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電脳千句第7  賦何水百韻  三折表  2016.10.24~

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        微かなるいくさの声は風に乗り         衣

        ひとのこころのやみのふかさよ        歳

       やがてみな西の涯へと往くものを        梯

        こゑも細りし冬の蚊なれば           花

       黒髪の冷たく重く寝もやらで           草

        ぬば玉の夜の衣返しつ             舎

       うたてしと起きて来る子のしらみぐさ         風

        秋のいで湯に流すしがらみ           香

       産土神の千木に遊べる昼の月          月

        かそけき音は光より生(あ)れ          姫

       歌よみのあづま下りのつらねうた         歳

        僅か濁れるもてなしの酒             衣

       厨には菜を切る音のよくひびき          花

        手毬つく子のすがた優しく            梯



       

 

進行表はこちら

 




   

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コメント 55

連歌楽歳

●3折表1には、
 閼伽水汲める古渡りの椀
とよく合い、物語性に富んだ
 
 微かなるいくさの声は風に乗り

を頂きます。

●3折表2付け
 旅のあれこれ語るまろうど
 わが名あげむと旅立つあした
 ひとのこころのやみのふかさよ

    *

 旅のあれこれ語るまろうど
雑 旅 人倫

 わが名あげむと旅立つあした
雑 旅 時分

 ひとのこころのやみのふかさよ
雑 人倫 心の闇なので非夜分


「閼伽サン」の「サン」を探してみましたが、見つかりませんでした。手元の仏教辞典には、閼伽は功徳水、その容器も閼伽という、と出ていました。

応仁期を生きた連歌師・心敬の句「雲は猶さだめある世の時雨かな」は、当時の乱れた世の中にくらべれば、時雨の雲の方がよほど確かだ、との意だそうです。心敬の時事句でした。いただいた一連の付句「つれづれと空を見遣りし御けしき」「世の乱れ聴く耳もたぬ物狂ひ」「微かなるいくさの声は風に乗り」はこうした雰囲気に満ちています。

椀(まり)について辞書には「かなまり」とも言ったと説明があり、「金椀」の字が使われていました。以前インドで見たヒンドゥーのお供えの水の容器は金属製でした。金属の容器で汚いガンジス河の聖水を汲んでいました。

足利将軍職を「室町殿」と呼びならわしていました。幕府があったのが京都・室町だったからです。鎌倉殿と同じ用法ですね。

by 連歌楽歳 (2017-05-19 12:25) 

羽衣

宗匠さま 皆さま
本日は素晴しい さつき晴れとなっております。
何時もながらの ご丁寧な ご教示と 
お導きの程 誠に恐れ入ります。
連歌師 心敬の 時事句は殊に有り難く 流石にと感じ入りました。
今もむかしも 変わらぬ人間界の様相と それらも余すことなく
呑み込める連歌のキャパシティに乾杯致したく存じました。
拙句 いくさ句 をご採用いただき 是また 何れの御付句も
更なる深みと味わいを加えて頂け 光栄至極に存じます。
心からの御礼を申し上げます。
有り難うございました。

   
by 羽衣 (2017-05-19 16:57) 

連歌楽歳

●3折表2治定
 ひとのころろのやみのふかさよ  楽歳

●3折表3付け
 かろがろと大空わたる術もがな   夢梯
 変わらじな真竹の花の咲くときも
 吾がことにあらずとやおら筆をもつ
 まさぐればどこか悲しき音のして
 天地の滅びゆくさまほの見えて
 やがてみな西の涯へと往くものを

以上、夢梯さまから治定句・付け句の連絡を頂きましたので転記します。

       *
 かろがろと大空わたる術もがな   夢梯
雑 大空は天象

 変わらじな真竹の花の咲くときも
雑 現代の俳句歳時記・季寄せのなかには竹の花を夏としているものがあります。竹の花=夏と解せば、2折裏10に「あけやすき夜」(夏)があることから、同季7句の約束に触れます(竹と竹は7句隔てる)。竹は草類だが(『連珠合壁集』)だが、竹と草木は打越をきらう(『連歌新式』)と草類・木類の区分があいまいです。

 吾がことにあらずとやおら筆をもつ
雑 人倫 『名月抄』の定家の面影

 まさぐればどこか悲しき音のして


 天地の滅びゆくさまほの見えて
雑 天地は「乾坤」あるいは「人間の住むところ、国・天下」と辞書にあり、天象? 地儀? 国郡? 句材判定がなやましいところです。

 やがてみな西の涯へと往くものを
雑 西の涯には釈教のにおいがしますが、断ずることもできかねます。

by 連歌楽歳 (2017-05-28 13:16) 

連歌楽歳

訂正

夢梯さまの付け句
   吾がことにあらずとやおら筆をもつ
の「やおら」は、正しくは「やをら」でした。原文を転記するさい誤りました。訂正してお詫びいたします。
by 連歌楽歳 (2017-05-30 20:58) 

路花

宗匠さま  皆さま
とても美味しそうな焼き野菜でしょうか、黒釉のお皿に美しく盛られて、暑さへの愚痴を忘れて、こんな野菜を育んでくれる太陽に感謝したくなりました。

テロだのミサイルだの共謀罪だの、なんだか嫌な世の中、まさに「ひとのこころのやみ」なのでしょうか。
夢梯さまの
  やがてみな西の果てへと往くものを
をいただかせてくださいませ。

付句です。冬にしたいと思ったのですが、よろしいでしょうか。
   冬枯道に背を向けるひと
   声も細りし冬の蚊なれば
   冬ざるあした衣貸さましを
   風疼く日に訣れの文を

どうぞよろしくご指導くださいませ。

皆さま 今日は暑くなる予報です。どうぞご自愛くださいますよう。
   
   

   


by 路花 (2017-05-31 08:50) 

連歌楽歳

日差しは強くないが湿度が高く蒸し暑い1日でした。さて、3折表4の付け句です。

  冬枯道に背を向けるひと
冬 冬枯れの野山などに植物は打越を嫌う   背は人体 ひとは人倫 打越句に「ひとのこころ」があります。修正をお待ちしています。

   声も細りし冬の蚊なれば
冬 蚊は虫類 蚊の鳴くような声がさらに弱々しくなった、この衰弱感。

   冬ざるあした衣貸さましを
冬 「冬ざれ」という名詞形はおなじみですが、冬に「去る」の連体形をつけたばあい、「ふゆざる」「ふゆさる」のどちらが落ち着きが良いでしょうか。衣類 時分(朝) 前句が「を」で終わっていますので、「冬ざるあした衣貸さまし」と「を」ぬいて、「衣」を「ころも」と読んではいかがでしょう?

   風疼く日に訣れの文を
冬 「風疼く」は『十七季』が冬の季語にしていますが、とりあげていない歳時記・季寄も多く、マイナーな俳句季語。風は吹物 文は3句物(恋1、旅1、文学1) 前句とならべて遺言書のようですが、付け句しだいで恋の別れにも。ここも句末に「を」がありますので、前後を入れ替えて、
  訣れの文を風疼く日に
でいかがでしょうか?

by 連歌楽歳 (2017-05-31 17:12) 

路花

宗匠さま
ご丁寧なご指導をありがとうございます。

一つ目の「冬枯れ道」  「ひと」の打越でした、失礼しました、どうぞ削除してくださいませ。
三つ目の「冬ざる」は、声に出した時にあまり美しくなく、「冬ざれ」は、荒れた寂しい風景を感じさせるのに、「冬ざる」とした途端に、そのイメージよりも何か別の気持ちが揺らぐのを不思議に思いながら、「冬ざる」にしておりました。「冬さる」にしていただいた方が良いように思います。Wordで入力しますと、「冬戯れ」と出ます。これはどのような意味のでしょうか。「衣」を「ころも」と読んで、最後の「を」をとるというご指摘ありがとうございました。
「風疼く」の句は、ご指摘のように、「西の浄土?」へ行く人のわかれの文を想い、「別れ」とせずに「訣れ」にしたつもりでした。

打越句や前句を気にしているつもりですのに、できあがる時にh忘れてしまうのか……ご指摘いただいてはっと気づきます。申し訳ございません。ご指導を感謝しております。


by 路花 (2017-06-01 13:53) 

連歌楽歳

路花さま

それでは「冬ざる」を「冬さる」に。

佐佐木幸綱他編『日本歌語事典』(大修館)には、

①春さればしだり柳のとををにも妹は心に乗りにけるかも 
            (柿本人麻呂)
②秋さらば今も見るごと妻恋ひに鹿鳴かむ山そ高野原の上
            (長皇子)
③夕されば門田のいなばおとづれて蘆のまろやにあき風ぞふく
            (藤原経信)
などがありましたが「冬さる」はなく、派生語の「冬ざれ」ほどポピュラーではなかったようですね。

ワードで「ふゆざれ」と打ち込んで変換すると確かに「冬戯れ」と出ました。当て字でしょう。


by 連歌楽歳 (2017-06-01 16:47) 

千草

楽歳様
先週末風邪をひきこみましてやや長引き
どうもはきはきといたしませず、お訊ねもうしあげることも
あいまいでおゆるしねがわしく
無常、述懐の句数につきまして
それは五句までくらいでしょうか。

また路花さまの冬の付けはどれもきりりと引き締まって
刷新ということを思いました。

冬枯道に背を向けるひと  路花さま

こちらは人の同字ではございましたが、
お取り下げあそばされまして
惜しいことでございました。
by 千草 (2017-06-02 08:21) 

連歌楽歳

千草さま
『連歌新式』によりますと、夏・冬・旅・神祇・釈教・述懐・山類・水辺・居所が句数3までの指定を受けています。述懐と述懐は5句隔てる約束です。述懐には懐旧・哀傷・無常が含まれますので、述懐の用語である「昔・古・老などを使った句に限定しないと、情緒的な連歌では、際限なく述懐の気分が広がるので、要注意です。
楽歳

夏風邪ですか。お大事に。
by 連歌楽歳 (2017-06-02 10:57) 

千草

楽歳様

句数3までとのご回答くださいましてありがとうございました。
そして述懐とは、その用語を使った句に限定するという意味に理解いたしました。分類が最重要とは思えませんが、句数の限度があるので
どこまで続けていいかおたずねしたかったのです。
ギアチェンジに、てまどっておりますが
もうしばらくご猶予願います。
お見舞いのお言葉いただいて、おそれいります。
回復につとめます。

by 千草 (2017-06-03 11:11) 

千草

    声も細りし冬の蚊なれば   路花さま

こちらをいただきたく存じます。

付け
  天ちかき氷の雲のきららかに   千草

  黒髪の冷たく重く寝もやらで

  霜の夜はみけしのかをり隠れなく

  ゑにしこそあらまほしけれひとり寝の

よろしくお捌きくださいませ。
by 千草 (2017-06-03 20:47) 

連歌楽歳

  天ちかき氷の雲のきららかに    千草
冬 氷(氷は4句物、只1、つらら1、月の氷・涙の氷など1、霜雪の氷など1。氷は水辺用ですが、氷の雲を水辺用とするのも(科学的には雲は微小な水・氷の集まりですが)「雲」を水辺用としていない連歌にあっては、いかがと思いますので、非水辺とし、2折裏14の「閼伽水」との5句去り問題をクリアしましょう。 天象 聳物 鑑賞は付け句作者にお任せします。

  黒髪の冷たく重く寝もやらで
冬 冷たく 人体 夜分 「黒髪のみだれも知らずうち伏せばまづかきやりし人ぞ恋しき」(和泉式部、後拾遺和歌集)「長からむ心も知らず黒髪の乱れて今朝は物をこそ思へ」(待賢門院堀河、千載和歌集)「かきやりしその黒髪のすぢごとにうち臥すほどは面影ぞたつ」(藤原定家、新古今和歌集)などを踏まえた恋の句。

  霜の夜はみけしのかをり隠れなく
冬 霜は降物 夜分 衣類 きぬぎぬに至る前段階なので、恋の句。

  ゑにしこそあらまほしけれひとり寝の
雑 恋(ひとり寝は恋の常套語) 夜分 「えにし」は辞書によると仏教語「縁=en」に母音「i」を添え、さらに強意の助詞「し」がついたもの。したがって「えにしは)」は字音で仏教語(釈教)ですが、「うたゝねの床こそ夢のえにしなれ」の句があるように、連歌ではそれほど気にしていなかったようです。


by 連歌楽歳 (2017-06-03 23:08) 

千草

楽歳様
ありがとうございます。
ただ
ゑにしは「ゑ」でございます。
by 千草 (2017-06-04 13:31) 

連歌楽歳

千草さま
左様ですか。では、元に戻して「ゑ」にします。
by 連歌楽歳 (2017-06-04 14:16) 

連歌楽歳

訂正というか混迷というか

「縁(えにし)」でなく、「ゑにし」であるとのご指摘をいただきましたので、先の句材分析

 ゑにしこそあらまほしけれひとり寝の

の部分を以下のように改めます。

         *

 ゑにしこそあらまほしけれひとり寝の
雑 恋(ひとり寝) 「ゑにしこそ」は「会にしこそ」で、「会うこと+にし(旅にしあれば椎の葉に盛る、の『にし』)+係結びの助詞・こそ」。辞書によると「会=ゑ」は呉音(字音)だが、『無言抄』は「灌仏」を夏の季語としているので、「灌仏会」も当然連歌で使えるだろう。灌仏会の「会」がOKであれば、「会」を独立して使っても不届きではあるまい。

ただ「会にしこそ」という語法の有無については、浅学にして知らず。「逢ふことのあらまほしけれひとり寝の」という素直な言い方があるので、「ゑにし」を「会にし」とした出発点が誤っていたかもしれない。

千草さま。このあたりで正解をお教えください。

by 連歌楽歳 (2017-06-04 17:55) 

千草

楽歳様
祭礼または法事の会に行っていればよかったなあ、行かなかったばかりに一人の夜のわびしいことだ(強調の助詞二重の仮定法?)の
ご解釈に最敬礼です。おもいもよりませんでした。
「ゑ」はたしかに「会」であります。「縁」の場合は「えにし」または「江にし」と辞書にあります。

正解などと申し上げるのはおはずかしいことですが
ゑにしのこころは人名でございます。

トリビアルなことですが、最近太田美術館でみた浮世絵に
傾城ゑにしというのがありまして、当時の著名人のようです。

縁と同音でいい名前だと思いました。
あるいは、新かなづかいと違って
旧かなづかいは異同いろいろありなので、
もしかすると「えにし」の意味そのものかもしれません。

一句は
「ゑにしさん」に「ご縁」があればいいのになあという意味です。

ただ
21世紀の連歌はどの時代に浮かんでいるのか
江戸時代の人名は連歌にはいかがなものか
内容が高尚から下世話になったのではないか、
よくわかりません。
宗匠様のお捌きにお委ねいたします。
お騒がせいたしました。
by 千草 (2017-06-05 08:45) 

連歌楽歳

千草さま

ご説明ありがとうございました。

それほど頻繁ではありませんが、このブログ「連歌練習帖」がバイエル代わりにしている室町連歌で、遊女あるいは美女の名前が使われたことがあります。

 夜毎につまの替る遊女     (初瀬千句第2)
 露消し小野小町の名をとめて  (看聞日記紙背)

太田記念美術館のサイトで、溪斎英泉「契情道中双ろく 岡部 尾張屋内ゑにし」を確認しました。一方、同じ構図ですが、彩色の異なる「契情道中双ろく 岡部 尾張屋内江仁志」もありました。「ゑにし」とも書かれ「江仁志」とも書かれる傾城だったのですね。

加えて、進行中の3折表の打越句に「やがてみな西の涯へと往くものを」があります。「みな」が everybody なのか everything なのか判断のしようがなかったので、人倫と判断していませんが、李下の冠にならい、「ゑにし」が人名なら「えにし(縁)」に変えた方がいいかな、程度のマイナーな理由になります。

『源氏物語』の「澪標」の「みをつくし恋ふるしるしにここまでもめぐりあひけるえには深しな」が辞書に引かれており、紹巴『至宝抄』の恋の詞の項に「えにし 縁の事」とあります。凡庸ですが、「練習帖」レベルでは「縁」の方が落ち着きます。

以上、ご了承ください。しかし、疲れました。 Covfefe

by 連歌楽歳 (2017-06-05 12:57) 

千草

あの目元涼しいゑにしさんなら、きっと
わちきは「ゑ」の字が好きなれど
式目とあればせんかたなし
「えにし」と書くも趣向でござんすなんて了承したのでは。。
そういう人柄が人気を博して名を残したのかもしれない。

付け句作者も了承いたしました。
by 千草 (2017-06-05 17:45) 

蘭舎

六月ですね。梅雨入りも間近、お待たせしてしまいました。

千草さまの

黒髪の冷たく重く寝もやらで

をいただきまして、恋句を案じてみました。
ゑにしという名の傾城のお話、面白いことでした。
なるほど、バイエルですね。楽歳さまのたとえがお上手なので、
納得しています。

拙次

秋ながらその恋覚めぬむなしさに     蘭舎
逢ふことの夢むすばんと頼めしに
うたがひのはつかにあれど待つ契り
こひさめぬこそ愚かなれ松の宿
恋ひしなばそのけむりのみうからまし

この一巻、わたくしに恋の箇所がめぐってくることが多いような・・・。
差し合い、文法など無頓着で、申し訳ございません。
楽歳さまどうぞよろしくご裁定ください。
お次の梢風さまも、よろしくお願いいたします。

by 蘭舎 (2017-06-07 09:01) 

連歌楽歳

蘭舎さま

ここは3折表6。短句でございます。ご再考を。
by 連歌楽歳 (2017-06-07 14:01) 

蘭舎

楽歳さま

あっと、失礼致しました。大歩危です。

うたがはしきも契り待つ宿  蘭舎
ぬば玉の夜の衣返しつ
恋さめぬまゝ秋の立ちたる
恋死なむとぞ思ふ秋の夜
契り置きしを来ぬ夜の更け

よろしくお願い致します。

by 蘭舎 (2017-06-07 17:31) 

連歌楽歳

 うたがはしきも契り待つ宿     蘭舎
雑 恋(契) 居所(この宿は旅の宿よりむしろ自宅)

 ぬば玉の夜の衣返しつ
雑 恋(夜の衣を裏返しにして寝るのは恋の相手に夢で会えるおまじない) 夜分 衣類

 恋さめぬまゝ秋の立ちたる
秋 恋 「飽き」とは関係なさそう

 恋死なむとぞ思ふ秋の夜
秋 恋 夜分  「こひしなむ後のうき世はしらねともいきてかひなき物は思はし」の気分ですね。


 契り置きしを来ぬ夜の更け
雑 恋 夜分 「人心うしみつ今は頼まじよ」「夢に見ゆやとねぞ過ぎにける」

       *
余談です。
  黒髪の冷たく重く寝もやらで    千草
の「重たし」ですが、「重たし」は「重し」の口語形。「ゆく春やおもたき琵琶の抱心」(蕪村)の用例があります。また、「水雲重しふところの吟」(芭蕉)もあり、江戸俳諧では重たし・重しの両方が使われていました。データベースで用例を見る限り古典連歌は「重し」一辺倒です。ですが、いまは21世紀ですので、臨機応変に。


by 連歌楽歳 (2017-06-07 20:12) 

連歌楽歳

訂正とお詫び

先の項の、「余談です」以降の部分を削除します。「冷たく」「重く」を混乱して取り違えていました。千草さま、失礼いたしました。

楽歳
by 連歌楽歳 (2017-06-07 20:45) 

梢風


 ぬば玉の夜の衣返しつ          蘭舎

    付

うたてしと起きて来る子のしらみぐさ    梢風
月影は硯の海を越えてゆき          〃
さらさらと竹の葉の鳴る声しげき       〃
ささ給へとて遣さるるおんくるま       〃

○千草さんのお句「ゑにしこそあらまほしけれひとり寝の」が「えにし」ならぬ「ゑにし」だったのは“傾城ゑにし”さんを思い描かれてのこととは面白く拝見しました。「わが塚でなけほととぎす」ではないですが、ボツ句塚を建ててあげたいですね。

楽歳宗匠の6/2のご説明の「述懐には懐旧・哀傷・無常が含まれますので」では、無常が述懐の下位概念のように読めますが、これは知らなかったことで、気を付けてみていきたいと思います。色々と有難うございます。

よろしくお願い致します。

by 梢風 (2017-06-08 09:57) 

連歌楽歳

 うたてしと起きて来る子のしらみぐさ    梢風
雑 人倫 「しらみぐさ」とは、はて何でしょう?

 月影は硯の海を越えてゆき
秋 月 光物 夜分 水辺

 さらさらと竹の葉の鳴る声しげき
雑 竹は草類 辞書によると、竹の葉→笹→ささ(酒)。違う風景が見えてきます。

 ささ給へとて遣さるるおんくるま


by 連歌楽歳 (2017-06-08 19:40) 

梢風

「しらみぐさ(虱草)」は歳時記もしくはネットでも出てきます。「タウコギ」のことで仲秋の季語になります。イノコヅチのようにくっつくので「虱」の語がつくのでしょうね。梢風
by 梢風 (2017-06-08 21:05) 

連歌楽歳

田五加木のことありがとうございました。図説俳諧大歳時記で確認しました。

 うたてしと起きて来る子のしらみぐさ    梢風
秋 人倫 草類

        *

ところで、以前読んだ土芳『三冊子』の「白冊子」に「春雨の柳は全体連歌也。田にしとる鳥は全く俳諧也」とありました。

①黒髪の冷たく重く寝もやらで 
②ぬば玉の夜の衣返しつ  
③うたてしと起きて来る子のしらみぐさ 

並べてみると、③は土芳流の見立てでは句自体が俳諧で、付け句のありようにしても①②の恋の定型歌を見事にひっくり返して俳諧化していることが良くわかります。

むかしの連歌にも、時に、

 露を見るにも老が身ぞうき       宗祇
 風にだにさそはるるやと待つ暮に    宗忍
 うはの空にはなどかすぐらん      恵俊

のように、老いの身→寿命終わり→浮かれ気分、と俳諧味が感じられる付け合いがありますが、総じてこの程度のおだやかさです。ちなみに「きくやいかにうはの空なる風だにも松に音する習ひありとは」(宮内卿・新古今・恋歌三)の本歌取りです。

以上が楽歳の感想ですが、つぎの遊香さまにはまた別のお考えがあることでしょう。


by 連歌楽歳 (2017-06-08 23:21) 

遊香

遅くなりました!

俳諧好きなのと、タコウギのイメージが面白くて、梢風様の
うたてしと起きて来る子のしらみぐさ  いただきました。

下記のように付けてみましたが、いかがでしょうか。

運び役なるうろこ雲かな
秋のいで湯に流すしがらみ
しはぶき響く秋冷への宿
月にしたがふ青きぬか星

毎度のことながら、お手直し、よろしくお願いいたします。

by 遊香 (2017-06-13 13:02) 

連歌楽歳

 運び役なるうろこ雲かな
秋 うろこ雲は聳物 「哉字近代発句の外ねかひかなとて或一用之此外は不可用之」と『連歌新式』に。

 秋のいで湯に流すしがらみ
秋 泉は水辺体、温泉も水辺体、温泉の言い換えのいで湯も水辺体、多分。

 しはぶき響く秋冷への宿
秋 宿は2句物(只1、旅1)「しはぶき」は俳諧冬の季語だが、「秋冷へ」の引力圏に引っ張られて秋。しかしながら、3句前に「冷」の同字(同字は5句)。くわえて「秋冷(しゅうれい)」は俳句秋の季語だが、訓読みの「あきびえ」は「秋稗」以外には手元の辞書におさめられていなかった。『十七季』に「朝冷え」が秋の季語として載っているので、安直だが「朝びえの宿」あたりでいかがでしょうか? 別案あれば、どうぞ。

 月にしたがふ青きぬか星
秋 月 光物 「ぬか星」は星屑・スターダストのことで夜にしか見えないものであることから、句は夜分。2句前に「ぬばたまの夜の衣」があり夜分の打越。別案をどうぞ。


by 連歌楽歳 (2017-06-13 23:39) 

遊香

おはようございます。

「冷」の重なり、失礼しました。
しはぶき響く朝びえの宿 にお願いします。
それにしてもしはぶきが「冬」の季語とは、 咳払いもくしゃみも一年中しますのにね(笑)。

本当は、しらみぐさの棘をシャボン玉に包んで遠くへ飛ばしたかったのですが(笑)、シャボンは無理ですね。

ぬか星…の夜の打越、すみません。取り下げます。

by 遊香 (2017-06-14 07:29) 

連歌楽歳

遊香さま
おはようございます。
了解しました。
by 連歌楽歳 (2017-06-14 09:25) 

連歌楽歳

現在進行中の3折表のいくつかの疑問にお答え

<その①>
 ⑥    ぬば玉の夜の衣返しつ
 ⑦    うたてしと起きて来る子のしらみぐさ
 ⑧(案) しはぶき響く朝冷えの宿
について⑥の「夜」と⑧の「朝」が打越にならないか、というお尋ねがありました。

打越になるという考え方と、ならないという考え方の、双方が正解です。一条兼良の『連珠合璧集』は「時分」の項を設け、そこに「みじか夜・長夜・一夜」などを入れています。いわゆる夜分も、時分の一部であるという分類法です。『連歌新式』では「水鶏・蛍・蚊遣火・莚・枕・床(とこ)・寝」などを夜分、「朝ぼらけ・三日月の出・有明の入り」などを非夜分としています。さらに「夜分と夜分は5句去り」「時分と時分は打越を嫌う」とし、「夕暮と曙」を例にあげています(『産衣』では同時分5句去り、替時分2句去り)。『連歌新式』の考え方は、夜分は時分の一部ではなく、夜間と昼間という異なるカテゴリーに分けています。残念ながら、夜分と時分(昼間)の関係については記述がありません。そこで連歌師がこの問題をどうこなしたのか、例を拾ってみました。

 檜原かすめる月の夕暮   
 悲しみは秋ばかりかと思ひしに
 夜寒は風のきたるなりけり
      (文和千句第1)

 なみだみだるるけさの黒髪
 うきひとにあかぬ名残のいそがれて
 あふ時ばかり夜こそおしけれ
       (至徳二年石山百韻)
 
 朝かげ寒く向ふ雪の日
 帰るさの袖の氷に月落ちて
 つらき心はとけん夜ぞなき

どうやら、夜分と時分は別カテゴリーの立場をとっていたようです。

<その2>「かな」について
 二条良基の著書『連理秘抄』(1349)には「つゝ けり かな らん して 打越を嫌うべし。他准之」と書かれていました。1372年成立の二条良基『連歌新式』では「詞字つゝけりかならんして」は打越を嫌う言葉とされ、加えて、哉字は近代発句の外は「ねがひかな」が懐紙をかえて1回限り許される、と書き込まれました。『連歌新式』は何度か改訂されていますので、どの段階でこの文言が書き込まれたかは、これから調べる必要があります。紹巴の『連歌新式注』と心前の『連歌新式注』は『連歌新式』の規定を丸ごと受け入れていますが、著作者不詳の『連歌新式永禄十二年注』には要約すると次のような面白い見解が書かれています。
          *
むかしは「かな」は2句隔てれば良しとしたが、歌道をしらない地下のものが連歌に入ってくるようになって、発句のかなと、褒美のかなの分別が出来なくなったので、平句のかな止めをやめた……「板まあらみ荒たる宿のさびしきに心にもあらぬ月をみる哉」は「てにをはになる哉」で。「板間より月のもるをもみつる哉宿はあらしてみるべかりけり」は褒美の哉。
          *
何のことか分別の要領はつかめませんが、「運び役なるうろこ雲かな 遊香」は切れ字より、褒美の哉に近い感じがいたします。平句にかなは使わない方が無難ですが、上記のような古人の注もある事ですから、むげにもできません。ちなみに連歌データベースで「ねかひかな」「かな」にあたってみましたが、ヒット0件。あったのは「もがな」だけでした。

 

by 連歌楽歳 (2017-06-18 23:04) 

如月

宗匠さま、皆さま
いつもながら遅くなりまして、まことに申しわけなく存じます。

平句のかなの件、夜と朝の打越の件、ご指摘がないので問題ないのだとは思いましたが、漠然と不安になっておりました。
懇切なるご解説をいただきまして、霧が晴れてきた思いです。有り難うございました。
なかなか微妙な問題なのですね。

さて、遊香さまのお句のうち、下記を頂戴させていただきます。

秋のいで湯に流すしがらみ 遊香さま

梢風さまの「しらみぐさ」と遊香さまの「しがらみ」(しらがみと言ってしまいそう!)、アナグラムのようで面白いです。

拙次
ささごとに倦めばいざよふ月の面

山の端のはつかに明し月待てば

蛇穴に入りてしづまる弓張に

雁の竿ほどけて広き越の空

翔びかはす色鳥しばし鳴きやみて

みちのくの馬の市より帰るさに

以上でございます。
夜と月の大打越、障りますでしょうか?
また、どうしてか生類の句が多くなりました。
梢風さまのしらみぐさは草類に分類されていましたが、矢張り、しらみは虱。

連句では、「異生類越を嫌わず」とも言われているようですが、連歌では、矢張り障りますでしょうか?
他にも問題あるかとも…。
作りなおし等、ご遠慮なくお申し付けくださいませ。
ご指導よろしくお願い申し上げます。
by 如月 (2017-06-19 20:47) 

連歌楽歳

 ささごとに倦めばいざよふ月の面
秋 月 光物 夜分 「面」は「かほ」と読むのでしょうか。3句前に「ぬばたまの夜」があり、夜分と夜分は5句去りの約束事にさわります。ちょうど秋の句が始まったところで、月をだすには絶好のタイミングです。ぜひとも朝月・昼月・夕月で修正をご工夫ください。ここで非夜分の月が出ない場合、最短で第12句から夜分の月が出せますが、秋を5句続けない限り、秋以外の月になります。

 山の端のはつかに明し月待てば
秋 月 光物 夜分 山類 月については同前

 蛇穴に入りてしづまる弓張に
秋 弓張(月)は光物 夜分 蛇穴に入るは俳諧秋の季語 蛇は連歌には出て来なかった動物なので、虫類か獣類か不明。ナガムシともいうので虫類かも。夜分については同前

 雁の竿ほどけて広き越の空
秋 雁は2句物(春1、秋1)。前句が秋なのでこの雁は秋の雁 鳥類 空は天象 越は越前・越中・越後のあたり、国郡

 翔びかはす色鳥しばし鳴きやみて
秋 色鳥(鳥類)「翔ひかはす」は他動詞で、自動詞の「翔ひかふ」が落ち着くような気がしますが。

 みちのくの馬の市より帰るさに
秋 馬の市は俳諧・秋の季語『栞草』に収録されていないので、おそらく明治以降の季語。みちのくは国郡 馬の字があるので一応、獣類

なお、虱草は草類で、虫類の痕跡はないと考えた方が健康によいです。この手の類推を始めると、猫じゃらしは「草類・獣類」、「葱坊主」は「草類・人倫・釈教」と広がり。収拾がつかなくなります。


by 連歌楽歳 (2017-06-20 00:13) 

如月

宗匠さま、

ご指導有り難うございました。
朝昼夕の月を考えなかったのは、まことに不行届きでございました。
作りなおしをいたしましたので、よろしくお願い申し上げます。

あはあはと透けて夕月傾ぎゆく
ささごとの始まる気配夕の月
産土神の千木に遊べる昼の月
朝の月井戸のつるべの竿の先

宗匠さま、
お直し、ご指導、よろしくお願い申し上げます。
朝姫さま、
お捌き、よろしくお願いいたします。

なお、比喩の虱は生類と考えないほうが健康によろしいとのご教示、たしかに!痒くなってはいけませんデス。
ありがとうございました。

今日は晴れて暑い日ですね。明日から梅雨っぽくなってゆくようです。
皆さま、お大事になさって下さいませ。
by 如月 (2017-06-20 12:53) 

連歌楽歳

 あはあはと透けて夕月傾ぎゆく
秋 月 光物 夕時分

 ささごとの始まる気配夕の月
秋 月 夕時分 飲食

 産土神の千木に遊べる昼の月
秋 月 光物 昼時分 神祇(うぶすな) 千木は社殿の一部なので非居所

 朝の月井戸のつるべの竿の先
秋 月 光物 朝時分 井戸は水辺体

朝姫さま、お次をどうぞ。 

      *
<付録>「哉・かな」の話の続き。

「かな」は二条良基以前の連歌では、しばしば平句で使われています。『菟玖波集』には、

 しばしばもとはれぬさとを恋わびて
 鳴く音にまがふとも千鳥かな      定家

 おのづからたたく水鶏の声ながら
 さもあけやすき夏の夜半かな      為家

 神のみむろにしげる榊葉
 君が代をときはかきはに祈るかな    為氏

 われもうけぬはうき契かな
 さかづきのさしもおもふといひながら  救済
 (ちなみに救済法師は二条良基『連歌新式』の協力者)

などの例が見受けられます。

『連歌新式』以降、「哉」はもっぱら発句専一の切れ字となりました。しかしながら、蕉風俳諧の時代になって突如、次のような平句が『冬の日』の「しぐれの巻」に現れて、話題を呼びました。

 おかざきや矢矧の橋のながきかな     杜國

「平句のかな留め」「切れ字『や』と『かな』の同居」。2つの禁じ手をこれ見よがしに使ったのですが、古注によると、ここの「や」は呼び出しの「や」、心のない「や」であり、また、平句の哉留めは長短ともに一座に一句する、などの擁護論が出ました。幸田露伴も『評釈 冬の日』で、「発句に哉とあればとて、平句に哉といふことを用ゐて悪きことなし、ただ平句の体、発句に紛るるやうにて哉と止めたらんには、一巻の体裁上憚りもし忌みもすべきことなり。此句哉と止めたれど全く平句の体にして、発句を侵さず。……平忠度の歌、さざなみや志賀の都はあれにしを昔ながらの山さくらかな。やと云ひて哉と止めたる此句の作りかた、これに似たり」と擁護しています。

ちなみに、杜國は「しぐれの巻」で発句を担当し、

 つつみかねて月とり落すしぐれかな

とよんでいます。「しぐれ」に奇妙な当て字を使っていますが、ワードプロセッサーの辞書で探すのが面倒なので、ひらがなで。それにしても、発句切れ字の「かな」と平句の「かな」を独占使用した杜國、いい度胸です。

歌詠みが余技として連歌をやっていた頃は、哉を平句で自由に使っていましたが、二条良基が連歌式目を全国統一してからは、哉は発句専用になりました。以後、この決まりが時代劇で言えば「表柳生」となり、平句でも哉が使えるという「裏柳生」は、芭蕉が「切字なくては発句の姿にあらず。付け句の体なり。切字を加へても、付句の姿ある句あり」と喝破するまで忍んでいました。


by 連歌楽歳 (2017-06-20 18:00) 

朝姫

楽歳様、皆様

昨日は雨だけでなく風も凄かったですね。
交通機関の乱れもありましたが、皆様、影響ありませんでしたでしょうか?

さて、如月様の
 産土神の千木に遊べる昼の月
をいただきます。
「朝の月井戸のつるべの竿の先」も魅力的でしたが、昼の月にいたしました。


 浄めたき血は身の内に在り  朝姫
 かそけき音は光より生(あ)れ
 守り刀には遠き縁も
 遥かな地より寿ぎの歌

どうも雅な句にならず難しいです。。。
楽歳様、よろしくお捌きくださいませ。

ところで一つお聞きしたのですが、進行表を拝見すると1折裏5に「駒と言っても馬と言っても1句物」とありました。
当該箇所に出ているのは「駒」でしたが、「馬の市」は別物と考えてよろしいのでしょうか?
最近やっと進行表の便利さに気付き、よく覗いております。
細かいことで申し訳ありませんが、ご教示よろしくお願い致します。


by 朝姫 (2017-06-22 11:15) 

連歌楽歳

 浄めたき血は身の内に在り    朝姫
雑 血・身で人体

 かそけき音は光より生(あ)れ
雑 光物は光を放つもの。光物が放った光は光物か? 水辺は「みずべ」で水辺の重要要素である水も水辺(ただし水辺用)なので、ここの光も光物としてよいでしょう。

 守り刀には遠き縁も
雑 

 遥かな地より寿ぎの歌
雑 遥かな地は地儀
       *
朝姫さま
馬と駒についてのご指摘ありがとうございます。1句物で障ります。楽歳の見落としでした。、江戸時代の連歌書『産衣』は「馬1、駒1、折を嫌う」としていますが、この連歌練習帖のルールブックは『連歌新式』です。『連歌新式』には「意馬隙行駒はこの他」とあります。「意馬」は心の動きの変化、「隙行駒」は月日が早く過ぎ去る事の意。また「驛(うまや)・馬のはなむけとは面を嫌う」とありますが、驛は馬屋ではなく、むかしの交通手段のための馬のステーション。

by 連歌楽歳 (2017-06-22 21:22) 

朝姫

楽歳様

早速のご教示ありがとうございました。
如月様の馬の市の句、惹かれたのですが、進行表の内容が気になって避けてしまったので確認させていただきました。
スッキリです。

今日も梅雨晴れ間のお天気です。
溜まった家事に勤しむことと致します。

by 朝姫 (2017-06-23 10:17) 

如月

おはようございます。
お日様燦燦の空ですね。

朝姫さま
早速の治定、有難うございました。
馬・駒 が一句物とのご指摘も、ありがとうございます。たしかに《進行表》に明記されていますね。
一目瞭然の便利な表を宗匠さまが作ってくださっていますのに、今まであまり活用しておりませんでした。反省!


宗匠さま
お世話になっております。
杜國の平句の「や かな」、大胆ですね!
でも、翁さまがお認めになり、後世、露伴さんまで構わぬと言うのですから、愛されキャラは違いますこと~~。
という風に受け止めてはいけないのですね。あくまでも句の姿で許されているらしいですが、その判断がたいへん難しいところでございます。


さて、月の句の直しに気をとられ、他の句への宗匠さまのお訊ねやご指摘に応えておりませんでしたこと、お詫びいたします。
[新月]「月の面」ですが、面は「おも」と読むつもりでした。
[新月]「翔びかはす」は他動詞なので、自動詞の「翔びかふ」のほうが落ち着くとのご指摘、
有難う存じます。
「翔びかへる色鳥・・」とさせていただきます。

治定が済んでからのこのようなお答え、六日の菖蒲どころではない間の抜け方で、恐縮でございます。
今後ともご指導のほど、お願い申し上げます。

皆さま、
雨は水曜日一日だけでした。
今日はこれから、どんどん暑くなるようです。水をこまめにとられ、ご体調にお気をつけて下さいませ。
by 如月 (2017-06-23 11:03) 

連歌楽歳

 旧約聖書・創世記風の言い回しにひかれて、

  かそけき音は光より生(あ)れ  朝姫

をいただきます。

●3折表11付け
 天地の暗き裂け目の果てしなく
 山の端にむらさきの雲たなびきて
 歌よみのあづま下りのつらねうた

       *
 天地の暗き裂け目の果てしなく
雑 天地(あめつち)の天は天象 『十七季』など現代の季寄せは「天象」を「天文+気象」と範囲を広げていますが、古典連歌では「天象」は空・天の原・天の戸・鳴神・いかづち(『連珠合璧集』)と「空」関連に限定していました。打越を嫌います。

 山の端にむらさきの雲たなびきて
雑 山類 聳物

 歌よみのあづま下りのつらねうた
雑 旅 国郡 人倫 

by 連歌楽歳 (2017-06-23 11:44) 

羽衣

宗匠さま
涼やかな風通しの御住居 羨ましく存じました。
拙宅の隣 目下 壁のような厚みのないビル 建設中、
騒音 振動 鬱陶しさ この上なし。
雅ごヽろ とは程遠き環境下に居りますもので
何卒よろしくお願い申し上げます。(人間環境次第でしょうから)
宗匠さまの御句は 何れを頂いても よろしいものとは存じましたが

  歌よみのあづま下りのつらねうた  を 頂きます。

       付け
     
    僅か(はつか・白く)濁れるもてなしの酒
    濁れる酒を一献二献と
    いにしへ遥か遠き山脈(やまなみ)
    途切れ途切れのえにし辿りて
    不二も筑波もひとり聳ゆる
    富士にむかひて泪ひたぶる

東下り といえば 昔男と思う次第ですが人倫は不可ですね?
ご一直 お導きのほどよろしくお願い申し上げます。
 
杜国の 包みかねて月とり落とす霽かな  霽月の霽(はれ)を
(しぐれ) と読むのですね。あらためて 杜国のすごさ!
を教えていただきました。この辺りの 名古屋俳壇(昨年の
名古屋国文祭で 蕉風発祥地として 名古屋タワーのま下に
ご案内頂きましたが やっと実感が湧きました。)
有り難うございました。   
                         

by 羽衣 (2017-06-25 04:54) 

連歌楽歳

  僅か(はつか・白く)濁れるもてなしの酒
雑 飲食 酒については『連歌新式』では格段の注意は有りませんが、後年の『産衣』では、「酒の類は酒1、盃1、霞酌1、酔1、折を嫌う」とされました。ご参考までに。

  濁れる酒を一献二献と
雑 飲食 数字 濁り酒は俳諧では秋の季語ですが、連歌では雑。3句前は秋でした。

  いにしへ遥か遠き山脈(やまなみ)
雑 いにしへ(古は1句物) 山類 いにしへの語が出ると連歌では述懐になります。

  途切れ途切れのえにし辿りて
雑 えにし(縁) えにしは釈教、恋でよく使われますが、この句の性格はいまだ定まらず、付け句次第でしょう。

  不二も筑波もひとり聳ゆる
雑 富士・浅間・葛城などは山類体用の外 

  富士にむかひて泪ひたぶる
雑 山類

   *
人倫の句数については『連歌新式』には特段の言及はありません。『無言抄』には「人倫、2句は苦しからず、3句は続くべからず」とあります。宗祇・肖柏・宗長の「湯山三吟」には、

 たがならぬあだのたのみを命にて    肖柏
 さそふつてまつわび人ぞうき      宗長

の例があります。


by 連歌楽歳 (2017-06-25 11:41) 

羽衣

宗匠さま
早速の お導き有り難うございました。
昨日の十薬?(まんなかの蕊らしきもの随分発達)から
あっと驚く意匠に変身!少年でしょうかそれともピエロ?
実は 少々修正させて頂こうかしらと案じておりました。
万が一およろしき様でしたら お願い申します.

   いにしへ偲び仰ぎ見る山
   不二にむかへば泪ひたぶる

これから出掛ける用がございまして取り急ぎ
失礼申し上げます。(本日は幾分涼しそうで助かります)
いつもながらのご教示 有り難うございました。

路花さま おあとよろしくお願い申し上げます。
by 羽衣 (2017-06-25 12:48) 

連歌楽歳

羽衣さま
了解しました。私もこれから外出です。
楽歳
by 連歌楽歳 (2017-06-25 13:01) 

羽衣

宗匠さま
ご多用中を 誠にお手数お掛け致しました。
人倫の句数についての 湯山三吟の例は 意味が深すぎ
ちんぷんかんぷんですが 兎に角 二句までは OKらしいと
解させて頂きました。
いつもながらご丁寧に有り難うございました。
時節柄 皆さまもお身体お大切に~

by 羽衣 (2017-06-26 01:06) 

連歌楽歳

 路花さまから以下のご連絡を頂きました。
         
           *

 宗匠さま  皆さま

ご迷惑をおかけして申し訳ございません。何のいたずらなのか、別のメーリングリストが二つ、完全な文字化けで届き、再送していただいても文字化け…というようなことが続き少々パニックになっております。

折角の美しい流れを止めてしまいお叱りを覚悟しております。一昨夜の雨に、我が家のあたりでも、誰かが捨てたごみが堰になって、道路に水が溢れており、まるで、この度のわが罪のように思えて見ておりました…。



    僅か(はつか・白く)濁れるもてなしの酒      羽衣
    濁れる酒を一献二献と
    いにしへ偲び仰ぎ見る山
    途切れ途切れのえにし辿りて
    不二も筑波もひとり聳ゆる
    不二にむかへば泪ひたぶる

羽衣さまの   僅か濁れるもてなしの酒

をいただきます。

拙次です。あまりの長い空白にご不快になっていらっしゃるかとは存じますが、どうぞよろしくご指導くださいますようお願いいたします。

  咎むなと書き連ねたる紙を捨て  路花
  厨には媼の声のよくひびき
  到来の瑠璃の盃見せたしと

どうぞよろしくお願いいたします。


by 連歌楽歳 (2017-07-06 10:45) 

連歌楽歳

●3折表13付
 咎むなと書き連ねたる紙を捨て  路花
雑 「書き連ねたる」が打越の「つらねうた」とダブリ感を与えますので、
  咎むなと書き始めたる紙を捨て
と小変更をおゆるしいただけますか?

  厨には媼の声のよくひびき
雑 居所 人倫 打越に「歌よみ」がいますので、人倫打越をさけて、 
 厨には菜を切る音のよくひびき
と小変更することでいかがでしょうか?

  到来の瑠璃の盃見せたしと
雑 瑠璃はサンスクリットの漢音訳ですが、「るりの色」が連歌で使えるとされてきましたので、本体の「瑠璃」も当然許されることになります。



by 連歌楽歳 (2017-07-06 11:27) 

連歌楽歳

追加
 到来の瑠璃の盃見せたしと
の「到来」は字音ですので、これを「賜りし瑠璃の盃見せたしと」。「し」が重なって気になる所もありますが。

by 連歌楽歳 (2017-07-06 11:57) 

路花

宗匠さま  皆さま
この度はご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
 咎むなと書き始めたる
 菜を切る音の
 賜りし
のお直し、ありがとうございます。どうぞそれでよろしくお願いいたします。
by 路花 (2017-07-06 23:34) 

連歌楽歳

路花さま

ご連絡ありがとうございました。では、そのように。
by 連歌楽歳 (2017-07-07 09:04) 

連歌楽歳

夢梯さまから以下の治定と付句を頂きました。

3折表13治定
 厨には菜を切る音のよくひびき   路花

同14付け
 小松引く野に晴やかな声     夢梯
 手毬つく子の声のやさしく
 花の宴のしつらひも佳く
 御室の花の手に触るゝほど
 命あらたに千歳の舞

   *
 小松引く野に晴やかな声     夢梯
春 小松引くは新年子の日の行事。松で木類 野は地儀 この面の第1句に「いくさの声」、第4句に「声も細りし」(同字5去りに反するので、「こゑ」と変えましょう。「声」を「顔」に変えさせていただきます。顔は人体。「小松引く野に晴やかな顔」
 手毬つく子の声のやさしく
春 手毬は俳諧新春の季語 子は人倫 「声のやさしく」を「すがた優しく」。「手毬つく子の姿やさしく」

 花の宴のしつらひも佳く
春 花 折端の花はあまり例がありません。しかし皆無ではなく「はなになを吹風の木からし」(文和千句第2の1折表。詠み手は二条良基)。なお、花は折に1つの決まりですから、ここで花の句を治定すると、3折裏には花は出せません。

 御室の花の手に触るゝほど
春 花 御室は仁和寺のことで、釈教・名所 手は人体

 命あらたに千歳の舞
雑 千歳(せんざい)の舞は三番叟の一部。三番叟は歌舞伎に取り入れられて新春の出し物になりましたが、季語とされてきませんでした。千歳は「せんざい」で字音。残念ですが預かり。

by 連歌楽歳 (2017-07-11 21:07) 

蘭舎

楽歳宗匠、みなさま

連日の酷暑、お見舞い申し上げます。
梅雨はどうなっているのでしょうか?

夢梯さまの御句、「小松引く」を頂こうかと迷いましたが、付けが
難しく、あきらめました。
俳諧になっての季語とのことですが、春らしい「手毬つく」の御句をいただき、付けてみました。

  手毬つく子のすがた優しく   夢梯

  付け
  梅が枝に寄るをかしげな鳥の影    蘭舎
  遠山に東風のたよりのとどくらん
  春霞たなびく今朝のからころも
  水ぬるむ小川の岸に糸垂れて
  己がじし紙を選みし筆試
  うららかな野に出で立つは誰ならん

ご一直よろしく御願いいたします。

by 蘭舎 (2017-07-13 08:32) 

連歌楽歳

  梅が枝に寄るをかしげな鳥の影    蘭舎
春 梅が枝は木類 鳥類 おかし・あやしに「げ」がつくと俳諧のひびきがあります。

  遠山に東風のたよりのとどくらん
春 東風は吹物 山類

  春霞たなびく今朝のからころも
春 聳物 今朝は2句物(只1、けさ1) 時分(朝) 衣類
  
  水ぬるむ小川の岸に糸垂れて
春 水ぬるむの水は水辺用 小川は水辺体

  己がじし紙を選みし筆試
春 筆こころみるは春の季語(無言抄) 己は人倫

  うららかな野に出で立つは誰ならん
春 野は地儀 誰は人倫


by 連歌楽歳 (2017-07-13 11:24) 

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