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電脳網千句第9 賦白何百韻 3折表 2019.2.1~

DSC07009B.jpg


    
    さわらびのかさねもうれし乙女らに   梯
     さへづりのごと撥ねし笑み声    香
   窓の外は樋つたふ雨のしきりなる     姫
     昔戦のありし川の名         草
   侘助のうつむき咲ける御寺内       月
     僧登り来る坂の底冷え        歳
   読まぬまま文を返すもくちをしく     風
     まつやと告げよ秋のはつ風      舎
   鏡なす月に今宵のうす化粧        衣
     過ぐる車に袖の露おく        梯
   誰しもが煙と消ゆる鳥辺山        歳
     あへなきものと知れば愛しき     姫
   あると見るうつつも夢のうちとこそ    草
     はつかに明し春雨の朝        月




     

     

 





コメント(55) 

コメント 55

連歌楽歳

見落としがありました。

2折裏12に「船」が出ていますので、「春の水ゆるゆる流れ潤へる」「をちこちの沢にみちくる春の水」は許されませんね(水辺は5句隔てる)。残念ですが削除しましょう。
by 連歌楽歳 (2019-10-02 23:51) 

遊香

遅くなりましてすみません!

夢梯様の
さわらびのかさねもうれし乙女らに
いただきまして、付

さえずりのごと撥ねし笑み声
毬をかかえて走る若人
蹴鞠は空へ春風に乗る
習ひの力見せし手合わせ

ラグビーの快挙に影響されました。
よろしくお願いいたします。
遊香

by 遊香 (2019-10-07 08:27) 

連歌楽歳

 さえずりのごと撥ねし笑み声
春 「さえずり」を「さへづり」と古式の表記にいたします。

 毬をかかえて走る若人
雑 人倫 かかえ→かかへ

 蹴鞠は空へ春風に乗る
春 春風は2句物(春風1、春の風1)吹物 天象
 
 習ひの力見せし手合わせ
雑 手合わせ→手合はせ

by 連歌楽歳 (2019-10-07 15:19) 

遊香

楽歳さま

字づかいを正していただき、ありがとうございました。
ユーモラスな写真! どこで撮影を?
見るたびに笑い声が弾けそうです(笑)。

遊香

by 遊香 (2019-10-07 19:26) 

朝姫

楽歳様、皆様

週末の台風はひどかったですね。
我が家は多摩川が近いので、すぐ避難できるよう荷物やお握りを用意して終日ヒヤヒヤしていましたが、水も出ず、排水も上がらず、停電もなく、風の被害もなく無事に過ごせました。
上流や対岸、駅の方では被害が出ているので、本当に紙一重だったと痛感しています。

皆様のお宅は大丈夫でしたでしょうか?

さて付が遅くなりまして申し訳ございません。
遊香様の

 さえずりのごと撥ねし笑み声

をいただきました。
ラグビー、祝!決勝トーナメント進出ですね。

 付
  窓の外に木づたふ雨のしきりなる  朝姫
  ほの青き灯りの洩れる雨の夜半
  賑やかに人通ひゆく雨の橋

雨の記憶がまだまだ抜けません。。。
宜しくお願い致します。

by 朝姫 (2019-10-16 18:19) 

連歌楽歳

 窓の外に木づたふ雨のしきりなる  朝姫
雑 居所体 木類 降物 4句前に「花」=木類があるので、木→樋として、
  窓の外に樋つたふ雨しきりなる
  
  ほの青き灯りの洩れる雨の夜半
雑 降物 夜分

  賑やかに人通ひゆく雨の橋
雑 人倫 橋の類は5句物(只1、御階1、梯1、名所1、浮橋1)この橋は水辺用で5句前の「船」と触りますが、無視。 降物
打越句に「乙女」がいるので人倫の打越 人→傘として、
  賑やかに傘通ひゆく雨の橋
広重「おおはしあたけの夕立」風に。

いずれの句も「さへづり」からショパンの「雨だれ」へ。まさに「響」。


by 連歌楽歳 (2019-10-17 01:09) 

千草

窓の外に樋つたふ雨のしきりなる  朝姫様

(窓の外は、としたらいかがでしょうか)

こちらをいただきまして

付け
川一筋に神一柱        千草
なべてその名のま愛しき川 
昔戦のありし川の名
遠きないるを偲ぶ橋姫

よろしくお願いします。

by 千草 (2019-10-18 22:54) 

連歌楽歳

 3折表3治定にあたって

窓の外に樋つたふ雨のしきりなる    朝姫
(窓の外は、としたらいかがでしょうか)と千草さまからご意見が出ました。楽歳も「は」の方が締まった感じがするように思います。朝姫さまのお考えはいかがですか。とりあえず「は」に変えておきます。

●3折表4付け
 川一筋に神一柱        千草
雑 神祇 水辺体 数字

 なべてその名のま愛しき川 
雑 水辺体 「ま愛しき」は「真愛(まかな)しき」と表記したほうがわかりやすいと思いますが、いかがでしょうか。

 昔戦のありし川の名
雑 昔は1句物 昔が出ると句は述懐 水辺体

 遠きないるを偲ぶ橋姫
雑 懐旧(述懐) 橋姫は佐保姫同様非神祇・非人倫。橋姫は水辺(産衣) 「ないる」はエジプトのナイルのことでしょうか? 古代ナイルの橋神の名はAnuket。ないる=Nileを連歌練習帖で許せば、せーぬ、てむず、どなう、ぼるがと、堤防の決壊が相次ぐことになりそうで、参考出句ということにしておきましょう。



by 連歌楽歳 (2019-10-19 13:11) 

千草

楽歳さま

ご吟味ありがとうございます。
つい、ないるなどと調子を外しまして失礼いたしました。
参考出句ということでお許しください。

ナイル川河口の三角州の洪水の賜のようなことを考えていました。
中学生くらいの時その話を聞いて子供心にたいへん驚いたのでした。

テムズは『オーランドー』などで出水の怖さが語られていますし。
また大陸の大河はいったん越水すると広範囲長期間の
大事に至ると聞き及んでおります。

言霊から招き寄せてはならないことです。

「ま愛しき」は「真愛しき」の表記へ変更をお願い申し上げます。
by 千草 (2019-10-19 15:20) 

朝姫

楽歳様、千草様

拙句の治定ありがとうございました。
「樋」は「ひ」と読んでも「とい」と読んでも訓読みなのですね。
「ひ」は音読みかしら、と思い込んでおりました。
また、「窓の外は」としていただいたことで緊張感が生まれ、先日の台風の記憶がより刻まれたようです。
ありがとうございます。

ないる、平仮名で書くとまた違ったイメージになりますね。
遠く古代エジプトまで、距離も時間も旅した気分です。


by 朝姫 (2019-10-20 17:47) 

連歌楽歳

 窓の外に樋(とひ)つたふ雨しきりなる

と、楽歳は変更案を考えましたが、治定の千草さまが、

 窓の外に樋(ひ)つたふ雨のしきりなる

とされましたので、そちらを優先しました。

「ないる」にはよい響きがありますね。先ごろルクソールでミイラ20体がまとまって発掘されたというニュースを見ました。

今回、千草さまの付句はすべて「川」ですので、次はアーカイブからナイルの古い写真を引っ張り出して口絵に使ってみましょう。
  

  

by 連歌楽歳 (2019-10-20 23:37) 

如月

宗匠さま 皆さま

たいへんお待たせいたしてしまいました。おゆるしくださいませ。
先月からの三つの台風の東日本襲来は、想像を絶する大きな被害を残しております。皆さまのご無事をお祈り申し上げます。

さて、千草さまの昔戦・・・のお句、頂戴させていただきます。
昔男ありけり・・・の名調子を思わせられました。

昔戦のありし川の名 千草

拙次
呼べばなほ心溢れて涙(なだ)流る
音に聞きかたり継がるる歌かなし
侘助のうつむき咲ける御寺内
武士(もののふ)の雄々しき姿絵詞に
勇ましき姿とどめて絵巻物
勲功(いさをし)をかたる錦絵雲母(きら)の散り
(/雲母刷りの錦絵えがく勲功に)
産土神の御座さぬ今ぞ鎮まらず
(※「神の留守=冬」と取って頂けますか?)

以上です。
ご指導よろしくお願い申し上げます。
by 如月 (2019-10-29 12:49) 

連歌楽歳

 呼べばなほ心溢れて涙(なだ)流る
雑 前句の「名」に「呼ぶ」、「川」に「流る」。しっかり縁語でついていますねえ。ところで、八千草薫と緒方貞子、両氏の悲報相次ぎ。哀傷・述懐・恋の句かも

 音に聞きかたり継がるる歌かなし
雑 ローレライですね。

 侘助のうつむき咲ける御寺内
冬 木類 釈教

 武士(もののふ)の雄々しき姿絵詞に
雑 人倫 「鞭声粛々」ですか。

 勇ましき姿とどめて絵巻物
雑 ここの勇姿は人倫 

 勲功(いさをし)をかたる錦絵雲母(きら)の散り
雑 
(/雲母刷りの錦絵えがく勲功に)

 産土神の御座さぬ今ぞ鎮まらず
(※「神の留守=冬」と取って頂けますか?)
冬 神祇 御座すは「ござす」/「おはす」で辞書によると活用はサ変なので、「御座せぬ」が正しい。

     ◇
今回の口絵は30年ほど前のナイル川。ルクソールからの西岸の眺め。黄土色にかすんでいるあたりが王家の谷のある岩山。さきごろ、この岩山のどこかで20体ものミイラが一挙に発掘されたそうです。


by 連歌楽歳 (2019-10-29 23:48) 

お名前(必須)

おはようございます。

宗匠さま、
正しくは「御座(おは)せぬ」だったのですね。有難うございました。

口絵の写真は、30年前のナイル河ですか!
手前の廃墟のような建造物のうち、左の白いものは、船のようですね。右のも船なのか、それとも、こちらは建物なのか……?
右手奥に見える白いものは、ヨットの帆でしょうか。

向う岸に拡がるのが王家の谷。ツタンカーメン王も眠っていたところですね。
新たにそんな大量のミイラが発見される余地が、まだあったとは驚きです!

たぶん30年くらい前に、アガサ・クリスティのミステリ小説『ナイルに死す』の映画化作品が公開されました。
大勢の乗客たちに混じってポワロが船に乗り込むシーンは、こういう感じの舟着場で撮影されたのでしたか……。
あの映画がまた見たくなりました。
素敵な写真、有難うございました!
by お名前(必須) (2019-10-30 10:49) 

連歌楽歳

●3折表5治定

数多くの付句の中から、最も地味に感じられる

  侘助のうつむき咲ける御寺内   如月

をいただきました。

「御寺」は辞書を引くと「おてら」。戦で死んだ人を弔った川沿いの寺なのでしょう。「御寺」は特殊な読み方では「みてら」。京都・東山の泉涌寺。過去に天皇家と縁があったことから、通称「みてら」。こちらの場合は、戦のあった川とは遠くなりますが、固有名詞がでることで、句としてはクローズアップ感が強まり、また別の味わいが濃くなりそうです。

●3折表5付け
 僧登り来る底冷えの坂    楽歳
 こごゆる指でとぼす法の火
 吐く息白きお勤めの堂
 
   ◇

 僧登り来る底冷えの坂    楽歳
冬 釈教 僧は人倫 「底冷え」は俳諧冬の季語 

 こごゆる指でとぼす法の火
冬 釈教(法の火) 「こごゆる」は俳諧冬の季語 人体

 吐く息白きお勤めの堂
「息白し」は俳諧冬の季語 釈教(お勤めは勤行) 「堂」は字音だが、『連歌概説』によると使用可



by 連歌楽歳 (2019-10-31 23:45) 

連歌楽歳

●ちょっと修正します。
 僧登り来る底冷えの坂    楽歳
こごゆる指でとぼす法の火
 吐く息白きお勤めの堂

この3句、どうも俳諧調なので、以下のように語順を入れ替えます。句意、構成要素は変わりません。

 僧登り来る坂の底冷え    楽歳
 法の火とぼす指のこごゆる
 お勤めの堂白き息吐く


by 連歌楽歳 (2019-11-03 17:32) 

梢風


  僧登り来る坂の底冷え       楽歳

    付

 ひだるさの昼を言ひ合ふともがらも  梢風
 読まぬまま文を返すもくちをしく    〃
 やごとなき人の見舞ひに遣ひして    〃
 返しとて数多の菓子を包まれて     〃

○お待たせいたしました。神無月、どこかシンとした心持ちがいたします。脳内状況の反響でなければよいのですが・・。

楽歳様、よろしくお捌きお願い致します。

by 梢風 (2019-11-07 05:27) 

梢風


  僧登り来る坂の底冷え       楽歳

    付

 ひだるさの昼を言ひ合ふともがらも  梢風
 読まぬまま文を返すもくちをしく    〃
 やごとなき人の見舞ひに遣ひして    〃
 返しとて数多の菓子を包まれて     〃

○お待たせいたしました。神無月、どこかシンとした心持ちがいたします。脳内状況の反響でなければよいのですが・・。

楽歳様、よろしくお捌きお願い致します。
by 梢風 (2019-11-07 05:29) 

連歌楽歳

 ひだるさの昼を言ひ合ふともがらも  梢風
雑 時分(昼) 人倫

 読まぬまま文を返すもくちをしく
雑 文は3句物(恋1、旅1、文学1)恋の文は1折裏10に既出。文学の文は2折裏9に「文殿」があって、既出感強し。この場合、旅の文と受け止めましょう。

 やごとなき人の見舞ひに遣ひして
雑 人倫

 返しとて数多の菓子を包まれて
雑 「あまた」は和語だが、当て字の数多には「多=た」字音がふくまれるので、「あまた」とひらがなに変えたほうが無難。「菓子」は字音。適当な取り換えがあれば、どうぞ。

ここ数日、所用あって伊東へ。95歳の親戚の老人を表敬訪問。ついでに温泉につかってきました。伊東もすっかりさびれていました、と温泉宿の番頭さん(マネジャー)が嘆いていました。ということで、コーディネートが遅れて申し訳ないことでした。


by 連歌楽歳 (2019-11-09 22:31) 

梢風

「菓子」が字音とはついうっかりしてしまいます。古代は「くだもの」を指しますね。

 返しとてあまたのあめを包まれて

と再案してみましたがどうでしょうか。「飴」という字を使えるものかどうか気になりますが。

楽歳様はこの季節、静かな伊東温泉よかったですね。

by 梢風 (2019-11-10 09:23) 

連歌楽歳

● 菓子について
「菓」(クヮ/カ)「子」(シ)ともに字音です。辞書は「果」と書いて「カシ」と読ませ「くだもの」のことと説明し、「菓子」も類似であるとしています。山田孝雄『連歌概説』は「芥子」(ケシ=カラシナの種子)・「障子」を連歌で使ってよいと説明しています。その例に倣えば『連歌概説』が言及していない「菓子」も使用できそうに思われますが、それでは「天子」はどうだ、「太子」はどうだ、と話が面倒になりますので、『連歌概説』に事例がなく、連歌データベースにも「くわし」の用例は見当たないということで、杓子定規に字音で使用不可と判断しました。なお、「飴」は訓読みで「あめ」です。漢字の方がわかりよいですね。

by 連歌楽歳 (2019-11-10 15:06) 

千草

横合いからの失礼お許しください。

源氏物語の薄雲に
「御くだものまゐりなどし給へど」
(現代語訳では
「お菓子を召し上がったりなどなさるが」)
とあります。(角川文庫)
この場合は、フルーツではないような感じがして
紫の上は幼い明石の姫君にどんなおかしを用意されたのかと
思う一節でございます。

ふと思い出しまして。
by 千草 (2019-11-10 21:13) 

連歌楽歳

千草さま

『岩波古語辞典』には、「くだもの」(果物・菓物)は木の実など、酒の肴、副食品、間食品とあり、「はかなきくだもの、強飯ばかりは聞こし召す時あり」(源氏薄雲)が例示されています。何だったのでしょうか? 立命館大学の院生の論文がありますので、ご一読をお勧めします。

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/jl/ronkyuoa/AN0025722X-095_017.pdf


by 連歌楽歳 (2019-11-10 21:49) 

千草

さらに
ウェイリーのこの箇所の英訳はどうなってるかなと
見たところ
supper
なんですね。 意外でした。
が、
1970年代ロンドン暮らしの時、娘は3歳だったのですが
同じ年頃の幼稚園の友達の食生活の様子は
4時のかなり簡単な夕餉で終わりで、
大人は別に、大人だけでいわゆる夕食または晩餐を食べる、でした。
現在はかわっているかもしれません。
そういう英国式を思い出すとこの訳に納得いたしました。
ウェイリー的にはこの状況で
お菓子が出るはずないでしょという感じでしょうか。
日本的心情では、母から離されて連れてこられる子にお菓子を準備するところですけれど。

すみません。脱線しまして。
by 千草 (2019-11-10 21:53) 

連歌楽歳

私が持っているSeidensticker訳では"sweets"でした。脱線ついでに。
by 連歌楽歳 (2019-11-10 23:26) 

千草

楽歳様
サイデンステッカー様

 ありがとうございました。  千草
by 千草 (2019-11-11 09:22) 

蘭舎

皆様
信州への帰省から戻りましてから、あっという間に十日を経過してしまいました。連歌練習帖のこと、気になりながら、慌ただしく日暮れを迎える毎日が続き、申し訳ありませんでした。

梢風さまの
 読まぬまま文を返すもくちをしく

をいただきまして、拙次

まつやとつげよ秋のはつ風
 (暮の山風)
後をばしらず一夜ねしひと
誰にちぎりを結ぶ山里
うたがひながら枕たのめし
ひづてふ袖をいかにしのばむ
 
恋の句に挑戦しました。句吟です。
楽歳さま、何卒よろしくご吟味、ご一直くださいませ。
お次の、羽衣さまも、どうぞ、よろしくお願いいたします。
蘭舎 拝

    

by 蘭舎 (2019-11-20 12:55) 

蘭舎

上〈↑)苦吟です。 らんしゃ。
by 蘭舎 (2019-11-20 12:57) 

連歌楽歳

 まつやとつげよ秋のはつ風
秋 恋(待つこころ)吹物
 (暮の山風)暮は時分、年末なら冬、山類

 後をばしらず一夜ねしひと
雑 恋 夜分 数字 人倫は打越の僧と障る

 誰にちぎりを結ぶ山里
雑 恋 山類 居所 誰は人倫で打越の僧と触る

 うたがひながら枕たのめし
雑 「枕たのめし」とは何でしょうか?

 ひづてふ袖をいかにしのばむ
雑 「ひづてふ袖」は「袖漬(ひづ)」と関係がありますか? 

by 連歌楽歳 (2019-11-20 21:48) 

蘭舎

楽歳さま

早速、ご吟味おそれいります。
お待たせした上に、苦吟のすえの不手際、おゆるしください。
「人倫」うかとしておりました。また、われながら意味不明な句
でございますこと。(溜息)。下のように。
  
まつやと告げよ秋のはつ風   蘭舎
まつやと告げよ宵の山風
後をも知らずひと夜ねしこと
いかで契りをむすぶ山里
うたがひつつも袖を返せし

よろしくお願いいたします。
なおなお、障りがございましたら、ばっさりとお捨てくださいませ。
羽衣さまも、なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。蘭舎 拝


by 蘭舎 (2019-11-21 09:40) 

連歌楽歳

 まつやと告げよ秋のはつ風   蘭舎
同前

 まつやと告げよ宵の山風
雑 恋 宵は非時分(新式)、非時分・非夜分(産衣) 山類 吹物

 後をも知らずひと夜ねしこと
同前

 いかで契りをむすぶ山里
ほぼ同前

 うたがひつつも袖を返せし
雑 恋(袖返す)衣類 「袖を返せし」ですが、「し」は回想の助動詞「き」の連体形で、「き」は連用形に接続すると辞書に出ています。動詞「返す」は4段活用なので、文法的には「返しし」になると思われますが、語呂が良くないですね。同じ回想の「けり」を使って「袖返しけり」としましょう。

by 連歌楽歳 (2019-11-21 12:08) 

連歌楽歳

追加
「袖を返す」は前句の「文を返す」と同字ですので、ホツにしました。
by 連歌楽歳 (2019-11-21 12:14) 

羽衣

宗匠さま 皆さま
いよいよ 暮の早さに心落ち着かぬ頃となりました。

蘭舎さまには 何かとご多用の中 有り難うございました。
秋のはつ風 は爽籟 のことのようで はつ風=そよ風 (秋の と言わ
なければ雑とのことですが) さわやかに頂きました。又、打越 坂 に 山 は特にさわらぬ様ではございますが 山を頂きませんでした。
悪しからずご了承頂きますようお願い申し上げます。その様な訳で 
   
   まつやと告げよ秋のはつ風      蘭舎さま 頂戴いたします

       付け
 
  ひぐらしのもの哀しくも明けの月(残る月)
   ほむら(炎)立つこゝろの隅をのぞく月(こころを月の覘くらん)
   鏡なす月に今宵のうす化粧
   燭の火を消さば(消せば)今宵の月さやか

早とちりで恐れ入ります。お導きの程何卒よろしくお願い致します。


    
by 羽衣 (2019-11-23 16:53) 

連歌楽歳

 ひぐらしのもの哀しくも明けの月(残る月)
秋 月 光物 夜分 ヒグラシは1句物・虫類 「明けの月/残る月」の選択は付句作者にゆだねます。いずれにせよ有明月のことで、夜分。

 ほむら(炎)立つこゝろの隅をのぞく月(こころを月の覘くらん)
秋 月 光物 夜分 「こゝろの隅をのぞく月/こころを月の覘くらん」の選択は付句作者に。

 鏡なす月に今宵のうす化粧 
秋 月 光物 夜分 今宵の宵は非時分。恋の気分ですね。

 燭の火を消さば(消せば)今宵の月さやか
秋 月 光物 夜分 さやかも秋の季語 「燭の火」は字音になるので「燭(ともしび)」と一字にし、未然形の「消さば」よりも已然形の「消せば」の方がなめらかなので、そちらにしましょう。
燭(ともしび)を消せば今宵の月さやか

by 連歌楽歳 (2019-11-23 18:23) 

連歌楽歳

羽衣さま

「坂」と「山」の山類指摘をありがとうございました。
坂は確かに伝統連歌で山類に分類されています。


by 連歌楽歳 (2019-11-23 18:55) 

羽衣

宗匠さま
早速のご吟味賜りながら 御礼遅くなり申し訳ございません。
なかなか新しいパソコンに替えられず 難儀致して居ります。
いつもながら誠にお世話になり 有り難うございました。
 
又 この場をお借りして 町田への御礼申し上げます。
明日からは また冬の寒さが戻りますそうで
皆さまには お風邪等召されませぬよう 暖かくお過ごしください。
ありがとうございました。
by 羽衣 (2019-11-25 16:58) 

連歌楽歳

夢梯さまから、季節のご挨拶を添えた以下の連絡をいただきました。


●3折表9治定
 鏡なす月に今宵のうす化粧    羽衣
●3折表10付
 衣返せど(すも)荻の声のみ   夢梯
 過ぐる車に袖の露おく
 袖の別れにしげき朝露
 袖の別れに露しぐれ降る
 立ち帰る野に露しぐれ降る
 見し君の形(態)酔芙蓉とも
 帰るさの野は葛の香に満ち

  ◇
まず、3折表9

 鏡なす月に今宵のうす化粧 羽衣

の再考から。「うす化粧」に気をとられて、気づくのが遅くなったのですが、「化」(け)「粧」(しゃう)は字音でした。「鏡なす月に今宵の衣被にほふ」(衣被・裏衣=えひ、は「衣被香」のことで、『連歌概説』では使用可の字音とされている)あたりに逃げ込もうと考えもしましたが、「月」「鏡」「化粧」と道具立てがセットになっている頑丈なつくりの句なので、「衣被香」が浮いてしまいます。くわえて「まつやと告げよ秋のはつ風」と夢梯さまの一連の恋の付句に挟まれる場合、連歌風に香を焚き染めるより、俳諧風に鏡の前でおしろいをはたく方が生き生きとしているという考え方もあり、ここは目をつぶって「うす化粧」で通しましょう。1折裏4で「銘をつけよとたまはりし鉢」と「銘=めい」の字音を通しておりますので、毒を食らわば皿まで。

 <3折10付>
 衣返せど(すも)荻の声のみ   夢梯
秋 恋(衣返す。いとせめて恋しきときはむばたまの夜の衣を返してぞ着る)荻は草類。2句前の「風」と「荻の声」は打越を嫌うので、預かりにます

 過ぐる車に袖の露おく
秋 恋 袖の露おく=袖の涙 袖は衣類 露は降物

 袖の別れにしげき朝露
秋 恋 袖の別れ(しろたへの袖の別れは惜しけども思ひ乱れて赦しつるかも) 衣類 時分 露は降物

 袖の別れに露しぐれ降る
秋 露しぐれ 恋 袖の別れ 露しぐれは降物 冬の時雨は2折裏6に既出。こちらは秋の時雨。2句物の時雨はこれで打ち止め。なお、「露時雨」と熟語になった時雨は別勘定になるかどうか、不明。

 立ち帰る野に露しぐれ降る
秋 露時雨は降物 野は地儀

 見し君の形(態)酔芙蓉とも
秋 酔芙蓉は草類 形は「かたち」態は「すがた」で3音になります。預かります

 帰るさの野は葛の香に満ち
秋 葛は草類・秋の七草のひとつ 




by 連歌楽歳 (2019-11-29 20:32) 

連歌楽歳

遊香さまここしばらくはお取込み、との連絡をいただきましたので、楽歳が代打に出ます。

 3折表10に夢梯さまの

 過ぐる車に袖の露おく  夢梯

をいただきました。

3折表11付は、

 身は老ひて問はれぬ門に日は落ちて   楽歳
 ももとせを善かれ悪しかれながらへて
 誰しもが煙と消える鳥辺山
 
   ◇
 身は老ひて問はれぬ門に日は落ちて   楽歳
雑 述懐 (老は2句物、只1、鳥木などに1) 身は人倫 門は居所体 日は落ちて、で時分

 ももとせを善かれ悪しかれながらへて
雑 ももとせ(百年)は数字 

 誰しもが煙と消える鳥辺山
雑 哀傷 誰は人倫 煙は聳物 鳥辺山は名所・山類
 
中曽根氏百一歳死去のニュースを聞いたせいでしょうかね。

by 連歌楽歳 (2019-11-30 00:31) 

遊香

楽歳さま
ありがとうございました! 遊香
by 遊香 (2019-11-30 08:58) 

連歌楽歳

訂正
   誰しもが煙と消える鳥辺山
       ↓
   誰しもが煙と消ゆる鳥辺山

「消ゆ」(下2段活用)の連体形は「消ゆる」でした。
by 連歌楽歳 (2019-11-30 20:09) 

連歌楽歳

修正します

千草さまから、「鏡なす月」と「日は落ちて」は打越で触ると、ご指摘をいただきました。先週末から旅行に出ていて、いただいたメールでのご注意を読むのが遅くなりました。

月と日は光物同士で連歌では3句隔てるべきもの、月と日次の日は打越を嫌いますので、まずい付けでした。以下のように修正します。

 身は老ひて問はれぬ門に日は落ちて
     ↓
 老し身の問はれぬ門に佇みて

by 連歌楽歳 (2019-12-04 15:16) 

朝姫

楽歳様、皆様

あっという間に師走ですね。
遅くなり申し訳ありません。
楽歳様の

 誰しもが煙と消ゆる鳥辺山

を頂きます。


 廻(めぐ)る命の廻る先へと   朝姫
 あへなきものと知れば愛しき
 ほとけにすがる老いのあはれも
 移ろふものを暫しとどめむ

宜しくお願い致します。


by 朝姫 (2019-12-09 15:03) 

連歌楽歳

 廻(めぐ)る命の廻る先へと   朝姫
雑 命は2句物(只1、虫の命など1) すでに2折表11に「若草の薫るいのち」があり、「命」は折をかえるの約束もあるので、ここはおてつきであずかり。

 あへなきものと知れば愛しき
雑 述懐(あへなし、はかなしには死の含意あり)

 ほとけにすがる老いのあはれも
雑 述懐 老いは2句物(只1、鳥木などに1) ほとけ(仏)は釈教で、5句前の「僧」と抵触する(釈教は5句隔てる)ため惜しくもあずかり

 移ろふものを暫しとどめむ


by 連歌楽歳 (2019-12-09 17:22) 

千草

読んでいたら出来ましたのでお送りします。
気が早すぎたかもしれません。朝姫様、お許しを。

あへなきものと知れば愛しき  朝姫様
 
付け
 うたかたの心まかせの言の葉も  千草

 あると見るうつつも夢のうちとこそ

 思ひ沈み時うち過ぎるいたづらに

 ここかしこ紅染むるさくら貝

よろしくお願いします。
by 千草 (2019-12-09 21:37) 

連歌楽歳

 うたかたの心まかせの言の葉も  千草
雑 水辺用(うたかた) 文台下ろせば則ち反古也、の裏返しですね。

 あると見るうつつも夢のうちとこそ
雑 荘子の胡蝶の夢的感慨 この夢は非夜分 夢と夢は7句

 思ひ沈み時うち過ぎるいたづらに
雑 「馬上少年過ぐ」といいますから、ここは「時うち過ぐ」か「時うち過ぐる」でしょうね。

 ここかしこ紅染むるさくら貝
春 さくら貝は貝類(生類) 伊勢の海なみの玉よるさくら貝かいある浦の花の色かな(定家)


by 連歌楽歳 (2019-12-10 01:04) 

朝姫

楽歳様

障りの多い駄句ばかりで失礼致しました。
少し前の「僧」は気になっていたのですが、「命」は気付きませんでした。
ご指導ありがとうございます。


千草様

早々と付けていただき、ありがとうございます。
読んでいたら浮かんでくる、という境地にはなかなか到達せず、無駄に時間を費やしてしまい(更に採用は二分の一という無駄…)ましたので、千草様が大きく挽回してくださって感謝です。

精進致します。
by 朝姫 (2019-12-10 09:26) 

連歌楽歳

朝姫さまにお詫び

「ほとけにすがる老いのあはれも」
雑 述懐 老いは2句物(只1、鳥木などに1) ほとけ(仏)は釈教で、5句前の「僧」と抵触する(釈教は5句隔てる)ため惜しくもあずかり

先ほど見ると、「僧」と「仏」はきっちり5句を隔てていました。何の問題もなかった句に対して、楽歳の勘違いでケチをつけて、申し訳ありませんでした。


by 連歌楽歳 (2019-12-10 21:59) 

連歌楽歳

お知らせ

楽歳は12月19-26日のあいだ旅の空です。その間コーディネート作業を休みます。お待たせすることになり申し訳ありません。
by 連歌楽歳 (2019-12-15 18:15) 

連歌楽歳

みなさま
お待たせいたしました。
連歌練習帖続行いたします。

by 連歌楽歳 (2019-12-27 13:50) 

如月

宗匠さま
お帰りなさいませ。
Xmas旅行の最初のご報告が「プレゼントをおねだりするサンタクロース」とは!

何処も同じ現代社会への皮肉が効いていますが、風刺もお洒落なのがParis風景ですね。

さて、宗匠さまのお留守を良いことに惰眠を貪り過ぎてしまいまして、すっかり頭が働かなくなりました。
遅れまして、いつものことながら、申し訳ございません。

千草様のお句のうち、さくら貝にも心ひかれましたが、迷った末に、次のように頂戴いたしました。

あると見るうつつも夢のうちとこそ

拙次

・替へましやうとぞ嘘を真(まこと)に
・舞へ舞へ胡蝶文殊の園に
(※胡蝶之夢を、文殊菩薩の浄土に遊ぶ獅子と蝶という「石橋」の世界に転換しようとしたのですが、胡蝶も文殊も字音ですのでダメでしょうね。)
・あくがれ歩(あり)くまぼろしの世に
・あくがれ出づる白き夕星(づつ)
・まぼろしを糧なに欲るらむや
・清しき雨に虹のくれない
・はつかに明し春雨の朝

以上、似たような句ばかりで、恐縮でございます。
難しい句をいただいてしまったようで、力及びませんでした。カツをいれてくださいませ。
ご指導、ご一直、よろしくお願い申し上げます。

世の中は本日よりお正月休みのようです。
宗匠さま、どうぞ旅のお疲れを癒されまして、お正月明けにご指導くださいませ。
これに懲りませず、今後ともお導きのほどをお願い申し上げます。

宗匠さま、皆さま
お健やかにご越年なさり、佳きお年をお迎えくださいますよう、お祈り申し上げます。
by 如月 (2019-12-28 12:42) 

連歌楽歳

 替へましやうとぞ嘘を真(まこと)に

 舞へ舞へ胡蝶文殊の園に
春 胡蝶は虫類 (※胡蝶之夢を、文殊菩薩の浄土に遊ぶ獅子と蝶という「石橋」の世界に転換しようとしたのですが、胡蝶も文殊も字音ですのでダメでしょうね) 「蝶・胡蝶」は『連歌概説』が使える字音としていますが、「文殊」については言及なし。「文殊の園に」を「牡丹の園に」なら可。牡丹は1句物

 あくがれ歩(あり)くまぼろしの世に
雑 世は5句物(只1、浮世世中の間1、恋の世1、前世1、後世1)

 あくがれ出づる白き夕星(づつ)
雑 夕星は金星、夕時分、光物 

 まぼろしを糧なに欲るらむや


 清しき雨に虹のくれない
雑  雨は降物 「清しき」は何と読みますか。「きよし」ならク活用なので「清き雨」

 はつかに明し春雨の朝
春 春雨は1句物、降物 朝は2句物(朝1、今朝1) 



by 連歌楽歳 (2019-12-28 22:46) 

如月

宗匠さま

数え日となりましたお忙しい時に、ご検分・ご指導くださいまして有難うございました。

胡蝶が使えるということはお聞きした記憶はあるのですが、今回、本で確かめることができないままに、お送りしてしまいました。
ご指摘をいただきまして、改めて確認することができました(『連歌概説』p.128)。有難うございます。
牡丹の園なら宜しいとあれば、そうさせてくださいませ。
ただ連句では、蝶の季は春で、牡丹は夏ですが、それは問題ないでしょうか?

拙句「・・・嘘を真に」は、太宰府天満宮の鷽替神事を踏まえているつもりなのですが(「替えましょ替えましょ」と掛声をかける、とのことです)、拙句の表現では、新年の神祇とするのは無理でしょうか。
鷽替と言う必要がありますか?

清しきは、スガシキと読むつもりで書きました。
また虹は、連句では夏の季語ですが、連歌では雑になるのでしょうか?

どうかお急ぎにならずに、お教えいただけましたら、幸いでございます。

宗匠さま、皆さま、
佳き新年をお迎えくださいませ。
by 如月 (2019-12-29 01:19) 

連歌楽歳

◎ <清し=すがし> すっかり忘れていました。前の天皇の妹さんは清宮でした。いま「清宮」でグーグルにあたると、野球選手のことばかりでてきます。「清(すが)しき」と読みを入れておきましょう。

◎ <鷽替神事> 「替へましやうとぞ嘘を真(まこと)に」が太宰府天満宮の神事であることを楽歳は知りませんでした。この句を春(新年)と解釈すれば同時に神祇の句になります。隔靴掻痒の春・神祇の句の感じがしませんか。「鷽替まつり嘘を真に」なら少々ダサくなりますが、季感はつかめます。言葉の含意をどこまで広げるか、詠み手と受け手で異なります。

◎ <牡丹と蝶の組み合わせ> 『毛吹草』に、

 牡丹花にねふる胡蝶も夢庵哉  作者不知

の句があり、夏の項に入れています。

連歌では、少数ながら、

 わが園を離れず蝶の遊ぶらし
  もゆれば咲くを待つ二十日草
 朝なあさな霞の籬露深み

という春の扱いもあります。

花札のイコノロジーでは「牡丹に蝶」は6月ですね。牡丹と蝶の組み合わせは「夏」にしておいた方が無難でしょう。

   ◇
楽歳の付句は3折裏1になります。面が変わるのを機に、晦日・新年を休み、仕事始めの日に付句を出します。それでは、みなさま良いお年を。

by 連歌楽歳 (2019-12-29 16:58) 

如月

宗匠さま
お世話になりまして、恐縮に存じます。

唐獅子牡丹、牡丹に蝶と、この三者は切り離せませんね。
牡丹も蝶も、気だるさの極となる晩春の午後が最も相応しいと感じますが、しかし春の花といえば、桜が動かせません。
百花の王たる牡丹は、女王の桜とは争わず、共存共栄する線引きをしたのではないか・・と、これは素人の愚考でした。

鷽替は、「替えましょ替えましょ」と言いながら、参加者同士でオモチャの鷽を手渡してゆくのだそうです。
「嘘を真に」というのは、私が勝手に考えたもので、こういう掛声はないだろうと思います。

ご一直のように
鷽替まつり嘘を真に
或いは
鷽替詣で嘘を真に

としてくださいますか。
此処は時期も符合しましたので、ハッキリとした新年の句を出しておきたいと思います。

有難うございました。良きご越年を!
by 如月 (2019-12-29 18:19) 

連歌楽歳

●3折表14に、

 はつかに明し春雨の朝

をいただきます。辞書によると「はつか」は物事のはじめの一瞬といった時間的な短さ、「わづか」は量的な少なさを言うようです。「明し」は「あけし」「あかし」の読みがありますが、時間的な「はつか」と組み合わせるには、夜が明けはじめたその一瞬ということで、「あけし」がよろしいかと思います。

講釈はともあれ、
   あると見るうつつも夢のうちとこそ    草 
    はつかに明し春雨の朝         月

  「春の夜の夢の浮橋とだえして
    嶺にわかるるよこ雲のそら」

と歌った定家卿に比肩する上句の朦朧と下句の明瞭の鮮やかな対比。世俗のあれこれにうんざりしてしまった年寄りを慰めるこの新古今ムードの風景を頂いて、

●3折裏1付け
 やはらかに花降りつもるその下で    楽歳
 時くれば老木も花をひらかせて
 濡れてゆくさむらひの背に花の散る

   ◇

 やはらかに花降りつもるその下で    楽歳
春 花 木類 
西行風に。同時にオマル・ハイヤーム風に。科学者よりもむしろ『ルバイヤート』によって詩人として名高いオマル・ハイヤームが、生前、「私の墓は一年に二度樹木が花を散らす場所につくられるだろう」と語っているのを弟子の一人が聞いていたそうです。オマルの没後、その弟子がネイシャプールのオマルの墓所を訪ねると、オマルの墓の周りには、数本の梨の木と桃の木が植えられており、おびただしい花びらが地面を覆っていました。それを目にした弟子は涙をこらえきれなかった――小川亮作訳『ルバイヤート』(岩波文庫)の巻末解説に出てくる逸話です。楽歳も花の時期にネイシャプールに行ってオマルの墓まいりをしたいものと願っていますが、パスポートにイランの入国スタンプが押されると、米国入国が面倒になるそうなので、米・イラン和解の時期を待っているところです。あいにく、さきごろイラク国内の過激派組織を米軍が空爆して、イランから来ていた革命防衛隊の名高い将軍を殺してしまったので、緊張は逆に高まる一方です……と、あとがきが長々と付いたのは句自体に力がないせいでしょう。

 時くれば老木も花をひらかせて
春 花 木類 老いは1句物(只1、鳥木など1)
 さしずめ一休禅師と森女の物語

 濡れてゆくさむらひの背に花の散る
春 花 木類 人倫 人体
「月さま、雨が……」



by 連歌楽歳 (2020-01-04 00:38) 

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