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電脳網千句第9 賦白何百韻 2019.2.1~2020.5.30

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1オ

雪吊や六義(むくさ)の苑の澪つくし   如月
   春立ちぬれどなほ年の内        楽歳
  曳かれゆく車はかろき音をもちて     梢風
   うたあはせとて身なり整へ       蘭舎
  畳なはる山を清めし初あらし       羽衣
   険しき径に谷紅葉追ふ         夢梯
  雲晴れて月をしるべに頼りたき      遊香
   ほとほとと戸を叩く旅人        朝姫

1ウ

書きぶりの美しき真名手習へる      千草
   いと賢しげに結ぶ口元          月
  陽は西に扇をかざす夏衣
          歳
   銘をつけよとたまはりし鉢        風
  よろこぶもなげくもいつか時すぎて     舎
   松の千歳をよぎる花びら         衣
  入り江より眺むる富士の薄霞        舎
   暦めくりて新しき春           香
  触れ待ちて心なぎたる振りもせで      姫
   惜しくもあらぬ文殻の数         草
  おとなひし庵の主の臈長けて        月
   そのもてなしのまつむしのこゑ      歳
  ゆくりなく風にすすきの渦生(あ)れぬ   風
   平らな原に月のいざよひ         舎

 

2オ

戦慄きてあづま路くだる都びと       衣
   蛇(へみ)の出づるや於爾の現るゝや   梯
  岩かげに打ち捨てられし鈴ひとつ      香
   ひなの里みにかずら橋揺れ        姫
  山の音ふと止み髪のかぐはしき       草
   時雨の先に根の国の坂          月
  榾の火に語部もまたゆらぎけり       歳
   あやかしの子はあやかしとなる      風
  携へしふくべをみたす甘き酒
        
   夢見心地のとろりとろりと        衣
  若草の薫るいのちに枕して         梯
   はや遠のきし雉子鳴く声
         香
  逢ひがたき君の面影おぼろ月        姫
   佐保姫を描く筆の絵すがた        草 

 

2ウ

田の神の坐(ましま)す水辺幤きよく    月
   笛に太鼓に歌ぞながるる         歳
  ねんごろなまうけ調ふおん館 
       
   雲のはたてに何ながむらむ        舎
  花かつみ旅の翁の道連れは         衣
   笈に檜の笠杖に矢立も 
         
  重き荷を背負ひて馬のつぶやかず      香
   風に尋ぬる天地の声           姫
  月うけて忘扇は文殿に           草
   長き学びの夫に秋寂ぶ          月
  大宮に霧たちこむる司召 
         歳
   いつか定めの船に乗らばや        風
  きのふよりけふみる花の色ふかし
      舎
   小さきおよびの先の弥生野        衣
      


3オ

さわらびのかさねもうれし乙女らに     梯
   さへづりのごと撥ねし笑み声       香
  窓の外は樋つたふ雨のしきりなる      姫
   昔戦のありし川の名           草
  侘助のうつむき咲ける御寺内        月
   僧登り来る坂の底冷え          歳
  読まぬまま文を返すもくちをしく      風
   まつやと告げよ秋のはつ風        舎
  鏡なす月に今宵のうす化粧         衣
   過ぐる車に袖の露おく          梯
  誰しもが煙と消ゆる鳥辺山         歳
   あへなきものと知れば愛しき       姫
  あると見るうつつも夢のうちとこそ     草
   はつかに明し春雨の朝          月

  

 

3ウ

   時くれば老木も花をひらかせて       
    笑ひのどかな雛の遊びに         風
   はるかなるいくのの道に東風吹かば     舎
    鳴神となる大臣祀られ          衣
   とどろきにあらがふ身こそもののふと    梯
    諫むる顔の輝やかまほし         香
   巻紙に戯るる猫嗜めて           姫
    ひるがへしゆく墨染の袖
         
   走り根のみち鞍馬より貴船へと       月
    鳩ふく声のいづこともなく        歳
   この山の深さを知らぬ昼の月        風
    黒塚らしき影のすさまじ         舎
   なにゆゑに若き血肉を欲りたまふ      衣
    召されし君はつひに帰らず        梯

 

4オ

つつがなく友と相みて語りたき       香
    せんじ物とて苦し苦しと         姫
   久寿玉の柱をたのむ起き臥しに       草
    夕星(づつ)触るるかはほりの舞     月
   この島は南の海の果てにして        歳
    すぎさりし日のよみがへる筥       風
   うつくしき笛に誘はれ歩み出づ       舎
    律(りち)の調べを片待ちの松       衣
   寝ね難き秋の百夜を過ごしける       梯
    月も常より近く見えしを         香
   山裾の菊のかをりのただよひて       姫
    誰そ醸せるや大甕の酒          草
   あまびゑとふ絵札貼られし厨口       月
    嵐の宵に木軋む音      歳
   

4ウ

ほいとうの提げたる鉢のおほいさよ      風
    ただひたすらに法のためにぞ        舎
   玉鬘見えざる糸に導かれ           衣
    やがて微かに光射しくる          梯
   巣ごもりを終へし翼の軽やかさ        香
    陽のあたたかく歩む芝原          姫

かへりくる春ごと花のあらたしき       草

 謡(うた)にかしづく鼓うららか      月

 
   

 


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