杜若咲く八橋のさと 宗砌
餞にますらをぶりの涙ぐみ 草
音に聞きしは大地(おほつち)の破れ 香
よにふれば心のひだも衣がへ 歳
力草こそ今は頼りと 梯
わざをぎのわざもむなしきことと知り 風
戯れ遊び野に寝ねしとは 花
真清水のいのちあらたに流れ出で 月
富士の根語るこゑも懐かし 舎
神の如いでまし鬼の如かくれ 衣
冬めく空をまらうとの月 草
木枯しにものや思ふと問はれしか 香
すぎゆくものはかくも美し 風
この花に古人の声をきく 梯
その折々の春やさまざま 歳
<進行表はこちら>
3月の外出は公共交通機関ばかりだったので、自動車がほぼ1ヵ月駐車場の飾りになっていました。バッテリー充電のために2日まえに奥多摩湖まで走ってきました。ちょうど湖畔の桜が満開。東京で今シーズン最後の桜でしょう。 by 連歌楽歳 (2016-04-13 17:47)
楽歳様羽衣様ご旅行のお話、ありがとうございました。楽しく拝読いたしました。ひたすら暗誦させられた高校時代の漢文。。。スイソンサンカクと遭遇してなつかしゅうございました。付けが手間取りましたのは時分の去嫌について、三句去りでよかったのかなどと考えたりしていて、でも前の方もそうだからとも思い返し行きつ戻りつしていて失礼したしました。羽衣様のうっとりするようななまめかしい春月の付けから 翌なき春をてらす月の出 羽衣こちらを頂戴いたします。 付け ふるさとは人も通はず荒れにけり 千草 久方の空にみなぎるものは何 餞にますらをぶりの涙ぐみ 海彦と山彦手に手とりあへば楽歳様ご吟味よろしくお願いいたします。 by 千草 (2016-04-15 23:50)
「翌なき春をてらす月の出 羽衣」について千草さまは3折表10の「はやも日は暮れ鐘もかすみて 楽歳」との距離を思案されたとのこと。『連歌新式』は「夜分5句去り、時分は打越を嫌う」としています。ただ、厄介なのは時分と夜分の定義があいまいなことです。24時間を通じてある特定の時間帯を示す言葉を(たとえば丑三つ、曙など)を時分とよぶのか(原則はこちら)、日の出から日没までの昼間を時分とし、日没から日の出までを夜分とするのか(一般的な感覚)、曖昧なままです。3折表10は日没時の鐘(入相の鐘=時分)で、入相と云えば「暮れ六つ」ですから、ちょうど昼と夜の境で、昼の終わりで同時に夜の始まりになります。「月」は「夕月夜」など少数の例外を除いて「夜分」ですから、「月の出」も三日月の出などを除けば夜分の領域にあります。3折表10を「時分・夜分」の句と解釈すれば、夜分5去りの原則に反します。一方、昼間の領域(時分・非夜分)だと解せば、問題はありません。●3折裏2つけ ふるさとは人も通はず荒れにけり 千草雑 ふるさと(故郷)は「名所または只故郷で1、旅1」の2句もの。2折表2に「何を求めて出でしふるさと」が既出ですが、あちらを前句「病む雁の落ちゆく涯を思ひみる」を受けた「旅のふるさと」と解し、こちらを「故郷花といへる心をよみ侍りける――さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな 平忠度」のこころ、と理解すれば、きっちり2句物でおさまります。ところで、「ふるさと」(故郷)は通常は居所で、居所は3折表11に「わび住まい」という居所関連の言葉があり、気にかかる所です。ただ、『連珠合璧集』には「故郷に品々あり。ふるき都を故郷という。また今住む里のふりたるもいう。また旅に出でし我方を故郷ともいう」とありますので、こちら故郷は古き都のことで、都となれば居所ではなく「国郡」のくくりになります。 久方の空にみなぎるものは何雑 天象(空) 餞にますらをぶりの涙ぐみ雑 はなむけ、とあるので旅立ちの句でしょう 人倫 海彦と山彦手に手とりあへば雑 海彦山彦は理屈上、非人倫でしょう。すると「手」も非人体になりますか。しかしながら、現代では、動話になって人倫化していますので、この後、打越句では人倫の用語にご注意ください。 by 連歌楽歳 (2016-04-16 12:16)
楽歳様時分夜分のご解説をいただいてありがとうございました。また、ふるさとの付けは、忠度様と同じこころだなんて大いに照れつつ光栄に存じました。非人倫の海彦山彦は神話の登場人物の名としては、海幸山幸とした方が良かったかもしれないです。場合によっては、ご一直願います。こうしている間も余震の報。ひとごとではありません。どうか大地のとく鎮まりますようにただ祈るばかりです。 by 千草 (2016-04-16 16:02)
以前ご紹介した記憶があるのですが、「歌よみは下手こそよけれあめつちの動き出してたまるものかは 宿屋飯盛」という、「やまとうたは……力をも入れずして天地を動かし」(古今集序)を本説(本歌取り)とする狂歌を思いだしました。余震頻発は大勢が熊本地震をせっせと歌にしているせいでしょうか。 by 連歌楽歳 (2016-04-16 17:20)
遅くなりましてすみませんでした。この一週間、九州の事態はますます深刻で、考える内容もついそちらに及びます。写真の「おでん」の幟にほっと慰められています。餞にますらをぶりの涙ぐみいただきまして 付おいらかなれと願ふものかは音に聞きしは大地(おほつち)の破れ(やれ)うらもとなしや止まぬ燻し火茶碗の白湯に香るおもかげ字遣いはおまかせいたします。その他お手直し、よろしくお願いいたします。 by 遊香 (2016-04-21 09:54)
おいらかなれと願ふものかは雑 「ものかは」が難物で、広辞苑を引くと①大したことではない(憂きはものかは恋ひしきよりは)②強い感動(おなじものを中心にはあたるものかは)③反語(花はさかりに月はくまなきをのみ見るものかは)、とあります。この句の場合、おそらく②でしょうか。はなむけを贈られたますらをが、送り主に返した平安を祈るお礼の言葉でしょう。 音に聞きしは大地(おほつち)の破(や)れ雑 大地は地儀 熊本かエクアドルの地震のことでしょう。前句と重ねると救援隊の出発の様子に見えます。 うらもとなしや止まぬ燻し火雑 「うらもとなし」と「止まぬ燻し火」の関係を教えてください。 茶碗の白湯に香るおもかげ雑 おもかげ(面影)は2句物(只1、月花などに1) 面影は恋の言葉。 お別れの茶事のスタート・汲みだしの場面のようでもあり、「みずさかずき」のケースもありそうです。白湯がパイタンであれば、また異なる話になります。春の異動で単身赴任した人の食卓のインスタント・スープです。 by 連歌楽歳 (2016-04-21 13:05)
楽歳さま止まぬ燻し火は、これも地震がらみで、火山からの噴煙のイメージでした。出発に際し、胸中(または行く手)に不気味な黒煙がくすぶっていて、心許ないことよと案じている図なのですが、曖昧で漠然としていますね(笑)。すみません。白湯は、避難所での一服が薄茶くらいに味わえるようすであることからの発想でした。別れ際に茶を立てる暇はないが、それに準ずるやりとりになるかなと。「浮かぶおもかげ」とすると、行方不明者を案じている図になるかなとも思いましたが、恋とは違うので、面影はつかわないほうがいいですね。いろいろとすみません!! by 遊香 (2016-04-21 15:09)
遊香さまご説明いただきありがとうございました。付け句の参考にいたします。楽歳 by 連歌楽歳 (2016-04-21 21:24)
3折裏2に、 音に聞きしは大地(おほつち)の破(や)れ 遊香をいただきまして、●3折裏3付け ゆふだちの天の逆鉾遠く見て 楽歳 さみだるる天のみず甕底ぬけて よにふれば心のひだも衣かへ *ゆふだちの天の逆鉾遠く見て 楽歳夏 ゆふだちは降物(雨)・一座一句物 天は天象 さみだるる天のみず甕底ぬけて夏 さみだれ(五月雨)2句物(只1、梅雨1)降物(雨) みず甕の水は水辺用 よにふれば心のひだも衣がへ夏 世は5句物(只1、浮世・世の中の間に1、恋の世1、前世1、後世1) 衣は衣類 衣と衣は7句隔てる by 連歌楽歳 (2016-04-24 09:42)
「みず甕」と現代表記になっていた部分を「みづ甕」と古典表記に変更します。 by 連歌楽歳 (2016-04-24 13:30)
<3折裏3治定> よにふれば心のひだも衣がへ 楽歳をいただきまして、<3折裏4付け> 涸れし泉のほとりにぞ立つ 夢梯 ひそむ力の測りがたくも 力馴染みぞ今は恋しき 力草こそ今は頼りと 民の嘆きをいかにとぞ聞く *夢梯さまから郵便でいただきました。「20年も住んだ第2の故郷が大変なことになり、落ち着かず、何事もうわの空状態です。何もしてあげられないので尚更に」と、添えられていました。 by 連歌楽歳 (2016-04-30 19:41)
涸れし泉のほとりにぞ立つ 夢梯雑 泉は水辺体。 『連歌新式』では言及されていませんが、のち時代になると、泉は水辺体・夏・一座一句物とされることになります。 ひそむ力の測りがたくも雑 力馴染みぞ今は恋しき雑 金剛力士のような頼れるものを恋しがっているわけで、恋の句ではありません 力草こそ今は頼りと力草は力種であり、植物の草類ではありません 民の嘆きをいかにとぞ聞く雑 民は人倫 by 連歌楽歳 (2016-04-30 19:57)
ストップさせて申し訳ありません。先月お遍路から帰ってすぐに書き込みしたつもりですが、丁那さんに「停滞させてますよ」と今日メールあり、楽歳宗匠から脚下になったかなと見に来ますと、何も入ってません。「力草こそ今は頼りと」に、「力草は力種であり、植物の草類ではありません」の鮮やかな裁定に拍手したことも書いたつもりでしたが、???。私のことですので認証文字を打たないで終了したしまったのかも知れません。付けしばらくお待ち下さい。:」 by 梢風 (2016-05-11 11:13)
3 よにふれば心のひだも衣がへ 力草こそ今は頼りと 夢梯 付 手すさびのゑふでにうねる老いの夢 梢風 わざをぎのわざも空しきことと知り 〃 時去りし後の宴をいかにせむ 〃○遅くなりまして失礼致しました。今度からアップする文章は日録に書いてからと致します。楽歳宗匠、御吟味よろしくお願い致します。 by 梢風 (2016-05-11 13:58)
梢風さま、付け句ありがとうございました。 * 手すさびのゑふでにうねる老いの夢 梢風雑 手すさびの手は人体の手 老いは2句物(只1、鳥木などに1) 夢と夢は7句隔てる わざをぎのわざも空しきことと知り雑 「わざをぎ」を辞書で引くと「俳優」と漢字が出ました。①神意をうかがうための種々の芸(神祇)②滑稽な所作をする人(人倫)とありますが、その分別は付け句の方のご判断にゆだねましょう。 時去りし後の宴をいかにせむ雑 時去りしの「時」は「盛りのころ」のことでしょうが、『連珠合璧集』をみるかぎりでは、「時節」の用語区分にあたると類推できる用例は見当たりませんでした。「宴」は酒盛りのことでしょうが、連歌データベースには「うたげ」の用例が見つかりませんでした。昔の連歌人はなぜか「うたげ」を歌材に使わなかったようです。 by 連歌楽歳 (2016-05-11 23:13)
楽歳宗匠 皆さま付が遅くなりまして申し訳ございません。梢風様の わざをぎのわざも空しきことと知りをいただきます。わざをぎ を 手振り・足踏みなど面白おかしき技をして歌い舞い、神人をやわらげ楽しませる人 ととらせていただきます。付けです。よろしくご指導くださいませ。 戯れ遊び野に寝ねしとは うたへやうたへの声もしきりに 栄ゆる御世を願ひしことも されども笑みの眉ひらく人 by 路花 (2016-05-15 08:55)
戯れ遊び野に寝ねしとは雑 野は地儀 野に寝ねは野宿で夜分(昼寝もなきにしもあらずですが) うたへやうたへの声もしきりに雑 栄ゆる御世を願ひしことも雑 3句前に「よにふれば」の「世」がありますので、御世を「御代」に変えましょう。 されども笑みの眉ひらく人雑 人倫 人体 by 連歌楽歳 (2016-05-16 00:49)
宗匠さま、皆さまたいへん遅れまして、恐縮いたしております。おゆるしください。今日は東京周辺、今年初めての真夏日とか。長~い夏になりそうな気配……覚悟をしなくてはいけないかもしれませんね。路子さんのお句のうち 戯れ遊び野に寝ねしとはを頂戴いたしたく存じます。拙次まほらなる光みちくる大八洲 如月くちなはに囁かれたるあだ心蜥蜴出づ玉石積(たまいしづみ)の狭間より然りげなくかはほり扇打ち振れば真清水のいのちあらたに流れ出で宗匠さま、蘭舎さま、ご指導ご一直よろしくお願い申し上げます。如月 by 如月 (2016-05-23 16:56)
まほらなる光みちくる大八洲 如月雑 光は光物 「まほらなる+大八洲」は国郡 前句と合わせると朝の風景ですが、時分を表すにたる具体的な言葉がありませんので、気配だけの朝。 くちなはに囁かれたるあだ心雑 くちなはは俳諧では夏の季語ですが、古典連歌では「くちなは」の使用例がみあたらず、季の詞にもなっていません。それに、4句前に「衣がへ」(夏)が出ています(同季は7句去り)。くちなはは連歌の分類ではおそらく虫類でしょう(ながむしとよばれた爬虫類ですので)。泰西名画の連歌化。 蜥蜴出づ玉石積(たまいしづみ)の狭間より雑 くちなはにならって、蜥蜴も虫類 「炎天や切れても動く蜥蜴の尾」(芥川龍之介)のように、蜥蜴と炎天は終になることが多く、石垣が暑くなる夏を思わせる雑の句です。 然りげなくかはほり扇打ち振れば夏 扇は夏 『連理秘抄』に「六月には夕立、扇、夏草、蝉、蛍、納涼」。4句前の「衣かへ」の夏と抵触します。かはほりが扇の場合は非動物。預かりにしますので、修正案があれば、どうぞ。 真清水のいのちあらたに流れ出で雑 清水は俳諧では夏の季語、連歌では清水だけでは雑、「清水むすぶ」としてはじめて夏の季詞になると『連歌新式』にあります。いのち(命)は2句物(只1、虫の命など1)。1折裏12に「壽(いのちなが)くと選ぶ言の葉」があり、荘子にも「寿(いのちなが)ければ則ち辱多し」がありますが、「寿」は長生きであり、長期間命が絶えなかった結果を意味します。「いのちながく」とよませた寿と、ここの「いのち」は、すでに折ひとつを隔てていますので、差合いなしということで参りましょう。清水は水辺用 by 連歌楽歳 (2016-05-23 22:31)
宗匠さま、コメント、ご教示、有り難うございました。「衣替へ」の季語には気づいておりましたが、三句去りなら夏を出してよいのではと、簡単に考えてしまいました。申し訳なく存じます。大八洲の句以外、夏の句のつもりで投句いたしました。ところが、くちなは、蜥蜴、清水と、夏の季語ではなかったのですか!? おかげで、全面的な作り替えをせずに済みまして、ホッとしております。さすがに扇は正真正銘、夏の季語ですから、使えませんですね。なお、かはほりは、(檜扇でない)紙を貼った「かはほり扇」として用いました。扇を取り去り、生類のかはほりとしてなら雑の句になりますでしょうか。 彼は誰にかはほり鳴くぞあはれなるよろしくご指導お願い申し上げます。 by 如月 (2016-05-24 00:39)
彼は誰にかはほり鳴くぞあはれなる 動物のかはほりは、『図説俳句大歳時記』の記述から推測すると、連歌から俳諧への移行期に季語になったと思われます。国際日本文化研究センターの連歌データベースに、かはほりを使った句が4例があります。うち2例は単独の句で季の推定が不可能です。残る2例は、 住める限りを知らぬ岩屋戸 かはほりの飛び行くかげはさびしくて 形見のあふぎ暮れにこそ取れ (文明万句 1482年) あだめく色をかえすかはほり 音を絶えて水行く花の浮草に 蛍や暮をいま誘ふらむ (永禄元年花千句 1558年)いずれも「かはほり」が夏なのか、雑なのか、判別しにくいですね。また、連歌の時代、かはほりが虫・鳥・獣のいずれに分類されていたかも、きちんとしたことは文献にあたる必要があります。そういうわけで、今回は(夏はまずいので)、えいやっと、「かはほり=無季・獣類(今では哺乳類です)」に分類することにしましょう。 by 連歌楽歳 (2016-05-24 12:41)
句材分析追加 彼は誰にかはほり鳴くぞあはれなる「彼」は指示代名詞ですが、「誰」という疑問詞は、『連歌新式』で人倫に分類されていました。打越句に「わざをぎ」(人倫)があり、まずいです。 彼は誰に(ここかしこ、古寺に)かはほり鳴くぞあはれなるあたりで、いかがでしょうか? 「古寺のかはほり鳴きて暗き夜に」という古句がありました。 by 連歌楽歳 (2016-05-24 14:04)
宗匠さま、コメントありがとうございました。蛇や蜥蜴より蝙蝠のほうが、連歌では詠まれていたというのは、面白いことです。「雑」としてくださって、助かりました。ところで「彼は誰」ですが、「かはたれ時」のつもりです。漢字で書くと、このような字になりますが、文字から言って、人倫の句となるのででょうか? ご教示くださいませ。よろしくお願い申し上げます。~~~~如月 by 如月 (2016-05-24 14:48)
如月さま 彼は誰にかはほり鳴くぞあはれなるあの声はだれのために、蝙蝠の鳴くのはあはれなことよと了解していました。時分の「かはたれどき」の省略形でしたか。失礼しました。その場合は人倫にはなりませんね。時分の「かはたれ」は、夕方か明け方のいずれか。「彼は誰」をひらがなにしましょう。 by 連歌楽歳 (2016-05-24 18:00)
宗匠さま、たびたびお騒がせ致しております。ご教示ありがとうございました。「かはたれ」「かはほり」の音が同音反復のように聞こえる「おかしさ」を狙ったのですが、両方とも平仮名表記のほうが、その効果が出せるかもしれません。最初に読んだときは???となるかもしれませんが…。 by 如月 (2016-05-25 00:28)
夏めいてまいりました。如月さまのかはたれのかはほり にもこころひかれましたが、真清水のいのちあらたに流れ出でをいただきまして、拙次、案じてみました。むもれ木の枝のよくぞながらふ 蘭舎吾がみどり子に逢はむとぞ恋ふ葉擦れの音のうきもしらずに富士の根語るひとの床しくかたち窶すはおろかなるらん楽歳宗匠、羽衣さま、なにとぞ宜しく御願い致します。 蘭舎拝 by 蘭舎 (2016-05-25 10:30)
先ほどお送りしたコメント反映されていませんので再度、トライいたします。 (少し、手直しも致しましたので、二度出ましたら、こちらでお願い致します。)ーーーーーーーーーーーーー夏めいてまいりました。如月さまのかはたれのかはほりにもこころひかれましたが、真清水のいのちあらたに流れ出でをいただきまして、拙次案じてみました。むもれ木の枝のよくぞながらふ 蘭舎吾がみどり子に逢はむとぞ恋ふ葉擦れの音のうきもしらずに富士の根語るこゑも懐かしかたち窶すはおろかなるらん楽歳宗匠、羽衣さま、なにとぞ宜しく御願い致します by 蘭舎 (2016-05-25 11:05)
むもれ木の枝のよくぞながらふ 蘭舎雑 むもれ木(埋木)はすでに木類ではなくなっていますが、木類との打越は嫌います。 吾がみどり子に逢はむとぞ恋ふ雑 人倫 葉擦れの音のうきもしらずに雑 「葉」の字は4句物 葉擦れは木類・草類 富士の根語るこゑも懐かし雑 富士の根=富士の嶺 山類体 名所 かたち窶すはおろかなるらん雑 窶(やつ)すは①乞食に身をやつす②めかしこむ、の両義がありますが、この場合②の方でしょうかね。 *ついでに蛇足。「たそがれ(誰そ彼)時」も「かはたれ(彼は誰)時」も出自は同じですが、連歌では「かはたれ時」よりも「たそがれ時」の方が愛用されていたようです。『連歌新式』には「たそかれ たそかれに夕の字、打越を嫌う。朝には嫌わず」とあります。『連珠合璧集』には「たそがれ時」が時分の項に出ています。『無言抄』には「誰という字に2句嫌う。夕時分にも二句嫌う。朝時分には不嫌」。一方、かはたれ時は『連歌新式』『連珠合璧集』『無言抄』に記述がなく、下って元禄のころの『産衣』で「かはたれ時 夜の明け方也。朝時分に嫌也。誰に2句、時に折也。異本に夜の明け方、夜分也。かれハ誰と云程の時也」と説明されています。また、同書には「かハたれ星 明星より少し前に出る星なり」とありますので、「かはたれ」だけでは判別に手間取ることになります。「誰そ彼」が「たそがれ(黄昏)」の表記に代わった現代では「彼は誰時」も「時」を抜いた諏略形で「かはたれ」とひらがな表記をする方がなめらかと感じたところでした。 by 連歌楽歳 (2016-05-25 14:36)
今、文を送信したのですが、コメント欄にアップされていません。再送させていただきます。もし重複しましたら、おゆるしください。蘭舎さま、清水の拙句をおとりくださり、治定いただきまして、有り難うございました。宗匠さま、「誰そ彼、彼は誰」につきまして、さらにご教示ありがとうございます。学生時代に、両方とも薄明を意味するが、誰そ彼はどちらかというと夕方、彼は誰はどちらかといえば朝方を指すと習って以来、今に至っていましたが、事実はそんなに単純ではなく、朝か夕かについても歴史上の変遷があること、改めて知りました。たくさんの例示をいただきまして、たいへん勉強になりました。お礼申し上げます。 by 如月 (2016-05-25 19:47)
宗匠さま 皆さま紫陽花の咲き初めの 何ともみずみずしい季節となりました。この未だういういしい白っぽい緑の色が一番好きです。扨 蘭舎さま御句より 富士の根語るこゑも懐かし を頂戴致します。 付け 鷹狩にいで立つ君の馬牽いて 埋火は消ゆるとみえてなかなかに(中々に、強かに) おもひ人あらば絆しとなる榾火 望月も(望の月)隈なく晴るヽ花の下 振り向けばもののふ(武士)たりし墨衣(ひとの袈裟 面影の) 神の如いでまし鬼の如かくれ一応何か季語らしきものと案じてみましたが ご一直 またはお差し戻しの程 よろしくお導きください~ by 羽衣 (2016-05-28 11:56)
鷹狩にいで立つ君の馬牽いて 羽衣冬 狩は3句物(鷹狩、獣狩 ○。○としたのは、画数の多い漢字がつぶれて判読しがたいため。『産衣』では、鷹狩、獣狩、小鷹狩となっているので、その類の文字らしい)鷹狩は冬 人倫 馬(駒含む)は1句物 獣類 鳥類 曽我兄弟の仇討導入部のような趣き。 埋火は消ゆるとみえてなかなかに(中々に、強かに)冬 埋火は冬 大岡越前が女性のセックスはいつまで……と母親に尋ねたところ、母親はうつむきながら火鉢の埋火を掘り起こしているのみ。越前、はっと気づき、「灰になるまで」か、察したとか。こうなると、恋の句ですが、どうなんでしょうな。 おもひ人あらば絆しとなる榾火冬 恋 榾・榾火は冬 人倫 ここの「絆し」の意味を教えてください。 望月も(望の月)隈なく晴るヽ花の下春 月 花 光物 夜分 木類 月と花が一度に出た豪華な句ですが、月は夜分、打越に野に寝ねしとは(夜分)があります。望月を有明(朝時分)と変えたところで、夜分・時分の打越になります。良い工夫はないものでしょうか? なければ、月・花は第10句以降に。 振り向けばもののふ(武士)たりし墨衣(ひとの袈裟 面影の)雑 「すみぞめのころも(墨染衣)」を短く「すみころも」としてよいものかどうか。心配です。袈裟はサンスクリットの音訳ですが、こちらの方が抵抗感はすくない感じです。 振り向けばもののふたりしひとの袈裟雑 釈教 人倫 神の如いでまし鬼の如かくれ雑 神は3句物(只1、神代1、名所神1) 鬼は1句物 本歌は「神出鬼没」です。 by 連歌楽歳 (2016-05-28 22:42)
追伸 望月も隈なく晴るヽ花の下 羽衣一度に月と花を消化しておけば、この面、後が楽になりますので、「月」と「野に寝ねし」の障りから解放されるような古人の例を探してみました。宗祇・肖柏・宗長の「湯山三吟」3折表13-3折裏1にかけて、 袖さえて夜は時雨の朝戸出に 宗祇 うらみがたしよ松風のこゑ 肖白 花をのみおもへばかすむ月のもと 宗長「姉小路今神明百韻」3折裏13-4折表2に、 忘るなよ又も相見ん旅の友 親当 暫し仮寝とおき別れゆく 原阿 草枕結ぶや夢のみじか夜に 宗砌 のこりりて月の誰さそふらん 親当このような用例をイクスキューズに使い、預かりの句をもとに戻します。 by 連歌楽歳 (2016-05-28 23:35)
訂正さきに、「寝ねしとは」と「月」が夜分の打越になると書きましたが、私の勘ちがいでした。両者はなか2句隔たっていますので打越の関係にはありません。「夜分と夜分は5句隔てる約束に障る」と訂正いたします。 by 連歌楽歳 (2016-05-29 11:46)
宗匠さま早速のご丁寧なお導き 誠に有り難うございました。恐れながら 当方の言い分(言い訳)と致しましては70句目の 戯れ遊び野に寝ねしとは は夜分とも言い切れず?と案じたもので富士 の連想から思い浮かべました 西行法師の願はくは花のしたにて春死なん・・・の換骨奪胎版 という苦肉の策と相成りました。 かの歌には確か ・・・望月のころ とかいうメッセージもございましたようで そんな訳で 当方には甚だ不相応な大層な句になってしまいました。お許しください~又あらためて いにしえの作例をお示し頂きましてその素晴しさ当意即妙(時代のパワー!)感じ入るばかりです。有り難うございました。大岡越前の御母堂のお話は楽しかったです。当方は富士の根のマグマをイメージしたのですが・・・貴重なお話有り難うございました(笑)絆し(ほだし) 電子辞書には③として 自由を束縛するもの 古今和歌集(雑)「思ふ人こそ絆しなりけれ」 とございますが 当方と致しましては榾火 に掛けてみたつもりですが~やはり西行のおもかげかしら?墨衣も同じくですが 衣 は 衣がへ(宗匠さま御句)がございまいたのでご遠慮すべきとは存じましたが 具体的かとも思い 失礼申し上げました三省堂古語辞典には すみぞめのころも には 「すみぞめごろも」「すみごろも」 また単に「すみぞめ」とも とございましたので使ってしまいました。連歌的にはブーですね。有り難うございました。 以上拙き釈明にて失礼申し上げます。今回も沢山のご教示を賜り 感謝感謝です。誠に有り難うございました。千草さま 皆さまおあと何卒よろしくお願い致します。5月最後の日曜日 素晴しい五月晴れ! お楽しみください~ by 羽衣 (2016-05-29 13:33)
宗匠さま只今 コメント欄 送信申し上げたところ 宗匠さまの 本日付のご教示が入りました。当方のパソコン このところ だいぶ不都合があり 遅れがちでございます。当方の前コメントも届きませんようで(当方の画面には未だ表示なく)そんな訳で 何かと失礼の段 お許しください。取り急ぎ ご免ください。 by 羽衣 (2016-05-29 13:46)
再訂正墨衣(すみごろも)を連歌データベースであたったところ、使用例が4件ありました。(「すみぞめ」「すみぞめのころも」「すみのころも」「すみのそで」が主流ですが)。したがって、「すみごろも」は使用OKです。ただ、羽衣様ご指摘のように7句前に「衣」がありますので(衣は7句隔てる)ここはそのまま「袈裟」にしておきます。 by 連歌楽歳 (2016-05-29 21:11)
宗匠さまご丁寧なご指導誠に恐縮に存じます。有り難うございました。 by 羽衣 (2016-05-30 01:24)
神の如いでまし鬼の如かくれ 羽衣羽衣様こちらをいただかせてください。付け冬めく空をまらうとの月 千草迷ひ子返しくれし月よみたそやと問へば木枯しの月時のかけらの積もる夢殿楽歳様よろしくお願いいたします。 by 千草 (2016-06-03 10:17)
冬めく空をまらうとの月 千草冬 空は天象 5句前3裏5に「空」の字があるので同字5句去りの作法に障ります。梢風さま、「空しき」を「むなしき」とひらがなに変えることをご了解ください。 人倫 月は光物(この月は昼の月のようにも見え、夜の月だった場合は、前述の古人の例にならって夜分5句去りの例外と考えましょう。 迷ひ子返しくれし月よみ秋 人倫 月 光物 たそやと問へば木枯しの月冬 木枯らしは吹物(風) 1句物 月 光物 た(誰)は人倫 秋の野に小鳥むらむらおりゐつつ 永運 日はくれぬるか木からしぞ吹 救済 月出て山にはかげもなかりけり 良基 (文和千句第2)のように、二条良基のころ、木枯しは秋または冬で使えましたが、宗祇のころから冬に固定化されて、現代にいたっています。 時のかけらの積もる夢殿雑 夢殿は法隆寺の夢殿のことでしょうから、釈教。 by 連歌楽歳 (2016-06-03 21:01)
楽歳様いろいろお世話をおかけいたしました。梢風様、空の字につきましてたいへん失礼いたしました。迷ひ子と申しますか、北海道の小学生は無事でよかったです。 by 千草 (2016-06-03 21:28)
関東も梅雨入りしたとか。じめじめ、どんよりも仕方ありませんね。冬めく空をまらうとの月いただきまして 付かさこそと落ち葉のさそふ思ひ歌 遊香身ひとつのそぞろ寒しや枯れ木立ち木枯らしにものや思ふと問はれしか榾(ほた)の火をいつかまなほに見つめおりなんだか、五輪真弓の「恋人よ~♪」の気分になってしまいました。よろしくお願いいたします。 by 遊香 (2016-06-06 22:28)
かさこそと落ち葉のさそふ思ひ歌 遊香冬 思ひ歌で恋 木類 身ひとつのそぞろ寒しや枯れ木立ち冬 木類 人倫(身) 数字(ひとつ) 「そぞろ寒し」は連歌・俳諧ともに秋の季詞とされていますので、たとえば「身ひとつの辺り寒しや…」とか「身ひとつのまくらも寒し…」など、ご工夫ください。それまで預かりです。 木枯らしにものや思ふと問はれしか冬 木枯らしは1句物 吹物 榾(ほた)の火をいつかまなほに見つめおり冬 榾火は連歌では夜分とされています。榾火をじっと見つめるのは、夜の雰囲気でしょう。古人の連歌に夜分と月を中3句で出した例がありますので(本来5句去りの夜分ですと夜分ですが)、ここはその例にならいましょう。「見つめおり」は「見つめを(居)り」に。 by 連歌楽歳 (2016-06-08 08:37)
楽歳さま「そぞろ寒し」の件、すみません! 身ひとつに余す寒さや枯れ木立ち夕寒に添ふ人もなく枯れ木立ち上記のように考えましたが、いかがでしょうか。夕寒、夕冷にも季節がありますか。お手直し、よろしくお願いいたします。「見つめをり」のご訂正、ありがとうございます。 by 遊香 (2016-06-08 23:38)
身ひとつに余す寒さや枯れ木立ち「余す寒さ」を余寒と解釈した場合、余寒は連歌・俳諧を通じて早春ですので、また問題が生じます。「もて余す寒さ」と解釈すれば、厳しい寒さで理屈上は冬になりますが、句が少々舌たらずになります。 夕寒に添ふ人もなく枯れ木立ち夜寒は連歌のころから秋。似たような「夕寒」も、想像するに秋の気分でしょう。とはいうものの、調べてみると、「文安月千句」第6百韻の2折表2-3で、 いつか待みん咲やらぬ花 二月の夜寒の月の朝毎に夜寒が非季の語として使われていました。これにならって、 身ひとつのそぞろ寒しや枯れ木立ちの「そぞろろ寒し」非季の語(心理的な空虚感、懐が寒いと似た用法)ととることが可能です。しかし、これも理屈が先走りしている感じがします。ということで、「枯れ木立ち」句は、コーディネーター楽歳の一存で、なかったことにしたいと思います。付句の梢風さまが、これらの句をどれかを気に入って、おつかいになるのもまたご自由です。 by 連歌楽歳 (2016-06-09 00:55)
楽歳さまご教示、ご采配、ありがとうございました!早春や秋に感じる寒さと、冬の寒さとは、空気感が違うものでしょう。エアコン完備の21世紀ですが、センサーは敏く保ちたいと願っております。 by 遊香 (2016-06-09 07:19)
木枯らしにものや思ふと問はれしか 遊香 付 つくばひの水乱れそめける 蕉風 すぎゆくものはかくも美し 〃 うつり香のある裂をぬひをり 〃○惹かれる恋句を頂きました。明後日から鹿児島で育っている連句会の助っ人に出かけてきます(11日~13日)。当然“のんかた(飲み会)”も入っているようです。楽歳様よろしくご指導下さい。 蕉風 by 蕉風 (2016-06-09 17:06)
木枯しにものや思ふと問はれしか 遊香 付 つくばひの水みだれそめたる 蕉風 すぎゆくものはかくも美し 〃 うつり香のある裂をぬひをり 〃○明後日から三日間、鹿児島で育っている連句の会のすけっとに行ってきます。勿論“のんかた(飲み会)”もあることと思います。楽歳様、よろしくお願い致します。 蕉風 by 蕉風 (2016-06-09 17:13)
つくばひの水みだれそめたる 梢風雑 つくばひの水は水辺用 「みだれそめにしわれならなくに」を連想させますが、前句の木枯しで水面に小さな波紋ができたというだけのことかもしれません。第7句(5句前)に清水(水辺用)があり、水辺同士と同字の両方で(5句去りの)問題が生じます。「つくばひの水」をあきらめて、 不意をつかれてみだれそめたる雑 恋でいかがでしょうか。10日午前中に、次の夢梯さまに郵便で資料を送りますので、間に合えばご返事または、改作をお知らせください。 すぎゆくものはかくも美し雑 うつり香のある裂をぬひをり 雑 うつり香で恋 布は衣類なので裂(きれ)も衣類 by 連歌楽歳 (2016-06-09 21:53)
楽歳様、「つくばいの水」を「不意をつかれてみだれそめたる」、有難うございます。よろしくお願い致します。梢風 by 梢風 (2016-06-09 22:32)
梢風さまさっそくのご返事有難うございました。では、そのように。楽歳 by 連歌楽歳 (2016-06-09 23:27)
●3折裏12治定 すぎゆくものはかくも美し 梢風●3折裏13付け もろ人の思ひ重ねし花の色 夢梯 黒髪にひと片遊ぶ花やさし ひと片の皆を誘ひし花吹雪 年経りし花に古人の声をきく以上、夢梯さまから郵送でいただきました。 by 連歌楽歳 (2016-06-16 17:36)
もろ人の思ひ重ねし花の色 夢梯春 花 木類 人倫 「思ひ」が11句の「ものや思ふ」と打越になります。ふと、思いついたことがあり、 もろ人のおのづと通ふ花の色春 花 木類 人倫 と変えさせていただきます。 黒髪にひと片遊ぶ花やさし春 花 木類 人体 恋 「黒髪にちらちらかかる夜の雪 樗良」が恋の句ですので、これも恋の句ととってさしつかえないでしょう。「ひと片」のひとは数字 ひと片の皆を誘ひし花吹雪春 花 木類 皆は人倫 数字 年経りし花に古人の声をきく春 花 木類 人倫 古人を「こじん」と読むと漢音になるので、連歌では通常「いにしへびと」を使ってきました。字余り対策として、 この花に古人の声をきく春 花 木類 古人は人倫 古は一句物 述懐と変えさせていただきます。 by 連歌楽歳 (2016-06-16 19:44)
<3折裏13>に、 この花に古人の声をきくをいただいて、<3折裏14付け> その折々の春やさまざま 楽歳 言霊あまたいくとせの春 春散りけるは夢かうつつか * その折々の春やさまざま 楽歳春 言霊あまたいくとせの春春 春散りけるは夢かうつつか春 夢は7句去り 西行の面影 *ところで、3ウ-11 木枯しにものや思ふと問はれしか 遊香では、「ものや思ふ」と恋の句の常套語が使われていますが、恋の句とは判定しませんでした。というのは、「冬めく空をまらうとの月」に続く「木枯しにもの思ふ」に恋の響きが感じ感じられず、むしろ むかし思ふさ夜のねざめの床さえて涙もこほる袖のうへかな 守覚法親王・新古今に似たきびしさがうかがえました。しかし、木枯しにものや思ふと問はれしか 遊香 すぎゆくものはかくも美し 梢風と続けば、「しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで 平兼盛」が浮かんでまいります。さらに、調べて行くと、宗祇独吟「三島千句」第5百韻の名残表に、6 月まつほどは野べのやすらひ7 秋草の枕はかなくひきむすび8 いとふ袖にもふかきしらつゆ9 木枯しもおもひをはらふ風ならで10 あさきはいつれわが恋のやまと、「木枯し」と「思ひ」が結ばれているのがわかりました。さらに、木枯しにものや思ふと問はれしか 遊香 すぎゆくものはかくも美し 梢風 もろ人のおのづと通ふ花の色 夢梯と付くとどうでしょうか。「花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに 小野小町」への返歌のように聞こえてきます。「通ふ」がありますので、恋の句と解することが可能になります。サンドイッチになった「すぎゆくものはかくも美し」も恋句に変わります。「すぎゆくもの」を受けて、いやいや、小町さん、あなたはまだまだ美しい、現役です……。以上のような、解釈もできると考えたのですが、一方で、ちょっとのめり過ぎのような気もしますので、結局、別の遣り句的展開の方を選びました。 by 連歌楽歳 (2016-06-17 00:42)
楽歳様 皆様暑くなりました。「花散りけるは…」という美しい世界に身を置きたいのに、朝から真夏日予報、つらいことです。遅くなりまして、申し訳ございません。親族・友人の訃報が続き、自らの老いを嫌でも思わずにいられない日々でした…。楽歳さまの その折々の春やさまざまをいただきます。14句目です。 朋集ひ黒酒(くろき)白酒(しろき)も集ひしが 美酒(うまざけ)を酌まむと瑠璃の盃を出し 花に染め綾に織りたく山蚕とる そねみとふ悲しきこころ雪解川相変わらずの拙句ですが、どうぞよろしくご指導くださいませ。 by 路花 (2016-06-20 11:42)
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3月の外出は公共交通機関ばかりだったので、自動車がほぼ1ヵ月駐車場の飾りになっていました。バッテリー充電のために2日まえに奥多摩湖まで走ってきました。ちょうど湖畔の桜が満開。東京で今シーズン最後の桜でしょう。
by 連歌楽歳 (2016-04-13 17:47)
楽歳様
羽衣様
ご旅行のお話、ありがとうございました。楽しく拝読いたしました。
ひたすら暗誦させられた高校時代の漢文。。。
スイソンサンカクと遭遇してなつかしゅうございました。
付けが手間取りましたのは
時分の去嫌について、三句去りでよかったのかなどと
考えたりしていて、でも前の方もそうだからとも思い返し
行きつ戻りつしていて失礼したしました。
羽衣様のうっとりするようななまめかしい春月の付けから
翌なき春をてらす月の出 羽衣
こちらを頂戴いたします。
付け
ふるさとは人も通はず荒れにけり 千草
久方の空にみなぎるものは何
餞にますらをぶりの涙ぐみ
海彦と山彦手に手とりあへば
楽歳様
ご吟味よろしくお願いいたします。
by 千草 (2016-04-15 23:50)
「翌なき春をてらす月の出 羽衣」について
千草さまは3折表10の「はやも日は暮れ鐘もかすみて 楽歳」との距離を思案されたとのこと。『連歌新式』は「夜分5句去り、時分は打越を嫌う」としています。ただ、厄介なのは時分と夜分の定義があいまいなことです。24時間を通じてある特定の時間帯を示す言葉を(たとえば丑三つ、曙など)を時分とよぶのか(原則はこちら)、日の出から日没までの昼間を時分とし、日没から日の出までを夜分とするのか(一般的な感覚)、曖昧なままです。3折表10は日没時の鐘(入相の鐘=時分)で、入相と云えば「暮れ六つ」ですから、ちょうど昼と夜の境で、昼の終わりで同時に夜の始まりになります。「月」は「夕月夜」など少数の例外を除いて「夜分」ですから、「月の出」も三日月の出などを除けば夜分の領域にあります。3折表10を「時分・夜分」の句と解釈すれば、夜分5去りの原則に反します。一方、昼間の領域(時分・非夜分)だと解せば、問題はありません。
●3折裏2つけ
ふるさとは人も通はず荒れにけり 千草
雑 ふるさと(故郷)は「名所または只故郷で1、旅1」の2句もの。2折表2に「何を求めて出でしふるさと」が既出ですが、あちらを前句「病む雁の落ちゆく涯を思ひみる」を受けた「旅のふるさと」と解し、こちらを「故郷花といへる心をよみ侍りける――さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな 平忠度」のこころ、と理解すれば、きっちり2句物でおさまります。ところで、「ふるさと」(故郷)は通常は居所で、居所は3折表11に「わび住まい」という居所関連の言葉があり、気にかかる所です。ただ、『連珠合璧集』には「故郷に品々あり。ふるき都を故郷という。また今住む里のふりたるもいう。また旅に出でし我方を故郷ともいう」とありますので、こちら故郷は古き都のことで、都となれば居所ではなく「国郡」のくくりになります。
久方の空にみなぎるものは何
雑 天象(空)
餞にますらをぶりの涙ぐみ
雑 はなむけ、とあるので旅立ちの句でしょう 人倫
海彦と山彦手に手とりあへば
雑 海彦山彦は理屈上、非人倫でしょう。すると「手」も非人体になりますか。しかしながら、現代では、動話になって人倫化していますので、この後、打越句では人倫の用語にご注意ください。
by 連歌楽歳 (2016-04-16 12:16)
楽歳様
時分夜分のご解説をいただいてありがとうございました。
また、ふるさとの付けは、忠度様と同じこころだなんて
大いに照れつつ光栄に存じました。
非人倫の海彦山彦は
神話の登場人物の名としては、
海幸山幸とした方が良かったかもしれないです。
場合によっては、ご一直願います。
こうしている間も余震の報。
ひとごとではありません。
どうか大地のとく鎮まりますようにただ祈るばかりです。
by 千草 (2016-04-16 16:02)
以前ご紹介した記憶があるのですが、「歌よみは下手こそよけれあめつちの動き出してたまるものかは 宿屋飯盛」という、「やまとうたは……力をも入れずして天地を動かし」(古今集序)を本説(本歌取り)とする狂歌を思いだしました。余震頻発は大勢が熊本地震をせっせと歌にしているせいでしょうか。
by 連歌楽歳 (2016-04-16 17:20)
遅くなりましてすみませんでした。
この一週間、九州の事態はますます深刻で、考える内容もついそちらに及びます。
写真の「おでん」の幟にほっと慰められています。
餞にますらをぶりの涙ぐみ
いただきまして 付
おいらかなれと願ふものかは
音に聞きしは大地(おほつち)の破れ(やれ)
うらもとなしや止まぬ燻し火
茶碗の白湯に香るおもかげ
字遣いはおまかせいたします。
その他お手直し、よろしくお願いいたします。
by 遊香 (2016-04-21 09:54)
おいらかなれと願ふものかは
雑 「ものかは」が難物で、広辞苑を引くと①大したことではない(憂きはものかは恋ひしきよりは)②強い感動(おなじものを中心にはあたるものかは)③反語(花はさかりに月はくまなきをのみ見るものかは)、とあります。この句の場合、おそらく②でしょうか。はなむけを贈られたますらをが、送り主に返した平安を祈るお礼の言葉でしょう。
音に聞きしは大地(おほつち)の破(や)れ
雑 大地は地儀 熊本かエクアドルの地震のことでしょう。前句と重ねると救援隊の出発の様子に見えます。
うらもとなしや止まぬ燻し火
雑 「うらもとなし」と「止まぬ燻し火」の関係を教えてください。
茶碗の白湯に香るおもかげ
雑 おもかげ(面影)は2句物(只1、月花などに1) 面影は恋の言葉。 お別れの茶事のスタート・汲みだしの場面のようでもあり、「みずさかずき」のケースもありそうです。白湯がパイタンであれば、また異なる話になります。春の異動で単身赴任した人の食卓のインスタント・スープです。
by 連歌楽歳 (2016-04-21 13:05)
楽歳さま
止まぬ燻し火は、これも地震がらみで、火山からの噴煙のイメージでした。出発に際し、胸中(または行く手)に不気味な黒煙がくすぶっていて、心許ないことよと案じている図なのですが、曖昧で漠然としていますね(笑)。すみません。
白湯は、避難所での一服が薄茶くらいに味わえるようすであることからの発想でした。別れ際に茶を立てる暇はないが、それに準ずるやりとりになるかなと。
「浮かぶおもかげ」とすると、行方不明者を案じている図になるかなとも思いましたが、恋とは違うので、面影はつかわないほうがいいですね。
いろいろとすみません!!
by 遊香 (2016-04-21 15:09)
遊香さま
ご説明いただきありがとうございました。
付け句の参考にいたします。
楽歳
by 連歌楽歳 (2016-04-21 21:24)
3折裏2に、
音に聞きしは大地(おほつち)の破(や)れ 遊香
をいただきまして、
●3折裏3付け
ゆふだちの天の逆鉾遠く見て 楽歳
さみだるる天のみず甕底ぬけて
よにふれば心のひだも衣かへ
*
ゆふだちの天の逆鉾遠く見て 楽歳
夏 ゆふだちは降物(雨)・一座一句物 天は天象
さみだるる天のみず甕底ぬけて
夏 さみだれ(五月雨)2句物(只1、梅雨1)降物(雨) みず甕の水は水辺用
よにふれば心のひだも衣がへ
夏 世は5句物(只1、浮世・世の中の間に1、恋の世1、前世1、後世1) 衣は衣類 衣と衣は7句隔てる
by 連歌楽歳 (2016-04-24 09:42)
「みず甕」と現代表記になっていた部分を「みづ甕」と古典表記に変更します。
by 連歌楽歳 (2016-04-24 13:30)
<3折裏3治定>
よにふれば心のひだも衣がへ 楽歳
をいただきまして、
<3折裏4付け>
涸れし泉のほとりにぞ立つ 夢梯
ひそむ力の測りがたくも
力馴染みぞ今は恋しき
力草こそ今は頼りと
民の嘆きをいかにとぞ聞く
*
夢梯さまから郵便でいただきました。「20年も住んだ第2の故郷が大変なことになり、落ち着かず、何事もうわの空状態です。何もしてあげられないので尚更に」と、添えられていました。
by 連歌楽歳 (2016-04-30 19:41)
涸れし泉のほとりにぞ立つ 夢梯
雑 泉は水辺体。 『連歌新式』では言及されていませんが、のち時代になると、泉は水辺体・夏・一座一句物とされることになります。
ひそむ力の測りがたくも
雑
力馴染みぞ今は恋しき
雑 金剛力士のような頼れるものを恋しがっているわけで、恋の句ではありません
力草こそ今は頼りと
力草は力種であり、植物の草類ではありません
民の嘆きをいかにとぞ聞く
雑 民は人倫
by 連歌楽歳 (2016-04-30 19:57)
ストップさせて申し訳ありません。先月お遍路から帰ってすぐに書き込みしたつもりですが、丁那さんに「停滞させてますよ」と今日メールあり、楽歳宗匠から脚下になったかなと見に来ますと、何も入ってません。「力草こそ今は頼りと」に、「力草は力種であり、植物の草類ではありません」の鮮やかな裁定に拍手したことも書いたつもりでしたが、???。
私のことですので認証文字を打たないで終了したしまったのかも知れません。付けしばらくお待ち下さい。
:」
by 梢風 (2016-05-11 11:13)
3 よにふれば心のひだも衣がへ
力草こそ今は頼りと 夢梯
付
手すさびのゑふでにうねる老いの夢 梢風
わざをぎのわざも空しきことと知り 〃
時去りし後の宴をいかにせむ 〃
○遅くなりまして失礼致しました。今度からアップする文章は日録に書いてからと致します。楽歳宗匠、御吟味よろしくお願い致します。
by 梢風 (2016-05-11 13:58)
梢風さま、付け句ありがとうございました。
*
手すさびのゑふでにうねる老いの夢 梢風
雑 手すさびの手は人体の手 老いは2句物(只1、鳥木などに1) 夢と夢は7句隔てる
わざをぎのわざも空しきことと知り
雑 「わざをぎ」を辞書で引くと「俳優」と漢字が出ました。①神意をうかがうための種々の芸(神祇)②滑稽な所作をする人(人倫)とありますが、その分別は付け句の方のご判断にゆだねましょう。
時去りし後の宴をいかにせむ
雑 時去りしの「時」は「盛りのころ」のことでしょうが、『連珠合璧集』をみるかぎりでは、「時節」の用語区分にあたると類推できる用例は見当たりませんでした。「宴」は酒盛りのことでしょうが、連歌データベースには「うたげ」の用例が見つかりませんでした。昔の連歌人はなぜか「うたげ」を歌材に使わなかったようです。
by 連歌楽歳 (2016-05-11 23:13)
楽歳宗匠 皆さま
付が遅くなりまして申し訳ございません。
梢風様の
わざをぎのわざも空しきことと知り
をいただきます。わざをぎ を 手振り・足踏みなど面白おかしき技をして歌い舞い、神人をやわらげ楽しませる人 ととらせていただきます。
付けです。よろしくご指導くださいませ。
戯れ遊び野に寝ねしとは
うたへやうたへの声もしきりに
栄ゆる御世を願ひしことも
されども笑みの眉ひらく人
by 路花 (2016-05-15 08:55)
戯れ遊び野に寝ねしとは
雑 野は地儀 野に寝ねは野宿で夜分(昼寝もなきにしもあらずですが)
うたへやうたへの声もしきりに
雑
栄ゆる御世を願ひしことも
雑 3句前に「よにふれば」の「世」がありますので、御世を「御代」に変えましょう。
されども笑みの眉ひらく人
雑 人倫 人体
by 連歌楽歳 (2016-05-16 00:49)
宗匠さま、皆さま
たいへん遅れまして、恐縮いたしております。おゆるしください。
今日は東京周辺、今年初めての真夏日とか。長~い夏になりそうな気配……覚悟をしなくてはいけないかもしれませんね。
路子さんのお句のうち
戯れ遊び野に寝ねしとは
を頂戴いたしたく存じます。
拙次
まほらなる光みちくる大八洲 如月
くちなはに囁かれたるあだ心
蜥蜴出づ玉石積(たまいしづみ)の狭間より
然りげなくかはほり扇打ち振れば
真清水のいのちあらたに流れ出で
宗匠さま、蘭舎さま、
ご指導ご一直よろしくお願い申し上げます。
如月
by 如月 (2016-05-23 16:56)
まほらなる光みちくる大八洲 如月
雑 光は光物 「まほらなる+大八洲」は国郡 前句と合わせると朝の風景ですが、時分を表すにたる具体的な言葉がありませんので、気配だけの朝。
くちなはに囁かれたるあだ心
雑 くちなはは俳諧では夏の季語ですが、古典連歌では「くちなは」の使用例がみあたらず、季の詞にもなっていません。それに、4句前に「衣がへ」(夏)が出ています(同季は7句去り)。くちなはは連歌の分類ではおそらく虫類でしょう(ながむしとよばれた爬虫類ですので)。泰西名画の連歌化。
蜥蜴出づ玉石積(たまいしづみ)の狭間より
雑 くちなはにならって、蜥蜴も虫類 「炎天や切れても動く蜥蜴の尾」(芥川龍之介)のように、蜥蜴と炎天は終になることが多く、石垣が暑くなる夏を思わせる雑の句です。
然りげなくかはほり扇打ち振れば
夏 扇は夏 『連理秘抄』に「六月には夕立、扇、夏草、蝉、蛍、納涼」。4句前の「衣かへ」の夏と抵触します。かはほりが扇の場合は非動物。預かりにしますので、修正案があれば、どうぞ。
真清水のいのちあらたに流れ出で
雑 清水は俳諧では夏の季語、連歌では清水だけでは雑、「清水むすぶ」としてはじめて夏の季詞になると『連歌新式』にあります。いのち(命)は2句物(只1、虫の命など1)。1折裏12に「壽(いのちなが)くと選ぶ言の葉」があり、荘子にも「寿(いのちなが)ければ則ち辱多し」がありますが、「寿」は長生きであり、長期間命が絶えなかった結果を意味します。「いのちながく」とよませた寿と、ここの「いのち」は、すでに折ひとつを隔てていますので、差合いなしということで参りましょう。清水は水辺用
by 連歌楽歳 (2016-05-23 22:31)
宗匠さま、
コメント、ご教示、有り難うございました。
「衣替へ」の季語には気づいておりましたが、三句去りなら夏を出してよいのではと、簡単に考えてしまいました。申し訳なく存じます。
大八洲の句以外、夏の句のつもりで投句いたしました。ところが、くちなは、蜥蜴、清水と、夏の季語ではなかったのですか!? おかげで、全面的な作り替えをせずに済みまして、ホッとしております。さすがに扇は正真正銘、夏の季語ですから、使えませんですね。
なお、かはほりは、(檜扇でない)紙を貼った「かはほり扇」として用いました。扇を取り去り、生類のかはほりとしてなら雑の句になりますでしょうか。
彼は誰にかはほり鳴くぞあはれなる
よろしくご指導お願い申し上げます。
by 如月 (2016-05-24 00:39)
彼は誰にかはほり鳴くぞあはれなる
動物のかはほりは、『図説俳句大歳時記』の記述から推測すると、連歌から俳諧への移行期に季語になったと思われます。国際日本文化研究センターの連歌データベースに、かはほりを使った句が4例があります。うち2例は単独の句で季の推定が不可能です。残る2例は、
住める限りを知らぬ岩屋戸
かはほりの飛び行くかげはさびしくて
形見のあふぎ暮れにこそ取れ
(文明万句 1482年)
あだめく色をかえすかはほり
音を絶えて水行く花の浮草に
蛍や暮をいま誘ふらむ
(永禄元年花千句 1558年)
いずれも「かはほり」が夏なのか、雑なのか、判別しにくいですね。また、連歌の時代、かはほりが虫・鳥・獣のいずれに分類されていたかも、きちんとしたことは文献にあたる必要があります。そういうわけで、今回は(夏はまずいので)、えいやっと、「かはほり=無季・獣類(今では哺乳類です)」に分類することにしましょう。
by 連歌楽歳 (2016-05-24 12:41)
句材分析追加
彼は誰にかはほり鳴くぞあはれなる
「彼」は指示代名詞ですが、「誰」という疑問詞は、『連歌新式』で人倫に分類されていました。打越句に「わざをぎ」(人倫)があり、まずいです。
彼は誰に(ここかしこ、古寺に)かはほり鳴くぞあはれなる
あたりで、いかがでしょうか? 「古寺のかはほり鳴きて暗き夜に」という古句がありました。
by 連歌楽歳 (2016-05-24 14:04)
宗匠さま、
コメントありがとうございました。
蛇や蜥蜴より蝙蝠のほうが、連歌では詠まれていたというのは、面白いことです。
「雑」としてくださって、助かりました。
ところで「彼は誰」ですが、「かはたれ時」のつもりです。漢字で書くと、このような字になりますが、文字から言って、人倫の句となるのででょうか? ご教示くださいませ。
よろしくお願い申し上げます。
~~~~
如月
by 如月 (2016-05-24 14:48)
如月さま
彼は誰にかはほり鳴くぞあはれなる
あの声はだれのために、蝙蝠の鳴くのはあはれなことよ
と了解していました。時分の「かはたれどき」の省略形でしたか。失礼しました。その場合は人倫にはなりませんね。時分の「かはたれ」は、夕方か明け方のいずれか。「彼は誰」をひらがなにしましょう。
by 連歌楽歳 (2016-05-24 18:00)
宗匠さま、
たびたびお騒がせ致しております。
ご教示ありがとうございました。
「かはたれ」「かはほり」の音が同音反復のように聞こえる「おかしさ」を狙ったのですが、両方とも平仮名表記のほうが、その効果が出せるかもしれません。最初に読んだときは???となるかもしれませんが…。
by 如月 (2016-05-25 00:28)
夏めいてまいりました。
如月さまの
かはたれのかはほり にもこころひかれましたが、
真清水のいのちあらたに流れ出で
をいただきまして、拙次、案じてみました。
むもれ木の枝のよくぞながらふ 蘭舎
吾がみどり子に逢はむとぞ恋ふ
葉擦れの音のうきもしらずに
富士の根語るひとの床しく
かたち窶すはおろかなるらん
楽歳宗匠、羽衣さま、なにとぞ宜しく御願い致します。 蘭舎拝
by 蘭舎 (2016-05-25 10:30)
先ほどお送りしたコメント反映されていませんので
再度、トライいたします。
(少し、手直しも致しましたので、二度出ましたら、こちらでお願い致します。)
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夏めいてまいりました。
如月さまの
かはたれのかはほりにもこころひかれましたが、
真清水のいのちあらたに流れ出で
をいただきまして、拙次案じてみました。
むもれ木の枝のよくぞながらふ 蘭舎
吾がみどり子に逢はむとぞ恋ふ
葉擦れの音のうきもしらずに
富士の根語るこゑも懐かし
かたち窶すはおろかなるらん
楽歳宗匠、羽衣さま、なにとぞ宜しく御願い致します
by 蘭舎 (2016-05-25 11:05)
むもれ木の枝のよくぞながらふ 蘭舎
雑 むもれ木(埋木)はすでに木類ではなくなっていますが、木類との打越は嫌います。
吾がみどり子に逢はむとぞ恋ふ
雑 人倫
葉擦れの音のうきもしらずに
雑 「葉」の字は4句物 葉擦れは木類・草類
富士の根語るこゑも懐かし
雑 富士の根=富士の嶺 山類体 名所
かたち窶すはおろかなるらん
雑 窶(やつ)すは①乞食に身をやつす②めかしこむ、の両義がありますが、この場合②の方でしょうかね。
*
ついでに蛇足。「たそがれ(誰そ彼)時」も「かはたれ(彼は誰)時」も出自は同じですが、連歌では「かはたれ時」よりも「たそがれ時」の方が愛用されていたようです。『連歌新式』には「たそかれ たそかれに夕の字、打越を嫌う。朝には嫌わず」とあります。『連珠合璧集』には「たそがれ時」が時分の項に出ています。『無言抄』には「誰という字に2句嫌う。夕時分にも二句嫌う。朝時分には不嫌」。
一方、かはたれ時は『連歌新式』『連珠合璧集』『無言抄』に記述がなく、下って元禄のころの『産衣』で「かはたれ時 夜の明け方也。朝時分に嫌也。誰に2句、時に折也。異本に夜の明け方、夜分也。かれハ誰と云程の時也」と説明されています。
また、同書には「かハたれ星 明星より少し前に出る星なり」とありますので、「かはたれ」だけでは判別に手間取ることになります。「誰そ彼」が「たそがれ(黄昏)」の表記に代わった現代では「彼は誰時」も「時」を抜いた諏略形で「かはたれ」とひらがな表記をする方がなめらかと感じたところでした。
by 連歌楽歳 (2016-05-25 14:36)
今、文を送信したのですが、コメント欄にアップされていません。
再送させていただきます。もし重複しましたら、おゆるしください。
蘭舎さま、
清水の拙句をおとりくださり、治定いただきまして、有り難うございました。
宗匠さま、
「誰そ彼、彼は誰」につきまして、さらにご教示ありがとうございます。
学生時代に、両方とも薄明を意味するが、誰そ彼はどちらかというと夕方、彼は誰はどちらかといえば朝方を指すと習って以来、今に至っていましたが、事実はそんなに単純ではなく、朝か夕かについても歴史上の変遷があること、改めて知りました。
たくさんの例示をいただきまして、たいへん勉強になりました。お礼申し上げます。
by 如月 (2016-05-25 19:47)
宗匠さま 皆さま
紫陽花の咲き初めの 何ともみずみずしい季節となりました。
この未だういういしい白っぽい緑の色が一番好きです。
扨 蘭舎さま御句より
富士の根語るこゑも懐かし を頂戴致します。
付け
鷹狩にいで立つ君の馬牽いて
埋火は消ゆるとみえてなかなかに(中々に、強かに)
おもひ人あらば絆しとなる榾火
望月も(望の月)隈なく晴るヽ花の下
振り向けばもののふ(武士)たりし墨衣(ひとの袈裟 面影の)
神の如いでまし鬼の如かくれ
一応何か季語らしきものと案じてみましたが ご一直 または
お差し戻しの程 よろしくお導きください~
by 羽衣 (2016-05-28 11:56)
鷹狩にいで立つ君の馬牽いて 羽衣
冬 狩は3句物(鷹狩、獣狩 ○。○としたのは、画数の多い漢字がつぶれて判読しがたいため。『産衣』では、鷹狩、獣狩、小鷹狩となっているので、その類の文字らしい)鷹狩は冬 人倫 馬(駒含む)は1句物 獣類 鳥類 曽我兄弟の仇討導入部のような趣き。
埋火は消ゆるとみえてなかなかに(中々に、強かに)
冬 埋火は冬 大岡越前が女性のセックスはいつまで……と母親に尋ねたところ、母親はうつむきながら火鉢の埋火を掘り起こしているのみ。越前、はっと気づき、「灰になるまで」か、察したとか。こうなると、恋の句ですが、どうなんでしょうな。
おもひ人あらば絆しとなる榾火
冬 恋 榾・榾火は冬 人倫 ここの「絆し」の意味を教えてください。
望月も(望の月)隈なく晴るヽ花の下
春 月 花 光物 夜分 木類 月と花が一度に出た豪華な句ですが、月は夜分、打越に野に寝ねしとは(夜分)があります。望月を有明(朝時分)と変えたところで、夜分・時分の打越になります。良い工夫はないものでしょうか? なければ、月・花は第10句以降に。
振り向けばもののふ(武士)たりし墨衣(ひとの袈裟 面影の)
雑 「すみぞめのころも(墨染衣)」を短く「すみころも」としてよいものかどうか。心配です。袈裟はサンスクリットの音訳ですが、こちらの方が抵抗感はすくない感じです。
振り向けばもののふたりしひとの袈裟
雑 釈教 人倫
神の如いでまし鬼の如かくれ
雑 神は3句物(只1、神代1、名所神1) 鬼は1句物 本歌は「神出鬼没」です。
by 連歌楽歳 (2016-05-28 22:42)
追伸
望月も隈なく晴るヽ花の下 羽衣
一度に月と花を消化しておけば、この面、後が楽になりますので、「月」と「野に寝ねし」の障りから解放されるような古人の例を探してみました。
宗祇・肖柏・宗長の「湯山三吟」3折表13-3折裏1にかけて、
袖さえて夜は時雨の朝戸出に 宗祇
うらみがたしよ松風のこゑ 肖白
花をのみおもへばかすむ月のもと 宗長
「姉小路今神明百韻」3折裏13-4折表2に、
忘るなよ又も相見ん旅の友 親当
暫し仮寝とおき別れゆく 原阿
草枕結ぶや夢のみじか夜に 宗砌
のこりりて月の誰さそふらん 親当
このような用例をイクスキューズに使い、預かりの句をもとに戻します。
by 連歌楽歳 (2016-05-28 23:35)
訂正
さきに、「寝ねしとは」と「月」が夜分の打越になると書きましたが、私の勘ちがいでした。両者はなか2句隔たっていますので打越の関係にはありません。「夜分と夜分は5句隔てる約束に障る」と訂正いたします。
by 連歌楽歳 (2016-05-29 11:46)
宗匠さま
早速のご丁寧なお導き 誠に有り難うございました。
恐れながら 当方の言い分(言い訳)と致しましては70句目の
戯れ遊び野に寝ねしとは は夜分とも言い切れず?と案じたもので
富士 の連想から思い浮かべました 西行法師の
願はくは花のしたにて春死なん・・・の換骨奪胎版 という苦肉の策と
相成りました。 かの歌には確か ・・・望月のころ とかいうメッセージも
ございましたようで そんな訳で 当方には甚だ不相応な大層な句に
なってしまいました。お許しください~
又あらためて いにしえの作例をお示し頂きましてその素晴しさ当意即妙(時代のパワー!)感じ入るばかりです。
有り難うございました。
大岡越前の御母堂のお話は楽しかったです。当方は富士の根の
マグマをイメージしたのですが・・・貴重なお話有り難うございました(笑)
絆し(ほだし) 電子辞書には③として 自由を束縛するもの 古今和歌集
(雑)「思ふ人こそ絆しなりけれ」 とございますが 当方と致しましては
榾火 に掛けてみたつもりですが~やはり西行のおもかげかしら?
墨衣も同じくですが 衣 は 衣がへ(宗匠さま御句)がございまいたのでご遠慮すべきとは存じましたが 具体的かとも思い 失礼申し上げました三省堂古語辞典には すみぞめのころも には 「すみぞめごろも」
「すみごろも」 また単に「すみぞめ」とも とございましたので
使ってしまいました。連歌的にはブーですね。有り難うございました。
以上拙き釈明にて失礼申し上げます。
今回も沢山のご教示を賜り 感謝感謝です。
誠に有り難うございました。
千草さま 皆さま
おあと何卒よろしくお願い致します。
5月最後の日曜日 素晴しい五月晴れ! お楽しみください~
by 羽衣 (2016-05-29 13:33)
宗匠さま
只今 コメント欄 送信申し上げたところ 宗匠さまの 本日付の
ご教示が入りました。
当方のパソコン このところ だいぶ不都合があり 遅れがちで
ございます。
当方の前コメントも届きませんようで(当方の画面には未だ表示なく)
そんな訳で 何かと失礼の段 お許しください。
取り急ぎ ご免ください。
by 羽衣 (2016-05-29 13:46)
再訂正
墨衣(すみごろも)を連歌データベースであたったところ、使用例が4件ありました。(「すみぞめ」「すみぞめのころも」「すみのころも」「すみのそで」が主流ですが)。したがって、「すみごろも」は使用OKです。ただ、羽衣様ご指摘のように7句前に「衣」がありますので(衣は7句隔てる)ここはそのまま「袈裟」にしておきます。
by 連歌楽歳 (2016-05-29 21:11)
宗匠さま
ご丁寧なご指導誠に恐縮に存じます。
有り難うございました。
by 羽衣 (2016-05-30 01:24)
神の如いでまし鬼の如かくれ 羽衣
羽衣様
こちらをいただかせてください。
付け
冬めく空をまらうとの月 千草
迷ひ子返しくれし月よみ
たそやと問へば木枯しの月
時のかけらの積もる夢殿
楽歳様
よろしくお願いいたします。
by 千草 (2016-06-03 10:17)
冬めく空をまらうとの月 千草
冬 空は天象 5句前3裏5に「空」の字があるので同字5句去りの作法に障ります。梢風さま、「空しき」を「むなしき」とひらがなに変えることをご了解ください。 人倫 月は光物(この月は昼の月のようにも見え、夜の月だった場合は、前述の古人の例にならって夜分5句去りの例外と考えましょう。
迷ひ子返しくれし月よみ
秋 人倫 月 光物
たそやと問へば木枯しの月
冬 木枯らしは吹物(風) 1句物 月 光物 た(誰)は人倫
秋の野に小鳥むらむらおりゐつつ 永運
日はくれぬるか木からしぞ吹 救済
月出て山にはかげもなかりけり 良基
(文和千句第2)
のように、二条良基のころ、木枯しは秋または冬で使えましたが、宗祇のころから冬に固定化されて、現代にいたっています。
時のかけらの積もる夢殿
雑 夢殿は法隆寺の夢殿のことでしょうから、釈教。
by 連歌楽歳 (2016-06-03 21:01)
楽歳様
いろいろお世話をおかけいたしました。
梢風様、
空の字につきましてたいへん失礼いたしました。
迷ひ子と申しますか、北海道の小学生は
無事でよかったです。
by 千草 (2016-06-03 21:28)
関東も梅雨入りしたとか。じめじめ、どんよりも仕方ありませんね。
冬めく空をまらうとの月
いただきまして 付
かさこそと落ち葉のさそふ思ひ歌 遊香
身ひとつのそぞろ寒しや枯れ木立ち
木枯らしにものや思ふと問はれしか
榾(ほた)の火をいつかまなほに見つめおり
なんだか、五輪真弓の「恋人よ~♪」の気分になってしまいました。
よろしくお願いいたします。
by 遊香 (2016-06-06 22:28)
かさこそと落ち葉のさそふ思ひ歌 遊香
冬 思ひ歌で恋 木類
身ひとつのそぞろ寒しや枯れ木立ち
冬 木類 人倫(身) 数字(ひとつ) 「そぞろ寒し」は連歌・俳諧ともに秋の季詞とされていますので、たとえば「身ひとつの辺り寒しや…」とか「身ひとつのまくらも寒し…」など、ご工夫ください。それまで預かりです。
木枯らしにものや思ふと問はれしか
冬 木枯らしは1句物 吹物
榾(ほた)の火をいつかまなほに見つめおり
冬 榾火は連歌では夜分とされています。榾火をじっと見つめるのは、夜の雰囲気でしょう。古人の連歌に夜分と月を中3句で出した例がありますので(本来5句去りの夜分ですと夜分ですが)、ここはその例にならいましょう。「見つめおり」は「見つめを(居)り」に。
by 連歌楽歳 (2016-06-08 08:37)
楽歳さま
「そぞろ寒し」の件、すみません!
身ひとつに余す寒さや枯れ木立ち
夕寒に添ふ人もなく枯れ木立ち
上記のように考えましたが、いかがでしょうか。
夕寒、夕冷にも季節がありますか。
お手直し、よろしくお願いいたします。
「見つめをり」のご訂正、ありがとうございます。
by 遊香 (2016-06-08 23:38)
身ひとつに余す寒さや枯れ木立ち
「余す寒さ」を余寒と解釈した場合、余寒は連歌・俳諧を通じて早春ですので、また問題が生じます。「もて余す寒さ」と解釈すれば、厳しい寒さで理屈上は冬になりますが、句が少々舌たらずになります。
夕寒に添ふ人もなく枯れ木立ち
夜寒は連歌のころから秋。似たような「夕寒」も、想像するに秋の気分でしょう。
とはいうものの、調べてみると、「文安月千句」第6百韻の2折表2-3で、
いつか待みん咲やらぬ花
二月の夜寒の月の朝毎に
夜寒が非季の語として使われていました。これにならって、
身ひとつのそぞろ寒しや枯れ木立ち
の「そぞろろ寒し」非季の語(心理的な空虚感、懐が寒いと似た用法)ととることが可能です。しかし、これも理屈が先走りしている感じがします。
ということで、「枯れ木立ち」句は、コーディネーター楽歳の一存で、なかったことにしたいと思います。
付句の梢風さまが、これらの句をどれかを気に入って、おつかいになるのもまたご自由です。
by 連歌楽歳 (2016-06-09 00:55)
楽歳さま
ご教示、ご采配、ありがとうございました!
早春や秋に感じる寒さと、冬の寒さとは、空気感が違うものでしょう。
エアコン完備の21世紀ですが、センサーは敏く保ちたいと願っております。
by 遊香 (2016-06-09 07:19)
木枯らしにものや思ふと問はれしか 遊香
付
つくばひの水乱れそめける 蕉風
すぎゆくものはかくも美し 〃
うつり香のある裂をぬひをり 〃
○惹かれる恋句を頂きました。明後日から鹿児島で育っている連句会の助っ人に出かけてきます(11日~13日)。当然“のんかた(飲み会)”も入っているようです。
楽歳様よろしくご指導下さい。 蕉風
by 蕉風 (2016-06-09 17:06)
木枯しにものや思ふと問はれしか 遊香
付
つくばひの水みだれそめたる 蕉風
すぎゆくものはかくも美し 〃
うつり香のある裂をぬひをり 〃
○明後日から三日間、鹿児島で育っている連句の会のすけっとに行ってきます。勿論“のんかた(飲み会)”もあることと思います。
楽歳様、よろしくお願い致します。 蕉風
by 蕉風 (2016-06-09 17:13)
つくばひの水みだれそめたる 梢風
雑 つくばひの水は水辺用 「みだれそめにしわれならなくに」を連想させますが、前句の木枯しで水面に小さな波紋ができたというだけのことかもしれません。第7句(5句前)に清水(水辺用)があり、水辺同士と同字の両方で(5句去りの)問題が生じます。「つくばひの水」をあきらめて、
不意をつかれてみだれそめたる
雑 恋
でいかがでしょうか。
10日午前中に、次の夢梯さまに郵便で資料を送りますので、間に合えばご返事または、改作をお知らせください。
すぎゆくものはかくも美し
雑
うつり香のある裂をぬひをり
雑 うつり香で恋 布は衣類なので裂(きれ)も衣類
by 連歌楽歳 (2016-06-09 21:53)
楽歳様、「つくばいの水」を「不意をつかれてみだれそめたる」、有難うございます。よろしくお願い致します。梢風
by 梢風 (2016-06-09 22:32)
梢風さま
さっそくのご返事有難うございました。では、そのように。
楽歳
by 連歌楽歳 (2016-06-09 23:27)
●3折裏12治定
すぎゆくものはかくも美し 梢風
●3折裏13付け
もろ人の思ひ重ねし花の色 夢梯
黒髪にひと片遊ぶ花やさし
ひと片の皆を誘ひし花吹雪
年経りし花に古人の声をきく
以上、夢梯さまから郵送でいただきました。
by 連歌楽歳 (2016-06-16 17:36)
もろ人の思ひ重ねし花の色 夢梯
春 花 木類 人倫 「思ひ」が11句の「ものや思ふ」と打越になります。ふと、思いついたことがあり、
もろ人のおのづと通ふ花の色
春 花 木類 人倫
と変えさせていただきます。
黒髪にひと片遊ぶ花やさし
春 花 木類 人体 恋 「黒髪にちらちらかかる夜の雪 樗良」が恋の句ですので、これも恋の句ととってさしつかえないでしょう。「ひと片」のひとは数字
ひと片の皆を誘ひし花吹雪
春 花 木類 皆は人倫 数字
年経りし花に古人の声をきく
春 花 木類 人倫 古人を「こじん」と読むと漢音になるので、連歌では通常「いにしへびと」を使ってきました。字余り対策として、
この花に古人の声をきく
春 花 木類 古人は人倫 古は一句物 述懐
と変えさせていただきます。
by 連歌楽歳 (2016-06-16 19:44)
<3折裏13>に、
この花に古人の声をきく
をいただいて、
<3折裏14付け>
その折々の春やさまざま 楽歳
言霊あまたいくとせの春
春散りけるは夢かうつつか
*
その折々の春やさまざま 楽歳
春
言霊あまたいくとせの春
春
春散りけるは夢かうつつか
春 夢は7句去り 西行の面影
*
ところで、
3ウ-11 木枯しにものや思ふと問はれしか 遊香
では、「ものや思ふ」と恋の句の常套語が使われていますが、恋の句とは判定しませんでした。というのは、「冬めく空をまらうとの月」に続く「木枯しにもの思ふ」に恋の響きが感じ感じられず、むしろ
むかし思ふさ夜のねざめの床さえて涙もこほる袖のうへかな 守覚法親王・新古今
に似たきびしさがうかがえました。しかし、
木枯しにものや思ふと問はれしか 遊香
すぎゆくものはかくも美し 梢風
と続けば、「しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで 平兼盛」が浮かんでまいります。さらに、調べて行くと、宗祇独吟「三島千句」第5百韻の名残表に、
6 月まつほどは野べのやすらひ
7 秋草の枕はかなくひきむすび
8 いとふ袖にもふかきしらつゆ
9 木枯しもおもひをはらふ風ならで
10 あさきはいつれわが恋のやま
と、「木枯し」と「思ひ」が結ばれているのがわかりました。さらに、
木枯しにものや思ふと問はれしか 遊香
すぎゆくものはかくも美し 梢風
もろ人のおのづと通ふ花の色 夢梯
と付くとどうでしょうか。「花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに 小野小町」への返歌のように聞こえてきます。「通ふ」がありますので、恋の句と解することが可能になります。サンドイッチになった「すぎゆくものはかくも美し」も恋句に変わります。「すぎゆくもの」を受けて、いやいや、小町さん、あなたはまだまだ美しい、現役です……。
以上のような、解釈もできると考えたのですが、一方で、ちょっとのめり過ぎのような気もしますので、結局、別の遣り句的展開の方を選びました。
by 連歌楽歳 (2016-06-17 00:42)
楽歳様 皆様
暑くなりました。「花散りけるは…」という美しい世界に身を置きたいのに、朝から真夏日予報、つらいことです。
遅くなりまして、申し訳ございません。親族・友人の訃報が続き、自らの老いを嫌でも思わずにいられない日々でした…。
楽歳さまの
その折々の春やさまざま
をいただきます。
14句目です。
朋集ひ黒酒(くろき)白酒(しろき)も集ひしが
美酒(うまざけ)を酌まむと瑠璃の盃を出し
花に染め綾に織りたく山蚕とる
そねみとふ悲しきこころ雪解川
相変わらずの拙句ですが、どうぞよろしくご指導くださいませ。
by 路花 (2016-06-20 11:42)