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電脳千句第7  賦何水百韻  二折裏  2016.10.24~

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     くたびれて寝ぬる合間を夕さりぬ          風

     事あり顔を見るも見ざるも              香

    まほらまの山辺のみち鐘かすみ           月

     水温むころ旅立ちし人                姫

    墨染めに花のひとひら舞ひおちて          歳

     夢のまにまに蝶のたはぶれ             衣

    髪さげし乙女子の声はんなりと            花

     撫で育てしを奪ひゆくきみ              梯

    夏にたゞ隔てじと慣へども              舎

     あけやすき夜の月はいづちに            草

    ひたひたと山の魑魅(すだま)の近づくや       香

     いをなどを食ふ者のすさまじ             風

    外つ國の銀(しろがね)の匙磨きつつ         姫

     閼伽水汲める古渡りの椀(まり)           月
        
         


         



                    

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コメント(53) 

コメント 53

梢風


 なみだの川に架かる継ぎ橋      蘭舎

   付

くたびれて寝ぬる合間を夕さりぬ    梢風
やまびこの笑ひ降りくる谷底に      〃
照り曇る南にかたきかちの行       〃

○涙の川は非水辺、「継ぎ橋」も同様、とは柔軟性があって面白いですね。

楽歳さま、お捌きよろしくお願い致します。

by 梢風 (2017-03-23 06:44) 

連歌楽歳

 くたびれて寝ぬる合間を夕さりぬ    梢風
雑 時分(夕) 「寝」の字は4句物
 
 やまびこの笑ひ降りくる谷底に
雑 谷は山類ですがやまびこを山類とするのは抵抗があります

 照り曇る南にかたきかちの行
雑 「かたき」は『敵』、『難き』? 「かち」は『徒士』、『徒歩』?


by 連歌楽歳 (2017-03-23 12:50) 

遊香

梢風様のお返事を待ってからとも思ったのですが、せっかちですみません。
国会中継や楽歳様の写真の影響で、以下のようになりました。

梢風様の
くたびれて寝ぬる合間を夕さりぬ  いただきまして


事あり顔を見るも見ざるも  遊香
風向きたどる術の無ければ
物倦んじとは諦めぬまま
おぼろに受けし名無き旅苞(たびづと)

楽歳さま、お手直し、よろしくお願いいたします。

by 遊香 (2017-03-24 18:30) 

連歌楽歳

 事あり顔を見るも見ざるも  遊香
雑 人体 後撰集に「見る時はことぞともなく見ぬ時はことありがほに恋しきやなぞ」(よみ人知らず)の恋歌がありますが、なか1句挟んでの恋の句の繰り返しになりますので、ここは恋の句ととるのはやめましょう。

風向きたどる術の無ければ
●風は吹物

物倦んじとは諦めぬまま
雑 あきらめたわけではないが、何となく倦み疲れて、といった意味でしょうか?

おぼろに受けし名無き旅苞(たびづと)
雑 旅 「おぼろ」は俳諧では春季ですが、連歌では「おぼろ」だけでは春になりませんでした。「おぼろ月」のような形になって春とするのがならいでした。

by 連歌楽歳 (2017-03-24 23:54) 

如月

宗匠さま、皆さま、お変りございませんか。

花冷えとは言いますものの、こんなに低温がつづくとは思いませんでした。今日も寒いですね。

今週はじめに風邪をひきまして、予想に反して長引いてしまい、徒に日にちが経ってしまいました。
途中ご連絡を入れもせず、ご心配をおかけしたと存じます。お詫び申し上げます。
(昨日・今日のお花見予定もキャンセルして、家に籠っていますが、やっと薬が効いてきつつあるようです。)

遊香さまのお句のうち、
事あり顔を見るも見ざるも
を頂戴いたしまして、

拙次

語り合ふ石の佛の坐(ま)す春野 如月
親猫のふはりと現れし物のかげ
淡雪にうつつ心をあそばせて
まほらまの山辺(やまのべ)のみち鐘かすみ

宗匠さま、ご指導、ご一直、よろしくお願い申し上げます。
朝姫さま、お捌よろしくお願い申し上げます。
by 如月 (2017-04-01 14:28) 

連歌楽歳

まず、ご病気お見舞い申し上げます。
ご無理なさいませぬよう、お大事に。

さて、

 語り合ふ石の佛の坐(ま)す春野   如月
春 釈教 野は地儀 

 親猫のふはりと現れし物のかげ
春 猫の親は猫の子と対で、春。「ねこのこ」の使用例は過去の連歌にありますが、無季(「ねこのおや」の方はありません)。獣類。俳諧の春季指定に敬意を表して「春」。「ふはりと現れし」を「ふはりといでし」でいかがでしょうか。

 淡雪にうつつ心をあそばせて
春 降物 「うつつごころ」は現心で、正気の意。のちに「夢うつつ」などの影響で、夢心地。4句前に「うつし世」がありますが、句の趣が異なるので気にはなりませんね。

 まほらまの山辺(やまのべ)のみち鐘かすみ
春 「まほらま」は地儀にあたるのでしょうか。山の辺は山類 鐘は4句物(只1、入相1、釈教1、異名1) 「鐘のかすむ」は『連歌新式』によると非夜分なので、打越の「夕さりぬ」との障りはありません。『古寺巡礼』の季節が始まりますね。

by 連歌楽歳 (2017-04-01 20:37) 

如月

宗匠さま、

あたたかいお言葉、いたみいります。
ご指導とお直し、有り難うございました。

猫の「出産・子育て」ごときは、連歌の世界では詠まれなかったということなのでしょうね。
そうお聞きしますと、たしかに猫の親・猫の子というのは地面目線の、俳諧味たっぷりの季語と感じます。

親猫を春の季語にしてくださって嬉しいです。
また、猫に「現れし」は大袈裟でした。
ふはりと出でし、と一直下さり、ありがとうございます。

うつし世は気になったことは事実でしたが、こちらは常世との対になると思いまして、そういうテーマは避けました。

鐘霞むが、打越の夕さりと障るかもしれない可能性は、迂闊にも全く考えませんでした。
要注意ですね。
ご教示有り難うございました。

ところで宗匠さま、
今回のトップ写真は、何が写っているのでしょうか。
カマキリのような、空中クリオネ?のようなものが、紐に繋がれているようで、面白いです。
また、前回の枝垂れ桜の神社は何処でしたでしょうか。
まさか八坂神社では、ないでしょうね。
おついでの折にお教えください。

朝姫さま、お捌よろしくお願いいたします。


皆さま、来週からはあたたかくなりそうですね。
お花見を楽しんでくださいませ。
明日も私は予定をキャンセルして、体力回復につとめます。
by 如月 (2017-04-01 23:22) 

連歌楽歳

如月さま
今回の写真は不忍池の柳の若芽。前回の桜は上野公園入口の早咲きの桜でした。いずれも3月30日撮影。上野山のソメイヨシノはまだ2分咲き程度でした。ですが、気の早い人たちは早くも宴会。その写真を載せましょう。今日4月2日は日曜日で、上野公園は花見ラッシュでしょうね。
楽歳


by 連歌楽歳 (2017-04-02 12:19) 

如月

宗匠さま、

そうでしたか、柳の若芽!
シルエットが動物めいていて、オモシロイです!

それから、そういえば、上野公園入口の石段の上に、一本、見事な枝垂れ桜があったような、と思い出しました。
素晴らしい咲き具合です。

お花見日和が暫く続きそうです。
巻もちょうど春にさしかかりました。
どうか佳き花を咲かせてくださること、お待ちいたしております。

宗匠さま、皆さま、
良い週になさってくださいませ。
by 如月 (2017-04-02 23:43) 

朝姫

楽歳様、皆様

春の嵐の夜です。
皆様、お花見はもうお済みですか?
明日、明後日と美術館、博物館の梯子のついでに千鳥ヶ淵、上野の桜を横目でチラリと味わう予定です。
桜がもってくれるのを祈るのみです。

さて前回の二の折表7の拙句「たらちねの母の刺し子の麻の葉を」では、皆様に色々ご教示いただきましてありがとうございました。
安易に助詞を変えてお騒がせしてしまい本当に申し訳ありませんでした。
如月様の最初の問題提起から興味深く拝読していましたが、もの知らずの哀しさ、途中からお話の展開に付いていくのがやっと。。。
どうしたものかと悩んでいたところ、羽衣様の「”麻の葉も”にしては?」のご提案には「おお!」と膝を打つ思いでした。
忙しさに取り紛れている内にどんどん先に進んでしまい、コメントするタイミングを逸してしまいましたが、宗匠様、「麻の葉も」としていただいても宜しいでしょうか?
大変遅くなって申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

さて今回の付けですが、如月様の御句どれも素敵でかなり迷ってしまいました。
「語り合ふ石の佛の坐(ま)す春野」はいつぞやの楽歳様のお写真を彷彿とさせて思わずニヤリ。
ふはりと現れた親猫は見知らぬ街角に誘ってくれそうです。

その中で
 まほらまの山辺のみち鐘かすみ
をいただきまして

  春を知らずに逝きし人あり
  苧環の花誘ふ庭先
  遠蛙にも調べあるらし
  雪間の草をいとほしく見ゆ
  水温むころ旅立ちし人    朝姫

宗匠様、どうぞ宜しくお捌きくださいませ。




by 朝姫 (2017-04-06 23:40) 

連歌楽歳

  春を知らずに逝きし人あり
春 「逝きし人」で哀傷(述懐・懐旧)と人倫

  苧環の花誘ふ庭先
春 草類 庭は2句物(只1、庭訓1)このケースは居所体 をだまきの花は明治以降の俳句の季語

  遠蛙にも調べあるらし
春 蛙は連歌では虫類(『連珠合璧集』)に分類

  雪間の草を(の)いとほしく見ゆ
春 雪間(雪は4句物、降物)草類 「見る」であれば「を」、「見ゆ」なら「の」の方が落ち着く感じです。

  水温むころ旅立ちし人    朝姫
春 旅 水は水辺用 人倫

by 連歌楽歳 (2017-04-07 10:23) 

連歌楽歳

2折裏4の

 春を知らずに逝きし人あり  朝姫
 水温むころ旅立ちし人

ともに大岡信氏の訃報とかさなります。このうち応用範囲の広い「旅立ちし人」の句を頂いて、

 水温むころ旅立ちし人    朝姫

<2折裏5付け>
  墨染めに花のひとひら舞ひおちて
  花ひらき花の散りゆく春の日に
  なにゆゑに花のさかりに背をむけて

       *

  墨染めに花のひとひら舞ひおちて
春 花 木類 墨染めは釈教、非釈教・述懐の2説ありますが、前句との連想では釈教の方でしょうか。衣類

  花ひらき花の散りゆく春の日に
春 花 木類 

  なにゆゑに花のさかりに背をむけて
春 花 木類 背は人体

by 連歌楽歳 (2017-04-09 13:54) 

羽衣

宗匠さま 皆さま
生憎の 花の雨 のち 花の果 っぽく なって参りましたが
今年の桜 ご堪能の遊ばされました事と およろこび申し上げます。
 
さて 美しい花の御句 頂戴致します。

    墨染めに花のひとひら舞ひおちて   宗匠さま
  
      夢のまにまに蝶(てふ)のたはぶれ
      過ぎにし方もうつろひの色(うつろひて候)
      もの狂ほしく鼓鳴り出す
      ものくるほしう散らし書きなむ(なる)
      もの狂ほしく散らす水茎
      夢の世なれば歌狂ひせむ
 
取り急ぎ 花の盛りのすぎぬ間の もの狂い?にて
失礼申します。
何卒 お導きの程 よろしくお願い申し上げます。
(送信が確認できず再送致します。ダブりましたらご寛容の程~)
by 羽衣 (2017-04-09 17:24) 

連歌楽歳

  夢のまにまに蝶(てふ)のたはぶれ
春 蝶は虫類 胡蝶と夢の組み合わせは非夜分

   過ぎにし方もうつろひの色(うつろひて候) 
雑 述懐(過ぎにし方) 「色」か「候」か、付け句作者のお好みで。


   もの狂ほしく鼓鳴り出す
雑 

   ものくるほしう散らし書きなむ(なる)
雑 助動詞「なむ」は未然形につくので「書かなむ」が正しい。断定の助動詞「なり」は体言・連体形につく。「散らし書き」という名詞に「なり・なる」は付くが、その場合は「ものくるほしき」となる。
 ものくるほしき散らし書きなり
   
   もの狂ほしく散らす水茎
雑 水茎は筆のことで非水辺

   夢の世なれば歌狂ひせむ
雑 世は5句物(只1、浮世、世の仲の間に1、恋の世、前世、後世1)で、「浮世、世の中の間」の世は2折表13に既出。残念。「後世(のちのよ)にても歌狂ひせむ」あたりでいかが?
 

by 連歌楽歳 (2017-04-09 20:57) 

羽衣

宗匠さま
有り難うございました。
少々 今宵いっぱい 取り込んでおりまして失礼申し上げます。
先ほど コピーをとりに 出かけますと素晴しい 朧月夜
(明日が満月とか) で また昨日は もしや花の果て? 
などと思いましたがとんでもない! まったく揺らぎもしない
咲き満ちた花 も朧で 何処かの名画に見た様な風情となって
おりました。
取り急ぎの御礼と近況報告まで 失礼申し上げます。

皆さま もきっと ご覧になられていらっしゃるとは
存じますが 例の 外にもでよ・・・ とかいう心地ですね
失礼をば~ これからが土壇場です。
by 羽衣 (2017-04-10 20:52) 

羽衣

宗匠さま 皆さま
とうとう 花の雨 から 花の嵐 となりそうな気配です。
それにつけましても トップの御写真 ガンダーラでしょうか?
仏頭 という訳でもなさそうで 何か事情ありげですが
ギリシア的な素晴しいお顔立ち。不変の 不動の 美しさです。

扨 この花時を 折角の 宗匠さまの御花句 もう少し皆さまにも
楽しんで頂ければよかったかしら と後悔の念しきり。
タイミングよく というか 悪くというか 当方の事情にて
大変無粋なことで 申し訳なく存じます。
まあ取敢えずそう致さないと 物事が先に進まないという事(性分?)
でございまして~(屡) そんな訳で思い浮かぶままを例によって
宗匠さまの方へ丸投げさせて頂きました。
いろいろご精査頂き有り難うございました。
大変結構に存じます。(夢の世も 浮世 現世でカウント!合点!)
このブログの場(夢の世)ばかりは せいぜい 歌狂ひ 致したき
ものでございます。何卒よろしくお導きの程お願い申し上げます。 

路花さま
よろしくお願い致します。

 


  


by 羽衣 (2017-04-11 21:52) 

連歌楽歳

羽衣さま
ガンダーラの仏頭、お気に召しましたか。東博・東洋館にあります。
只今、東洋館2階でインド・ガンダーラの彫刻という企画展をやっています。その中に入っているかどうか? 入っていなければ、所蔵庫でしょう。

ついでに、こんなのはどうですか? 同じく東博の館蔵品です。
by 連歌楽歳 (2017-04-12 00:33) 

路花

宗匠さま 皆さま 今日は穏やかな良い日になりそうです。
羽衣さまの素敵な句を拝見していましたのに、付を案じる前に、小松亮太のバンドネオンに惹かれてピアソラを聞きに行き、名残の桜を愛で、ついでに一献傾けてしまい、そんな怠け心を詩神にとがめられたのか、急に風邪をひいてしまいました。付句が遅くなりましたことお詫びいたします。
羽衣さまの
夢のまにまに蝶のたわぶれ
をいただきます。

付句です。
帰りこと声聞くやうな思いして
髪さげし乙女子の声はなやぎて
池の面に映りしほつれ髪あはれ

申し訳ありません。墨染の衣に散る花 蝶のたわぶれ の美しき景色に、わが身の老いをかさねてしまいそうな今の私 を詠い損ねています。どうぞご指導くださいませ。


by 路花 (2017-04-13 09:25) 

連歌楽歳

 帰りこと声聞くやうな思いして     路花
雑 「帰りこと」は「返り事」のことでしょうか。「かへりこと」とひらがにすると、視覚的に面白いかもしれません。また、打越が「て」留まりなので、
 
 かへりこと声きくやうな思ひあり

 髪さげし乙女子の声はなやぎて
雑 髪は人体 乙女子(をとめこ・をとめご)は巫女あるいは幼女。お下げ髪なので幼女(人倫) 打越が「て」留まりの花の句なので、

 髪さげし乙女子の声はんなりと

 池の面に映りしほつれ髪あはれ
雑 2句前に「水温むころ」があります。池・水のような水辺同士は5句隔てる決まりです。髪は人体。

 くもりなき鏡にうつるほつれ髪

3句とも恋の呼びだしのような句になりました。

とりあえず、以上のように修正しましたので、別案あればお知らせください。


by 連歌楽歳 (2017-04-13 20:43) 

路花

宗匠さま
おはようございます。散りかけの桜はいいですね、私は咲きはじめよりも散り行く櫻の方が好きです。
お直しありがとうございました。
一つ目の「帰りこと」は、「帰って来なさいと」と言うつもりでした。「故郷へ帰ってこ」と言う歌謡曲が記憶にあったような…。
どれもお直しいただいて、詠みたかったことがはっきり見えるようになりました。嬉しく思います。恋っぽくなっていいかと思ったのですが、よろしかったでしょうか。
by 路花 (2017-04-14 09:25) 

連歌楽歳

夢梯さまから以下のメッセージを頂きました。
    *
路花様の二裏7の三句、種々迷いました末、

  髪さげし乙女子の声はんなりと

を頂くことにしたいのですが、「をとめご」は「ご」と付くと幼女で、小女子とかくのでは? 「乙女」となると結婚期の未婚の若い女性をさすように思います。また、小女子の髪型は「あまそぎ」や「稚児髷」で「髪さげし」を「下げ髪」ととると江戸期宮廷女官や大名の婦人などが祝日に結んだ「おすべらかし」(もとどりを束ねて、その先をうしろにたらす形)と古語辞典にあり、少々迷うところです。ご教示ください。兎に角、をとめごの句をいただき、
●2折裏8付
  かさねの色も美しきなでしこ      夢梯
  生いたつ先を想ひやるほど
  籠にあふるゝ河原なでしこ
  撫で育てしを奪ひゆくきみ
  現せみ知らぬ姿まばゆし(まばゆく)

以上、付けてみました。

by 連歌楽歳 (2017-04-20 20:42) 

連歌楽歳

  かさねの色も美しきなでしこ      夢梯
雑 衣類 なでしこはかさねの色目の名。枕草子の「草の花はなでしこ。唐のはさらなり。大和のいとめだし」ととればこちらは、草類、季は夏となります。あいにく3句前に墨染め(衣類・衣裳)があり障ります。衣裳と衣裳は5句隔てる。この句では「かさね」と「なでしこ」が組み合わされているので、語句の修正だけではすみません。あきらめましょう。「美しき」は「いしき」とよみ、「おいしい」はここから派生、と辞書にありました。

  生いたつ先を想ひやるほど


  籠にあふるゝ河原なでしこ
夏 草類 河原なでしこはなでしこに同じ。なでしこは夏または秋の季語、諸本によって異なる。連歌では夏とする場合が多い。カワラナデシコは非水辺、ヤマイモが非山類であることに同じ。

  撫で育てしを奪ひゆくきみ
雑 君は人倫

  現せみ知らぬ姿まばゆし(まばゆく)
雑 現せみは、現世・人の世のこと。まばゆし、まばゆく、は付け句作者のお好みで。

なお、「をとめご」は辞書によっては「乙女子」「少女子」と漢字表記され、少女から結婚適齢期の若い女性をさすようです。「髪さげし」は宮中女官の「垂髪」から、幼児の「あまそぎ」「うない」までがあたります。


by 連歌楽歳 (2017-04-20 20:52) 

蘭舎

おはようございます。

夢梯さまの
撫で育てしを奪ひゆくきみ

をいただき、拙次案じてみました。奪いゆく君は、源氏ものがたりを思いみたりもしましたが、おぼつかない継句となってしまいました。おゆるしを。

床夏のたゞ隔てじと慣へども   蘭舎
静心なく浮き舟に乗りそめし
わがおもひ雁のつばさに託(ことづ)けむ 
とゞまらでやがて消えゆく月の影
おほかたの秋のあはれも知らぬまゝ
西の方思ひやりつゝ仰ぐ月

楽歳さま、なにとぞよろしくお捌き、お直しください。

by 蘭舎 (2017-04-25 05:16) 

連歌楽歳

 床夏のたゞ隔てじと慣へども      蘭舎
恐れ入ります。句のご説明をお願いします。床夏は「常夏」の誤変換でしょうか? また、「憤へ」とは?

 静心なく浮き舟に乗りそめし
雑 これも難解につき、乞うご説明。山椒大夫の人買い舟? 隅田川の花見舟? 5句前に水辺(みずぬるむ)が出ています。「舟」をなんとかしてください。

 わがおもひ雁のつばさに託(ことづ)けむ
秋 わがおもひ、で恋。鳥類(雁は秋、春各1の2句物) ハイネ/メンデルスゾーンの「歌の翼」のもじりでしょうか。3句前に「蝶」が出ています。虫に鳥は3句隔てる約束です。ご再考をお願いします。

 とゞまらでやがて消えゆく月の影
秋 月、光物、山の端に入る月、雲に入る月、そして月食

 おほかたの秋のあはれも知らぬまゝ
秋 

 西の方思ひやりつゝ仰ぐ月
秋 月 光物

by 連歌楽歳 (2017-04-25 13:12) 

蘭舎

床夏のたゞ隔てじと慣へども      蘭舎
>恐れ入ります。句のご説明をお願いします。床夏は「常夏」の誤変換でしょうか? また、「憤へ」とは?

●床夏=常夏です。「塵をだに据ゑじとぞ思ふ咲きしより妹と我が寝る床夏の花」(古今集・夏、躬恒)のように、男女関係を暗示することが多いのだそうですが、源氏物語にも「床夏」の表記ででてもいます。しかし、「常夏」のほうが、床しい表記ですね。「慣へ」はならへです。難解でした。

 「常夏にたゞ隔てじと慣(習・倣)へども」  

と直して下さいませ。しかし、これでも難解ですね。すみません。



 静心なく浮き舟に乗りそめし
雑 
>これも難解につき、乞うご説明。山椒大夫の人買い舟? 隅田川の花見舟? 5句前に水辺(みずぬるむ)が出ています。「舟」をなんとかしてください。

●これまた、難解にて申し訳ありません。それに、水辺は、いけませんでした。

 「こころもとなく浮き雲に乗りゆかむ」

としていただき、そのこころは、「かぐやひめ」としておきましょう。「雲」が障ればどうぞ、ばっさりとお捨て下さい。


 わがおもひ雁のつばさに託(ことづ)けむ
秋 わがおもひ、で恋。鳥類(雁は秋、春各1の2句物)
> ハイネ/メンデルスゾーンの「歌の翼」のもじりでしょうか。3句前に「蝶」が出ています。虫に鳥は3句隔てる約束です。ご再考をお願いします。

●下敷きは、「北へ行く雁のつばさにことづてよ雲の上がき書き絶えずして」(新古今)
ですが、ここは、雁を帰るのは難しいので、退けてください。


 とゞまらでやがて消えゆく月の影
秋 月、光物、山の端に入る月、雲に入る月、そして月食

 おほかたの秋のあはれも知らぬまゝ
秋 

 西の方思ひやりつゝ仰ぐ月
秋 月 光物

● なんとかパスすればと存じます。お手数をおかけいたします。 蘭舎拝
by 蘭舎 (2017-04-25 15:44) 

連歌楽歳

 常夏にたゞ隔てじと慣(習・倣)へども
夏 草類 「床夏」と書くこともあるとは知りませんでした。

ご教示の「塵をだに据ゑじとぞ思ふ咲きしより妹と我が寝る床夏の花」(古今集・夏、躬恒)は、連歌式目書『産衣』の「常夏」の項に「常夏を床に読み、散るを塵に読みたる歌」と解説がありました。

「慣へ」を「憤へ」と読み誤っていました。おわびいたします。文字を拡大しないと判別困難になりました。

こころもとなく浮き雲に乗りゆかむ
雑 聳物 

by 連歌楽歳 (2017-04-25 18:00) 

千草

  撫で育てしを奪ひゆくきみ  夢梯さま
常夏にたゞ隔てじと慣へども   蘭舎さま

蘭舎様
こちらをいただきたく存じます。

  「塵をだに据ゑじとぞ思ふ咲きしより妹と我が寝る床夏の花」
引用されました古今集の和歌の夏の恋、たいへん面白く感じました。
さらっとしてるような、しつこいような。
前句と合わせ、萩尾望都の『ポーの一族』にも思いをはせました。

付け
 あけやすき夜の月はいづちに   千草
 天飛ぶ舟か月の涼しさ
 心がはりの空蝉の月
 けずりひ参るあまづらを添へ

去嫌句数等宗匠様頼みにて思いつくままの付け、お許しください。
よろしくお捌きお願いいたします。

by 千草 (2017-04-27 08:51) 

連歌楽歳

 あけやすき夜の月はいづちに   千草
夏 月 光物 夜分

 天飛ぶ舟か月の涼しさ
夏 月涼し 光物 夜分 天飛ぶ船の「天」は天象ですが、さてこの「船」を水辺とすべきかどうか。

 心がはりの空蝉の月
秋 月 光物 夜分 空蝉を虫類と解せば夏の句ですが、4句前の「蝶」とさしあいます。「心変はり」に呼応して「はかないこの世」ととれば、秋の句です。

 けずりひ参るあまづらを添へ
夏 削り氷は「あてなる」夏の消夏飲料、氷は水辺用 この「あまづら」はシロップになっているので、非植物

by 連歌楽歳 (2017-04-27 11:51) 

千草

蝶がいますのに、空蝉とは失礼申しました。
羽衣様、お許しを。

空蝉の月は取り下げまして

 招く扇にたのめなき月  千草

宗匠様
お手数をおかけいたします。

by 千草 (2017-04-27 13:20) 

連歌楽歳

  招く扇にたのめなき月  千草
夏 月 光物 夜分

これにて2折裏10付け句そろいました。
遊香さま、どうぞ。

by 連歌楽歳 (2017-04-28 00:19) 

遊香

美味しそうなポトフ(?)の写真~! 楽歳様のお手製ですか?
大型連休スタート、まずまずのお天気が続きそうですね。

千草様の
けづりひ、あまづら、にも惹かれたのですが、
あけやすき夜の月はいづちに いただきまして、

暑がはし山ふところにそそと風  遊香
ひたひたと山の魑魅(すだま)の近づくや
足もとに取り残されし瓜ひとつ
そらゑひの長じて常を忘れしか

東京を離れる前にと、いつもながらの拙い句、
お手直し、よろしくお願いいたします。

by 遊香 (2017-04-29 12:05) 

連歌楽歳

 暑がはし山ふところにそそと風  遊香
質問です。「暑がわし」の意味を教えてください。手持ちの辞書出でていませんでした。

 ひたひたと山の魑魅(すだま)の近づくや
雑 山類 魑魅は妖怪の一種

 足もとに取り残されし瓜ひとつ
雑 瓜は草類 足は人体 ひとつは数字

そらゑひの長じて常を忘れしか
 質問 「そらゑひ」の意味を教えてください。手持ちの辞書出でていませんでした。

by 連歌楽歳 (2017-04-29 23:03) 

遊香

おはようございます。
私は「現代語から古語を引く辞典」(三省堂)を愛用しています(というか頼ってばかりです(笑))。

「暑がはし」は「蒸し暑い」ですが、「暑かはし」でもよいのかもしれません。

「そらゑひ」は空酔ひで「酔ったふり」です。
酔ったふりばかりして素面の自分を失くしてしまっている人、結構います(笑)。

よろしくお願いいたします。

by 遊香 (2017-04-30 07:45) 

連歌楽歳

遊香さま、ご説明ありがとうございました。

「あつかはし」は岩波古語辞典が「扱はし」の表記で「アツカヒの形容詞形」と説明しています。①面倒を見ずにはいられない②うるさく感じる③結ぼれてうるさい④むさくるしい、の意味です。「暑かはし」のような気温の意味があったかどうかは、今のところ不明。「暑がはし」を「あつかはし」とひらがな表記に変えて逃げておきましょう。

「そらゑひ」は国文学研究資料館の古典本文データベースにあたると、『源氏物語』に使用例が2か所ありました。岩波古語辞典は「そらゑひ」は載せていませんが、「そらみだれ」(酔い乱れたふり)をいれています。こちらも『源氏物語』に使用例があります。

 あつかはし山ふところにそそと風
夏 夏の季語は使われていませんが、前句の夏をうけてそよ風を「すずかぜ(涼風)」と解せば夏。夏は連続3句まで。風は吹物 山類

 そらゑひの長じて常を忘れしか


by 連歌楽歳 (2017-04-30 11:03) 

連歌楽歳

 訂正
 足もとに取り残されし瓜ひとつ    遊香
雑 瓜は草類 足は人体 ひとつは数字
の「雑」は誤り。正しくは「夏」でした。
訂正してお詫びします。

by 連歌楽歳 (2017-04-30 13:26) 

梢風


 ひたひたと山の魑魅(すだま)の近づくや      遊香

    付

  とりしづめしは歌のひと節            梢風
  やかた祝ひの末に舞なく             〃
  いをなどを食ふ者のすさまじ           〃

○「牡丹灯籠」でも一応夜が明けると魔性のものは去りますけれど、こちらは尚近づいてくるというので、こわいですね。調伏など思いもよらぬこととて。楽歳様よろしくお捌き下さい。

by 梢風 (2017-05-01 09:12) 

連歌楽歳

  とりしづめしは歌のひと節            梢風
雑 歌に言の葉は付、打越とも嫌う。「目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ」(古今集仮名序)が本説か。南方熊楠の随筆によると、熊野山中に入る時は、必ず握り飯と香の物を持参し、妖怪「ダル」にあったら、すぐさまそれを食べよ、と言われているそうです。

  やかた祝ひの末に舞なく             
雑 「やかた祝ひ」は領主の城でのお祝いの宴なのでしょう。なぜか「翁」も「三番叟」も演じられなかった。館(屋形)は居所体

  いをなどを食ふ者のすさまじ           
雑 「いを」は魚類、水辺用としておきましょう。「さかな」となるとやっかいで、『連珠合璧集』には、魚類、食物の両方に収められています。「食ふ者」で人倫。 ここの「すさまじ」は冷たくて白々しい方ではなく、ものすごい方。

by 連歌楽歳 (2017-05-01 12:52) 

朝姫

楽歳様、皆様

お天気に恵まれたGW、如何お過ごしでしたでしょうか。
付けに気付かず遅くなって申し訳ありませんでした。

 いをなどを食ふ者のすさまじ 梢風

をいただきました。


 清らなる社の杜へ連れ立ちて
 歯の欠けし姥の片笑み背に受けて
 外つ國の銀(しろがね)の匙磨きつつ  朝姫

お手直しよろしくお願い致します。

by 朝姫 (2017-05-12 09:14) 

連歌楽歳

 清らなる社の杜へ連れ立ちて   朝姫
雑 神祇 木類 前句から続き具合は、京都・貴船あたりの神社前の川魚料理店の感じ。

 歯の欠けし姥の片笑み背に受けて
雑 人倫 人体 「魚の骨しはぶるまでの老ひをみて」の裏返し。

 外つ國の銀(しろがね)の匙磨きつつ
雑 国郡 こちらは、スペイン西洋料理のソパ・デ・マリスコスの感じ。

by 連歌楽歳 (2017-05-12 11:52) 

如月

皆さま、こんばんは。

連歌でソパ・デ・マリスコス(南仏料理でしたらブイヤベースでしょうか?)を連想させるなんて、素敵です。
ということで、朝姫さまの

外つ國の銀の匙磨きつつ

を頂戴させていただきます。

拙次
閼伽水汲める古渡りの椀(まり)

唐物屋めぐり都ほとりを

色鍋島は猫お気に入り

薬師(くすし)の慈姑頭あてなる

薬卸しを挽き帆待ち金

以上でございます。
宗匠さま、ご指導とお手直し、よろしくお願い申し上げます。
羽衣さま、治定を宜しくお願い申し上げます。
如月
by 如月 (2017-05-15 23:45) 

連歌楽歳

 閼伽水汲める古渡りの椀(まり)    如月
雑 釈教(閼伽水汲む)水辺用 「古渡(こわたり)の椀」は室町時代以前の舶来品の容器で、外つ國の銀の匙とよく呼応していますが、「古(こ)」は字音。「古」を「いにしへ」と読み、「閼伽水汲める古の椀(まり)」とする方法もありますが、それでは味わいが薄くなるので、このままで通すか、最終判断は付句作者にゆだねましょう。

 唐物屋めぐり都ほとりを
雑 都(国郡)は3句物(只1、名所1、旅1) 唐物屋は商人よりもむしろ店舗ととり、非人倫。ところで「ほとりを」のご説明をお願いできますか?

 色鍋島は猫お気に入り
雑 色鍋島は焼き物で、鍋島藩という国郡の匂いは薄いのですが、その後に「猫」が出てくることで、俄然国郡色が強くなります。この猫どうしたものでしょうか? 獣類か妖怪か。

 薬師(くすし)の慈姑頭あてなる
雑 人倫 人体 慈姑頭は江戸期の医者のヘアスタイル。生かすも殺すも匙加減ひとつ。こわいですねえ。

 薬卸しを挽き帆待ち金
雑 薬卸は薬研のこと。帆待ち金は内密の収入・へそくりのことで「帆」の字はありますが、「外持ち金」などとも書くので、舟・水辺と直接の縁は薄いです。やばいクスリを作っているのでしょうか。


by 連歌楽歳 (2017-05-16 01:16) 

連歌楽歳

追加
深夜の作業で見落としがありました。

薬師は人倫の打越になります。「脈とる慈姑頭あてなる」で人倫を避けられますが?
by 連歌楽歳 (2017-05-16 01:44) 

如月

宗匠さま、皆さま、

おはようございます。
早速のご指導とご一直有り難うございました。
不行き届きの点多々ありまして、失礼申し上げました。

① 古渡りの古の読みは、実は私も気になっておりました。中渡り、後渡りの語もあるようなので、こちらのほうが良いかとも思えましたが、字余りになるのを避けました。
古(いにしえ)を使う手があったのですね。最終的には羽衣さまにお任せ申し上げます。

②都ほとりは、都辺りと書くべきだったと思います。都の近辺というごく一般的な意味です。

③唐物屋には付き物の猫に、連想がとびました。落語にもありますし……。猫の餌皿は何?と考えて、化け猫登場の鍋島騒動[→]鍋島燒と、つい遊んでしまいました。大打越に魑魅が出てきますので、化け猫ではなく普通の猫と読んでいただきたいです。化け猫に読まれる方向を封じるためには、鍋島燒ではなく別の焼物のほうがいいでしょうか。
それに打越に魚食う者が出ていますので、ここで猫の餌皿を出すと戻り感が強いかもしれませんね。

④薬師の慈姑頭[→]脈とる慈姑頭 とお直しくださいまして、有り難うございました。
たいへん勉強になりました。
匙から医者へ行き、そこで止まってしまいました。

⑤曲亭馬琴の息子は薬師あるいは薬師見習いだったが売れないうえに体が弱く、馬琴が執筆の合間に薬研を挽いては丸薬を作り、それを売って家計の足しにしたと、評伝で読んだ覚えがあります。
それを思い出して作りましたが、あまり一般的な情景ではなかったかもしれません。ヤバいクスリと解していただいても、面白いかと…。

宗匠様には細かな点までご指導をいただきましたこと、あらためてお礼申し上げます。

羽衣さま、よろしくお願いいたします。
by 如月 (2017-05-16 10:32) 

連歌楽歳

『岩波古語辞典』によると、①ほとりは、ホトはハタ(端)、リは方向をいう。辺際」②あたり、は見当をつけた場所③わたり、は地名を承けて漠然と広い地域をいう、そうです。「都あたりを」「三条わたりを」の方が落ち着きますが、作者のご意向が「都の近辺」ですから、このまま「都ほとりを」で。江戸のベストセラー作家・馬琴といえども原稿料だけでは心もとなかったとは。村上春樹とはずいぶんの違いです。

by 連歌楽歳 (2017-05-16 11:55) 

如月

宗匠さま、

都ほとりの件、ありがとうございます。
都辺りと書いて、ルビを振っていただくのでも結構です。

なお、脈とる慈姑頭、とご一直していただきましたが、脈は使ってもよろしうございましょうか?
後で気になってきました。

あの大ベストセラー『南総里見八犬伝』でお犬御殿が建ったと思いきや、版権・印税などの権利観念は典型的な近代的観念で、当時は原稿は買い取り制度。刊行後どんなにヒットしても、儲かって蔵が建ったのは板元だけだったとか。馬琴さんも、いつも貧乏していたようです。
by 如月 (2017-05-16 15:08) 

如月

宗匠さま、
追加させてくださいませ。

「都あたりを」「三条わたりを」のほうが落ち着くとおっしゃっておいでです。
たしかに、都の近辺よりも都の中とはっきりさせたほうがよいと思いました。

三条がよろしければ、四条(しじやう)もよろしいでしょうか?
発音上使ってもよろしいということでしたら、
唐物屋めぐり四条わたりを

と変更すること可能でしょうか?
可能でしたら、そのようにさせていただきたく存じます。
お手数をお掛けして恐縮ですが、ご教示いただけましたら幸いでございます。
宜しくお願い申し上げます。
by 如月 (2017-05-16 15:27) 

連歌楽歳

かつて唐物屋は京都・三条に集まっていましたので、有職故実からいえば「三条わたり」が当りですが、7音にするために「四条」としても差し支えないでしょう。

「脈」の件ですが、さすがにご慧眼。脈(ミャク)は呉音で字音です。「脈をとる」は①脈拍を数える→②診察する→③脈がある(まだ助かる見込みがある)かどうかを見る、とつながっていて、角川の『新字源』によると③の意味の「みゃく=見込み」は中国語に使用例がなく、日本語独自の意味変化だそうです。したがって、「脈とる慈姑頭」は呉音の和語への転用と考えられ、連歌で使える外来音の「閼伽」「僧」「閻浮」「堂」などの仲間に入れてもよさそうです。
by 連歌楽歳 (2017-05-16 17:32) 

如月

皆さま、
夜分失礼いたします。

宗匠さま、
ご教示有り難うございました。

三条、四条などの固有名詞は、音読みであろうとそのまま使えるということなのですね。固有名詞は言い換えが利きませんものね。私はとんでもない感違いをしていたようです。トホホでございます。

三条と四条のあいだ、祗園には、今でもお道具屋さんが多いですね。顔見世に行くときには、少し足を伸ばしてお道具屋さんを覗いて歩くのが楽しみです。
ある時ある店に、琵琶が格安と思われるお値段で出ていました。その時は決心がつかなくて買わなかったのですが、矢張り欲しいと思って次の機会に行ってみたところ、同じものに一桁多い数字が付いていました!
普通、売れ残った物は安くなりますのに、不思議に思えて今でも忘れられません。もっと価値ある物と後からわかり、値段を付け替えたのでしょうか。最初に決断できなくて、残念なことをしました。

「脈」は連歌で使える単語だったのですね。
「僧」は以前、どなたかが詠まれたときに使えるとお聞きしました。閼伽も同類だったのですか。
「閼伽」については気にならなかったのですから、私の“気になる・気にならない”も、ほんとうにイイカゲンと思いました。

有り難うございました。おやすみなさいませ。
by 如月 (2017-05-17 02:22) 

連歌楽歳

地名の場合代替がありませんので、音読みは仕方ないですね。

 残りけりならの宮この桜はな    (奈良)
 露やもる美濃の小山の不破の関  (不破)
 これも伊勢なる月よみの宮      (伊勢)
 わかの浦によるたよりあれ老の   (和歌の浦)
 春は浪なき土佐のいり海       (土佐)

by 連歌楽歳 (2017-05-17 12:14) 

連歌楽歳

前記「わかの浦に」句、文字の脱落がありました。正しくは、

  わかの浦によるたよりあれ老の浪   (和歌の浦)

失礼いたしました。

by 連歌楽歳 (2017-05-17 20:49) 

羽衣

宗匠さま 如月さま 皆さま
早いもので 五月も半ばを過ぎましたところ(暑き日寒き日
色々ございましたが)、 こちらの巻も 只今数えてみましたら 
丁度五十句目と相なり 誠に御目出度く お慶び申し上げます。
素晴しい 如月さま(御句) と宗匠さま の 御解説並びにご教示
の次第 (ソバ・デ‣マリスコス から 慈姑頭 まで) 誠に楽しく
勉強させて頂きました。それで その面白さに どちらを頂いた
ものか迷っておりますが 丁度 巻の半分、二折裏 折端 と
いうところで 浅はかながら拙き好みにて

   閼伽水汲める古渡りの椀     如月さま 
     (前句 外つ国 とございます故 古渡り で頂きました)

      付

    つれづれ(徒然)をなぐさめむとてまめやかに
    まつりごと(政)倦みてあさまし庭造り
    つれづれと空を見遣りし御けしき(又は 御気色の)
    世の乱れ聴く耳もたぬ物狂ひ
    微かなる軍(いくさ)の声は風に乗り
    救はれしいのちなれども口惜しく

なんか又 短調な感じになってしまいましたかしら?
よろしく お導き賜りますよう お願い申し上げます。
            
    
   
   

by 羽衣 (2017-05-18 00:59) 

連歌楽歳

  つれづれ(徒然)をなぐさめむとてまめやかに


  まつりごと(政)倦みてあさまし庭造り
雑 庭は2句物(只1、庭訓1)「庭造り」が「庭鳥」(にわとり)のように2句物の外になるのか、「庭訓」(にわのおしえ)と同じ、庭の内なのか、議論のある所です。居所用。まつりごとは古代においては神祇でしたが、いまは皇居以外関係なし。湯河原で焼き物をしていた隠居・細川護煕氏も都知事選挙に出馬して大敗、この心境には徹しきれなかったようです。

  つれづれと空を見遣りし御けしき(又は 御気色の)
雑 空は天象

  世の乱れ聴く耳もたぬ物狂ひ
雑 世は5句物(只1、浮世・世の中の間に1、前世1、後世1、恋の世1) 2折表に只1の世、浮世・世の中の世、ともに使われています。耳は人体 

  微かなる軍(いくさ)の声は風に乗り
雑 風は吹物 前句とのつながりから、「いくさの声」は鬨の声ではなく、風聞でしょうね。

  救はれしいのちなれども口惜しく
雑 命は2句物(只1、虫の命など1)


by 連歌楽歳 (2017-05-18 16:47) 

羽衣

宗匠さま
有り難うございました。
古渡り から 日宋貿易、陶磁器の茶碗などを 連想致し
東山文化 から 応仁の乱 或は 寂光院 (建礼門院)
など思い浮かべたのですが 不都合ございませんでしょうか? 
閼伽水汲める椀 とは 閼伽サン(漢字が出せませんが
さかづき の意のサン) という 仏に水をささげる椀(本来
金属製らしいのですが きへんの椀 でよろしいとのことで)
抑々 将軍職 のことを 何と言い表したらよろしいものか
(まつりごと? としか思い浮かびませず そういう政治向きの
事 又は 王朝以降の事を詠んでもよろしいものか)
 お尋ねも致したいのですが~
たぶん 具体的には表現しない! おぼろおぼろが  
奥ゆかしいルールだとは 存じますが 
この際 よろしくお願い致します。 
夜分になってしまい誠に失礼申し上げます。
 




by 羽衣 (2017-05-19 02:38) 

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