硯の池のなどか波立ち 蘭舎 雑 硯池を水辺体とみるか、そこに立つ波を水辺用とするか。判断に苦しみます。委細、付け句作者に一任します。西洋風にいうと「コップの中の嵐」。G.B.ShawにStorm In A Teacupという作品があります。現在、K氏とT氏の罵り合いが進行中。記録に残しておかなくては、ということでしょうか。
訂正 Storm In A Teacup がB.B. Shawの作品と書いたのは誤りでした。お詫びして削除します。
オードリー・ヘップバーン、レックス・ハリソン主演の映画 My Fair Lady の原作が Shaw の Pygmalion であることと、1930年代のレックス・ハリソン、ビビアン・リー主演のイギリス映画 Storm In A Teacup を混同しました。
by
連歌楽歳
(2017-08-12 15:30)
遠山に東風のたよりのとどくらん 蘭舎様
こちらを頂戴いたします。
付け
おもへばをしき春の夢覚め 千草
昔男の鐘霞む空
春立つけふのつらゆきが歌
おびただしくも青柳の文
三人四人と猫の仔を乞ひ
春の文字は もう使えないかもしれませんが。。。
よろしうお捌きくださいませ。
by お名前(必須) (2017-07-17 13:41)
おもへばをしき春の夢覚め 千草
春 「春の夜の夢ばかりなる手枕に」「春の夜の夢の浮橋とだえして」「おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」などなど。この夢は夜分でしょう。
昔男の鐘霞む空
春 鐘霞む 鐘は4句もの(只1、入相1、釈教1、異名1) 昔は1句物で・述懐 人倫 空は天象。ところで、「いにしへを露もわすれずしのぶ身に」のような場合、「露」は秋の季語になるがもはや降物ではなくなっているという解釈にたてば、「鐘霞む空」の「霞」は春の季語だが、聳物ではないことになります。それはともかく、2折裏3に「まほらまの山辺のみち鐘かすみ」があり、両方とも特定されない只の鐘なので、ダブリます。よろしければご工夫を。「昔男の鐘霞む寺」とすれば、釈教の鐘・尾崎放哉の面影になります――冗談です。
、
春立つけふのつらゆきが歌
春 人倫 けふ(今日)は2句物 「袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」のことでしょうか?
おびただしくも青柳の文
春 木類 青柳の糸・青柳の眉は家の辞書にありましたが、「青柳の文」は見当たりませんでした。??
三人四人と猫の仔を乞ひ
春 猫の仔は俳諧・春の季語 獣類 人倫 数字
by 連歌楽歳 (2017-07-17 16:17)
楽歳様
ご指導ありがとうございます。
貫之の歌はご推察の通りです。
鐘霞む空につきましては、如月様に幾重にもうっかりの
お詫び申し上げます。お許しを。
青柳の枝に結んだ恋文がどっさり来ましたという青柳の文も
意味不鮮明で失礼しました。
昔男と青柳はそれぞれ
昔男の朧々に
おびただしくも青柳の糸
にリニューアルしてくださいますようお願いいたします。
by 千草 (2017-07-17 17:31)
昔男の朧々に
雑 『無言抄』の時代までは「おぼろ・おぼろげ」は月と結んで春、月と結ばない場合は雑とされていました。この連歌の考えかたは松永貞徳『俳諧御傘』に受けつがれました。「朧」だけで春とみなすようになったのは蕉門俳諧以降です。連歌練習帖では、連歌に該当の言葉がない場合は俳諧の季語を使っていますが、連歌と俳諧ではっきりとした季の違いがある場合は、連歌の方を優先してきました。春の句になりませんので、3裏2ではつかえません。この句、あずかります。
おびただしくも青柳の糸
春 木類
by 連歌楽歳 (2017-07-17 18:43)
昔男は取り下げますのでよろしくお願いたします。
by 千草 (2017-07-17 21:35)
お暑うございます。
千草様の
おびただしくも青柳の糸 いただきまして
付
あざなへる縁の形(かた)を問ひたきに 遊香
機織りの秀つ手しのぶや縞紬
半衿の色を悩みて(迷ひて)春ひと日
すひすひと(速やかに)飛べる燕のうらやまし
いつものことながら、お手直し、よろしくお願いいたします。
( )の中はどちらにしようか迷って併記してあります。
by 遊香 (2017-07-20 17:48)
あざなへる縁の形(かた)を問ひたきに 遊香
雑 縁は「えにし」とよむのでしょうか。縁(えん、字音)に母音iがついてyeniと発音し、それに強調の助詞「し」がついたもの、と辞書にあります。山田孝雄『連歌概説』に縁は連歌で使える字音とあります。『連歌新式』はふれていませんが、『産衣』では一座一句物になっています。縁は世俗のエンと釈教のエンがあります。「問ひたきに」とありますので、おそらく釈教の方でしょう。
機織りの秀つ手しのぶや縞紬
雑 秀つ手はすぐれた技量・すぐれた技量の持ち主のことで、ここでは偲ばれているので人倫の方でしょうか。「縞紬」は家の辞書にはなく、「紬縞」ならありました。広義の衣類です。しのぶで述懐。
半衿の色を悩みて(迷ひて)春ひと日
春 半衿の「はん」は音読み、「えり」は訓読み。どうしたものでしょうか。「半衿」を連歌風のものに取り換えていただけますか?
すひすひと(速やかに)飛べる燕のうらやまし
春 燕は鳥類 「すいすい風の荻に吹くこゑ」(俳諧・竹馬狂吟集)にあやかって、俳諧調ですが、「すいすい」の方がツバメらしいかも。「すいすいと燕は雨を切りさいて」とすると連歌風の非人情(漱石の言う)句に近づきります。
by 連歌楽歳 (2017-07-20 22:21)
楽歳さま
不忍の蓮、素敵! クリーニングされたカメラ、ますます好調ですね!
さて「半衿(はんえり)」は辞書で引くと「削ぎ襟(そぎえり)」ともいうらしいですが、いかがでしょう?
「縞紬」は「紬縞」ですね。間違えました。
しじら織、伊予絣、桐生織などでもいいなと思ったのですが、連歌の時代にその名称があったかどうか不安だったので「紬縞」としました。
「すいすいと」ありがとうございました。
by 遊香 (2017-07-21 00:15)
すいすいひと飛べる燕のうらやまし 遊香
付
とらはれの身に似たるうつしよ 梢風
などて翁は籠を作るや 〃
田水に映る空の深さに 〃
○楽歳さま宜しくお願い致します。暑さはこれから、毎日毎日が未踏の地です。皆様お気をつけて。
by 梢風 (2017-07-21 09:59)
とらはれの身に似たるうつしよ 梢風
雑 身は多くの場合、人倫。うつしよ(現世)は2折表13に既出。ご再考を。
などて翁は籠を作るや
雑 翁は人倫
田水に映る空の深さに
雑 田水は水辺(体・用については議論が分かれるでしょう) 田と田は7句、地儀。 空(天象)を映すのですから、水を張った田植え前の田んぼで、田水張る(一部の季寄せでは夏)と相通じる季節感があって夏の季と解することも可能です。しかしながら「清水むすぶ」は夏だが、「清水」だけでは雑と『連歌新式』は言っていますので、この句は雑としておきます。
遊香さま
梢風さまの句が電光石火で出ましたので、いただいたご返事を反映させることができませんでした。あしからず。
by 連歌楽歳 (2017-07-21 12:09)
楽歳さま 了解です~!
by 遊香 (2017-07-21 21:44)
楽歳様、皆様
はっきりしない空模様の朝ですね。
さて、梢風様のお直しがあるかとお待ちしておりましたが、ないようですので付けさせていただきます。
などて翁は籠を作るや
をいただきました。
付
竹取の姫の裳裾をとらまえて
忘れ得ぬ薫り残りし玉手箱
裘縫い目乱れし姥桜 朝姫
遅くなりまして申し訳ありません。
楽歳様、お手直し宜しくお願い致します。
如月様、宜しくお捌きくださいませ。
by 朝姫 (2017-07-26 08:59)
竹取の姫の裳裾をとらまえて 朝姫
雑 ①「竹取の(翁)が姫の裳裾をとらまへて」と読むか、②「竹取(物語)の姫の裳裾をとらまへて」と読むかで、句材に違いが出ます。①の場合は人倫と衣類②の場合はかぐや姫は仙女で仙女は非人倫です。
忘れ得ぬ薫り残りし玉手箱
雑
裘縫い目乱れし姥桜
雑 植物の姥桜だと春の句になるので、この姥桜は人倫。裘は「かわごろも」ですが、火鼠のかわごろもが衣類かどうか、判断できかねます。
*
朝姫さま
宙ぶらりん状態になり失礼しました。
進行役の楽歳は基本的に式目に「合致する・しない」だけを判断しています。次回から、式目に沿わないとして別案をおねがいするさいは、24時間お待ちし、ご返事のないまま時間が過ぎた場合は、自動的に付け句撤回と判断いたします。スムーズな進行のためにご了承ください。治定を担当される次の作者が式目に反しない、あるいは反するが捨てがたい句であると判断して、復活されるのはご自由です。テニスでライン・パーソンの判定をチェアー・アンパイアが覆すオーバールールと同じです。
by 連歌楽歳 (2017-07-26 18:54)
楽歳様
ご丁寧にありがとうございます。
帰省中でしたのでこれ幸い、と猶予をいただいた気分でおりました。
復活もOKとのご説明、了解致しました。
尚「竹取の」の句は②のつもりでしたが、解釈は如月様にお任せ致します。
宜しくお願い致します。
by 朝姫 (2017-07-26 22:50)
宗匠さま、皆さま
猛暑つづきでしたので、ほんの数度の気温の低さも、嬉しく感じられます。
今頃になって梅雨どきのような曇り空が広がるのは、皮肉なことですね。
トップの写真は、ボルダリングの掴み石(何と呼ぶのでしょう?)でしょうか?
それにしては、疎らだとは思うのですが……。
ドロップのような色と形が、可愛いです!
さて、朝姫様のお句、頂戴いたします。
忘れ得ぬ薫り残りし玉手箱
拙次
ほのと紅色てのひらの貝
とはに揺蕩ふわたつみのうた
おもかげ失せてゆくぞ哀しき
朝靄のなか魚ひさく声
澄まし顔なる鯛や鮃に
宗匠さま
ご指導よろしくお願い申し上げます。
羽衣さま、
お捌よろしくお願い申し上げます。
by 如月 (2017-07-29 12:57)
ほのと紅色てのひらの貝 如月
雑 人体 貝類・水辺用
とはに揺蕩ふわたつみのうた
雑 水辺 わたつみは2句物(只1、名所1) 防衛大臣や防衛省・自衛隊幹部の無責任ぶりに、ふと戦没学生遺稿集を思い出したりする季節ですが、前句とはつながりませんね。
おもかげ失せてゆくぞ哀しき
雑 恋(前句の「忘れ得ぬ薫り」をうけて。忘れ得ぬ薫りvs 失せるおもかげ) 面影は恋の句の常套語
朝靄のなか魚ひさく声
雑 靄は聳物・無季 朝風・朝霧の類の「朝」字は懐紙をかえて4句物 魚は魚類・水辺用 時分
澄まし顔なる鯛や鮃に
雑または冬 ヒラメは一部の季寄せに冬と出ていますが、連歌では使用例なし。季の判断は付句作者に一任です。
by 連歌楽歳 (2017-07-29 16:49)
宗匠さま 皆さま
暑中お見舞い申し上げます。
七月も晦日近くなりましたが
台風の影響でしょうか?本日もどんみりとしております。
多少涼しめですが 何卒ご自愛遊ばされますよう~
扨 三折裏 六句目 如月さまの御句どちらも素晴しく
大変迷いましたが 頂戴致します。
忘れ得ぬ薫り残りし玉手箱 朝姫さま
ほのと紅色てのひらの貝 如月さま
付け
束の間のうたたね覚ます一節切(ひとよぎり・横笛の・笛の音の)
惜しまれつ尼となる身のいたはしく(うらめしく)
惜しまれつ御髪(みぐし)おろせる夜(日)の誉れ
限りあるいのち尽して恋ひ渡る
しらじらと明くる月夜のかたみとは
ふたたびのまさか(現実)の坂に出でし月
三句前に 翁という 人倫ございますので 尼は如何かと?
何時もながらの 無手っ法にて 何卒お導きのほど
よろしくお願い申し上げます。
by 羽衣 (2017-07-30 16:28)
束の間のうたたね覚ます一節切(ひとよぎり・横笛の・笛の音の)
雑 「うたたね」は『連歌新式』には言及が無く『産衣』に夜分とありますので、夜分ということにします。「尺八の一節切こそ音もよけれ、君と一夜は寝も足らぬ」(隆達節歌謡)「うたたねに恋しき人を見てしより夢てふ物は頼みそめてき」(小町)。というわけで、
束の間のうたたね覚ますひとよぎり
のかたちがよろしいかと存じます。
惜しまれつ尼となる身のいたはしく(うらめしく)
雑 釈教 人倫(人倫と人倫は打越を嫌う) 前句とのつながりでいえば、「いたはしく」は「手のひらの貝を見ている人」を見ている人の心の痛み、「うらめしく」は貝を持つ人の心の動き。ちょっと距離をおいて、
惜しまれつ尼となる身のいたはしく
がよろしいかと存じます。
惜しまれつ御髪(みぐし)おろせる夜(日)の誉れ
雑 出家のご様子なので釈教 みぐしで人体 夜より日の方が落ち着きそう。
惜しまれつ御髪おろせる日の誉れ
ただ、1折裏に「尼削ぎのみ髪」が出ているので、幼女のヘアスタイルと出家する大人の違いはありますが、気にすれば気になる所もあります。
限りあるいのち尽して恋ひ渡る
雑 恋 いのち(命)は2句物(只1、虫の命など1)
しらじらと明くる月夜のかたみとは
秋 月 光物 「しらじらと明くる月夜」は夜分ということに。きぬぎぬの気分でしょうね。
ふたたびのまさか(現実)の坂に出でし月
秋 月 光物 夜分
ふたたびのまさかの坂に出でし月
がよろしいようで。理由は説明できませんが、前句とあわせるとなにか好ましい進展が示唆されているように感じられますので。
by 連歌楽歳 (2017-07-30 20:31)
宗匠さま
早速のお導き賜り、誠に有り難うございました。
人倫 の許容範囲に自信ございませんでした故 髪を下ろす と
言い換えましたもので 尼削ぎのみ髪 と重なるようでしたら
お取り下げの程よろしくお願い致します。(寂聴さまが剃髪された
のが夜でいらしたかしら?という程度の思いつきでしたが やはり
日 が落ち着きますね。夜というのは徒ならぬ雰囲気となります故)
ひとつひとつきっちりお定め頂きますと 流石にすっきり致します。
これで今晩 安眠出来ます。
先ほど送信致しました折 地下トンネルのようなワームホールの
ような画像に吸い込まれる心地が致しましたが 此度は日輪草?めく
まばゆさの画面に。誠に至れり尽せり!恐れ入ります。
有り難うございました。
皆さまもお健やかに~真夏の夜の夢を~ good night !
by 羽衣 (2017-07-31 00:49)
忘れ得ぬ薫り残りし玉手箱 姫
ほのと紅色てのひらの貝 月
このあとにつづく3折裏7に、かぐや姫の物語の燕の子安貝を思わせるような月夜のかたみ句
しらじらと明くる月夜のかたみとは 羽衣
を頂きましょう。「玉手箱」と「かたみ」の打越を機になさる方もいらっしゃいましょうが、玉手箱は手箱の美称でお土産、かたみは遺品で状況次第であらゆる品が形見になります。
●3折裏8付け
影を草葉の露にとどめて 楽歳
しばし動かぬ嶺の秋雲
またの逢瀬を契る七夕
*
影を草葉の露にとどめて 楽歳
秋 降物 草類
しばし動かぬ嶺の秋雲
秋 聳物 山類
またの逢瀬を契る七夕
秋 恋 七夕は夜分
by 連歌楽歳 (2017-07-31 23:01)
宗匠さま 皆さま
炎暑が戻って参りました。熱中症には特にご注意くださいませ。
此度は 竹取物語から竜宮城まで 異界めく恋の物語の遍歴!
楽しませて頂きました。ほんの数行ですが此処にも日本の古典が
凝縮されているようで素晴しく存じました。
有り難うございました。
by 羽衣 (2017-08-01 01:46)
宗匠さま 皆さま
取り急ぎ前コメント 異界めく⇒ 異次元めく と訂正させて頂きます。
いよいよ八月入り!皆さまのご健勝をお祈り申し上げます。
by 羽衣 (2017-08-01 12:33)
3折裏8治定
またの逢瀬を契る七夕 楽歳
3折裏9付け
蜻蛉(かげろふ)の羽に似し衣きみのため 夢梯
桛糸に君の面影さやけくも
残り香の小櫛ひとつの身に入みて
ひとり居の宿に侘しき遠砧
賜はりし小櫛ひとつに秋惜む
*
蜻蛉(かげろふ)の羽に似し衣きみのため 夢梯
秋 蜻蛉は虫類(現在のトンボ、カゲロウ。俳諧の時代になってからの季語。連歌のかげろふはもっぱら陽炎) 衣は衣類 超薄衣の恋の句
桛糸に君の面影さやけくも
秋 君(人倫)の面影(面影は2句物、只1、花月など1)で恋の句 さやけしは秋 桛糸に「かせいと」とルビを入れておきましょう
残り香の小櫛ひとつの身に入みて
秋 身に入むで秋 残り香で恋 蕪村の句に「身にしむや亡き妻の櫛を閨に踏む」
ひとり居の宿に侘しき遠砧
秋 砧は1句物 宿は居所 ひとりで数字・人倫
賜はりし小櫛ひとつに秋惜む
秋 数字
by 連歌楽歳 (2017-08-07 19:28)
●3折裏9治定
織女ゆかりの言葉を駆使した恋の句の数々を楽しませていただきました。肖柏が『連歌新式』で「恋句只一句にて止事無念」と言っていますように、ここは恋の句を重ねるのが常道ですが、この蒸し暑さのなか、もはやそのような体力は残っておりません。ひんやりとした、
ひとり居の宿に侘しき遠砧 夢梯
をいただきます。
とはいえ、辞書には「かかるひとりゐし給ひつつ、身を焦し給事絶えざりけり」(狭衣物語)の例文があり、かすかな恋の余情が残っています。
●3折裏10付け
やすらふうちに時は過ぎ行き 楽歳
幽かな声はただ松の風
あれやこれやとこしかたのこと
*
やすらふうちに時は過ぎ行き 楽歳
雑 米映画『カサブランカ』のAs Time Goes By
幽かな声はただ松の風
雑 吹物・木類 松の風は2句物(松の風1、松風1) 典型的なやり句・常套句です。
あれやこれやとこしかたのこと
雑 述懐
平家によって幽閉された後白河法皇の面影。「夜霜に寒けき砧の響き、かすかに御枕に伝ひ、暁氷をきしる車の跡、はるかの門前に横たはれり……さるままには、かの折々の御遊覧、所々の御参詣、御賀のめでたかりしことども、思し召し続けて、懐旧の御涙抑へ難し」(平家物語第3巻・城南之離宮)。
by 連歌楽歳 (2017-08-08 19:58)
やすらふうちに時は過ぎ行き 楽歳
こちらをいただきます。
ひとり居の砧のかすかな余情をさらにかすかに仄めかす
恋の句のように拝しました。
それに
As Time Goes By は「時の過ぎゆくままに」とすると
これは、私には同時代のヒーロー、ジュリーの歌でございますので。
その年になってみると樹林さん演ずるおばあさん、なつかしいです。
ジュリーー。
付け
夢に見し姿のままを絵姿に 千草
ねこま山行方知れずの猫を待ち
物語書きはじめむと紙と筆
牛飼いの童の示す道しるべ
どうか、よろしくお捌きくださいませ。
by 千草 (2017-08-11 11:33)
夢に見し姿のままを絵姿に 千草
雑 3句前に夜分(七夕)がありますので、この夢は非夜分の夢(日頃の願望)。夜分と夜分は5句へだてる。夢と夢は7句。
ねこま山行方知れずの猫を待ち
雑 「ねこま山」は「猫魔ケ岳」のような実在の山なのか、作者の頭の中の山なのか。いずれにせよ、山類用としておきます。人間到処在青山の「青山」は山類か非山類か、面倒なことです。獣類。というわけで、つい、下の句「けふ深川で消息を聞く」とひとときのおふざけをおゆるしください。
物語書きはじめむと紙と筆
雑 古人曰く「ありたき事は、まことしき文の道、作文、和歌、管絃の道、又有職に、公事の方、人の鏡ならんこそいみじかるべけれ」。プリンターで印字した用紙も湿気でふにゃふにゃ。日本の夏の文の道の険しいこと。
牛飼いの童の示す道しるべ
雑 人倫 「牛飼い」の牛も獣類としておきます。牛車係の「牛飼い童」には童に扮装した30代、40代の者もいた、と辞書に出ていました。タイの田舎で少年が水牛に水をかけているのどかな風景を見たことがあります。むかしのことですが。こちらの方の牛飼い童なら俳諧の材料でしょう。打越に「ひとり居」の人倫句があります(独=ひとり、と言いても人倫、と『連歌新式』)。「牛飼いの童」の処遇をどうしますか?
by 連歌楽歳 (2017-08-11 14:42)
楽歳様
ねこま山は猫魔ケ岳の意味ですが、厳密にしなくてはいけませんでしたら、取り下げます。ねこま山という名前のお相撲さんですということにしたらどうかしら、ちらりと考えましたが、それでは牛飼い童同様、人倫になりますし。
「ひとりといいても人倫」、ご教示ありがとうございました。
肝に銘じます。
牛飼い童(かうぼーい?)は退場します。
二句では申し訳ないので
いつのまに降りくる雨にうちしめり
ひたすらにほとけの道のひとすぢを
障りがありませんよう念じつつ追加します。
by 千草 (2017-08-11 17:29)
いつのまに降りくる雨にうちしめり
雑 雨は降物
ひたすらにほとけの道のひとすぢを
雑 釈教
「ねこま山」は実在の山、虚構の山、解釈は付け句作者にお任せすることにしましょう。
なお、「ねこま山」を四股名にするには無理があります。相撲取りの世界では四足は縁起がわるいと嫌われています。いまだはちゃんこ鍋に牛肉や豚肉が入っているそうですが、しばらく前までは、魚と二本足のニワトリの肉だけでした。
by 連歌楽歳 (2017-08-11 19:36)
楽歳様
しこなのこともご注意いただきまして恐縮です。
親方の名前はまことに雅であるとかねがね思っていたのですが、
関取の方は、近頃ほんとにいろいろでございますので。
蘭舎様、
よろしくお願い申し上げます。
by 千草 (2017-08-11 20:08)
千草さま
錯覚でした。
しこなに四足動物は縁起が悪いというのは、年寄りの思い込みでした。
「日馬富士」「駒ヶ岳」などがいますね。前言撤回します。「猫魔ヶ岳」ならウケるかも。
by 連歌楽歳 (2017-08-11 20:36)
皆様
このたびののろのろ台風、たくさんの雨を降らせました。
影響も大きいですね。
そして、ひどい蒸し暑さを残しました.
千草さま、
「ねこま山」「ジュリー」「樹林さん」、面白いお話を
聞かせて頂きました。
ジュリーといえば、あのおとなしそうだったサリーさん、
俳優業でユニークな存在感を発揮してますね。
さて、御句のなかから
物語書きはじめむと紙と筆
をいただきまして、拙次案じてみました。
硯の池のなどか波立ち 蘭舎
谷にあふるる雪しろの水
前栽(せざい)の春を見めぐらしつつ
薪を臥し所のたとへなるべし
あくがれあかす花のあだし野
日の長ければ雲もさまよひ
楽歳さま、何卒よろしくご吟味ください。
お次の梢風さまも、宜しくお願いいたします。
by 蘭舎 (2017-08-12 05:18)
皆様
このたびののろのろ台風、たくさんの雨を降らせました。
影響も大きいですね。
そして、ひどい蒸し暑さを残しました。
千草さま、
「ねこま山」「ジュリー」「樹林さん」、面白いお話を
聞かせて頂きました。
ジュリーといえば、あのおとなしそうだったサリーさん、
俳優業でユニークな存在感を発揮してますね。
さて、御句のなかから
物語書きはじめむと紙と筆
をいただきまして、拙次案じてみました。
硯の池のなどか波立ち 蘭舎
谷にあふるる雪しろの水
前栽(せざい)の春を見めぐらしつつ
薪を臥し所のたとへなるべし
あくがれあかす花のあだし野
日の長ければ雲もさまよひ
楽歳さま、何卒よろしくご吟味ください。
お次の梢風さまも、宜しくお願いいたします。
by 蘭舎 (2017-08-12 05:28)
硯の池のなどか波立ち 蘭舎
雑 硯池を水辺体とみるか、そこに立つ波を水辺用とするか。判断に苦しみます。委細、付け句作者に一任します。西洋風にいうと「コップの中の嵐」。G.B.ShawにStorm In A Teacupという作品があります。現在、K氏とT氏の罵り合いが進行中。記録に残しておかなくては、ということでしょうか。
谷にあふるる雪しろの水
春 雪しろの水は降物・水辺用 谷は山類体
前栽(せざい)の春を見めぐらしつつ
春 前栽は木類・草類・居所用 3句前に居所(宿)
薪を臥し所のたとへなるべし
雑 臥所は夜分・居所体 「臥し所」のおくり仮名は不要なのでは。4句前に夜分(七夕)、夜分と夜分は5句。3句前に居所(宿)
あくがれあかす花のあだし野
春 花 木類 あだし野は地名(名所に非ず、と『産衣』)
日の長ければ雲もさまよひ
春 聳物
*
前栽句と臥薪句は預かり。ご連絡ください。
by 連歌楽歳 (2017-08-12 13:47)
訂正
Storm In A Teacup がB.B. Shawの作品と書いたのは誤りでした。お詫びして削除します。
オードリー・ヘップバーン、レックス・ハリソン主演の映画 My Fair Lady の原作が Shaw の Pygmalion であることと、1930年代のレックス・ハリソン、ビビアン・リー主演のイギリス映画 Storm In A Teacup を混同しました。
by 連歌楽歳 (2017-08-12 15:30)
楽歳さま
ありがとうございます。
臥し所(ふしど)、前栽 居所なのですね。うっかりしました。
ともに、どうぞ、ばっさりとお切り捨てお願い致します。
「硯の池」、なるほど、Storm In A Teacup。
打越も連用留めでしたので、下の二句につきましては
終止形に替えていただいても結構です。
それもお次さまにお任せいたしたく存じます。
硯の池のなどか波立ち(つ)
日の長ければ雲もさまよひ(ふ)
世間は夏休みです。「連歌練習帖」も暫くいかがですか?
蘭舎拝
by 蘭舎 (2017-08-12 18:36)
あくがれあかす花のあだし野 蘭舎
付
そで振る人をてふに見まがひ 梢風
思ひ出す限り指折る春のうた 〃
みやこより流行り始める春着あり 〃
○楽歳様、お盆休み、どうぞごゆっくりお取り下さい。案外新境地も生まれるよいお休みかと思います。私自身は特に何処にいくということもありません。
by 梢風 (2017-08-13 09:41)
梢風さま。はやばやの付け句、ありがとうございました。
*
そで振る人をてふに見まがひ 梢風
春 てふは虫類 人倫 「茜さす紫野ゆき標野ゆき野守は見ずや君が袖ふる」(額田王)を引合いに出せば恋の句ととれそうですが、第8句に恋の句が出ているので、たんなる合図。
思ひ出す限り指折る春のうた
春 人体(指)
みやこより流行り始める春着あり
春 みやこ(都)は3句物(只1、名所1、旅1) 都(地儀)は非居所 衣類 2折表9に「鮎落ちて京(みやこ)に近き皿の上」があります。こちらを都落ちの人の旅の感慨の句と解釈するか、「みやこより流行り始める春着あり」のみやこをファッションの発信地・花の都パリのような所と解釈して名所とするか、このあたりは、付け句作者におまかせします。
*
蘭舎さまのアドバイスにしたがって、これより9月初旬まで、連歌練習帖を閉じます。みなさま、夏のお疲れが出ませんように、たっぷり食べ、ぐっすりお休みください。
それでは、秋の始まりのころに。 楽歳拝
by 連歌楽歳 (2017-08-13 12:06)
宗匠さま、皆さま、
残暑お見舞い申し上げます。
酷暑の砌、夏休みをいただけますのは、たいへん嬉しうございます。
京都での送り火連句会、次の週は清里での研究合宿(或る読書会の)と続きますので、安心して行けますこと有り難いです。
蘭舎さま、
花のあだし野・・・なんと凄艶な!
そう言えば、八月納涼歌舞伎の演目のひとつは、「野田版 桜の森の満開の下」。京都へ行く前に観ることにしています。
暑さの夜に、花と死の幻想に浸るのは、乙な味わいがあることでしょう。
では宗匠さま、
ゆっくりとご旅行を楽しんでいらしてくださいませ。
お休み明けからのご指導、よろしくお願い申し上げます。
皆さま、
ご体調に気を付けられて、良い夏休みをお送りくださいますよう、お祈り申し上げます。
菜帆 拝
by 如月 (2017-08-13 13:54)
証文の出し遅れかも知れませんが、短句で出した句がありましたので、出し直し致します。
そで振る人をてふに見まがひ 梢風
↓
てふてふになりて越えたき有為の山
「そで振る」は恋句でしたね。
by 梢風 (2017-08-13 15:53)
気がつきませんでした。やはり休みが必要な時期ですね。
てふてふになりて越えたき有為の山
春 蝶(虫類) 有為は釈教(サンスクリットのサムスクリタの中国語訳、さまざまな因縁から生じたすべての現象のこと。有為の山は有為の奥山のことで、山類ではなく現世のこと。有為=ウイは字音で、山田孝雄『連歌概説』を見ましたが、連歌で使える字音の言葉のリストの中にはありませんでした。ただサンスクリット起源の仏語である「優婆塞」は連歌で使えるとありますので、いろは歌で知られ、優婆塞よりもっとポピュラーな有為の奥山を素知らぬ顔でつかうことは出来そうです。付け句作者に一任。
by 連歌楽歳 (2017-08-13 21:08)
楽歳さま
お帰りなさいませ!
ご無事で何よりです。旅のお話や新しい写真の掲載、楽しみにしています。
さて、梢風様の
みやこより流行り始める春着あり
いただきまして
付け
さやかな色をまとひあらたむ
そぞろ歩きを誘うてふてふ
歩み出づればそよと吹く風
長い期間がありましたのに、三句のみにてすみません。
お手直しいただけましたら幸いです。
お疲れのでませんよう、おだいじにお過ごしください。
by 遊香 (2017-09-07 07:17)
時差ぼけのぼんやり頭ですが、再開いたします。
さやかな色をまとひあらたむ 遊香
雑 「さやか」は俳諧では秋の季語になっていますが、連歌では「月のさやけき」など、月と結んだ場合は秋、それ以外は無季のケースが多いです。ここは春の3句目がぜひもの。ところで、
みやこより流行り始める春着あり 梢風
さやかな色をまとひあらたむ 遊香
を並べると両者接近し過ぎて和歌の上下の仕立てになるので、
みやこより流行り始める春着あり
鄙の弥生に何ぞ求めむ (春 弥生は時節 鄙は国郡)
と少しずらしては如何でしょうか?
そぞろ歩きを誘うてふてふ
春 蝶は虫類
歩み出づればそよと吹く風
雑 風(吹物) 「そよと」を春の季語にかえて、
歩み出づればうらら吹く風 (春=うらら)
あたりが無難です。
by 連歌楽歳 (2017-09-07 12:37)
楽歳さま
お疲れのところ、さっそくお煩わせしまして申し訳ありません。
お手直し、ありがとうございます。
1句目、確かにずらしたほうがよいですね。
3句目も、そよ風は春と思い込んでおりました。
重ねてお詫びいたします。
上記、差し替えてくださいますよう、よろしくお願いいたします。
by 遊香 (2017-09-07 13:19)
遊香さま
了解です。
楽歳
by 連歌楽歳 (2017-09-07 13:51)
宗匠さま
お帰りなさいませ。
お元気でご帰国、何よりでございます。
北欧の旅のおはなしを伺えますこと、楽しみにいたしております。
連歌のご指導、よろしくお願い致します。
さて、早速ですが、一つお教えくださいませ。
遊香さまがお採りになった梢風さまのお句、
みやこより流行り始める春着あり
ですが、春の句とされています。
現在では、春着は新年の季語ですが、旧暦で新年は春でしたから、連歌の世界では新年の季語は春と考える、ということでしょうか。
夏休みがありましたのに、今頃になって、しかも何とも初歩的な質問を致しますこと、まことに恐縮でございます。
たいへんお手数をお掛け致しますが、ご教示いただけましたら有り難く存じます。
よろしくお願い申し上げます。
by 如月 (2017-09-07 23:40)
如月さま
現代の俳句暦「新年」は、連歌から江戸俳諧までは、旧暦にしたがって「春」にふくまれていました。「門松」も新春の季語でした。新年を独立させたのは新暦を基準にした明治以降の歳時記です。
つむじ曲がりの虚子は『新歳時記』で「元日」を冬=1月に分類しています。彼によれば新年は冬でした。
「春着」は江戸俳諧で使われています。連歌の使用例についてはこれから調べてみます。たぶん無いでしょう。
by 連歌楽歳 (2017-09-08 00:20)
宗匠さま
ご丁寧なるご教示、有難うございました。
以前たしか、そのようにお聞きしたことあったように思い出しましたが、実際のケースに遭遇したのは、初めてでした。
あるいは、万事に迂闊な私でございますので、今まで句を読んでいても、気づかずに読み飛ばしていたのかも、しれません。
付句につきましては、今しばらくお待ちくださいませ。
by 如月 (2017-09-08 00:54)
国際日本文化研究センターの連歌データベースにあたってみましたが、「春着」の使用例はありませんでした。
by 連歌楽歳 (2017-09-08 01:01)
宗匠さま、皆さま
日曜をいかがお過ごしでしょうか?
タイトル写真の幾何学的庭園風景、ヨーロッパならどの国でも典型的な美しい風景ですね。北欧も南欧も区別がつかないですね。赤い色調が強いのが、強いて言えば北国的なのでしょうか。
さて、遅くなりましたが、付句をお送りさせていただきます。
遊香さまの
鄙の弥生に何ぞ求めむ
を頂戴させていただきたく存じます。
拙次
・引鶴に絡繰り唐子逆立し
・あをあをと所化(しょけ)のつむりの鐘供養
・雁供養海路に溶ける空の色
・一間(ひとま)より灯洩れくる雛の家
・伏せがちに遥かをみつめ雛(ひいな)の眼
・種袋振ればかそけきものの音
以上でございます。
所化という仏教語を使ってよろしいのか、また、鄙と雛の同音語が並ぶのはおかしくないか等、分からないことばかりです。
宗匠さま、ご指導よろしくお願い申し上げます。
朝姫さま、治定をよろしくお願いいたします。
by 如月 (2017-09-10 09:59)
引鶴に絡繰り唐子逆立し
春 引鶴は鳥類 鶴は2句物(鶴1、たづ1、田鶴は既出、鶴はこれで打ち止め)唐子はかの有名なパリのカフェ・ドゥ・マーゴの中国人形と同じく人形なので、逆立ちしても非人倫。春の珍事。
あをあをと所化(しょけ)のつむりの鐘供養
春 釈教 鐘供養は俳句歳時記によると春の季語。「あおあお」は晩春から初夏にかけての植物を連想させるが、ここでは年少の修行僧の頭の形容。つむりは人体。「優婆塞」が連歌で使える仏教語(山田孝雄『連歌概説』)ということなので、在家の仏道修行者の「優婆塞」がOKなら、出家した修行僧である「所化」もまたOKであろうとこじつけることは可能です。ただ、こういう風にしばりを緩め続けると、最後はだらしないことになるので、要注意ではありますが。
雁供養海路に溶ける空の色
春 雁供養は俗説にもとづく俳諧春の季語。そもそも雁は水鳥なので海上に浮くための浮き木など必要としない。雁供養の「雁」は鳥類ととるのが順当かも。水辺 天象
一間(ひとま)より灯洩れくる雛の家
春 「雛の○○」で春 居所 夜分 数字 なんとなく蕪村風のやわらかさ。鄙と雛の同音を嫌うかどうか知りません。感覚的な問題なので、判断は付け句作者におまかせしましょう。
伏せがちに遥かをみつめ雛(ひいな)の眼
春 人形の眼が人体にあたるかどうか。打越に手足などがくれば、抵抗感があるので人体かも。
種袋振ればかそけきものの音
春 種袋は俳句春の季語。種袋は植物(主として草類)と解すべきか? もし植物と解せば大打越の「花」と障ります。イカとスルメの関係のようなもので、無駄な詮索はやめたほうがよさそう。
by 連歌楽歳 (2017-09-10 13:23)