事のご帰館 何よりとお喜び申し上げます。
 いよヽ深まる秋と筑波の道 ご指南のほど
 何卒よろしくお願い申し上げます。

扨 裏に廻りましてからと存じますが・・・頂戴致します。

    まなかひに和ぎてしづもる鳰の湖        蘭舎さま

          付け

      懲りずまにまた戦さ(いくさ)なるべし(なるらん)
      つはもの(山伏)どもが神輿かつぎて
      時は今とよ花は散り敷く
      忘れ形見(わすれがたみ)を山(京)へあづけて
      翁とぶらふ法の声止み(やみ)
      花のさかりをひたと籠らせ
              

千草さま 皆さま  よろしくお願い申し上げます。



   
   
by 羽衣 (2015-09-18 15:25) 

連歌楽歳

      懲りずまにまた戦さ(いくさ)なるべし(なるらん)  もし、「懲り+打消しの助動詞ず+間に」であれば、「ず」は連体形の「ぬ」となりますが、いかがでしょうか?
雑 
      つはもの(山伏)どもが神輿かつぎて
雑 人倫 修験者の山伏なら、人倫・釈教 神輿は神祇

      時は今とよ花は散り敷く
春 花 

      忘れ形見(わすれがたみ)を山(京)へあづけて
雑 忘れ形見は事物か人倫か、迷うところ。 山なら山類体、京であれば国郡

      翁とぶらふ法の声止み(やみ)
雑 翁は人倫 法の声は読経のことで釈教 ここの「とぶらふ」お弔いのこと

      花のさかりをひたと籠らせ
春 花 花は木類(ただし、「花のさかり」を妙齢と解せば、木類でなくなる=娘を堅う人にあはせぬ)

 ●漢字・かな、語句の選択は次の詠み手の好みにお任せします。
 

by 連歌楽歳 (2015-09-18 21:00) 

羽衣

宗匠さま
 お疲れのところ早速に恐縮至極に存じます。
 今朝は久しぶりの秋晴れ 近所は曼珠沙華が雨後の筍のごと
 まさに繚乱です。お祭りもはじまって秋うらヽとなりました。

   懲りずまにまたもなき名はたちぬべし人にくからぬ世にしすまへば
                                   (古今集)
     およそ恋にもちいる用語でしょうか?
     性懲りもなきことにてよろしくお捌き頂けますれば幸いです。
     有り難うございました

 皆さまにも よきお彼岸の連休をお楽しみ遊ばされますよう~
                          
by 羽衣 (2015-09-19 12:11) 

連歌楽歳

羽衣さま

「こりずまに」について、古今集の証歌をご教示いただきありがとうございました。古今集をひらくと、「ま」は語調を整える接尾辞とありました。古語辞典は、打消しの助動詞「ず」に接続し、助詞「に」をともなうことが多い、と説明。要は「懲りずに」ということで、「間に」と思ったのは、間抜けな勘ちがいでした。
by 連歌楽歳 (2015-09-19 13:12) 

羽衣

宗匠さま
 滅相もございません。誠に恐縮に存じます。
 証歌 の意 身を以て学ばせて頂きました。
 今後とも 懲りずまに~よろしくお願い申し上げます。

千草さま
 よろしくお願い申し上げます。
by 羽衣 (2015-09-21 12:50) 

千草

まなかひに和ぎてしづもる鳰の湖           蘭舎
 忘れ形見(わすれがたみ)を山(京)へあづけて  羽衣

こちらをいただきたく存じます。

選択肢の括弧つき二箇所は

 忘れ形見を山へあづけて  羽衣

のように頂戴いたします。
このお山は前句とのかかわりから比叡山と拝しましたが、
国土の山がちであることをかんがみ、単に山、つまり里山から山岳までの広義の山でもよいのだと長考いたしました。。

 付け
    片時を抱きしのみのかひななる   千草

    薬玉の懸かる柱のなつかしく

    杉の秀を栗鼠の走るもめずらかに
    
    ひとかひの後ついてゆく市女笠

よろしくお願いいたします。


 
by 千草 (2015-09-22 09:14) 

千草

お送りして後、気がつきました。

片時を抱きしのみのかひななる   千草
かひなは打越にまなかひがございました。
片時を抱きしのみの夢心   
とでも。

杉の秀を栗鼠の走るもめずらかに
めづらかにとするべきでした。

お世話をおかけいたします。



by 千草 (2015-09-22 12:42) 

連歌楽歳

今日はまた、一転して獰猛な日差しとなりました。外出したら干物になりそうでした。

さて、1折裏3付けです。

    片時を抱きしのみの夢心   千草
雑 夢心は非夜分

    薬玉の懸かる柱のなつかしく
夏 懐旧 薬玉は俳諧の夏の季語。『連歌新式』のころ季詞だったかどうか不明ですが、元禄の『産衣』では夏の季詞になっていますので、夏としましょう。柱は居所体、3句前に居所(厨)があります(居所と居所は5句)。「なつかしく」は懐旧の詞。この句、引き出しに入れておきます。別案あればご連絡ください。

    杉の秀を栗鼠の走るもめづらかに
雑 木類 獣類 リスが走るのですからこの杉の秀は杉の穂ではなく、とび出た枝なのでしょう。
    
    ひとかひの後ついてゆく市女笠
雑 人倫

by 連歌楽歳 (2015-09-22 17:19) 

千草

楽歳様

居所のことご教示くださいましてありがとうございました。
お言葉ですので
拙句、引き出しより取りいだしますこと、お許しいただきまして
装い新たに

 薬玉の五色の糸のなつかしく   千草

として、お送り申し上げます。



by 千草 (2015-09-22 17:43) 

連歌楽歳

 薬玉の五色の糸のなつかしく   千草
夏 懐旧 数詞

by 連歌楽歳 (2015-09-22 19:22) 

遊香

さわやかなシルバーウィークでした。
毎年この時期にこれくらい休みがあるといいのですが(笑)。
さて、遅くなりました。

ひとかひの後ついてゆく市女笠  千草

いただきまして、付け

わざくれなれば憂き枯野道  遊香
凍てる巷に左右をうらなふ
わざうたとほく雪まぜに聞き
あざる狐の見へかくれして

ドキドキする場面の句をいただき、
格を落とさないようにと思いつつ、
いたずら、流行歌、冗談といったイメージになりました。

楽歳さま、お手直し、よろしくお願いいたします。

by 遊香 (2015-09-24 12:46) 

連歌楽歳

  わざくれなれば憂き枯野道     遊香
冬 枯野道(枯野+野道、なのでしょうが、連歌データベースにあたると、「わかれのみち」「たそかれのみち」しか出てきませんでした。枯野道は今回が初出。地儀)

  凍てる巷に左右をうらなふ
冬 漢音を嫌う連歌では左右を「さゆう」と読まない。左右の代わりに平凡な「明日」を入れておきます。代案があれば書き込みをお願いします。「凍てる」は口語、文語の連体形は「凍つる」

  わざうたとほく雪まぜに聞き
冬 雪は降物 わざうたは風刺の歌 まぜは接尾詞、「風まぜに雪は降りつつ」のように使う。

  あざる狐の見へかくれして
雑 連歌の時代、タヌキは雑、獣類

by 連歌楽歳 (2015-09-24 22:18) 

連歌楽歳

失礼しました。
「左右」は「さう」とよむのでしたね。ですが、「さう」も音読みになります。
by 連歌楽歳 (2015-09-24 22:38) 

遊香

楽歳さま

ありがとうございます!
なかなか代案が浮かばないのですが…

「左右をうらなふ」は、分かれ道で右せんか左せんか、迷っているというイメージだったのですが、漢語はよくないですね。すみません。
「つみなへを問ふ」ではオオゲサでしょうか?
あるいは「凍つる朝(あした)に道をうらなふ」とか?

「枯野道」は「霜を踏む」「冬日かげ」あたりではいかがでしょう?

キツネも雑ですか? 

写真の一皿、おいしそう! お腹が空いてきました(笑)。

by 遊香 (2015-09-24 23:28) 

連歌楽歳

遊香さま
頂いた代案の中で「右せんか左せんか」があり、これが初案に最も近い表現なので、
   右か左か凍つる巷で
で行きましょう。枯野道はそのまま。

写真は、アユのフライ、スイカと大根のおろし添え。アユの塩焼き、蓼酢添え、の南蛮風です。
by 連歌楽歳 (2015-09-25 08:43) 

遊香

楽歳さま

おはようございます。
「右か左か…」 なるほど~! 
素敵な一句にしてくださってありがとうございました。

お皿の上の赤いのは、トマトにしては色が薄いと思っていたら、
スイカでしたか!

by 遊香 (2015-09-25 09:11) 

梢風


  わざうたとほく雪まぜに聞き       遊香

     付

猛き世に背を向くるにはあらねども     梢風
此の頃の昼の灯のうたてしと         〃
銀のちちろにささを調へて           〃

楽歳様よろしくご吟味下さい。
by 梢風 (2015-09-25 20:10) 

連歌楽歳

 猛き世に背を向くるにはあらねども     梢風
雑 世は5句もの(只1、浮世、世の中の間に1、恋の世1、前世1、後世1) 背は人体

 此の頃の昼の灯のうたてしと
雑 「此の頃は時節」 「昼」は時分 灯(ともし・ともしび)は3句もの(只1、釣りの灯1、法の灯1)。昼の灯とは何か、昼行燈の婉曲表現なのか(連歌になじまない手法ですが)作者の解説をまって、灯の分類を決めます。

 銀のちちろにささを調へて
秋 「銀のちちろ」はコオロギ(虫類)の鳴き声の音色か。「ささ」はおそらく「酒」であろう。「調へて」は「ととのへて」と読んで8音にするのか、別の読みかたがあるのか、これらの点について作者の解説をまって、句材分析を致します。

by 連歌楽歳 (2015-09-25 22:42) 

梢風

拙句以下のようなつもりで作ってみましたが書き損じも混じってました。わかりにくくて失礼しました。。

此の頃の昼の灯のうたてしと

・夜分の灯ではなく昼見る灯の意ですが、仰るように「昼行灯」のニュアンスも入って来そうですね。

 銀のちちろにささを調へて

・「ちちろ」は「ちろり(酒器)」の書き間違いでした。すみません。「しろがねのちろりにささ(酒)を調へて」と書くところでした。
by 梢風 (2015-09-26 04:01) 

連歌楽歳

   <仕切り直し>

1折裏5付け
 猛き世に背を向くるにはあらねども     梢風
 此の頃の昼の灯(ともし)のうたてしと         〃
 しろがね(銀)のちろりにささ{酒}を調へて
           
         *

 猛き世に背を向くるにはあらねども    
雑 世は5句もの(只1、浮世、世の中の間に1、恋の世1、前世1、後世1) 背は人体

 此の頃の昼の灯のうたてしと
雑 「此の頃は時節」 「昼」は時分 灯(ともし・ともしび)は3句もの(只1、釣りの灯1、法の灯1。ここの灯はだだの灯)、火類。「昼の灯」の解釈については、次の詠み手にお任せします。なお、辞書をひくと、「灯」を「あかり」と読ませることもあります。『連歌新式』が「灯(ともしび)」は3句物と表記しているので、「灯(あかり)の場合は混乱を避けるて「あかり」とひらがな表記にするのが望ましいようです。

 しろがね(銀)のちろりにささ(酒)を調へて
雑 「銀」は「金」とともに雑物、酒は飲食(『連珠合璧集』
「銀のちちろにささを調へて」を「ぎんのちろろに/ささをととのへて」と楽歳が短句と勘違いしてしまい、混迷を深めました。おわびします。

by 連歌楽歳 (2015-09-26 09:25) 

連歌楽歳

夢梯さまから以下の連絡を頂きました。

<1折裏5治定>
 しろがね(銀)のちろりにささ(酒)を調へて      梢風

をいただき、

<1折裏6付け>
 襲(かさね)の色のすみれ匂やか         夢梯
 すみれひと花一差しの舞
 すみれの人に生まれ返らむ
 挿頭(かざし)のすみれ揺るるゆかしさ
 すみれ咲く野に交はす囁き
 仕合はせ連らねすみれ粒菓子

      *
 襲(かさね)の色のすみれ匂やか         
春 すみれ(色のすみれですが、春の季詞と受け止めて) 衣類

  すみれひと花一差しの舞
春 すみれは草類 ひと・一は数字

 すみれの人に生まれ返らむ
春 すみれは草類 人倫 「菫程な小さき人に生れたし」漱石

 挿頭(かざし)のすみれ揺るるゆかしさ
春 すみれは草類 恋の呼びだしでしょう。昔のギリシャの抒情詩に「挿頭に編むは白すみれ」

 すみれ咲く野に交はす囁き
春 すみれは草類 恋 野は地儀 「春の野にすみれ摘みにと来し吾ぞ野をなつかしみ一夜寝にける」。菫のごとき君なれば離れがたしと山部赤人。 

 仕合はせ連らねすみれ粒菓子
春 歌詞は句のトーンからここのすみれも春と受けとめて。菫の花の砂糖菓子、お気に召したようで。「菓子」は音読みととれますが、いっぽう「菓」は字訓で「このみ・かし」。このあたり微妙なところ。パスという甘い判断でいきましょう。

by 連歌楽歳 (2015-10-03 20:44) 

連歌楽歳

1折裏6に、

 襲(かさね)の色のすみれ匂やか   夢梯
 
をいただきまして、

<1折裏7付け>

  春の野に立つ吾妹子のなまめきて    楽歳
  にこやかに君が袖振る春の風
  春の夜は夢で逢はむと袖返す
 
           *
 春の野に立つ吾妹子のなまめきて      
春 恋 人倫 地儀

  にこやかに君が袖振る春の風
春 恋 君が袖振る=あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(額田王) 袖と袖は5句隔てる 風は吹物(春風は2句もの、春風1、春の風1) 風と風は5句 人倫

 春の夜は夢で逢はむと袖返す
春 恋 夜分 衣類 袖と袖は5句 「わが背子が袖返す夜の夢ならしまことも君に逢へりし如し」(万葉集)

恋の句がつきますので、前句もそれにともなって恋の句に変じます。

           *
この1折裏では、花を出すことになります。同季は7句隔てるのが連歌の決まりなので、次の春は早くても2折表になります。したがって、この一連の春の句(最長で1折裏10まで)のどこかで、花の句をお出しくださいますよう、なお、月の句もありますので、適宜。

by 連歌楽歳 (2015-10-04 22:01) 

路花

楽歳様
10月1日の更衣を軽んじてはいけないのですね、昨日、今日は、上着が欲しいのにまだ夏服です。

楽歳様の
 春の野に立つ吾妹子のなまめきて
をいただきます。すみれ色の襲の美しい女性を想像しています。

裏8です

 けふ別れても花な忘れそ
 ともに越えたし花はつる峰
 時へだつればうつろへる花

花を出そうと意欲のみ、力及ばず妙な句になってしまいました。
どうぞご指導をよろしくお願いいたします。
by 路花 (2015-10-06 14:41) 

連歌楽歳

 けふ別れても花な忘れそ
春 花 木類 恋 けふ(今日)は2句物です。折をかえて出すのがきまりです。初折表第2句に「けふ」があります。「けふ」を抜きましょう.
  →別れてもなほ花な忘れそ。

 ともに越えたし花はつる峰
春 花 木類 山類体 恋

 時へだつればうつろへる花
春 花 木類 恋

3句とも古典的なスタイルの恋離れの句でした。

これで春が3句続き、めでたく花の句も出ました。第9句は春の句を続けていただいても結構ですし、冬の句以外、雑・夏・秋へ移るなどご自由に。

なお、「春の野に立つ吾妹子のなまめきて」を治定いただきありがとうございました。ただ、あらためて周辺をみわたすと、第2句と第5句(打越句)が「て止まり」でした。そこでこの句を「春の野に立つ吾妹子のなまめける」と変更させていただきます。「ける」と連体形止めにしたのは、「て止め」に似たかすかな余情をにじませようという下心です。

本日は午後から外出し、夜更けに帰宅しました。風が冷たく本格的な秋の気配です。どなたさままも、寝冷えにご注意を。



by 連歌楽歳 (2015-10-07 00:40) 

如月

秋の深まりを感じるこの頃でございます。
皆様ご機嫌うるわしく週末をお過ごしのことでしょう。
路花さまよりのお句のうち、
  時へだつればうつろへる花
を頂戴いたしたく存じます。

拙付は次のようにさせていただきました。
まだ少し春の気分を味わっていたい思いがあったものですから、すべて春の句にいたしました。

宗匠様、次句の蘭舎様、何卒ご指導ご教示のほど、よろしくお願い申し上げます。

 釣釜に松の韻(おと)きく夕まぐれ
 訪ひ来たりいたくな鳴きそ貌よ鳥
 墨染に燻(くゆ)る香ゆかし遠霞
 柔東風に旅ごころふとうながされ 
 雲母摺の芝居絵ひらく宵朧
 安良居の小鬼はことに高く跳ね
  *安良居はやすらい祭のこと。

by 如月 (2015-10-10 20:20) 

連歌楽歳

  釣釜に松の韻(おと)きく夕まぐれ
春 釣釜は俳諧春季詞 松の韻の松は木類 夕間まぐれは時分 夕ぐれは1句ものだが、「ゆうまぐれ」と「ま」が入るとどうなるか。式目書には説明がないが、要注意語であろう

  訪ひ来たりいたくな鳴きそ貌よ鳥
春 貌鳥・貌よ鳥は1句もの、春 鳥類(どんな鳥かは不明だが、鳥類とされてきた) 

  墨染に燻(くゆ)る香ゆかし遠霞
春 霞は聳物 墨染は墨染衣のことで、釈教と述懐の2説がある。衣類 香・遠霞という道具立てから判じると、述懐の気分がまさるが、述懐と断定するまでには至らない。3句前の「かさね」と抵触する――衣類(衣裳)同士は5句隔てる はずしておきますので、変更案があれば、お知らせを。

  柔東風に旅ごころふとうながされ 
春 東風は吹物 旅

  雲母摺の芝居絵ひらく宵朧
春 朧 宵は夜分 雲母摺(きらずり)は辞書によると浮世絵の技法

  安良居の小鬼はことに高く跳ね
春 やすらい祭は辞書によると京都の鎮花祭の一つ 鬼は1句もの
 

by 連歌楽歳 (2015-10-10 22:08) 

如月

宗匠様
おはようございます。
ご指摘・ご教示ありがとうございました。
墨染は襲と完全に障りますね。うっかりいたしまして申し訳ございません。この句は除いていただいたままで結構でございます。

貌よ鳥、鬼と、たしかに一句ものの詞でしたね。夕まぐれは「?」だそうですが、夕ぐれとなると、やはり一句ものなのですか。それは知りませんでした。何だか、季節ごとに夕暮れというのは出てくるような気がしておりました。

蘭舎様
治定よろしくお願いいたします。

皆様
晴の特異日といわれる10月10日を過ぎましたら途端に雨が降りましたね。長続きしない気配でようございました。良い連休をお送りくださいませ。



by 如月 (2015-10-11 10:54) 

蘭舎

釣釜に松の韻(おと)きく夕まぐれ   如月

如月さま、釣釜をの御句頂戴いたします。
小鬼にも芝居絵にもこころ動かされましたが、松の韻の優美にひかれまして・・・

拙次
風吹きあへぬ寂しさの果て   蘭舎
幽かに山の鐘のまじりて
つれづれなるを誰ぞおとなふ
軒端にのぞく月の朧に
よにみめかたちにくさげなるを

二番目の「山」は「谷」でも「里」でも・・・・
三の「誰」は人倫??よくわからないまま、あれこれと混ぜてみましたが、
楽歳さま、お次の羽衣さま、なにとぞ、よろしく御願いいたします。



by 蘭舎 (2015-10-11 11:52) 

連歌楽歳

  <1折裏9>
  釣釜に松の韻(おと)きく夕まぐれ   如月
夕まぐれは1句もの「夕ぐれ」とは別扱にし、夕の字懐紙をかえて4句ものの扱いでいきましょう。

  <1折裏10付け>
  風吹きあへぬ寂しさの果て      蘭舎
雑 風は吹物 「風吹きあへぬ」は「風吹き会へぬ」でなく、風がまだ吹きやまぬほどの意でしょう。

  幽かに山の鐘のまじりて
雑 山類 鐘は4句もの(只1、入相1、釈教1、異名1) この面の第2句に「山」がありますが、気にしないで「山」で行きましょう。

文和千句第2の初折裏に
   1 山もとの松より雪のきは見えて  救済
  13 山かすむ道をや明日にのこすらん 救済

  つれづれなるを誰ぞおとなふ
雑 誰は人倫 

  軒端にのぞく月の朧に
春 月 夜分 居所体

  よにみめかたちにくさげなるを
雑 みめかたちは身体(肢体) よには「世に」と書くようですが、副詞なので5句ものの「世」とは関係ないことにしましょう。

by 連歌楽歳 (2015-10-11 15:30) 

如月

蘭舎様
お捌きありがとうございました。松の韻の優美と、過分のお言葉を頂戴いたしまして恐縮に存じます。

宗匠様
「夕」の字は四句もの、「夕ぐれ」は一句もの、そして「夕まぐれ」は別扱い・・・とのご教示、ありがとうございます。夕暮れは昔から秋と感じられていたようですから、春の夕まぐれで終わり!となってしまわなくて、安堵いたしております。
ところで一つお尋ねさせてくださいませ。
「松の韻」ですが、「松風」と同様に伝統的用法のまま、釜の湯の煮え立つ音の比喩として使わせていただきました。その場合でも、松の字がある以上は「木類」と分類されるでしょうか。もちろん湯の音に、松に吹く風の音を聴覚イメージとしてだぶらせていますので、松が完全に存在していないというわけではないのですが…。お教えくださいませ。

前回といい、今回といい、タイトルの絵柄はとくにユニークですね。前回はcdケースか、あるいはポスターとか? 今回は、南米辺りの布でしょうか? いずれ種明かしをしていただけること、楽しみにお待ちいたしております。


by 如月 (2015-10-12 14:26) 

連歌楽歳

松の韻のことなど

この連歌がメインのルールブックに使っている『連歌新式』は、「夕暮」を1句ものに指定しています。同時に「夕ま暮」も別項で立てていますが、「間の字真の字共ニ不嫌之」とあるだけです。ただ、同じ一句ものである「秋寒」は「ややさむき夜寒などいづれにても一也」と説明されているので、「夕暮 夕間暮などいづれにても一也」といっていないところをみると、夕暮以外に夕ま暮があったと推測できます。後代の『無言抄』では「夕くれとつづきたることば、百韻に一なり。この外に、ゆふまくれともあるましきか」とあり、さらに後代の『産衣』には「夕暮 一也。又夕間暮有べし。異本に夕暮過て夕間暮なしと云々」と記述されているので、歴史的にすったもんだのあった詞のようです。それでは結論が出ませんので、はっきりと別にありとした『産衣』説をとることにしました。

新古今集の三夕の歌で、夕暮は秋と喧伝されていますが、新古今集を手塩にかけた後鳥羽院には「見渡せば山もと霞むみなせ川夕べは秋と何思ひけん」という水郷春望歌があります。

「松の韻」ですが、松風・松の風という場合、皮膚で風を感じるだけでなく、その音も聞いているのですね。むしろ、聴覚の方が主ではないでしょうか。「たれかきく覧山松の風」(顕証院会千句第2百韻初裏14)。「松の声」、「松の響」も意味するところは「松風」と同じです。「吹きそよぐ風はいなばの松の声」(文和千句第1初折裏13)において松の声は木類と認識されています。釣釜にその伝統の響きを聞く場合、植物の松の認識は遠のいたとしても、松の声・松の響・松の韻という成句の引力によって、やはり、そこに音を立てる松の存在を認めない訳にはいかないでしょうね。

卑近な例では

  行く春や鳥啼き魚の目は泪    芭蕉
  木がらしや目刺にのこる海のいろ 芥川龍之介

芭蕉句の魚は魚類か、それとも魚座のごときものか? 汝は、龍之介句の目刺を魚と認識するや? 議論するには面白いテーマです。秋の夜長にどーぞ。連歌なんかやっているより、よほど面白いと思いますよ。

by 連歌楽歳 (2015-10-12 17:57) 

連歌楽歳

おっと、忘れておりました。

今回の写真はベルリンの壁の名残に書かれていた半抽象半具象画。前回のものは、プラハの裏通りの壁に貼られていたポスター類。お楽しみ下さってありがとうございます。
by 連歌楽歳 (2015-10-12 18:00) 

羽衣

宗匠さま 皆さま

世の中 連休のようでございましたが 本日最終は挙句の如 明るく
晴れやかに そして何事もなく 大変結構でございました。

また、此度は宗匠さまよりの貴重なご教示 夕暮れ 並びに松の韻・・・
将又ベルリン壁に描かれた半抽象半具象画とのご解説 誠に有り難うございました。名も知られぬアーティストなのでしょうか?民族や歴史を
感じさせますが 勝手に想像するばかりです。(唇がなんとも)

扨、夕べは秋!と思うべき季節なのですが 釣瓶落としに唯あたふたと追いまくられる 誠にみやびに程遠き日々にて心苦しく存じます。
何卒 ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。

裏十句目  風吹きあへぬ寂しさの果て     蘭舎さま
           (三夕 寂蓮などのイメージより頂きました)

            付け
        書き遊ぶ(すさぶ)仮名の散らしの継ぎ色紙
        手習ひの筆の遊び(すさび)の日記(にき、うた)なれば
        見送るも見送らるヽも小さき影
        身を任す小舟たゆたふ門出(首途)なり(師の首途)
        取り留めのなきいのちだにいとほしく

   何卒よしなにお願い申します~
             
by 羽衣 (2015-10-12 23:34) 

如月

皆様
画面に赤い字で何回も「送信に失敗しました」と出たのは、何だったのでしょうか! くどくどと書きまして、お騒がせいたしましたこと、何卒おゆるしくださいませ。

宗匠様
詳細なご解説、ありがとうございました。おおいなる勉強をさせていただきました。そうそう「・・・夕べは秋と何思ひけん」のうたがあったのでした!

プラハの裏通りのポスター、ベルリンの壁の絵――素晴らしい被写体でした。皺が寄っているようでしたので、ポスターなのかな?と見当はつきましたが、プラハの裏通りの・・・とくると、さらにはベルリンの壁の名残の絵ともなれば、綺麗で楽しいと同時に、日常史の資料ともなるでしょうね。壁の崩壊後のベルリンで、壁の石の「欠片」なるものを結構な値段を出して買ったことを思い出しました。今も鮮やかな色のまま本棚に載っていますが、ほんとうに壁のかけらだったのかどうか・・・。

すみません。連歌から話題が大きく外れてしまったようです。失礼いたしました。では、おやすみなさいませ。

by 如月 (2015-10-13 00:12) 

連歌楽歳

   書き遊ぶ(すさぶ)仮名の散らしの継ぎ色紙
雑 色紙は音読みですが、源氏物語にも使われた言葉であり、「継ぎ色紙」があってこそこの句が有難くなるのですから、部分的な修正の余地はなく、容認するか、容認しないか、オール・オア・ナッシングの選択になります。選択は次の付け句作者にゆだねます。

   手習ひの筆の遊び(すさび)の日記(にき、うた)なれば
雑 筆は『連歌新式』には載っていませんが、元禄のころの式目書『産衣』では1句もの指定なので、そのあたり要注意。『蜻蛉日記』『紫式部日記』『和泉式部日記』『更級日記』などの遺産に敬意を表して日記を容認して採るか、「歌・うた」を採るか、判断は次の付句作者に。

   見送るも見送らるヽも小さき影
雑 蕪村の世界ですね

   身を任す小舟たゆたふ門出(首途)なり(師の首途)
雑 舟は水辺体用外 人物を抜いて「門出なり」と単純化した方が前句の縹渺とした気分につながると思います。

   取り留めのなきいのちだにいとほしく
雑 命は2句もの(只1、虫の命など云て1)

by 連歌楽歳 (2015-10-13 01:00) 

羽衣

宗匠さま
本日も陽射しきつめのよいお天気です。
早速のお捌き 有り難うございました。
継ぎ色紙 思案に暮れておりましたが 有り難く存じます。
筆 が「産衣」では一句ものとか 少々驚きです。
昨夜までの写真がフォアグラ?とワイン?に。明日ありと思ふ心の何とかですね、いつも楽しませていただき有り難うございます。


千草さま
何卒よろしくお願い申します。
by 羽衣 (2015-10-13 12:43) 

千草

書き遊ぶ(すさぶ)仮名の散らしの継ぎ色紙  

羽衣さまの付けの
継色紙を容認するか、容認しないか
オール・オア・ナッシングの選択は次の付け句作者にゆだねます、との
宗匠様のいかめしいお言葉に、恐れ入りまして逃げ出しそうな心を励まし、一生懸命考えました。継色紙は現代でも雅びやかなお細工のお稽古ごとの様にして伝わっておりますね。美しい作品を身近に拝見したことがございます。「いろがみ」ではなく「しきし」の音は、何か気位の高さを思わせますし、連歌に使われますのにナッシングとは言い難いと申せましょうか。

手習ひの筆の遊び(すさび)の日記(にき、うた)なれば  羽衣
 
こちらも判断は次の付句作者にとのお言葉で、謹んで選択肢いろいろを拝見いたしました。
筆は元禄のころの式目書『産衣』では1句もの指定との御説明をいただきましたので、それならば、是非この筆句を頂戴いたしたく存じます。
古語辞典には「ふでのあと」、「ふでのすさみ」などの項目はございますけれども。
また、手習ひのとありますので、うたなればの方にさせていただきました。

 風吹きあへぬ寂しさの果て     蘭舎
手習ひの筆の遊びのうたなれば 羽衣

付け
    壽(いのちなが)くと選ぶ言の葉    千草

    揺るるがごとき草のひと文字

    ふと気配してあきつ飛びかふ

    をさなきものも秋の声きく

   おまけです。
    あるふぁべっとも流るるがごと

よろしくお願い申し上げます。
by 千草 (2015-10-13 14:57) 

千草

追伸です。

釣釜に松の韻(おと)きく夕まぐれ   如月

如月様のお句がございますのに
  をさなきものも秋の声きく
たいへんご無礼申し上げました。取り下げます。
お許しを願います。

by 千草 (2015-10-13 15:04) 

羽衣

千草さま
ご英断に深謝申し上げます。
でもまあ メインのルールブックは 連歌新式 とお聞き致しております
ので 多分 一句もの とはなりませんでしょう。
筆くらい 自由に使いたいものです。よね~

宗匠さま
何卒よろしくお捌きくださいませ。

取り急ぎ 先づは有り難うございました。
by 羽衣 (2015-10-14 00:24) 

連歌楽歳

    壽(いのちなが)くと選ぶ言の葉    千草
雑 「壽(いのちなが)く」には既視感があり……調べてみると高等学校の漢文でした。「多男子則多懼、富則多事、壽則多辱」(荘子) 「命」は2句ものですが、「寿」となるとまた別のことばで、せいぜい「命と面を嫌う」ていどでしょうか。それにしても、漢文の読み下しの連歌転用とは、おそれいりました。言の葉は2句もの(言の葉1、詞=ことば1)

    揺るるがごとき草のひと文字
雑 一文字は葱の女房詞(ちなみに俳諧非正花の波の花は女房詞で塩)ですが、「草のひと文字」には植物としての実体がなく、非草類でしょう。「ひと」は数字 

    ふと気配してあきつ飛びかふ
秋 あきつはトンボの古名。虫類。俳諧の時代からさかんに使われるようになりました。連歌の時代はもっぱら「秋津洲」の方。

by 連歌楽歳 (2015-10-14 00:48) 

羽衣

先のコメント 書き出し部 が抜けておりました。
お詫び致して 訂正申し上げます。

千草さま
この度の拙句 ご治定にあたり 筆句をお取り頂きましてその
ご英断に心よりの感謝を申し上げます。
誠に有り難うございました。

以下は同文でございます。
まことに夜分失礼致しました。
by 羽衣 (2015-10-14 00:52) 

千草

楽歳様
御吟味ありがとうございました。

ひと文字は草という字というつもりでしたが
葱の意味でもございましたね。

羽衣様
継色紙は、継紙(つぎがみ)というかもしれません。

by 千草 (2015-10-14 10:28) 

連歌楽歳

千草さま

継紙という言葉をお教えいただきありがとうございました。辞書や百科事典にあたりますと、色紙や短冊は一定のサイズを持つ用紙、継紙は用紙の装飾技法で、継色紙は継紙の技法でつくられた色紙ということのようです。大体は同じで、ちょっと違うところがある言葉かもしれません。きちんとしたことはその道の専門家に尋ねないとわかりません。
by 連歌楽歳 (2015-10-14 12:40) 

羽衣

宗匠さま 千草さま
夜も更けてからのコメント いとはしたなきことに存じますが
御礼を申し上げたく失礼致します。
此度も筑波の道へのお導き 誠に有り難うございました。
(思ふことさしてそれとはなき身にも秋の夕べの深まりて急く
誠に秋の夜の更けやすきこと!今宵もあたふたで失礼申し上げます)


by 羽衣 (2015-10-15 00:53) 

遊香

写真のオブジェ(?)、街角で見かけると楽しくなりますね!

さて、千草様の
壽(いのちなが)くと選ぶ言の葉

いただきました。
付け

まろらかな月に誘はれたもとほる
なりものの熟れしごときや月あかり
ことやうの影にいざなふ白き月
鳥の子のごとやはらかき月のかほ

月というと、先日のスーパームーンが思い出されまして…。

鳥の子は、「たまご色」のイメージで、
「鳥の子色」があるので大丈夫かと思ったのですが、
無理な表現でしょうか。

楽歳さま、お手直し、よろしくお願いいたします。

by 遊香 (2015-10-15 08:43) 

連歌楽歳

  まろらかな月に誘はれたもとほる
秋 月 光物 夜分 最初は「月に誘はれた/もとほる(ぐるりを回る」と読んで、字余り・字足らずに気づき、また辞書を引くと「たもとほる(遠回りする)」が見つかりました。「名月や池をめぐりて夜もすがら」あるいは「月下推敲」の気分ですね。

  なりものの熟れしごときや月あかり
秋 月 光物 夜分 なりものは辞書には「生物」とあり、果物は理屈上4句前の松に障ることになります(たたえば秋の梨は分類上木類)が、「なりもの」と「松」ですので、実害はなく、とがめだてしないことにしましょう。
 
  ことやうの影にいざなふ白き月
秋 月 光物 夜分 異様に明るい月光の下、誰かが誰かを誘い出したという設定ですね。

  鳥の子のごとやはらかき月のかほ
秋 月 光物 夜分 「鳥の子」は辞書に「鶏卵」「鳥の子紙」とあり、この場は鶏卵で鳥類でしょう。


by 連歌楽歳 (2015-10-15 13:37) 

梢風


 まろらかな月に誘はれたもとほる     遊香

     付

  すなどる村は秋の眠りに         梢風
  たつたひめてふ名こそをかしき      〃
  つづれさせとて夜をば強ひぬる      〃

楽歳さま、よろしく御吟味下さい。少し前の拙吟「銀のちろりに酒を調へて」ですが、字余りですので「酒(ささ)を調へ」でお願い致します。梢風

by 梢風 (2015-10-17 10:15) 

連歌楽歳

 すなどる村は秋の眠りに         梢風
秋 村は都・郡・鄙と同類の国郡。 すなどる(漁る)は浜辺の村でしょうから、水辺か非水辺か、説明に苦労するところ。秋の眠り=夜分

  たつたひめてふ名こそをかしき
秋 たつたひめ(龍田姫)は非神祇・非人倫 

  つづれさせとて夜をば強ひぬる
秋 つづれさせはキリギリスの別名で、「きりぎりす」と書くと一座一句物になるので、あつかいにくい言葉。また、「綴り刺す」ということから、衣類と連想あり。夜分

梢風さま
私も最初「銀」を「ぎん」と読んでしまい、さらに長句と短句を錯覚して、字余りと思いましたが、「しろがね」と読めばぴたりとおさまります。銀にしろがねの読みを入れておきましょう

by 連歌楽歳 (2015-10-17 12:59) 

梢風


 銀(しろがね)のちろりに酒を調へて    梢風

長句ですからこれでいいのでした。失礼しました。銀のちろり、燗して頂きたいです(^^) 
by 梢風 (2015-10-17 14:06) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。